アイテム番号: SCP-669-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-669-JPはサイト-8169の低危険性生物収容ユニット内に設置された高さ60cm幅、奥行きが80cmのアクリルケースにて収容されます。給餌の際は人体がケース内に入らないように注意を払いながら、保管期限の過ぎた廃棄予定の輸血用血液をシリンダーにて与えて下さい。また、SCP-669-JPは有害な物質を発生させる可能背がある為、直接の接触を行う職員は防毒マスク等の装備が推奨されます。
追記: 1日に1回、SCP-669-JPの精神状態の悪化を防ぐため心理鑑定士によるカウンセリングを兼ねた心理状態のチェックを行い、変化の見られた場合は担当研究員に報告して下さい。
説明: SCP-669-JPは環形動物門ヒル綱(Hirudinea)に類似した特徴を持つ全長15cmの生物です。外見的には摂食時に赤褐色に変化する事を除けばヒル類との相違点はありませんが、通常の種類には見られないクチクラ質の微細な歯と高い知性を持ち、未知の方法で中年男性の物と同質の音声で会話することが可能です。また、SCP-669-JPは自身の事を「吸血鬼の王 クレイグ・シュライベル」と称しており、「かつて吸血鬼の王として君臨し[削除済]との戦いの果てに世界を放浪を続け200年前に日本に移り住んだ」と主張していますが、そのような事実と合致する歴史的な記録等は確認されておらず、妄想性障害及び演技性パーソナリティ障害の可能性が指摘されている事を関係職員は留意して下さい。
SCP-669-JPは常に全身を覆う粘膜から未知の幻覚成分を含んだガス状の体液を噴出させる事によって、限定的かつ局所的な視覚の混乱を引き起こすことが可能であり、その事についてSCP-669-JPは「この幻術は我の秘術の欠片だ」と主張しています。SCP-669-JPは食料として人間の血液以外を摂取する事が不可能であると主張しており、人体からの直接な吸血による感染症等のリスク状の観点から保管期限を過ぎた廃棄予定の輸血用血液が与えられます。
SCP-669-JPはナミウズムシ(Dugesia japonica)に見られるものと同等の再生能力を保持しており、細かく裁断された場合に置いても断片の何れかを起点として極性を持った再生を行います。この再生能力によってSCP-669-JPが複数再生した場合では、一匹の個体のみがSCP-669-JPの意識を持ったまま通常のサイズへと再生を完了し、他の個体は5cmから10cmの小型の個体へと再生します。再生を終えた小型の個体は知性を有する様子を見せず不規則に移動を行うか一切の行動を行わないまま、およそ3時間程で溶解しアミノ酸を含んだ液体へと変化しますが、SCP-669-JPと接触した場合は癒着した後に縮小を行いSCP-669-JPへと吸収されます。この吸収によってSCP-669-JPの重量は一時的に増大しますが外見的な変化はほぼ見られず、数期間後には重量も元の状態へと戻ります。この性質を用いる事でSCP-669-JPへの給餌を行う事も提案されましたが、再生自体にSCP-669-JPが疲労を見せた事、吸収によってSCP-669-JPが栄養を得ている様子が見られなかった事から、無意味であると判断されました。
再生実験を行った際の組織の断片を検査した結果から、SCP-669-JPからはヤマビル(Haemadipsa zeylanica japonica)とヒトの遺伝子の他に複数種の未知の生物の遺伝子情報が確認されている他、SCP-669-JPの粘膜及び体液からは上述した幻覚物質の他に複数の酵素や電解質が含まれており、最も近い存在としては唾液の成分が挙げられています。なお、体内から脳組織や臓器の存在は確認されず、大腸組織に似た構造の細胞と乱雑な神経組織のみが確認されており、それと同時に長さ3cm、幅2mm程の空洞が頭部付近から確認されていますが、この空洞はどのように損傷し再生した場合に置いても意識を持つ個体の頭部に存在します。
以下はSCP-669-JPに対して行われたインタビューの中でも重要だと思われる部分を抜粋したものです。
対象: SCP-669-JP
インタビュアー: SCP-669-JP研究班班長 下北沢博士
付記: 当記録はSCP-669-JPに対して行われた3回目のインタビューにて、敵対的な態度を改め収容に対する理解を示した為に個別に記録された物です。
<再生開始>
[無関係な内容が多い為、インタビュー前半は省略]
下北沢博士: すると、貴方がこの国に来た理由は療養の為ということですか?
SCP-669-JP: うむ、遥か昔…..我とその部下たちは十字狂い共によって辺境に追いやられ苦戦を強いていた。かろうじて逃げ延びた先に待ち受けていた腐れた肉共は倒せども倒せども沸き続け、吸血鬼の頂点である我であってもあの忌まわしき豚の陰嚢共の数と勢いはどうにもできなんだ…..。
下北沢博士: 十字?ああ、成程。しかし貴方を見る限りでは、その、大変だったでしょうね。人間との争いは。
SCP-669-JP: うん?人間なぞ相手にはならんしカルシウムだかなんだかいう肉共が鬱陶しかっただけだ。貴様等人間なぞ我ら吸血鬼にとっては何という事は無い!我が力に掛かれば貴様等を引きちぎって磨り潰す事など朝食の前だ。奴等の呪いによってこの姿に変えられてしまった事が最大の失敗だっただけの事だ。
下北沢博士: どういうことですか?SCP-669-JP。
SCP-669-JP: 吸血鬼の王でありかつては鮮血公と呼ばれた我であったが、奴等の珍妙な術には成す術が無かった。我が配下は歩く臓物や死者に捕まり、千々に引き裂かれ飲まれ……部下も十字狂いも飲み込まれ、やがて巨大な肉壁となった忌まわしきモノに……我も飲まれてしまったが……私も馬も……しかし、肉の上に立っていた襤褸布の、いや、とにかく我は奴に、相手を惑わし眠らせ毒を食らわせる秘術を行使する事が出来た為、我のみが生き延びる事が出来た。
下北沢博士: 大丈夫ですか?問題無いなら続けましょう。それで、何故この国に?そもそも吸血鬼は流水を渡れないという話では?
SCP-669-JP: それはこの姿が幸いした様だ。以前のこの身を縛っていた忌まわしき鎖は皮肉なことに、奴等の呪いによって解かれたのだ。其のお陰で船に乗り込む事も出来、身を隠す事も出来た。この国に辿り着いたのは奴等の手が及んでいなかったからに過ぎない。なかなか住み心地は良いがな。
下北沢博士: はぁ。日本語は独自に学ばれたんですか?
SCP-669-JP: それも我が大いなる力の断片にすぎない。心在る物の魂のうちに響く呟きを聞き取る力が、この姿であっても多少扱えたということだな。
下北沢博士: なるほど、よくわかりました。つまり貴方のその姿は本来の姿では無いということですね?SCP-669-JP。
SCP-669-JP: ああ、その通りだ…..。その名前にもそろそろ慣れてきたな。彼らは別の名で呼んでいたが。
下北沢博士: 彼ら?知り合いがいたんですか?
SCP-669-JP: この国で巡り会いし呪い師達だ。シューシュー・・・コレクターと呼ぶべきか?奴等は様々な事を知り様々な術を用いていたし我や我が配下を苛みし塵芥共についてもよく調べていた。我に近づいたのも恐らくは我の知識と力を欲していたのであろうな。[含み笑い]、結局はこの呪いを解けず、愚かな人間同士の争いと馬鹿騒ぎによって散り散りばらばらになってしまったようだが。…..今となっては懐かしい話だが、今はこれ以上話す気分では無い。
下北沢博士: とても興味深いお話ですね。よろしければもう少しお聞かせ願いたいのですが。
SCP-669-JP: [含み笑い]…..貴様等の知る必要の無い事だ。話すつもりは無いと言っている。
下北沢博士: 分かりました、その話はまた今度に。ところでその「かつての姿」に戻る目処は立っているんですか?
SCP-669-JP: …..実は一つの方法を考えている。これまでに世界を渡り歩いて得た知識とこの国で知った様々な事柄から考え付いたのだ。
下北沢博士: 聞かせてくれますか?SCP-669-JP。
SCP-669-JP: 貴様も知っていると思うが我々吸血鬼は人間の血を食らう…..人間の血から魔力を得るのだ。この姿になってから得られる血の量も減り、我が闇の力も落ち込んでしまった。もし…..もし大量の人間の血を得ることが出来たならばあるいは…..
下北沢博士: 大量の人間の血液を摂取する事によって元の姿に戻ることができるとお考えなんですね。
SCP-669-JP: ああ、その通りだ。それこそがこの煩わしくも我に絡みつく毒の茨を焼き尽くす唯一の方法だと考えている。そしてそれには貴様等の協力が不可欠であるとも考えているのだ…..貴様等人間と対等に話しているのもその為だ。
下北沢博士: それが協力的な態度の理由ということですね…..わかりました。とりあえず一度インタビューを中断します。再開は10分後に…..
<再生終了>
終了報告書: インタビューの内容から、対象は過去に何らかの異常な存在と遭遇し、現在の性質を得た可能性が示唆された。発言には些か信憑性の無い物や大袈裟な物が見られるが、いくつかの内容から東欧諸国で確認されている異常な存在との共通点が見られる為、更なる聴取と調査が必要だと考えられる。また、発言内容から察する事のできるように、対象は誇大妄想を含んだ心因性の障害を患っている痕跡が見られるが、私個人の推測としては一種の記憶障害からなる妄想であると考えられる。対象を「元の姿」に戻す事で、知性の向上や脳組織の発生が認められた場合、ケア次第では記憶を復元できる可能性がある。対象の態度次第では実験を執り行う事が出来るだろう。
発見経緯: SCP-669-JPは房総半島沖に位置する████島内の廃屋から発見されました。財団は当時████島の付近で発生した沈没事故の調査及び遭難者の救助を補助しており、近辺に位置していた████島の調査を行っていた際に無人島であるにも関わらず洋館が存在した事が職員の注意を惹きました。洋館の探索を行っていた職員からの「巨大な蝙蝠に襲われた」「何かが動いたと思ったら黒い影が現れて怒鳴られた」といった報告があった為、各種装備を行った収容チームが向かった所、洋館内部にて「一匹のヒルに怯える救助班員」の姿を目撃した事により、事態を把握した職員によって迅速な収容が行われました。
洋館に関してSCP-669-JPは自身の城であると証言していますが内部調査から明治██年に貿易商の手で建設され放棄された建築物である事が判明しており、内部の様子やSCP-669-JPが洋館内の設備をほぼ使用せず内部を詳細に把握していなかった事から、オブジェクトと洋館自体は無関係である事が判明しています。
████島はかつての蒐集院が保有していた島であり、島内の洋館は異常存在及びその資料の保管施設となっていた事が過去の記録から判明しています。また、過去に島内から押収された資料を再度調査した結果、SCP-669-JPに関連していると思われる記述が為された資料が発見されており、SCP-669-JPが蒐集院によって過去に確保され████島内に移送された物であると財団は考えています。なお、過去の調査でSCP-669-JPが発見されていない点に関しては未だ不明ではありますが、何らかの形で財団の把握していない場所に収容されていたSCP-669-JPが逃亡を行い、島内に潜んでいた可能性が高いと推測されています。これらの情報に関して、SCP-669-JPは何も語っていません。
以下は押収された記録内でSCP-669-JPに関連していると思われる記述です。当文書はかつての蒐集院の末期に発生した混乱の影響からか保管に不備が発生しており文書が破損している為、また関与していた人員の消息が不明であるため正確な内容は判明していません。
蒐集物覚書██████九十六番
██十██蒐集 ████████船内████████将█████の体内より発見。生████要素を保持しているが幻覚██████生体█████類される可能性有り。
████人の████████状は蛭に酷似しており吸██為にて栄養補給を行う事が確認される。
発言は度々突飛な物へと変化██一方で理知的かつ██████から多重人格の様相を見█████████せ████████████████████
体は蛞蝓や蛭と変わらぬ軟体生物███████に置いても即座の再生を見せ、個別の███と分裂・融合を確認。
█████████████████務官立ち合いの基、解剖手術を行った結████蠕虫状の白い生物を発見。この生████寄█████から、大陸での████見され████████████████████████恐らくは彼らの言語に████“Akul█t████████████から、██████████████on”██████████摘出を行い████にて研█████████████博士の管理の基で研究が█████████████
対象の█████████による言動は妄想性の████虚言症███████████の影響であると███████████
██████宗教的な██████████████████████休眠状態へと██████████████████
██████████████████官の保有する██████████████封印を███████████████████
補遺1: SCP-669-JP自身の収容に対する協力的な態度、及び保有する情報の提供を促す観点からSCP-669-JPに血液を与え「呪い」の解消を試みる事に問題は無いと判断されました。実験は隔離された実験棟で行われ、万が一の事態に備えユニット内外に合計12名の警備スタッフと戦闘訓練を積んだエージェント4名を待機させた状態で開始されました。
この姿に変えられて200年…..ようやくこの時が訪れた。貴様等、いや貴殿等には本当に感謝している。この借りは返しても返しきれぬ程の楔をこの身に打ち込んだ。我が本来の力を取り戻した暁には貴殿等にありとあらゆる秘術と知識を持って協力することを約束しよう。…..括目するが良い、我が真なる力を!真なる姿を!さぁ、博士!実験とやらを始めてくれ! -実験前のSCP-669-JPの発言記録より
実験記録669-JP-A1 - 日付20██/██/██
対象: SCP-669-JP
実験担当者: 下北沢博士
実施方法: SCP-669-JPに対するチューブを用いた血液の投与と形態の変化及び反応の調査
付記: ユニット内には下北沢博士と共に2名のエージェントと4名の警備スタッフが滞在、ユニット外ではエージェント2名と警備スタッフ8名が待機しています。
<記録開始>
下北沢博士: 準備はいいですか?SCP-669-JP。念を押しておきますが、くれぐれも勝手な行動は起こさないで下さい。この「勝手」というのは許可されていない事、全てが該当します。よろしいですか?
SCP-669-JP: ああ、わかっているよ博士。では頂くとするかな、この狂わしくも赤き命の酒を!
[SCP-669-JPが血液の摂取を開始する。]
下北沢博士: 現在500mLを摂取。変化は無し。
エージェント・セントラル: 博士。あまり近付かない方が。
SCP-669-JP: そう怯える事は無いぞ人間。真の姿を取り戻した頃には腹も膨れているだろうからな!
[20分が経過し摂取量は1Lを超える。SCP-669-JPの体長は約50cm幅は約30cmに達する。]
下北沢博士: 現在摂取量は1.5L。摂取量が上昇すると共に体積が増加しているのを確認。
エージェント・五月蠅: この調子では相当な時間がかかりそうですね。迅速な血液の摂取を促した方が良いのでは?
SCP-669-JP: 黙れ下郎。闇の血族の王たる我は何時如何なる時であっても食の作法を乱すような真似はせぬ。[摂取を中断し振り返る]
エージェント・セントラル: 博士!対象の口元に…..!
下北沢博士 ああ、わかっている。対象の口元に1対の牙と見られる部位の形成を確認、長さは5cm程で幅は1cm程と見られる。引き続き経過を観察する。
SCP-669-JP: 力が膨れ上がるのを感じるぞ、もうすぐだ!もうすぐ、新たなる暗黒神話が歴史に綴られる事となるのだ!
[実験開始から1時間が経過。対象の背面部の紋様が赤く輝きだす。]
下北沢博士: 対象は現在血液5Lを摂取。体長はおよそ1.2m幅は50cm程と見られ、牙も20cm程度にまで成長した事を確認…..径を変えたチューブを用意したほうが良さそうだな。[新たなチューブを取り出す]
警備スタッフ: [交換作業を終える]チューブの交換を完了しました。
エージェント・五月蠅: 血液の漏洩が激しいですね。もう少し丁寧な“作法”を見せて頂けると助かるんですが。
エージェント・セントラル: 床にビニールシートを敷いた方が良かったかな。この大きさならチューブよりもバケツとかの方が飲みやすいんじゃないか?
SCP-669-JP: 黙れ、黙れ、黙れ!!!貴様等の用意した食器が脆すぎるのだ!なんならこの牙で貴様等の…..。
下北沢博士: [遮って]SCP-669-JP。この実験は貴方の協力的な態度を考慮して行われているという事を忘れないで下さい。貴方の行動や言動によっては実験の中止も止むを得ないと私は考えています。わかって頂けますね?
SCP-669-JP: …..ああ、わかっているとも博士。これ程の力の高まりを感じたのは久しぶりなのでね、少しはしゃいでしまっただけだ。…..はしゃぎすぎて軽口を叩いてしまう程に。貴殿の配下が怯えなければ良いのだが[笑う]
下北沢博士: ならば良いのですが。引き続き実験を継続します。続けてください。
[実験開始から2時間が経過。対象の全長は2mに達し、背面部に翼手目の物と酷似した1m程の皮翼が形成される。]
下北沢博士: 現在、摂取量は9Lを越えた。背面部の皮翼は血色を増して…..活発に動いている。牙は8対まで形成されているのが確認できる。
エージェント・五月蠅: 機動部隊から応答がありました。現在実験棟外部にて待機中との事です。
警備スタッフ: 爆破機構の準備、完了しました。
エージェント・セントラル: こちらも問題無い。[銃を構える]
SCP-669-JP: [唸り声]素晴らしい!まるで偉大なる満月の夜のようだ…..!この身に、牙に、血に、かつての力が漲っていくのを感じる…..!さぁ、見ておくがいい。吸血鬼の王が長き時を経て再び蘇るのだ!凍て付き、朽ち果てし我が誇りが闇と共に復活するのだ!貴殿等の歴史書にも書き加えておくページが増えてしまったようだな!?[大声で笑う]
下北沢博士: 実験を継続します。
[実験開始から2時間半が経過。対象の体の側面からヒトと酷似した「腕」の発生が確認される。]
下北沢博士: 現在、摂取量は11L。対象に発生した腕はおよそ成人男性程、所見としては「鍛え上げられた」と付け加える…..後、10cm以上伸びた爪も。
SCP-669-JP: [唸り声]やはり時間がかかる物だな…..!かの連中の呪いはそれ程までに強力ということか。しかし、それも後僅かの辛抱…..今や我が力はこの身を張り裂きそうな程に高まっている…..![小規模のスパークが発生]
下北沢博士: …..対象は放電現象を引き起こしている。目的は不明。
エージェント・セントラル: 博士、そろそろユニット外へ退避を。
下北沢博士: [遮って]待て!何か様子がおかしい。どうかしましたか?SCP-669-JP。
[SCP-669-JPが突如激しい痙攣を起こし、唸り声を上げながら立ち上がる。スパークは激しく全身から発生。]
エージェント・五月蠅: が、外部の人員に応援を![ユニットの扉へと向かう]
下北沢博士: だから待て!ユニットの開放は収容違反の危険性がある!SCP-669-JP!一体どうしたんですか!?
SCP-669-JP: 焼け付くように臓腑が疼く…..我が…..闇の力に…..この身が耐え…..く、くる…..[呻き声]
エージェント・五月蠅: 来ます!警備スタッフは退路を塞いで下さい![無線機を取り出す]
エージェント・セントラル: 博士も早く外へ![SCP-669-JPへ銃を向ける]
下北沢博士: SCP-669-JP!自制を保ってください!この実験によって貴方の…..。
SCP-669-JP: …..く、くるしいいいいいい[検閲済]ええええええ!!!!!!
[SCP-669-JPは叫び声を上げながら床へ倒れこみ、口から激しく血液を噴出しユニット内を転げ回る。SCP-669-JPの噴出した血液によってユニット内全体は赤く染まり、SCP-669-JPが血液を吐き出す毎に縮んでいく姿が確認される。30分後、血液の噴出は止まりSCP-669-JPは元の形状に戻りユニット中心で静止した。]
警備スタッフ: …..。[4名共、血に塗れたまま呆然と立ち尽す]
エージェント・五月蠅: …..。[血を拭いながら立ち上がる]
エージェント・セントラル: …..。[血を拭いながら銃を降ろす]
下北沢博士: …..実験を中断…..いえ、これで実験を終了します…..。
<記録終了>
終了報告書: SCP-669-JPは恐らく身体的な問題から血液の十分な量を確保する事が出来ず、実験途中に限界を迎え激しい血液の排出を引き起こしたものと考えられます。また実験時に確認された腕や皮翼の発生とその消失、放電現象等からSCP-669-JPの推測そのものは正しかった可能性が高いと思われます。なお、SCP-669-JPは現在も意識を取り戻していない為、収容ユニットに搬送された上で厳重な監視が行われています。
追記: この実験により研究員及び警備スタッフには被害はありませんでしたが噴出された血液によってユニット内が汚染され、3日間清掃スタッフによって清掃が行われている間ユニットは使用不可となっています。この事態を受けて、SCP-669-JPに対する同様の実験は今後禁止されました。SCP-669-JPは3日後に意識を取り戻していますが、改めて行われた検査の結果体長が10cmに変化していた事が確認されています。
もうどうでもいい、好きにしてくれ。 -意識を取り戻した後のSCP-669-JPの発言記録より
補遺2: 実験以降、SCP-669-JPは協力的な態度を崩してはいませんが著しく落ち込んだ様子と軽度の欝の兆候を見せ、血液の摂取を拒否する等の行動も報告されています。インタビューに対しては積極な姿勢を見せず、過去の経歴に関する有益な発言も見られてません。自己終了の可能性も考えられている為、定期的なカウンセリングを行いSCP-669-JPの精神状態の改善が試みられています。