SCP-6976
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1976年のテイズウェル高校

アイテム番号: SCP-6976

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-6976はサイト-23のSafeクラス収容ロッカーに保管されています。

説明: SCP-6976はアメリカハナノキ (Acer rubrum) の木材で構成された1個のヒトの心臓です。SCP-6976-1及び-2が形成された45年後、その双方に影響を及ぼした異常現象の結果として発生しました。2021/02/14、無関係なオブジェクトの保管スペースを確保するために、SCP-6976-1と-2は同じ収容ロッカーに移されました。後ほど、両オブジェクトは互いに融合し、現在SCP-6976と指定されている実体を創造したことが判明しました。外的要因に関係なく、SCP-6976は常に摂氏37度を維持しています。

SCP-6976-1はネイサン・アリソンの心臓でした。1976年4月12日の1:51 PM、SCP-6976-1の全ての心筋組織は自然にアメリカハナノキの木材に変換され、アリソンは即死しました。SCP-6976-2はアーネスト・キャルダーマンの心臓であり、SCP-6976-1と同時刻に同じ変化に晒され、同一の特性を有していました。この事象が発生した当時、アリソンとキャルダーマンはどちらもヴァージニア州テイズウェルにあるテイズウェル高等学校の最高学年生でした。

補遺 6976-1: 他の異常存在との関連疑惑

財団の設立以来、異常なオブジェクトが新たに発生する割合は比較的容易に予測可能になってきた。技術発展や研究によって、それまで見落とされていた昔のアノマリーが検出されることもあるので、必ずしも発見される割合とは一致しないが、大抵の年は新規のアノマリーがどの程度発生するか高い確度で見積もり、どれだけ見つけ出せばいいかを把握できる。

1976年はそのような年ではなかった。実際には’75年の秋から発生していたが、春に学校が始まるまで、我々はそれに気付かなかった。新しいアノマリーは突然急増した。建国200周年のような重要な概念を持つ年には時々起こるので、急増自体は極端に奇妙ではない。しかし、それだけでは説明が付かなかった — というのも、新たに発生したアノマリーの多くに、不審な統計学上の相関関係が見られたからだ。アノマリーの大半はアパラチア地方で発見され、多くの事例で高校やその生徒たちに影響を及ぼした。水域、とりわけ湖が何かしら関与する事案が統計的に異常なほど多かった。サマーキャンプにもまた別の奇妙な相関性が確認されたし、音楽もまた幾つかの新しいオブジェクトの重要な要素となっていた。我々は最終的に、これらの事案の一部を、同地域で活動していた新興の要注意団体 “失神交響楽” によるものと特定したが、原因の全てを明らかにすることはできなかった。

6976事案が発生した頃、我々は既にこの種のアノマリーを10種類近く記録していた。ほとんどは無害だったが、全てではない。SCP-332はカーク・ロンウッド高校の在校生の半数を死に至らしめた。 インディアナ州のとある町全体に避難勧告が出され、当時は後々まで尾を引く厄介な副作用があった記憶処理薬が町民全員に投与された。確かもう1つかなり悪質なアノマリーがあったはずだが、もう思い出せないから認識災害か何かだったに違いない。だが、子供たちがどんな風に歌っていたかはまだ覚えている。だから、6976がアパラチアの学生バンドメンバー2人を殺した時、我々は厳戒態勢を敷いた。二度とあのような惨事を繰り返すわけにはいかなかった。

- [データ削除済]、アパラチア地域収容管理官 1969-1976

テイズウェル高校は1976年初頭に閉鎖され、最高学年の生徒たち (特に存命のバンドメンバー) が秘密裏の監視下に置かれると共に、SCP-6976やその他の異常現象との関連性が調査されました。それ以上の事案の発生リスクを抑えるために、テイズウェル高校の重要な学校行事1は中止されました。更なる予防措置として、テイズウェル郡内のあらゆる公共プール、湖、その他の水を用いた娯楽施設は夏季の間、様々な虚偽の口実の下に封鎖されました。テイズウェル郡の全てのレクリエーション・サマーキャンプも同様に閉鎖され、テイズウェル高校マーチングバンドは平時のように1週間の訓練合宿をする代わりに、地元の公園で練習するように説得されました。これらの予防措置が功を奏したのか、1976年の夏を通して、テイズウェル郡で更なる異常現象は発生しませんでした。

調査でSCP-6976とその他のアノマリーとの間に明確な関係が確認できなかった後、生徒たちは学校に戻り、通常通りに'76-'77年度学期を送ることを認められました。授業の再開後も更なるアノマリーは発生しませんでした。このため、SCP-6976の形成は特異な事例であったか、上記の予防措置が更なる事案の阻止に成功したものと仮定されました。SCP-6976の追跡調査や、テイズウェルにおける収容プロトコルの継続は不要と判断されました。

補遺 6976-2: 背景情報

ネイサン・アリソンとアーネスト・キャルダーマンはどちらもテイズウェル出身でした。彼らはかつてテイズウェル小学校とテイズウェル中学校に通っていました。

ネイサン・アリソンは学年8位の成績で卒業する予定でした。彼はウィリアム&メアリー大学に合格しており、そこで英語の学位を取得し、外国で第二言語として英語を教授する職に就くことを計画していました。アリソンの友人たちによると、彼はテイズウェルでの生活を“嫌って”おり、卒業後に帰郷するつもりはありませんでした。アーネスト・キャルダーマンはラドフォード大学への入学を計画していました。キャルダーマンの死の直前、両親が突然の財政難に陥ったため、キャルダーマンは翌年テイズウェルに留まって、家族を支えるために働くと決めていました。キャルダーマンの両親によると、彼は大学で学位を取得した後にテイズウェルへ帰郷することを望んでおり、1年余計に町に残るのを負担とは見做していませんでした。

両名はテイズウェル高校マーチングバンドのメンバーでした。アリソンはフルート、キャルダーマンはクラリネットの演奏を担当していました。2人の既知の接点はこれだけです。被害者たちについて質問された際、バンドディレクターは2人が非常に親しい友人だったと述べました。他のバンドメンバーたちはコメントを控えました。

補遺 6976-3: 追跡調査の結果

2021/08/22、アリソンとキャルダーマンが頻繁に通っていた場所に生えているアメリカハナノキを検査し、異常な影響力を帯びている可能性を探る案が提言されました。テイズウェル高校に生えている樹々の1本で、以下の彫刻が発見されました。

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