特別収容プロトコル: 財団フロント組織の1つである全米神経放射線学会National Neuroradiology Society (NNS) がSCP-6489のあらゆる報告を追跡し、それに応じて症例を捕捉し、罹患者の治療にあたっています。報告後、SCP-6489を罹患者の脳内に6ヶ月以上放置することは許容できません。処置内容については関連資料を参照してください1。
説明: SCP-6489は、8本の多関節脚を持つ微小な節足動物の一種です。この生物は、ヒトの脳と脊髄を取り巻く3種類の髄膜の1つ、クモ膜に生息している状態でのみ発見されています。
SCP-6489はクモ膜とその内側の軟膜を結ぶ棒状の脆弱な組織、クモ膜小柱で生活します。SCP-6489個体は定期的に、クモ膜と軟膜の間にあるクモ膜下腔へ移動して脳脊髄液 (CSF) を集め、それをクモ膜の各所に蓄積してクモ膜小柱を被覆します。NNSは、脳の同じ部位に生息する類似種の行動を基に、脳脊髄液はSCP-6489の近くにバクテリアをおびき寄せる餌として使われていると仮定しています2。クモ膜小柱に接近した獲物は、脳脊髄液で滑り、逃げることができなくなります。SCP-6489個体は獲物に噛みついて未知の毒液を注入した後、捕食します。放置されれば、SCP-6489は際限無く成長し、大きさを増します。
現在、SCP-6489の生息が検出された症例は317件で、ペンシルベニア州の石炭地帯に集中しています。神経スキャン以外での発見例は報告されていませんが、SCP-6489はごく普通の手段で人体の開口部から侵入している可能性があります (口、外耳道など) 。人体のマイクロバイオームに生息する既知8種類のクモ形類のうち、SCP-6489は6番目に生息数の多い種です。
補遺6489.1: 事案ログ
1997年、ペンシルベニア州アッシュランドに住む92歳のジェームズ・マッキントッシュが、右腕の錯感覚と絶え間ない頭痛の症状を訴えました。CTスキャンでSCP-6489の生息が判明しました。NNSはマッキントッシュを保護下に置き、長期的なSCP-6489感染の影響を調査しました。
症状は悪化の一途を辿り、マッキントッシュは高熱、頭痛、身体のこわばり、両腕のしびれを経験しました。マッキントッシュは定常的に頭の中で“加圧/減圧”のパターンを感じると述べ、それを“配管のバルブの開け閉め”に例えました。SCP-6489個体群は当初ほとんど成長を示さなかったものの、マッキントッシュの1年間の看護生活を通して指数関数的に巨大化しました。
1998年7月14日、マッキントッシュは深刻な脳ヘルニアを起こし、彼の脳全体が頭蓋骨の幅1インチの隙間を強引に通り抜けて射出され、反対側の壁に激突しました。脳の欠落にも拘らず、マッキントッシュは「空っぽだ!」と叫んでから倒れ込みました。
脳には8本の大きな多関節脚が生えており、病室を走り回りました。職員が脳を捕獲したところ、複数のクモ膜顆粒 — 外側の硬膜に向かって突出し、脳脊髄液を排出する役割を担うクモ膜特有の構造 — が確認されました。マッキントッシュの遺体の頭部には多数のSCP-6489個体が蔓延し、頭蓋骨の内部で営巣、孵化しているように見受けられました。
マッキントッシュの脳は最終的に脱走してキッチンシンクに滑り込み、排水溝をくぐり抜けて去ったと報告されました。