SCP-6805

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財団記録・情報保安管理局より通達

当ファイルは6805権限の職員及びO5評議会メンバーに制限されます。権限を伴わないアクセスは固く禁じられています。

アイテム番号: SCP-6805

オブジェクトクラス: Ticonderoga1

特別収容プロトコル: 全多元宇宙の財団に対応する組織及び財団相当体はSCP-6805の存在を認知します。差し迫った不可逆的なKクラスシナリオにおいて、全ての6805承認職員はサイト6805に通達し、更なる指示に待機してください。

SCP-6805と全財団同位組織との間で交わされた了解覚書からSCP-6805は協力的であると考えられますが、財団の直接的な管轄下にはありません。そのため、現地に居住している元財団職員も財団の管轄外にあります。

いかなる事態においても、蛇の手のメンバーにSCP-6805の存在を知らせてはなりません。

説明: SCP-6805は自己収容型のポケット宇宙に存在する外次元建造物です。かつてはユニバース6000におけるサイト19でしたが、ユニバースの破壊イベントによって親宇宙から分離しました。ユニバース6000から唯一生存したものと思われます。異常な手段を用いずにサイトから退出することは不可能であり、サイト19の外部につながる扉は全てサイト内に戻ってしまうように改造されています。

SCP-6805の主要な機能は二つです:

  • 地球及び/あるいは現実に破壊をもたらすKクラスシナリオにある宇宙へ一時的に接続が可能な外次元の"救命艇"。SCP-6805の利用する現実接続のプロセスは、対象となる物質に壊滅的かつ修復不可能な損害を引き起こすため、差し迫った破壊の危険にある地球同位物にのみ展開が可能です2
  • 財団職員が世界の破壊から逃れるための避難所。これらの職員は一般に財団本来の目的を失われたものと見なし、速やかに現地社会へ組み込まれます(下記参照)。Kクラスシナリオ下において6805権限財団職員のみがその存在を知らされます。全ての財団職員はその経歴と財団への貢献に応じて優先的にクリアランスを付与されます3

SCP-6805は現在およそ2万5000人を抱えており、居住者には口語的に"セーフホールド"4という名で知られています。

起源と歴史: 現在SCP-6805が有する特性はおよそ30年前に発現しました5。現地時間の2030年、ユニバース6000はApollyonクラスSCPオブジェクトであるSCP-6000によって破壊され、地球上のあらゆる物質が、一般に放浪者の図書館として知られる外次元領域へ取り込まれました。ユニバース6000におけるアマゾン熱帯雨林に発生した異常な時空間の裂け目は収容不可能な速度で拡大し、現地時間の2030年3月には地球全体が放浪者の図書館に組み込まれることとなりました6。少数の財団職員と世界オカルト連合メンバーが正式に認可された外次元バックアップサイトによりこれを逃れましたが、SCP-6805は2030年1月25日、サイト19で未認可に行われた外次元的実験の産物です。

その日、上級研究員のエイドリアン・ジャクソンは、上司から下されたサイト19の職員とアノマリーの退避を準備する任務を無視し、その代替として現実改変能力を持つことが知られる複数の人型SCPと協力し、他の職員への通告なしにサイト19をユニバース6000から分離させました。このイベント7はサイト19をその宇宙の現実から隔離することに無事成功し、その後(居住者の体感によると)三年半の間、次元間の流れを彷徨う状態が継続しました。

大半の有用な物資はユニバース6000破壊イベントよりも前にサイト19から退避していたため、収容されていたSCPオブジェクトの利用は当時SCP-6805が生存する上で必要不可欠でした。このような経緯から、イベント6805直後にSCP-6805内で現れた元職員の二つの派閥(財団の理想に専念する派閥と、生存のためアノマリーとの協力を唱える派閥)のうち、アノマリー協力派が圧倒的に多数であり、程なく大半の元職員の支持を得るようになりました。少数のEuclid及びKeterクラスSCPオブジェクトは、新たに形成されたSCP-6805社会への受け入れが不可能だと判断され、強制的に無力化されました。

持続的な生存を確保するため、SCP-6805は現在もSCPオブジェクト8を頻繁に利用します。食物や水は異常生成を供給源としており、SCP-6805のポケットディメンションの安定的な実在は大幅に改造されたスクラントン現実錨と数人の現実改変者の自主的な協力に依存しています。また、旧サイトの内部空間は新たな居住者を収容するため、アノマリーを利用して継続的に拡張されています。

退避した職員がSCP-6805の構造や社会的慣習について詮索することは推奨されません。職員はそれらを変革する力を持たず、居住者は質問をする行為を無理解や敵意の根拠と見做すためです。

SCP-6805退避イベントの抜粋:

ユニバース おおよその生存者数 破壊イベント
ユニバース6000 400(財団職員), 300(生命アノマリー) SCP-6805の存在が最初に確立したイベント
ユニバース2317 17 (財団職員) "世界を貪る者"として知られるSCP-2317の封じ込め失敗によって地球は破壊された。SCP-6805はSCP-2317が地球上の全生物を絶滅させるおよそ1時間前にO5評議会の特別要請によって到着した。SCP-6805の到着後SCP-2317に短時間で捕捉されたことから、O5評議会と4名の職員を退避させるに留まった。その後2317-O5評議会はSCP-6805における下層民となった。SCP-2317収容違反に先立つO5評議会の行動を大多数の居住者は非常に低く評価したためである。
ユニバース5872 70 (財団職員), 200 (民間人) 異常なエネルギー伝達装置であるSCP-5872の作動により、地球は偶発的に破壊された。装置は不注意から月に対して使用され、月が地球に衝突する結果となった。SCP-6805は地球崩壊のおよそ12時間前、5872における財団がSafeクラスSCPオブジェクトの保管に利用していたサイト-73に到着した。サイト職員及びその家族ならびに活動中のSCP-6805の付近に偶然いた民間人約200名が退避した。かつてサイト-73に保管されていたSCPオブジェクトはSCP-6805社会に組み込まれている。

社会と文化: 表面的には財団サイトと類似していますが、数十年に渡る孤立からSCP-6805は独自の文化を発展させてきました。それらは我々の財団とは対照的であることがしばしばです。以下にSCP-6805の最も顕著な社会的/文化的特徴の概略を列記しています:

  • 説明で述べられているように、SCP-6805はその持続的な生存を確立するために異常事象を積極的に利用しています。SCP-6805の居住者は"skip"を対等な社会の構成者と見做しており、"確保、収容、保護"の考えを非論理的なものと捉えます。SCP-6805に居住する元職員は、自身の財団相当体は本来の任務に失敗し、SCP-6805以外にアノマリーから"保護"する必要のある宇宙は存在しないと主張しています。
  • その起源と役割から、SCP-6805の居住者はしばしば劇的に異なる背景を有します。一般に彼らは親宇宙の文化とSCP-6805文化の融合を積極的に受け入れます。例として、音楽の趣向はグループ層によって様々ですが、ほぼ全ての居住者がベースラインのバンド、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのRefugeeを非公式の"テーマ曲"と見做しています。
  • 指導者は難民グループに見られる財団の元指導者を一切尊重しません。代わりにO5評議会(またはそれに相当するもの)のメンバーは厳しく監査され、敬意を持って人型アノマリーを扱うよう求められることを頻繁に念押しされ、現地法に基づき管理職に就くことを禁止されます。
  • 行政機関は、五年ごとに行われコミュニティ全体が投票する、直接選挙によって選出された役員(管理者と呼称される)で構成されます。管理者はさらにSCP-6805の最終決定者として働く"セーフホールド管理者"を選出します。投票は義務であり、少数の非投票者には重大な社会的スティグマが存在します。
  • SCP-6805の経済構造を簡単に定義することはできません。全ての居住者は週15-20時間の義務的労働を通してSCP-6805の維持・機能に貢献することが求められており、対価として食糧、衣服及び基本的な居住施設が全ての居住者に提供されます。しかし、居住者が個人的に所有する膨大な数の異常物品は複雑なグレーマーケットを生み出しました。SCP-6805管理部の保障する社会的セーフティーネットは搾取や悪用から居住者を十分に保護していると認められており、異常な活動から生じる私営事業は一般には規制されません。極端な事例ではSCP-6805管理部が異常物品を押収することもありますが、そのような出来事は過去二度しか発生していません。
  • 時間の経過とともにSCP-6805の居住者たちは、財団とは別個の存在としてのアイデンティティを重視するようになりました。その結果、SCP-6805管理部と様々な財団相当体との間で交わされた了解覚書がますます議論の的となっています。少数の住民は国民投票によって了解覚書を否決するべきだと声高に主張し続けていますが、その一方で退避は重大な道義的責任であり、同時に新しい居住者の供給源でもあるという理由から、多くのSCP-6805居住者の間で支持されています。

補遺6805.A: SCP-6805と蛇の手の接触: ユニバース5872退避イベントにおいて、要注意団体"蛇の手"のメンバーが当該ユニバースから救出された少数の市民と共にSCP-6805へ引致されていたことが判明しました。メンバー(PoI-6805-Aに指定)はSCP-6805の存在に対して極端に否定的に反応した後、図書館に所属することを明らかにし、拘束に対して抵抗を試みた際に殺害されました。PoI-6805-Aの行動を記録した監視テープの筆記録がSCP-6805の管理部より提供され、以下に複製されています。収容プロトコルはSCP-6805の存在を蛇の手のメンバーが知ることを禁じるように更新されました。

[PoI-6805-Aが先ほど到着したのユニバース5872の民間人グループを離れ、SCP-6805管理者に接近する。彼は目に見えて憤慨している。]

PoI-6805-A: この場所は存在してはならない!

SCP-6805管理者: どうしました?

PoI-6805-A: この…"セーフホールド"と言ったか…これは図書館に対する侮辱だ。自らの物語の終わりから逃れようとするなど!

SCP-6805管理者: [PoI-6805-Aの所属に気づいた結果、目に見えて憤慨している]: 私たちは"物語"の終わりを望まなかった。あなたたちは図書館を満たすために何十億もの人々を殺した。私たちはすべきことをしたんだ。

PoI-6805-A: なんと傲慢な![小休止]我々は殺していない。全ての現実は必ず終わりを迎える。それが図書館の在るべき姿であり、宇宙のあるべき姿なのだ。死ではない、それが本を閉じることと同様に-

SCP-6805管理者: 殺してないというなら、私の娘はどこだ?私の妻は?妹は?

PoI-6805-A: 彼らとその生なら図書館で見つけられよう。なぜそれがわからない?

SCP-6805管理者: 婉曲表現は十分だ、この人殺しが![古参の住人数名の方に振り返る]彼は図書館側だ!拘束するのを手伝ってくれ!

PoI-6805-A: 近づくな!

[PoI-6805-Aは拘束に対して激しく抵抗し、隠し持っていたコンバットナイフを用いてSCP-6805の居住者らと交戦を試みる。その過程で致命的な刺し傷を負う。監視映像の音声解析と目撃者の証言から、死の直前に以下のように発言したことが判明している:]

PoI-6805-A: お前たちは[小休止]物語の[小休止]終わりから逃れることなど[小休止]できない。我々は必ず[小休止]この場所を探し出し[小休止]我々がお前たちの本を必ず閉じるだろう。

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