SCP-6750



rating: +14+x

by PlaguePJP & J Dune

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アイテム番号: 6750
レベル2
収容クラス:
safe
副次クラス:
none
撹乱クラス:
vlam
リスククラス:
notice

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SCP-6750の静止画像。


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SCP-6750の静止画像。

特別収容プロトコル: SCP-6750の直接収容とSCP-6750-1の発見を目的として、エリア-179とサイト-43の共同収容体制が確立されています。全てのSCP-6750実例の録画コピーは、サイト-43の安全メディアアーカイブに保管されています。

財団AIC WATERSHED はアメリカ合衆国の全てのテレビ放送ネットワークを監視し、SCP-6750放送の兆候を探ります。SCP-6750が放送された場合、その内容から注意を逸らすために、大量のミームエージェントがテレビを介して配信されます。

説明: SCP-6750は、1989年から1991年にかけて、特に郊外や農村地域をターゲットとして、アメリカ合衆国全土で放送された6本の公共広告です。これらの放送はヴィキャンデル=ニード・テクニカル・メディアによって制作され、放送時には通常の番組を中断しました。全てのSCP-6750実例の主な内容は、祝日のハロウィン、そこで子供たちが直面し得る危険性、そしてハロウィンに関連する一般的な情報でした。ハロウィンがSCP-6750の共通テーマである一方で、放送内容の大部分におけるメッセージ伝達や全体の雰囲気は支離滅裂です。各実例の放送時間は平均して1分程度でした。SCP-6750の具体的な制作過程や起源の詳細は明らかになっていません。

SCP-6750実例は視聴者の強い恐怖心を引き起こします。

SCP-6750放送には、麻布製のマント、手袋、人間の胸郭で飾られたシャツなど、現代の案山子に似た衣服を着用しているヒト型実体、以下SCP-6750-1が出演しています。SCP-6750-1の頭部は大きなカボチャであり、歯を剥いて笑うジャック・オー・ランタンに似せた彫刻が施されています。SCP-6750-1はこれらの広告において“サム・ハイン”を自称しています。

補遺 6750.1: 放送の書き起こし

番組の題材: 導入

不気味な音楽が聞こえる。映像は、伝統的なジャック・オー・ランタンの形式に彫られたカボチャが乗った台座を除いて特徴の無い部屋へとフェードインする。カメラはカボチャに向かってゆっくりズームする。視点が固定される。カボチャの顔立ちが突然黄色く光り始め、背景から悲鳴が聞こえる。“ハロウィンの全てを知ろうィン、BY サム・ハイン”というタイトル表示が画面に重ね掛けされる。テキストは血を滴らせているような見た目に様式化されている。

カボチャが上方向に移動し、SCP-6750-1の頭部だと判明する。SCP-6570-1はカメラの方向を見て台座を指差す。

SCP-6750-1: あ、ヤベッ! もう撮ってんの? 分かった分かった!

不明瞭な声がカメラの後ろから聞こえる。SCP-6570-1は頷き、素早く台座の裏にしゃがみ込む。その後、SCP-6570-1は台座の後ろから跳び上がり、両腕を大きく広げて叫ぶ。

SCP-6750-1: グオーッ! こんばんは、屍食鬼と幽霊のみんな! 俺はお前たちをもてなす恐怖の司会者、公認ブギーマンのサム・ハインだ。今夜はハロウィンについて語ろう、諸君! 近頃はこの時季について沢山の情報が飛び交っている。リンゴ飴に仕込まれた電気カミソリの物語、手にフック付きの自動車ドアを嵌めた男たち、そしてお前たちのペットを食ってしまおうとうろつく悪魔崇拝カルト集団の噂さえある! そうとも、全て真実だ! ハロウィンは危険な祝日だから、俺のテープを買わない奴は死んで地獄に行く!

呻き声や長々しい“おぉぉ”という発声が聞こえる。幽霊の伝統的な描写に似た実体群が画面を横切って飛ぶ。

SCP-6750-1: おぉぉう! 怖かったか? 1年の中でも飛び切り怖い日だ! 用心しないと、この季節に化けて出る幽霊がまた1人増えるかもしれない! (落雷の音) ほら見ろ、お祖父ちゃんがいるぞ!

部屋の壁が倒れて、夜中の広い墓地が現れる。数十体の幽霊実体が周辺を漂い、空を飛び回りながら腕を振っている。SCP-6750-1はマッチを振り回し、自分の身体に火を点ける。

SCP-6750-1: 興味が湧いてきただろ… この季節に限り、魔女の刻ウィッチングアワーにたったの3回、サム・ハインの名の下にお好みの動物、人間、野菜を生贄に捧げるだけで、“ハロウィンの全てを知ろうィン”のビデオテープがお前の手に入って、しかも暗闇で光るスリップケースと俺の顔をプリントした記念のお皿が付いてくる! 覚えとけ、俺はお前の住所を知ってるぞ、そこを死に場所にするような真似は止めとけ! 今すぐご注文を!

映像は笑うSCP-6570-1を映した状態で停止する。

SCP-6750-1: (早口で) 梱包・発送に8~12満月夜ほどお時間をいただく場合がございます。生贄は全て先ほど述べた各カテゴリを1体ずつ含む必要があります。“チェット”という名前の子供とバナナピーマンは捧げ物として不適格です。ハイン氏は4つの州でブギーマンとして登録されており、その他の地域については現在取り組んでおりますので今しばらくお待ちください。魂の契約、業務提携、破廉恥行為が関わる捧げ物についてはハイン氏までお問い合わせください。彼はお金が必要です。

番組の題材: ハロウィンの歴史についての講義。

狼の遠吠えが聞こえる。ジャック・オー・ランタンの静止画像に“ハロウィンの怖~い歴史”というテキストが重ね掛けされているのが見える。

村落のレプリカのように並べられた、18世紀の町屋を象る多数の段ボール製仮設家屋の前に、SCP-6750-1が立っている。家屋は粗末に組み立てられ、露骨にダクトテープで貼り合わせられており、表面にマーカーペンとクレヨンで細部が描写されている。

SCP-6750-1: ハロウィンは1862年、スコットランドの靴職人 ユージン・H・オウィンが、仮装して家を出る口実があればもっと効率的に浮気できるんじゃないかと気付いて考案したものだ。オウィンは元々、毎週末にこの祝日を設けようと企んでやがった! これぞまさしく恐怖ってもんだ! ほぉら、噂をすればユージンのお出ましだぜ!

付け髭と麻袋の服を着た男性が画面内に入る。彼は目に見えて取り乱している。

SCP-6750-1: よう、ユージン! こんな夜更け、しかもハロウィンってことは、愛人さんを訪ねてたに違いないな! 今夜はお化けがい~っぱいうろついてるって知ってたか?

男性: お願いします。見逃してください、私には家族がいるんです。私の名前は—

映像が途切れる。笑顔のカボチャの画像が表示されている。

SCP-6750-1は木製の杭を取り囲むカボチャ頭の村人たちの前に立っている。先ほどユージンとして紹介された男性は杭に縛り付けられている。男性が叫ぶ中、松明を持った村人が杭に火を点ける。男性は炎上する。

SCP-6750-1: 1800年代のハロウィンでは人身御供が盛んだった! 見ろ、公開火刑だ、怖いよなぁ! こいつは俺たちの商バァ~いboo-uisnessでは“骸骨召喚儀式”と呼ばれてて、現代でもかなり人気なんだ! だが、もし人前で骨をさらけ出すのがちょっぴり怖すぎると思う奴も、心配しなくたっていい。近頃じゃ、こういう出来事は大抵、お友達や家族と過ごす団欒の場で内々に起きる! 俗に言うだろ、自分の妹に見せられない骨は誰にも見せちゃいけないってな!

火が消える。村人たちは杭に群がり、男性の焼け焦げた死体を外す。群衆は死体を摘まんで引き裂く。彼らは肉片を子供たちに与え、子供たちは熱心にそれを消費する。

SCP-6750-1: 見たか、あいつらがトリック・オア・トリートを考案したんだ! なぁ、モンスターの中で一番ダンスが上手なのは誰だか知ってるか? (合間) ブギーマンさ! (笑う)

黒い部屋の床に座っているSCP-6750-1の姿へと場面転換する。部屋の壁は1972年に国立公園で失踪したアメリカ国民、ジェイソン・グリーヴズを映した多数の写真で装飾されている。グリーヴズ氏と先ほどの場面で登場した男性の類似性は特筆に値する。SCP-6750-1は電話で誰かと会話しているようである。

SCP-6750-1: ええ、グリーヴズさん、旦那さんが何処にいるかは見当も付きません。そうですね、悲劇ですねぇ。

SCP-6750-1は電話を切り、長時間笑い続ける。

SCP-6750-1: ワオ! ハロウィンの裏にこんなに深い歴史があったなんて知らなかっただろ? お前たちの心が、そしてお菓子袋がほんの少しでも満たされたと感じてくれたなら嬉しいね! 俺のカボチャは湿り気たっぷりで、この最高の祝日にまつわる面白い疑似事実で溢れんばかりだ! 聞きたがるかどうかに関係なく、知り合いには死に物狂いで伝えて回ってるぜ! 帰り道では魔女ウィッチに捕まらないように気を付けるんだぞ! 砂の魔女サンドウィッチにな! (SCP-6570-1はシャツからサンドイッチを取り出し、カメラに投げ付ける) ハッピー・ハロウィン、諸君! 俺のテープを買えよ!

SCP-6750-1の頭部が突然燃焼し、大量の昆虫が出現する。昆虫は速やかにカメラに群がり、画面を覆う。

番組の題材: ハロウィンの祝祭に向けた家の装飾。

ドアが軋む音に続いて、熱狂的な笑い声が聞こえる。ジャック・オー・ランタンの静止画像に“怖~い飾り付け”というテキストが重ね掛けされているのが見える。平凡な郊外住宅の居間に座っているSCP-6750-1の姿へと場面転換する。

SCP-6750-1: この家を見ただけでハロウィンだと分かるかな? 勿論、分からないだろう! だからこそ、飾り付けは重要な事の1つに含まれる。10月1日から10月365日まで、お前たちの家はありとあらゆる悍ましく不穏な事物への終わりなき賛美であるべきだ。親御さん、これはお子さんの通知表の話じゃない

(沈黙。)

SCP-6750-1: 早速スプーキー百貨店にハロウィンの装飾を買いに行こう!

ニューヨーク証券取引所の外に立つSCP-6750-1の姿へと場面転換する。通りはかなり閑散としている。見物人を手招きする骸骨の戯画と“スプーキー百貨店 - 営業中”という文言が描かれた巨大な布看板が、証券取引所の外に通常掲げられている大きなアメリカ国旗の上になびいている。

SCP-6750-1: この手の店は年々増えてるみたいだなぁ!

ハロウィン装飾専門の小売店に改装された証券取引所の内部にいるSCP-6750-1の姿へと場面転換する。カボチャ頭の実体群が店内を走り回り、叫んだり手を振ったりしながら、棚に並ぶ様々な装飾品を掴み取ろうとしている。

SCP-6750-1: ここは狂気の世界だ、しかも楽しい種類じゃない! あのゴミを見ろよ! 膨らませて使う芝生飾り、モーター動力のゾンビ、偽物の墓石! こんなのは誰も欲しがらない。 安いのには理由がある。それにな、諸君、まさかと思うだろうが、お隣さんにはお見通しだぞ! 何処をどう見ても飾りなのに、何が面白い? もし本気で盛り上げたいなら、店員に“奥の間”を見せてほしいと頼め。きっと分かってくれるから。

SCP-6750-1は1体のカボチャ頭実体の耳に囁きかける。実体は頷き、足元の床が開いて、その下にある黒とオレンジの螺旋模様の裂け目が露わになる。SCP-6750-1が螺旋模様の中に落ちていくと、周辺風景は突然、箱で満たされた暗い倉庫の中に変わる。幾つかの箱はガタガタと音を立て、自力で動いている。その他の箱は南京錠を掛けられているか、何らかの金属で構築されている。

SCP-6750-1: これがサミーの秘密だよ。ハロウィンの飾りは生きてるのさ、昔からずっとそうだった! プラスチックの蜘蛛と本物の蜘蛛の違いは、製造工程で装飾がどれだけ洗練されたかだけだ。表に出てるつまらない安物なんか欲しくないよなぁ。飼い慣らされてない製品、秘密の商品に目を付けろ。お金は問題じゃないぞ、諸君。この奥の間では、お前たちのお綺麗な法定紙幣なんて、ハロウィンの夜のチョコレートバー程度の価値しかない… もっと別な支払い方がある。 (落雷の音)

SCP-6750-1はカボチャ頭の店員に向き直る。

SCP-6750-1: 在庫は全て俺がいただく!

SCP-6750-1がシャツの胸郭を破り開くと、粘性のある灰色の集塊が胴体から染み出し、床に積み重なっていく。小さな目、手、足がこの物質の中で蠢いているのが見える。

SCP-6750-1: 1年間、お前のためだけに貯めておいたぞ!

店員は塊の中に指を突っ込み、小片をむしって自らのカボチャ頭に入れる。店員は頷き、親指を立てる。

郊外住宅に戻ったSCP-6750-1の姿へと場面転換する。家は今や過剰なハロウィンの飾り付けが施されている。緑と紫のストロボライトが点滅し、濃霧が部屋に充満し、暖炉には骸骨がぶら下がっている。“フランケンシュタインの怪物”の姿をした実体が腕を伸ばし、呻きながらカメラの前を横切る。

SCP-6750-1: ほーら、こんなに良くなっただろ?

様々な昆虫の大群が床を這っている。一部の昆虫はSCP-6750-1の衣服に群がって登り始める。SCP-6750-1は動じない。

SCP-6750-1: 道を開けろ、悪霊ども! 今しがた処分したのがまだまだ残ってるんだ!

家の前庭で、人間の死体の小山の上にまた新たな死体を放り投げるSCP-6570-1の姿へと場面転換する。死体は幾つかの一般的な郊外暮らしの家族から成っているように見受けられる。家の外観の残りは装飾されていない。

SCP-6750-1: ふうっ! こう思ってるかもしれないな、“サム、これは本当に必要?” 俺はこう答える、“当然!” 自分の家を街区一おどろおどろしく華やかに仕立て上げるのは絶対条件だ。こいつはコンテストなんだよ、嘘とは言わせない。持ち物を何もかも手放して、できる限り最高のハロウィン装飾をゲットしよう。量は質だ! 信じられないか?

SCP-6750はこの時点で家から離れた場所に立っている。SCP-6750-1は目の前の、装飾されていない平凡な家屋が並ぶ通りを見渡す。

SCP-6750-1: みんな承知の通り、ハロウィンに家を飾る一番重要な理由は、お役人様がご近所を裁きにやって来た時、お前たちの家族を見逃す以外の選択肢を与えないためだ!

上空が即座に暗くなり、その中心に巨大な白い正方形の空間が開く。聖歌隊の歌声のような明瞭な高音が響き渡り、繰り返されるのが聞こえる。カメラが震える。

SCP-6750-1: そら、来やがった! お役人様が町にお越しだぜ!

白い閃光が画面を包み込む。映像は7分間、完全に暗転する。映像が復旧すると、通りの家々が完全に破壊されているのが明らかになる。唯一立っているのは先ほど装飾された家屋である。SCP-6750-1は跳び上がって拍手する。

SCP-6750-1: ヒャッホウ、どうだ見たか! 今年もまたサム・ハイン様の勝利だ、夢にも思わなかっただろ? サムは自分の言う事をしっかり理解してるのさ、だからお前たちもサムのテープを買ってあげよう、そうすりゃサムは努力を重ねたおかげでようやく他のブギーマンたちから認められて、この先また10年もお前たちの家の壁の中で暮らしたりしなくて済む! (身振りで家々を指す) 他のバカどもはどうなるのかって? 俺としちゃ次回また頑張れと言ってやりたいが、こいつらはもう死んじまったよ! (笑う)

番組の題材: カボチャの取得と彫刻加工。

シンセサイザーを多用した音楽のジングルが聞こえる。普通のカボチャ畑の静止画像に“怖~いカボチャ彫刻”というテキストが重ね掛けされているのが見える。

SCP-6750-1は夜のトウモロコシ畑の前に立っている。この回での話し方は、以前の放送よりも顕著に静かかつ早口である。

SCP-6750-1: 元気だったか、化け物諸君! 今夜のサム・ハインは、あー… サム・ハイン印のカボチャ畑からお届けするぞ。その通り、俺は今、家族の農場にいる… 俺たちが所有してる農場だ! ここは俺たちの農場で俺たちが所有してるんで、書面で撮影許可を貰ったりする必要は全く無い、だから聞くな。あー、念のため伝えておくけどな、制作費が近頃かさんでる。前の3回分の放送を終えた後は特にそうだ。だから俺のテープを買え、さもないと俺が自腹でお前に送り付けてやる! カボチャを彫りに行くぞ!

カボチャ畑の前にいるSCP-6750-1の姿へと場面転換する。カボチャの代わりに、大きさ、皮膚の色、形状が様々なヒトの頭部が生っている — いずれも首から上の部位だけで区切られており、顔面の特徴や体毛は全く無い。SCP-6750-1は周囲を見渡してから話し始める。

SCP-6750-1: カボチャを摘む時は小声で話すのが肝心だ。畑を丸ごと目覚めさせたくはないよな?

SCP-6750-1はゆっくりと身を屈めて、やや大きめの青白い生首に繋がった蔓を掴む。生首は身じろぎして転がる。

SCP-6750-1: シーッ! 止めろ! 黙れ! 動くんじゃないっ!

背景に明かりが見える。男性の大きな叫び声が畑に響き渡る。

声: そこに居んのは何処のどいつだ、えぇ? ロハでの撮影は許さねぇと言ったはずだ。ジャック・ザ・スミスに誓って、もしサム・ハインだったら、その手足をバラバラに捥いでやるからなぁ!

SCP-6750-1は跳び上がり、素早く生首を蔓から外す。その結果、生首は更に激しく痙攣、身震いし始める。続く数秒以内に、他幾つかの生首もゆっくりと同じように動き始める。SCP-6750-1は身振りでカメラを促し、生首を抱えたまま畑から走って逃げる。

SCP-6750-1: 走れ、走れ! 今夜死んでたまるか!

遠距離で銃声が聞こえるが、SCP-6750-1とカメラは畑から遠ざかってゆく。

映像が2分間途絶える。SCP-6750-1は平凡な家の中、具体的にはキッチンに立っている。SCP-6750-1は生首をカウンターに置く。

SCP-6750-1: くり抜きタイム! まずは安全上の注意からだ。カボチャ滓が手に付かないように必ず手袋を嵌めること。さもないと肉に侵食してくるからな。次に、ナイフの切れ味がカボチャにしっかり切り込めるぐらい鋭いのを確認しておこう。カボチャを殺さずに、できる限り強い痛みを感じさせるためだ。お前たちのカボチャを最低のクズみたいな気分にさせてやれ。誰かのジョークを聞いて大声で繰り返すようなクズ。ゴミ箱が一杯だと気付いても中身を捨てないクズ。屍食学校ghoul-schoolで小便を漏らすようなクズ。底抜けのバカだからテレバァ~放送boo-castingに失敗してまともに予算も組めないクズ。

沈黙。

SCP-6750-1は大振りのナイフを振りかざし、典型的なジャック・オー・ランタンの顔を、目から順番に生首に彫り始める。皮膚の下に露出した生首の内部には身体組織、筋肉、2つの眼窩が見える。眼球は忙しなく動いており、生首は裂傷ができる度に出血している。

SCP-6750-1: (呟く) 全財産をよりによって生きたフランケンシュタインなんかに使い込みやがって。バカが! バカがっ!

SCP-6750-1は生首の下部分に着手し、口を彫りこむ。この部位に最初の裂傷が生じると、生首は笑う。SCP-6750-1が口元に微笑みを彫りこんでいくと、この笑いは声量と激しさを増す。やがてSCP-6750-1は怒りに任せてナイフを部屋の向こうへ放り投げる。

SCP-6750-1: 何がそんなに面白い? ここは普通悲鳴を上げるところだろ! 恐怖の叫びはどうした!

生首: だってお前… スゲェつまんねぇんだよ、サム。虚無じゃん。つまり、このコーナー丸ごとさ。意外性がねぇんだよな。予想を全く裏切らねぇと言うかさ。人間を彫るカボチャの登場だ、ジャジャーンどうだ参ったか。お前のマジで怖い点は、この先テープ販売が大失敗してブギーマン免許を剥奪された時、どれだけ惨めな思いをするかってことだな!

SCP-6750-1: ほう、意外性が無いって?

生首: ああ、そうとも! 何百万も負債があって、しかも増える一方だ!

SCP-6750-1は生首を掴んで床に叩き付け、衝撃で粉砕する。生首の破片が叫ぶ。SCP-6750-1は破片をブーツで踏み潰す。

SCP-6750-1: 俺が怖くない? 怖くないだと? なら恐怖ってのを思い知らせてやる! お前たち全員にだ!

SCP-6750はカメラに向き直る。

SCP-6750-1: (合間) サム・ハインの“ハロウィンの全てを知ろうィン”ビデオテープを買うと! こういうコーナーがもっと沢山! 全部見て肌が総毛立つのを感じろ! サムの名の下に魔女の刻の生贄を1回捧げるだけの新安値! だから今すぐに買え買え買えっ!

番組の題材: トリック・オア・トリートとお菓子の消費における児童の安全の確保。

バッハの“トッカータとフーガ ニ短調”が聞こえる。ジャック・オー・ランタンの静止画像に“怖~いトリック・オア・トリートのヒント”というテキストが重ね掛けされているのが見える。悲鳴が聞こえ、誰もいない郊外の通りへと場面転換する。

SCP-6750-1が遠くで家から出てくるのが見える。SCP-6750-1はカボチャの形をした紫色のキャンディバケツを持っている。再びの場面転換。SCP-6750-1は家の近くに立ち、バケツの中を漁っている。

SCP-6750-1: 調子はどうだい、屍食鬼諸君? サム・ハインだ! この辺りは家が多いから、えー、トリック・オア・トリートの最中にお菓子を山ほど貰える。俺自身も今しがた手に入れた。素晴らしい伝統じゃないか、トリック・オア・トリート! 勿論、トリック・オア・トリートる時には、誰だって知ってる注意事項がある。“自分を見つめている家だけを訪ねる”とか“歩道のひび割れの中にいる女とは口を利かない”とかな。だが、お前たちは包装されてないお菓子の危険性について聞いたことがあるか?

SCP-6750-1はバケツから1個のお菓子を取り出す。SCP-6750-1はお菓子を口部の空洞に押し込み、チョコレートを咀嚼し始める。包装は外されていない。

SCP-6750-1: むむ、むむ、ムムム! 俺もお菓子は大好きだぜ! 誰だってそうさ! だが忘れちゃいけない、世の中にはお前たちを殺したがってる嫌な悪党が大勢いるんだ。俺一人だけじゃない! 親御さん、愛おしい赤ちゃんが危険に晒されてるぞ! 俺たちは赤ちゃんを酷い目に遭わせたくないんだ! そんなのは… お菓子いよなcandy-strophic! (悲鳴が聞こえる) この素敵な町から俺がどんなのを受け取ったか見てみようぜ。

SCP-6750-1はバケツから包装されたキャンディーバーを取り出す。

SCP-6750-1: これは一見すると、ごく普通のキャンディーバーのように思える。

SCP-6750-1は包装を開ける。大きなアンテナがキャンディーバーの頂点から突出している。

SCP-6750-1: ははぁん! 俺が睨んだ通り、子供の消化器系の甘ぁ~い音を聞くのが大好きでたまらない何処かの変態と繋がってる通信機だ。吐き気がするよな?

SCP-6750-1は再びバケツに手を入れ、テープで青いM&M'sチョコレートが1粒貼り付けられたAR-15アサルトライフルを取り出す。どのようにライフルがバケツに投入・除去されたかは不明。

SCP-6750-1: おい、見たか! 誰かが俺のM&M'sに銃を入れやがった!

SCP-6750-1は銃を調べる。

SCP-6750-1: おいおい。弾も込めてあるぞ。こいつを使えばどんな苦痛を与えられるか、想像できるか? 誰もそんな事態は察知できないだろう、ましてやハロウィンだ! 見た目は小道具同然! 考えたくもない。

SCP-6750-1はバケツからリコリス菓子を取り出し、自らの“頭部”に押し込んで、咀嚼するような音を立てる。

SCP-6750-1: ようやくまともなお菓子だ! こんなもんの中に何かを仕込めるわけが — おっ! こりゃあ…

SCP-6750-1は口部からビデオテープを取り出す。テープの表面にはSCP-6750-1が描かれている。

SCP-6750-1: こいつを見てくれよ。サム・ハインの“ハロウィンの全てを知ろうィン”だ! 今年はこれをお菓子に入れる奴らが続出しそうな予感がするぞ! 大抵の連中はこういう出来事を“都市伝説”だと考えてるらしくてな、子供に毒を盛ったり、リンゴ飴にカミソリの刃を仕込んだりしても、逃げおおせるのは超簡単だ! 警察はお菓子を追跡できない! つまり… 絶対やるなよ! 悪い事だし、間違ってる! (合間) だが、もしその気があれば確実にお咎め無しで済むぜ!

番組の題材: 不明確。

ガタガタという音に続いて、低い呻き声が聞こえる。エリア-179に所属する研究員、エリック・トレントンの自宅の静止画像1に“怖~いサバイバルヒント”というテキストが重ね掛けされているのが見える。

SCP-6750-1はトレントン家の外に生えた茂みの中で寝転がっている。

SCP-6750-1: (囁き声) 今回の放送では特に壮大なコーナーを予定してたんだが、残念ながらちょっとした… 金銭的な問題にぶつかった。そこで代わりに、俺たちブギーマンが使う数多くの通貨の1つ、恐怖心の集め方をお前たちにお見せしよう。教育精神に則って、怖~いハロウィンの怪物がお前たちや家族を狙っている時、具体的にどう対処できるか教えてやる! 生憎、できる事はあまり無いがな!

SCP-6750-1は茂みの外に出る。脚が長いため、SCP-6750-1は僅か3歩で芝生を横切り、家の側面、窓の横に身体を押し付ける。

SCP-6750-1: ブギーマンが1階の窓から忍び込むことはそうそう無い。何故かって? お前たちにも予想できるからだよ。

SCP-6750-1の脚が延伸し、胴体を2階の窓と同じ高さまで上昇させる。同様の現象がSCP-6750-1の指にも起こる — 指はねじれ、細くなって外向きに伸びる。指はひとりでに窓の網戸の隙間に入り込み、網戸を外す。SCP-6750-1はガラスを押し上げて侵入する。

ベッドで眠っているトレントン博士の妻、アレシアの俯瞰映像へと場面転換する。夫のトレントン博士は不在である。SCP-6750-1が映像中に身を乗り出す。脚の長さのため、SCP-6750-1は身を屈めているが、それでもまだ天井に届く。

SCP-6750-1: ブギーマンとありきたりな怪物を隔てるのは雰囲気だ。普通の生き物は自分にとって一番手早くて有利な手段で殺す。そんなのはつまらないし、誰も求めてない。ブギーマンは相手を怯えさせるのを高く評価する。アドレナリン、恐怖心。そっちの方が美味いんだ。

SCP-6750-1の腕が外向きに伸びて、アレシアの頭上と周囲に展開される。SCP-6750-1はアレシアの額をつつく。彼女は覚醒し、ゆっくりと意識を取り戻しながら、払いのけるように腕を動かす。

SCP-6750-1: お前が怯えていなければ、怪物は手出しできない。

アレシアは周囲を見回し、SCP-6750-1に気付く。彼女は取り乱し、ベッドから飛び起きて悲鳴を上げる。

SCP-6750-1: 誰かさんは今日の授業を聞いてなかったらしいぞ!

アレシアが部屋から走り出る。SCP-6750-1が追いかける。SCP-6750-1は自らの身体を歪め、壁を利用して長い四肢を支えながら、新たに延伸した身体を動かしている。

トレントン博士の娘、エリスが部屋から出て来るが、すぐ室内に駆け戻ってドアを閉める。SCP-6750-1はこれに気付き、ドアに向かって移動する。

SCP-6750-1: もしお前に子供がいるなら、陽動に使うといい! ブギーマンは10人中9人まで、平々凡々な大人よりも子供を優先して狙う。結局のところ、子供はトラウマを植え付けるのが遥かに簡単だ!

エリスの部屋へと場面転換する。エリスはベッドの上で掛け布団を被っている。ドアの静止映像が数秒間続く。SCP-6750-1の笑い声が聞こえるが、徐々に遠のいていく。

SCP-6750-1: (ナレーション) ブギーマンを相手にする時、1つ注意すべき事がある。恐ろしい物事である限り、ブギーマンにとっては不可能も可能になるんだ。俺はこんな手口には絶対頼りたくなかったんだけどな。

SCP-6750-1の手がドアの下から伸びて来るのが見える。手はドアを這い上がってドアノブを掴み、回す。ドアがゆっくりと開く。エリスが掛け布団の下から外を覗く。ドアが完全に開き、無人の廊下が露わになる。

SCP-6750-1の笑い声がエリスのベッドの下から聞こえる。SCP-6750-1がベッドの下から、顔の高さがエリスと同じになるまでゆっくり姿を現す。ハエ、地虫、蠕虫がSCP-6750-1の頭部から這い出て来るのが見える。エリスはSCP-6750-1を見つめながら荒い息を吐き、目に涙を浮かべている。

SCP-6750-1: 俺のテープを買えよぉ。

エリスは跳び上がり、寝室から走り出る。SCP-6750-1は笑い、カメラに向き合う。

SCP-6750-1: どうやらここじゃ、誰もサミーにご褒美をあげたくないらしい!

SCP-6750-1: さて、俺にできる事は全部やった。どう考えても、ここの連中は俺のテープを買いたがってない。だが、買ってくれそうな奴の心当たりも無くはない。

SCP-6750-1は肩の上からカボチャを外し、その下にあるエリック・トレントン博士の顔を露わにする。2

SCP-6750-1: お前だよ! バァ~ッ!

SCP-6750-1の頭部が破裂し、血と内臓でカメラと周辺環境を汚す。


SCP-6750の更なる調査で決定的な結果は得られていない。


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