SCP-670-JP
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タグを池に落とし困惑するSCP-670-JP

アイテム番号: SCP-670-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-670-JPはサイト-81██の水鳥収容施設にて飼育します。SCP-670-JPは代謝を行わないため食料の補給や排泄物の清掃は不要です。しかし本人が希望した場合には、別紙の許可リストにある項目であれば物品やサービスを提供しても構いません。特に「新鮮なキャベツ」と「キューバ産の葉巻」の要求が多いことに注意してください。SCP-670-JPの精神影響を受けた疑いがあると判断された職員は、担当主任職員の許可を得てから所定の方法で精神影響を取り除いてください。

説明: SCP-670-JPは複数の異常特性を持つオオハクチョウの幼鳥です。財団による収容から█年が経過していますが、SCP-670-JPは幼鳥のまま成長しておらず、老化の兆候も示していません。また剛性に異常がないにも関わらず破壊が不可能であり、ケガをすることも、羽毛が抜け落ちることもありません。代謝は停止していますが、通常のオオハクチョウと同様に活動することが可能です。また食事、排泄、睡眠を必要としませんが、本人が望めばこれを行うことが可能です。SCP-670-JPはデンマーク語を解します。声帯はありませんが不明な原理で発話し、コミュニケーションをとることが可能です。

SCP-670-JPは19██年、新潟県瓢湖で他のオオハクチョウに攻撃されているところを地元住民によって発見されました。発見当時、地元住民がデンマーク語を理解できなかったため、SCP-670-JPは「奇妙な鳴き声のアヒル」として保護されました。19██/██/██、SCP-670-JPが成長しないことに気がついた地元住民が、SCP-670-JPについて[編集済]に調査を依頼しました。[編集済]潜入中のエージェントによる調査の結果、SCP-670-JPの鳴き声がデンマーク語であることが判明し、SCP-670-JPは財団に収容されました。

SCP-670-JPは発見当時から"Andersen"と書かれた金属製のタグを首にかけています。タグに異常性はなく、SCP-670-JPから回収することも可能ですが、タグを返すまでSCP-670-JPは激しい抵抗を行うため、回収は推奨されていません。タグの記載はSCP-670-JPの個人名を指しているわけではなく、現在のところ意味は判明していません。

SCP-670-JPは不定期に周囲の生物に強いフラストレーションを引き起こす異常性を持っています。このフラストレーションは、SCP-670-JPに対して暴力を振るうことで完全に解消されます。発見当時のSCP-670-JPが他のオオハクチョウから攻撃を受けていた理由は、この特異性に起因するものと考えられています。SCP-670-JPは自身に対する暴力について、不満は述べますが無抵抗であり損傷もしません。また異常性の発現有無に関わらず、SCP-670-JPに対する暴力は、対象人物が感じているあらゆるフラストレーションを軽減する効果があることが判明しています。しかしSCP-670-JPに対する暴力は、その精神影響を取り除く際にのみ許可されます。職員のメンタルヘルス維持のためにSCP-670-JPを利用する提案は却下されました。詳細な経緯は議事録670-JP-8を参照してください。1

インタビュー記録 670-JP-█:

対象: SCP-670-JP

インタビュアー: ██博士

付記: インタビューはデンマーク語で行われました。

<録音開始, 20██/██/██>

██博士: インタビューを始めます。

SCP-670-JP: 葉巻くれよ。

██博士: どうぞ。

SCP-670-JP: ありがと。ああ、こりゃどうも、ご親切に。[██博士がマッチで火をつける]

██博士: あなたの出自を教えてください。

SCP-670-JP: おぼえてないよ。あんた自分が生まれてきた時のことなんておぼえてる? 名前だって俺が自分で考えたんだ。ニコライ・オルリック。いい名前だろ?

██博士: そうですね。なぜ新潟県にいたのですか?

SCP-670-JP: 旅してきたのさ。

██博士: あなたは幼鳥で、まだ長距離は飛べないと思うのですが、どうやって旅をしたのですか?

SCP-670-JP: あいつらに乗ってだよ。あの忌々しい兄弟たち。

██博士: 保護時にあなたを攻撃していた、他の白鳥のことですか?

SCP-670-JP: そうだよ。思い出しても腹がたつ。どこへいっても俺をいじめるんだ。いじめるためだけに俺を連れて移動してたのさ。おもちゃ扱いだよ。

██博士: 質問を変えます。あなたはなぜ不老不死なのですか?

SCP-670-JP: この体質のことなら生まれつきだよ。多分な。

██博士: あなたが首にかけているそのタグは何ですか?

SCP-670-JP: これ? 知らん。知らんけど昔から持ってた。かっこいいだろ。

██博士: そこに書かれている"Andersen"という名前に心当たりは?

SCP-670-JP: 特にない。

██博士: ちょっと貸してもらえますか?

SCP-670-JP: やだ。

██博士: なぜですか?

SCP-670-JP: 俺の家族は、こいつだけだからな。

██博士: 今は我々があなたの家族ですよ。

SCP-670-JP: かもな。急にドアから入ってきて俺を蹴り飛ばすやつらを除いて。あいつらなんなの?

██博士: 機密事項です。

SCP-670-JP: あっそ。

██博士: なにか要求はありますか?

SCP-670-JP: これ録音してるんだろ? 公式な記録に残してくれよ。あんまり俺を蹴るなと俺が要求してるって。いいか、蹴られてもケガをしないってことと、蹴られても平気ってのは、意味が違うんだぞ?

██博士: 記録しました。

SCP-670-JP: いまに見てろよ。俺が大人になったら、おまえら驚くぞ。いつまでもちっちゃくて小汚い雛だと思ってたら大間違いだからな。

<録音終了>

終了報告書: SCP-670-JPが成長する兆候は、現在のところありません。

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