クレジット
ソース: SCP-6512
メタタイトル: 恐竜って羽毛があるもんじゃないの?
著者: Uncle Nicolini
作成年: 2023
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アイテム番号: SCP-6512
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: ボーリング協定1に則り、全12頭のSCP-6512個体は現在、GoI-466 (ウィルソンズ・ワイルドライフ・ソリューションズ) によって収容されています。財団はGoI-466を支援し、SCP-6512の収容に適切な大きさの飼育小屋を建造しました。機動部隊ファイ-2 (“クレバー・ガールズ”) が、機動部隊ベータ-4 (“キャスタウェイズ”) と連携して当該アノマリーを監視する任務に就いています。
説明: SCP-6512は二足歩行の大型獣脚類であり、体長10~12m、腰部までの体高3~4m、体重7~9メートルトンです。SCP-6512個体は外見上、1993年公開の映画 “ジュラシック・パーク” で描写されているティラノサウルス・レックス (Tyrannosaurus rex) に類似します。
補遺6512.1: 発見と初期収容
SCP-6512は当初、オレゴン州ボーリング郊外の農場で発見されました。クラカマス郡の主要な動物管理業者であるウィルソンズ・ワイルドライフ・ソリューションズに、民間人から“納屋に恐竜がいる”との通報が入り、WWS専務取締役のフェオウィン・ウィルソンは直ちにMTF ベータ-4を派遣しました。しかしながら、ベータ-4にはSCP-6512個体群を捕獲する装備が整っていませんでした。以下は、SCP-6512の発見に続く、ウィルソンとGoI-466連絡員 ロジャー・ターパンの通話ログです。
<記録開始>
ターパン: どうも、ウィルソンさん、どういったご用件ですか?
ウィルソン: 恐竜だ。
ターパン: 何です?
ウィルソン: ここに恐竜がいる。
ターパン: おや。興味深いですね。我々の知る限りでは、ボーリングは絶滅していない動物だけを出現させると —
ウィルソン: よりによってT・レックスが5頭も納屋の周りをのしのし歩きまわっていて、エサウ2は自分の部隊じゃ捕獲できないと言うんだよ。
ターパン: T・レックスと言いましたか? 私から司令部に連絡しましょう。そのまま待機してください、戦闘部隊を派遣します。
ウィルソン: いや、待って! そこまで攻撃的じゃない。
ターパン: えっ?
ウィルソン: その… 恐竜たちは単にうろついてるだけでね。地面を口でつついてばかりいる。
ターパン: つまり、誰も傷付けてはいないんですね?
ウィルソン: ああ。何人かに訊いたら、どうも人懐こいぐらいらしい。ただ、ニワトリを何羽か食べたそうだ。
ターパン: 成程。まぁ幸い、こちらには恐竜の捕獲やその手の任務を専門とする部隊がいますよ。
ウィルソン: …ホント?
ターパン: あらゆる状況に備えておきたいものでね。
ウィルソン: へぇ。監督者たちの人材が豊富なのは知ってたけど、流石にちょっと馬鹿馬鹿しい感じがするよ。
ターパン: 我々には緊急時対応計画のための緊急時対応計画のための緊急時対応計画があります。それに資金も充実しています。ともあれ、1時間以内にクレバー・ガールズがボーリングに到着するでしょう。
ウィルソン: オーケイ、対応してくれて助かるよ — ちょっと待った。それってまさかジュラシック・パークのジョークかい?3
ターパン: 機動部隊に自分たちの名前を付けさせるとそうなるもんです。エサウの部隊だって面白い名前でしょう、気付きませんでしたか?
ウィルソン: キャスタウェイズが? いや —
ターパン: ウィルソン。
ウィルソン: ん?
ターパン: いえ、ボールのことです。
ウィルソン: は?
ターパン: ほら、トム・ハンクスの。
ウィルソン: 嘘だろ。
<記録終了>
到着から間もなく、MTF ファイ-2はMTF ベータ-4を補佐し、特殊な捕獲機材と輸送車両を活用して、当時5頭存在したSCP-6512個体群を収容しました。ウィルソン・センターに移送された個体群は、複数の大型動物用囲い場に入れられましたが、これらの囲い場には一時的な収容に間に合う程度の面積しかありませんでした。
その後、財団は原位置in-situ収容サイトの迅速な建設を専門とする機動部隊、MTF ガンマ-32A (“やってくれるかい?”)Can We Build It? を派遣しました。MTF ガンマ-32Aは高度なパラテクノロジーと奇跡術儀式を駆使して、既存のSCP-6512個体群に対して適切な広さの囲い場を4時間以内に構築できました。
補遺6512.2: 出現の継続
ボーリングにおけるSCP-6512の最初の出現から8日後、更に3頭の個体が同じ場所に現れました。このため、フェオウィン・ウィルソンとエサウ隊長は、当該アノマリーの調査と、地所の所有者であるマーシャル・スミスへのインタビューに任命されました。以下は、地所からのSCP-6512個体群の移送に続く、ウィルソン、エサウ、スミスのインタビューログです。
<記録開始>
ウィルソン: やぁ、マーシュ。こちらはイングリッド・エサウ隊長だ、先週も顔を合わせたね。
エサウ: こんにちは。
スミス: おう。うん。とんでもねぇ1週間だったよ。
ウィルソン: 察しはついていたよ。きっとあの恐竜たちのせいで、君も家族も随分怖い思いをしただろう。
スミス: ああ。俺はいつも朝、息子を納屋にやってニワトリの卵を集めさせることにしてる。あの日もそうだったし、特に何事もなかった。そしたら突然、あいつは裏庭に化け物がいるって無我夢中で喚き始めたんだ。
ウィルソン: うわぁ。息子さんの調子は?
スミス: まだニワトリと遊ぶのが好きだし、そこまで怖くはなかったんじゃねぇかな。
エサウ: それなら何よりですね。私も子供の頃は恐竜が大好きだったから、きっとそんな風に近くで見る機会があったら大喜びしたと思います。
スミス: あー、うん。そうかもしれん。でもこう言っちゃ何だが、あんたは奴らに自分や家族の身を脅かされた試しがねぇだろ。
エサウ: 確かに。失礼しました。
ウィルソン: ねぇ、マーシュ、T・レックスたちが現れる前に、何か奇妙なことに気付かなかったかい?
[短い沈黙。コッコッというニワトリの鳴き声が背景に聞こえる。]
スミス: そうだな… 近頃、ニワトリが何羽か病気になった。
エサウ: ほう?
スミス: うん。どこがどう悪いのかよく分からん。羽が抜けちまって、なんとなく身体が膨れてる。妙な病気だよ。
ウィルソン: 隊長、そんな風に家禽に影響する病気に心当たりは?
エサウ: 思い当たる節はありません。
スミス: もっと妙なのは、あのT・レックスどもは病気のニワトリを食ったのに、健康なニワトリは1羽も食わなかったことだ。
[短い沈黙。遠くでマーシャル・スミス・ジュニアが玩具の恐竜で遊んでいるため、ニワトリの鳴き声に混ざって録音の咆哮が聞こえる。]
スミス: ジュニア、可哀想なニワトリを追いかけるのは止めなさい。
スミス・ジュニア: うん、パパ。
ウィルソン: なかなか良い玩具だね。羽毛があるとクールだ!
スミス・ジュニア: でしょー! 本物の恐竜には羽が生えてたんだよ!
スミス: 優しいお嬢さんに何か言うことがあるよな、ジュニア?
スミス・ジュニア: ありがとう、ウィルソンさん!
ウィルソン: いやいや、フェイと呼んでくれていいんだよ。そしてどういたしまして!
エサウ: 1つお訊ねします、スミスさん。まだ病気のニワトリはいますか?
スミス: 実はな、いるんだ。あそこにジュニアが追っかけてた2羽が見えるよな? 30分ばかり前からスゲェ勢いで羽が抜け始めた。息子が卵探しから戻って来て、おたくの連中がT・レックスどもを運び出した後だ。
エサウ: 拝見しても宜しいですか?
スミス: 一緒に来るといい。
[沈黙が続く。エサウが1羽を掴む際、動揺したニワトリたちの鳴き声が聞こえる。]
エサウ: うーむ。仰る通りですね。手の中で羽がどんどん抜けていきます。それにかなり大きく見えます。これはもう立っていられるだけでも奇跡だと思いますよ。
ウィルソン: どう思う?
エサウ: 分かりません。じっくり確認して悪いところを見定めるには、センターに連れていかないと無理でしょう。このニワトリを連れ帰っても構いませんか、スミスさん?
スミス: それで真相を突き止める役に立つのなら、いいとも。
ウィルソン: 了解、マーシュ。もうこれ以上邪魔はしないよ。インタビューだなんだって煩わせちゃってすまない、何せ監督者たちが徹底的にやってほしがってたからさ。
スミス: 心配すんな、フェイ。ところで、アレックスはどうしてる?
ウィルソン: 元気だよ、宜しく伝えておく!
<記録終了>
エサウが回収したニワトリの初期試験では、影響を及ぼしている要因についての洞察は得られませんでした。しかしながら、ウィルソンとエサウがスミス家の地所を去った3時間後、このニワトリはSCP-6512個体に変異してウィルソン・センターの別館を一部破壊し、他3匹の異常動物の軽微な収容違反を引き起こしました。同時刻、スミスはウィルソン・センターに電話で新たなSCP-6512出現事象を報告しました。
MTF ファイ-2及びMTF ベータ-4がSCP-6512個体の収容に、MTF ガンマ-32Aが追加の囲い場建造にそれぞれ派遣されました。その後、継続的な出現事象に対処するため、ウィルソン、エサウ、ターパン、スミスの緊急会議が招集されました。以下は会議の記録です。
<記録開始>
ターパン: さて。それでは —
スミス: もう終わりにしてくれ。
ターパン: 理解しています、まず —
スミス: 絶対理解してねぇよ、だってまだ起きてるじゃねぇか。毎度毎度こうなる度に、そちらさんの部隊がどデカいトラックで乗り付けちゃ、うちの土地をボコボコにしていく。ニワトリはどんどんいなくなる。あんな怪物が現れ続けるんじゃ、息子を安心して外で遊ばせらんねぇよ。
ウィルソン: 公平を期すために言うけど、かなり大人しいんだよ。
スミス: フェイ、冗談は止せ。この状況がどんだけイカレてるか分かんねぇんか?
ターパン: 宜しければ —
エサウ: ウィルソンさんの言う通りだと思います。あの恐竜たちはほとんど何もしません。それにニワトリを食べてもいません。あれがニワトリなんです。
スミス: あの化け物はうちのニワトリじゃない。
ターパン: 宜しければ私の話 —
ウィルソン: 映像を見ただろう、マーシュ! 君のニワトリがあれに変身したんだ! 今まさにうちの囲い場に座り込んでる!
エサウ: 全くの話、あれが唯一呈する危険性は唐突な成長だけです。巨大化した時に同じ部屋にいなくて本当に良かった。
[ターパンはウィルソンのトラックの運転席窓に近寄り、繰り返しクラクションを鳴らす。]
ウィルソン: ロジャー、何のつもりだよ?!
ターパン: エヘン。これら全ての出現事象の間には共通項が存在するはずです。
エサウ: ふむ。私に分かるのは、これがニワトリと関係していることだけですが。
スミス: さっきも言ったが、奴らは俺のニワトリじゃないし —
[ターパンが再びクラクションを鳴らす。]
ターパン: 集中してください。
ウィルソン: 止めてくれるかな、ロジャー?!
エサウ: スミスさん、恐竜を最初に発見したのは息子さんだというお話でしたね。もしかしたら息子さんが関わっているのではありませんか?
スミス: あいつは魔法使いじゃないぞ、潜在能力があるかどうかは試験した。もしそういうことが言いてぇならだけどよ。
ウィルソン: 私みたいに普通に女々しいだけ、ってことかい? へぇ。
[スミス・ジュニアの恐竜玩具の咆哮が背景に聞こえる。]
スミス: ジュニア、言っただろう? 玩具は家ん中にしまって、ニワトリに近付くな。
スミス・ジュニア: ごめん、パパ。
エサウ: ちょっと待ってください。あの子は前回お邪魔した時もあの玩具を持っていましたよね、ウィルソンさん?
ウィルソン: 今思えば、確かにそうだ。関係があると思う?
ターパン: 彼はいつからその玩具を持っていますか?
スミス: 先週買ってやったんだ、ちょうど… 最初の恐竜が現れる直前に。
ターパン: どうやら答えが出たようですよ、皆さん。
スミス: 玩具があれを起こしたなんて信じられねぇ。あり得ねぇよ。そんな玩具をただ売る奴なんていねぇだろ。
エサウ: では、数時間ほど待って確認しませんか?
スミス: そんで、もし俺が正しくて、玩具が原因じゃなかったらどうするよ?
エサウ: ちょっと…
ターパン: 息子さんから玩具を取り上げてくださるなら、今すぐにでもこの件は解決できます。
スミス: 断る。息子はあの玩具が大好きなんだ。手に入れてからずっと目を離さねぇんだぞ。
ウィルソン: マーシュ、もしニワトリが恐竜に化けなかったらさ、私が個人的にセンターで慈善イベントを開催するよ。それで君の土地にまた芝を植えてニワトリを買い直す費用を賄おうじゃないか。
スミス: いいだろう。乗った。
[2分間の沈黙。]
スミス: みんな、家ん中でコーヒーでも飲むかい?
ターパン: そうですね。
エサウ: ええ。
ウィルソン: ありがとう、マーシュ。
[3時間分の無関係なデータを省略 — 職員は要請に応じて閲覧可能]
スミス: そろそろかな。いっちょ表に出て —
[屋外から大きなガタガタという音が聞こえる。間もなく、SCP-6512個体の鳴き声が聞こえる。]
スミス: はぁ。分かったよ。ジュニア、玩具をターパンさんに渡しなさい。
スミス・ジュニア: でもパパ、僕 —
ターパン: 心配無用ですよ、坊や。異常じゃないのを見つけてあげますからね。
<記録終了>
注記
現在、SCP-6512の改訂が保留されています。変更点は青字で示されています。ファイルを更新する前に改訂版を見直してください。