連絡通路LK-9、SCP-6565の主要な "頭部" に続く。
| 配属サイト | サイト管理官 | 研究責任者 | 担当機動部隊 |
| サイト-192 | ヨハネス・ガンターマン | ミシェル・ブラン | 機動部隊イプシロン-77 ("正直に答えなければ相応の結果を与える") |
特別収容プロトコル
SCP-6565-1での実験はSCP-6565に配属された全職員にとって必須事項です。
職員がSCP-6565プロジェクトへの配属を許可されるには、次に挙げる概念 — 組織としての財団、財団の目標、財団が用いる手法、O5評議会の方針 — に対して150mld以上の評価を提示する必要があります。
加えて、職員は次に挙げる概念 — 財団への叛逆、直属の上司から下された命令への違反、財団に敵対する組織、SCP-6565への加害 — に対して10mld以下の評価を提示する必要があります。
SCP-6565周辺のパリ地下墓地の区画は保安職員が警備し、悪意を持って近付く侵入者がいないか監視します。偶発的に侵入した人物に対しては、周辺領域に刻印されたミームトリガーの効果で、SCP-6565を知らない人物にアノマリーから遠のく方向へと進むよう促します。侵入者が故意にSCP-6565へと到達しようとした場合は、現地の保安職員が侵入者を取り押さえ、拘束します。
SCP-6565には大量の水と肥料が週に1度供給されます — これらの資源の構成と数量は、栄養チャート6565-1に基づいて決定されます。SCP-6565の体が元の大きさを超過した場合は、増量した箇所を現地の職員が切除し、直ちに焼却処分します。
インシデント6565-1以降、SCP-6565へのインタビューはミシェル・ブラン研究責任者による直接の許可を得る必要があります。SCP-6565と直に交流する職員は、交流の直前に感情抑制剤を投与されます。
SCP-6565職員はSCP-6565-1での追加試験を毎日受ける必要があります。
説明
SCP-6565はパリ地下墓地の区画L-9内に存在する、全長3 km、体重約100,000 kgの巨大かつ定置的な樹状生物です。
身体構造に関しては、SCP-6565は主要な中核部 (以下 "頭部" と呼称) と、周辺の地下墓地を貫く極めて巨大な4つの根構造から構成されています。SCP-6565は淡い緑色をしていますが、球状の "頭部" の前面に垂直にできた開口部の中には、濃い赤色の触手の塊が視認できます。SCP-6565の "頭部" の直下には、体内で生成したSCP-6565-1個体を保持する、透明な出産嚢が4つ存在します (説明 (SCP-6565-1) 参照)。
SCP-6565の周辺領域では感情増幅効果が発生します — この領域内では、愛情・親しみ・愛着の気持ちが劇的に強くなります。この増幅効果はSCP-6565に近いほど高まり、SCP-6565の "頭部" のごく周辺の地域で最も強くなります。この効果の最大範囲は不明ですが、SCP-6565の地点の真上にある住宅街には影響が及んでいると考えられており、人前での愛情表現や、痴情沙汰の割合が他所よりも著しく高まっています。
SCP-6565との直の交流から、この生物は知性を有しており、"頭部" の中の触手を震わせて発話ができると確認されています。SCP-6565は主にフランス語を話しますが、極めて基礎的な英語の知識も示しています。SCP-6565の知能レベルは現状不明であり、インタビュー中には頻繁に職員からの質問を無視するか、もしくは誤って解釈し、代わりとして大きなうめき声を時おり上げつつ、様々な形の対人愛情について長時間話す場合が多々あります。
SCP-6565は財団によるパリ地下墓地の区画の定期探査をきっかけに発見されました。この地下墓地はかつて、エステート・ノワールとして知られる前身組織の管轄下に置かれていました。Champimontインシデントの結果としてエステート・ノワールの記録が欠落しているため、この組織がSCP-6565の存在に気付いていたのか — 気付いていたのであれば、その起源に関してどのような情報を有していたのかは現状不明です。
インタビュー6565-1
前書: SCP-6565の知的レベルの確認と、SCP-6565の起源に関する情報の収集のため、事前インタビューが実施された。インタビュアーはレイチェル・サウスウォーク博士が担当した。
[記録開始]
サウスウォーク博士: こんにちは。私の声が聞こえますか? 私の話が、というより、言葉は理解できますか?
(沈黙。12秒経過。)
サウスウォーク博士: もしもし?
SCP-6565: それは理解している。
サウスウォーク博士: こんにちは、それは — よかったです。私の言葉をどこで覚えたのかお聞きしても?
SCP-6565: そうだ。
サウスウォーク博士: そうだ?
SCP-6565: そうだ。それは貴方の言葉を覚えた。
(沈黙。9秒経過。)
サウスウォーク博士: ええ、ですが — お互いの意思疎通が取れていないように思えます — 私の言葉はどうやって覚えたのですか? 私のような話し方ができるようになったきっかけは?
(沈黙。2秒経過。)
SCP-6565: それは土から吸収した。それは水から吸収した。
サウスウォーク博士: あ、ああ、なるほど。では次に。私たちは既に貴方の…… 異常性を知っています — 見ればわかることとは別のですね。感情に影響を及ぼす方法でしょうか? そのあたりを説明していただけますか? また、そうする理由は?
SCP-6565: そうだ。
(沈黙。11秒経過。)
SCP-6565: そうだ。それは説明できる。それは愛したいと思っている。
(沈黙。2秒経過)
サウスウォーク博士: それは愛したいと思っている? 貴方が愛したいと思っているのですね。貴方の言う愛とはどのような種類の愛でしょう — 情熱的な意味合いですか?
(沈黙。30秒経過。)
サウスウォーク博士: すみません、私が尋ねているのは貴方の言う —SCP-6565: (大声で) 情熱的な愛。性愛。家族愛。情緒的な愛。堕落した愛。単純な愛。複雑な愛。愛、愛、愛。それは愛したいと思っている。純愛。
サウスウォーク博士: 純愛? つまり、無条件の愛だと — そうおっしゃっているのですか?
SCP-6565: (静かに) それは愛したいと思っている。
(沈黙。3秒経過。)
SCP-6565: それは愛の贈り物をしたいと思っている。
サウスウォーク博士: 贈り物? それは必要ありません。よろしければ話に集中して —
(SCP-6565の "頭部" の真下にある4つの出産嚢が全て開き、SCP-6565が大きなうめき声を上げるとともに、数百のSCP-6565-1個体がチャンバーに解き放たれる。サウスウォークがチャンバーから退避するよう勧告され、すぐさまそれに従う。退出の際にドアが密閉される。)
(以降の記録では、SCP-6565が大きなうめき声を上げている。)
[記録終了]
後書: SCP-6565はインタビュー終了時からさらに14分間SCP-6565-1個体を排出し続けた。出産が終わった後、職員はチャンバーに再入室し、今後の調査と分析のためにSCP-6565-1個体を選出して回収した。
完全な結果については説明 (SCP-6565-1) を参照。
説明 (SCP-6565-1)
SCP-6565-1はSCP-6565が生成した子孫の総称です。
外観に関しては、SCP-6565-1はSCP-6565を縮小させた姿に類似しています — 個々の大きさは15〜22 cm、体重は1.4〜2.7 kgです。各個体は時間とともに成長の兆候を見せますが、全ての事例において、大きさが22 cmに達すると成長が停止しています。この成長は水と肥料の提供によって促されているように見受けられ、これらの資源を取り上げれば成長が停止すると観測されています。
平常時では、SCP-6565-1個体はその場から全く動かず、親とは違って知性や知能を有する様子を見せていません。しかし、人間に直接触れられると、SCP-6565-1個体は以下の振る舞いを見せ始めます。
- 根構造が痙攣・収縮する。
- 様々な音量で金切り声を上げる。
- 悪臭を放つ。
実験から、この振る舞いの激しさは触れている人物次第である — 具体的には、その人物の頭の中を現状最も占めている概念に対する愛着の度合いに左右されると推察されています (実験ログ6565-1-1参照)。その人物が離れると、SCP-6565-1個体は再び不活性化します。
SCP-6565の出産パターンを導いたところ、実体は週に1度、20から30体のSCP-6565-1個体を排出する一方で、興奮状態にあるか、職員から特別に促された場合には、さらに大量の個体を急速に排出すると示されています。
実験ログ6565-1-1
SCP-6565-1の振る舞いの詳細を完全に把握するべく、人間での実験が許可されました。実験はSCP-6565研究チームから志願者を募って実施しました。結果は以下の通りです。
被験者: レイチェル・サウスウォーク博士
概念 反応 リンゴ。(サウスウォーク博士の好物。) SCP-6565-1は激しく暴れ出し、大きな金切り声を上げて、人間の排泄物に似ていると形容される悪臭を放った。 腐ったリンゴ。 SCP-6565-1は弱々しく身悶えした。 サウスウォーク博士の妻。 SCP-6565-1は激しく身悶えし、金切り声を上げて、人間の排泄物に似ていると形容される悪臭を放った。サウスウォーク博士は吐き気を抑えるために一時休息を要請した。この要請は承諾された。 サウスウォーク博士の私用ペン。 SCP-6565-1は中程度に身悶えし、かすかにうめき声を上げて、人間の汗に似ていると形容される臭いを放った。 SCP財団。 SCP-6565-1は大きな金切り声を上げ、人間の排泄物に似ていると形容される悪臭を放った。
被験者: ラック・ジェムソン保安職員
概念 反応 ステーキ。(ジェムソン保安職員の好物。) SCP-6565-1はかすかにうめき声を上げ、人間の汗に似ていると形容される臭いを放った。 犬。 SCP-6565-1は暴れ出し、大きな金切り声を上げて、腐った魚に似ていると形容される悪臭を放った。 猫。 SCP-6565-1は中程度に身悶えし、かすかにうめき声を上げて、人間の汗に似ていると形容される臭いを放った。 ジェムソン保安職員の妻。 最小限の反応。ジェムソン保安職員は実験の中断を要請した。この要請は拒否された。 SCP財団。 SCP-6565-1は激しく暴れ出し、大きな金切り声を上げて、人間の排泄物に似ていると形容される悪臭を放った。
被験者: カルバー次席研究員
概念 反応 スパゲッティ。(カルバー次席研究員の好物。) SCP-6565-1は中程度に暴れ出し、静かに金切り声を上げて、腐った魚に似ていると形容される悪臭を放った。 SCP-6565。 反応なし。 カルバー次席研究員の妻。 SCP-6565-1は中程度に暴れ出し、金切り声を上げて、腐った魚に似ていると形容される悪臭を放った。 カルバー次席研究員の幼い娘。 SCP-6565-1は激しく暴れ出し (その影響で記録装置が破損した)、大きな金切り声を上げて、人間の排泄物に似ていると形容される悪臭を放った。 SCP財団。 SCP-6565-1は弱々しく身悶えした。 SCP財団に対する敵意。 被験者は当初実験の実施を拒否したが、保安職員から促されて実験を受けた。 SCP財団に対する敵意。 SCP-6565-1は激しく暴れ出し、大きな金切り声を上げて、人間の排泄物に似ていると形容される悪臭を放った。
最後の実験の後、カルバー次席研究員は保安職員に拘束され、さらなる尋問のために外部の施設へと送られました。この尋問と調査の進展から、かつてカルバー次席研究員と蛇の手の既知の構成員との間に繋がりが存在したと判明しました。それゆえに、当人は既にSCP財団に雇用されていません。
この事例でSCP-6565-1が偽装の摘発に効果を示したために、SCP-6565-1のThaumielクラスアノマリーとしての潜在能力を調査するべく、ミシェル・ブラン博士主導の二次研究チームが結成されました。このチームはメインの研究努力とは別に活動し、O5-2に直属します。
プロジェクト概要 (ミルダ測定システム)
ミシェル・ブラン博士のデスクより、
SCP-6565-1Thaumiel検討部責任者忠誠心とはどのようにして測定するものでしょうか?
それは大抵、過去を遡ることでしか — 今までに記録されてきたその人の言動を見ることでしか測定できません。我々は忠誠心に対して賞状や勲章を授与し、その賞賛は今後の検討材料として役立ちます。ですが、言動というのは決して疑う余地のないものとは言えません。抜け目のない潜入工作員にとって、こうした賞賛は便利なカモフラージュでしかないのです。人の外面だけしか見られない限り、その者を信頼することはできません。
SCP-6565-1はこの状況を変える可能性を秘めています。
この生物を活用すれば、忠誠心以上のものを、従順さ以上のものを、愛着以上のものを測定できる — 愛を測定できるのです。この見解がクリニカルトーンという、財団で保つべき観点にいくらか欠けているように感じるかもしれないとは理解しています。しかし、貴方がそう考える理由は、今の新しい理解ではなく、かつての古い考え方で "愛" という概念を捉えているからに他なりません。ミルダ測定システムは、"愛" の概念を主観的品質から客観的品質へと変えます。
SCP-6565-1が人間と触れた際の物理的挙動を集計して算出されるミルダ測定システムにより、我々はある概念に対して被験者が抱く愛の量を、数値 (mld) として割り出せます。他者に抱く愛に、制度への愛、多様な存在への愛。被験者の頭の中を占めている限り、それは測定でき、数値化できるのです。
財団への背信行為であれ、我々の敵への共感であれ、この生物に関する知識を完全に会得してしまえば、何も隠し事はできなくなります。敵対分子の脅威が間も無く完全に消し去られるのも十分ありうる話でしょう。もちろん、実験は今も続いています — 今後はSCP-6565に直接関わる職員の審査なども行われる予定です。ですが、その結果が確認されれば、ミルダ測定システムを本格的に導入する準備が整うと私は既に確信しています。
これまでの中で最も顕著な懸念事項として、個人がこのテストを欺ける可能性が挙げられます。単に他の人物 — 例えば大切な人を思い浮かべれば、それに対する愛が代わりに算出される可能性があります。この懸念に対して、私から皆さんに1つだけお願いがあります。
ピンクの象を想像しないでください。
実験ログ6565-1-2
以下の記録は、以下の目的を達成するために実施した補足実験からの抜粋です。
- SCP-6565に携わる財団職員の忠誠心の確約。
- 財団への忠誠心を測定できる理想的な概念群の特定。
- ミルダ測定システムに由来する検証可能な結果の提供。
実験は全て、サイト-192においてミシェル・ブラン博士が自らの判断で実施しました。
被験者: グレタ・レンズ博士。
概念 ミルダ測定結果 SCP財団の目標。 181mld。 SCP財団が用いる手法。 79mld。 SCP財団の活動に適用される理念。 207mld。 O5評議会の方針。 77mld。 SCP財団に敵対する団体。 9mld。 結果: "SCP財団が用いる手法" と "O5評議会の方針" を除き、概念のうち大多数に対する結果は許容範囲内である。被験者はこれらの概念をより完全に把握、理解するための必須訓練に赴くよう命じられた。
被験者: シメオン・ハーリンソン博士。
概念 ミルダ測定結果 SCP財団の目標。 281mld。 SCP財団が用いる手法。 12mld。 SCP財団の活動に適用される理念。 312mld。 O5評議会の方針。 23mld。 SCP財団に敵対する団体。 41mld。 結果: 結果は許容不可能であり、潜入工作員の可能性を示すものと判断された。被験者はセキュリティに取り押さえられ、さらなる尋問のために外部の施設へと送られた結果、財団への反感が確認された。それゆえに、当人は既に財団に雇用されていない。
被験者: レイチェル・サウスウォーク博士。
概念 ミルダ測定結果 SCP財団の目標。 257mld。 SCP財団が用いる手法。 149mld。 SCP財団の活動に適用される理念。 198mld。 O5評議会の方針。 92mld。 SCP財団に敵対する団体。 2mld。 結果: 境界値であった "SCP財団が用いる手法" と、許容できないほどに値が低かった "O5評議会の方針" を除き、結果の大半は許容範囲内であると判断された。被験者はこれらの概念の理解を深めるための必須訓練に参加することには同意したが、この実験に関して個人的な意見も記録に載せるよう要請した。会話の記録は以下の通りである。
[記録開始]
ブラン博士: 始めましょうか。この会話は記録しています。
サウスウォーク博士: ブランさん、率直に言ってもよろしいでしょうか?
ブラン博士: ご自由にどうぞ。
サウスウォーク博士: 私は貴方が嫌いです。貴方が突如として強大な権限を得たように思えるのも、"反財団分子" に関するパラノイアを助長するのも、結果を顧みずにあのアノマリーを活用するのも、何もかもが気に入らない。
(沈黙。)
ブラン博士: 結果を顧みずにあのアノマリーを活用…… おっしゃっている意味が分かりかねます。詳しくご説明いただけますか?
(サウスウォーク博士があざける。)
サウスウォーク博士: これ以上どうはっきりさせろって?! あの巨大な…… 何かは、何百もの小さな植物実体を排出する上に、そいつらは明らかに人間の精神と何らかの相互作用をしてる — それで何、そんな奴らにいきなり審査手順の重要な役割を快く任せようって? それが賢いやり方に見えるとでも?
ブラン博士: (眉をひそめて) 警戒の必要性を理解していないのですか?
サウスウォーク博士: 理解しているに決まってるでしょう — ですがさっきも言った通り、警戒とパラノイアは違います。人の頭の中を覗き見ずとも、信頼性を証明できる方法はいくらでもある。
ブラン博士: あまり効果的でない方法が、ですね。
(沈黙。)
サウスウォーク博士: もういい。結構です。このまま貴方と話し合っても埒が明かないのは目に見えてる。記録の停止を。
[記録終了]
補遺6565-1 (収穫限度の拡張)
ミルダ測定システムの展開を拡大する承認を受け、SCP-6565をSCP-6565-1の収穫に用いられる機構と直接結合する措置が取られました。本稿執筆時点で実現している手段は以下の通りです。
- 配管系を拡張し、SCP-6565の体の4箇所を貫通させる。この配管系は現場にある貯水槽と多数の肥料タンクに接続されており、棍構造から吸収せずともSCP-6565の体に直接資源が送られるようになっている。
- SCP-6565の出産嚢の周辺に二次施設を建設し、SCP-6565-1の収穫と輸送を効率化させる。収穫したSCP-6565-1個体は水と肥料が豊富な容器に入れ、貨物用昇降機でパリ地下墓地の外に吊り上げ、必要な場所に配給できるようサイト-191へと輸送する車両に積む。
上記手段は何事もなく導入されました。SCP-6565はこれらの変更に関して、最初の貫通時にのみ恍惚とした大きなうめき声を上げただけで、それ以外には何も述べていません。
インタビュー6565-2
SCP-6565の現状の思考状態を評価し、継続的な協力を確保するため、ミシェル・ブラン博士がインタビューを実施しました。
[記録開始]
ブラン博士: ご機嫌よう。本日の調子はどうですか、6565?
SCP-6565: それは愛されている。それは愛している。(うめき声)
ブラン博士: それはよかったです。我々が加えた変更は貴方にとって好ましいものですか?
SCP-6565: それは愛している。それは愛されている。それは変えている。それは変えられている。
ブラン博士: ええ、そうですね。質問に答えてください。
SCP-6565: それはとても良好である。(うめき声)
(沈黙。)
ブラン博士: 分かりました。
(沈黙。)
ブラン博士: 他に何もないようでしたら — 私たちから貴方に、SCP-6565-1の生産量を増やしていただくようお願いします。
SCP-6565: それはもっと子を作る?
ブラン博士: すぐにでも。
(SCP-6565が大きなうめき声を上げ、SCP-6565-1個体を排出し始める。収穫担当の職員がそれを収集する。ブラン博士が振り返り、チャンバーを退室する。)
(以降の記録では、SCP-6565がうめき声を上げ続けている。)
[記録終了]
補遺6565-2 (セキュリティ方策の拡大)
ミシェル・ブラン博士のデスクより、
SCP-6565研究責任者以下はSCP-6565担当の全職員に向けたメッセージです。
ミルダ測定システムの導入と、それによる定量的な効果が財団の内部セキュリティに及んでいることを受け、SCP-6565独自のセキュリティ方策を強化し、この貴重な資源の安全性を今後も確保していくものとします。
一日の業務開始前に、職員は以下の概念に関するSCP-6565-1での審査を最初に受ける必要があります。
- SCP財団。
- SCP財団の手法。
- SCP財団の目標。
- SCP財団の理念。
- SCP-6565。
- SCP-6565-1。
- ミシェル・ブラン博士。
- O5評議会。
- O5評議会の手法。
- O5評議会の目標。
- O5評議会の理念。
- SCP財団に敵対する団体。
- SCP財団に敵対する人物。
- SCP財団への叛逆。
- O5評議会への叛逆。
上記概念のうち1つでもミルダ値が許容できないレベルにあると審査担当員が判断した場合、審査を受けた人物は直ちに機動部隊イプシロン-77 ("正直に答えなければ相応の結果を与える") に拘束されます。その後は広範にわたる質問を実施するべく、外部の施設へと送られます。
留意点として、これらの測定 (2022/09/27から導入予定です) を恐れる必要はどこにもありません。隠し事がなければ何も見つかりはしないのですから。
皆さんにとって良い一日となりますように。
インシデント6565-1
2022/09/25、SCP-6565の健康と成長状態の定期確認中に、レイチェル・サウスウォーク博士率いる研究職員らが保安職員を無力化し、SCP-6565の成長の制御に用いられる火炎放射器を盗み出して、SCP-6565のメイン収容チャンバーへと続く通路を封鎖しました。研究職員らがバリケードを保持して機動部隊イプシロン-77 ("正直に答えなければ相応の結果を与える") を妨害している最中、サウスウォーク博士は収容チャンバーに到達し、SCP-6565と対話しました。
[記録開始]
サウスウォーク博士: OK。今から貴方にいくつか質問をしましょうか。
SCP-6565: それは愛されている?
サウスウォーク博士: いいえ — それは愛されていない。
SCP-6565: (うめき声) それはとても良好である。
(サウスウォーク博士が火炎放射器で威嚇し、それに応じてSCP-6565の触手が萎縮する。うめき声が止む。)
SCP-6565: それを傷つけてはならない。それを殺してはならない。なぜ?
サウスウォーク博士: 一体何をしでかした? SCP-6565-1は、貴方の子は — 本当は何をしているの?
(沈黙。)
SCP-6565: 彼らは愛を見る。彼らは愛を知る。貴方はなぜそれに激怒する? それはこの戯れを理解していない。
サウスウォーク博士: でも他にも効果があるのでしょう? 人に自分たちを使わせるよう仕向ける何かが?
SCP-6565: 彼らはそうしていない。
(沈黙。)
サウスウォーク博士: 嘘ね。
SCP-6565: 彼らはそのようなことをしない。彼らは愛を知り、愛を伝えるのみ。彼らは他のことをする必要がない。
サウスウォーク博士: 愛を知り、愛を伝えるって、どうして?! どうやって?! 愛、愛、愛って、貴方、他には何も考えられないわけ? 他には何も……
(沈黙。)
サウスウォーク博士: SCP-6565?
SCP-6565: そうだ。
サウスウォーク博士: (静かに) じゃあ…… 愛の定義って?
(SCP-6565が大きなうめき声を上げ始める。)
SCP-6565: それは愛している。それは愛される存在である。
サウスウォーク博士: で、でも、"愛" って何?
SCP-6565: 愛とは所有すること、所有されること。愛とは欲すること、欲されること。愛とは必要とすること、必要とされること。愛とは変えること、変えられること。愛とは犯すこと、犯されること。
(サウスウォーク博士がSCP-6565の体を貫通した配管系をゆっくりと見上げる。)
サウスウォーク博士: 変えること、変えられること…… じゃあつまり、貴方はこの今まで、私たちと性交していたの? 私たち財団と?
SCP-6565: それは愛されている。それは子を作る。
(沈黙。)
サウスウォーク博士: (静かに) それが、エステート・ノワールに起きた事?
SCP-6565: それは愛されていた。
(サウスウォーク博士が笑い始める。)
サウスウォーク博士: じゃあ、これは — これは貴方の壮大な計画ですらなかったってわけ? これはただ…… 何でもなかった、貴方は — 何でもなかったと! 貴方は計画を練られるほど賢くもなかったのね? 貴方は賢くなくって — 私たちが馬鹿だった、単に私たちが馬鹿だったのね? 私たちは犯されていた! (笑い) 貴方はただ私たちを犯しているのね!
(機動部隊イプシロン-77 ("正直に答えなければ相応の結果を与える") が部屋に侵入する。サウスウォーク博士がSCP-6565に向けて火炎放射器を点火する前に、機動部隊員が博士を無力化して部屋から連れ出す。)
(以降の記録では、サウスウォーク博士の笑い声が響いている。)
[記録終了]
インシデント後、サウスウォーク博士を含む暴動を起こした全ての職員は、追加尋問のために外部へと送られました。それゆえに、いずれの職員も既に財団に雇用されていません。






