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Info
⚠️ コンテンツ警告: フォーマルな場での閲覧に適さない内容、離人症発症の恐れあり
翻訳責任者: Yukth
翻訳年: 2025
著作権者: LORDXVNV
原題: VKTM Presents: Reader x You!
作成年: 2022
初訳時参照リビジョン: 20
元記事リンク: https://scp-wiki.wikidot.com/scp-7069
特別収容プロトコル: SCP-7069のコピー1点がサイト-43の安全オブジェクト収容ロッカーに配置された暗号化フラッシュドライブ内に保管されています。いかなる職員もSCP-7069の使用は許可されません。SCP-7069のコピーは他に存在しないことが推定されていますが、万が一発見された場合には遠隔で削除されます。
SCP-7069-EPUBの表紙ページ
説明: SCP-7069は2点のファイル (SCP-7069-AO3とSCP-7069-EPUB) を内包するzipアーカイブです。
SCP-7069-AO3はhtmlファイルであり、展開することで、ネット創作小説サイト "Archive Of Our Own" (AO3) の機能制限版の "Publish(公開)" 画面に似たインターフェースが表示されます。
当該のインターフェースはAO3のPublish画面と異なり、"Fandoms(ジャンル)" フィールドは "Real Person Fiction(生モノ)"1 が固定入力されており変更できないこと、"Archive Warnings(警告タグ)" セクションは "No Archive Warnings Apply(警告タグ不要)"2 のチェックボックスが入力されており外すことができないこと、"Relationships(カップリング)" フィールドは Y/Reader がフォーム入力されており Y にはSCP-7069-AO3のユーザー名が指定されていることが共通しています。ユーザーは "Tags(タグ)" と "Prefaces(作品概要)" のサブセクションのみが変更可能であり、作品の属性・公開範囲・内容を指定することはできません。
SCP-7069-EPUBはepubファイル3であり、SCP-7069-AO3の使用時にユーザーからのプロンプト入力がなされない場合に表示される2枚のページです。1枚は "VKプレゼンツ: Reader x You: あなたの選ぶアドベンチャー・ストーリー" のタイトルが記載された表紙ページであり、もう1枚は以下の説明が記載された裏表紙ページとなります。
| VKTMファンスポットライトからお届け |
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スワン理論を耳にしたことは? そんなのありえないって? 全ての現実に張り巡らされた糸、それを引いているといわれる秘密のパペット・マスターたち (スワン・エンティティSwan Entities🦢) に逢いたいですか? でしたら、もう頭を悩ます必要はありません。ヴィキャンデル=ニード・テクニカル・メディアは、あなたを夢に夢見たオタクたちと懇ろになる方法を鼻高々にご教示いたします。 造物主の方々に逢いましょう。4 私たちの紛い物の神々をその座から引きずり下ろし、真の主たちとの前代未聞な交わりを持ちましょう。5 警告: これをお読みの高次元物語性存在の方々に於かれましては、全くもって予測不能な出来事を経験する可能性がございます。 |
SCP-7069-AO3の各項目を埋めた個人はSCP-7069が使用可能となり、残りのフィールド (即ち、"Characters(キャラクター)"・"Categories(性的指向)"・"Additional Tags(追加タグ)" ) へと自由に記入することができます。"Characters" フィールドにはユーザーの知り合いである人物が自動入力されます。"Additional Tags" フィールドにはAO3のデータベースへのアクセスにより入力補助がされますが、データベースにない自由形式での入力も可能です。ユーザーは生成されるストーリーのタイトルと概要を指定することが可能です。
ユーザーが "Publish" ボタンをクリックした際、SCP-7069-EPUBは10~30分に渡ってアクセス不可の状態となります。この処理時間が終了すると、ユーザーが入力した要約をプロンプトとし、パラメータ群に従ったストーリーが当該ファイル内に生成されます。SCP-7069の表紙ページは当該のストーリー内容を反映して変更されますが、これには重大なアーティスティック・ライセンスが付与されています。大抵の場合、SCP-7069-AO3のユーザーは1週間以内にSCP-7069-EPUBで記述された出来事を体験することになります。
実験:
広範な審議を経て、倫理委員会はSCP-7069に対して以下の条項に基づく制限付きの実験を許可しました。
- プロンプト生成される物語群は制約的かつ小規模なもの (即ち "slice of life(日常の一コマ)" ) でなければならない。
- プロンプト生成される物語群は合意正常性に矛盾するもの (即ち Broken Masquerade(壊された虚構) のような "alternate universe(並行宇宙)" モノ ) であってはならない。
- 物語群は実験参加者のインフォームド・コンセントが明確に保証されたものでなければならない。
実験1:
VKTM由来のアノマリーとの対峙経験を有していること、およびにミーム耐性を持つことを理由に、リリアン・リリハンメル博士がSCP-7069実験に志願しました。パラメータ群は当該個人に対するリスクを最小限にするよう選択されました。
| SCP-7069 実験1 パラメータ |
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Rating(レーティング): General Audiences(全年齢)
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SCP-7069-EPUBは以下のテキストを生成しました。
| 生成ファイルの始点 |
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グランド・ベンドに佇む小ぢんまりとした可愛らしいカフェであなたは腰掛けている。あちらこちらの壁にはいかにもカナダな品々が — メープルリーフの絵画だったりヘラジカの頭だったり飾られている。あなたはいつもお決まりのミルクと砂糖を加えた大カップのコーヒーを喫している。 ドアベルの音で誰か入ってきたことが知らせられて、あなたは顔を上げる。息を飲む。今までに出逢ったこともないような見目麗しい女性が1人、目の前にいた。見知った女性である気もしたが、下手な思い込みは押しやった。 彼女は背が高く、華奢で、腰まで届く艶やかな銀髪を靡かせていた。カウンターへと歩き注文をする、彼女の足取りの一歩一歩がダンスのステップを踏んでいるかのようだ。その注文内容まで聞き取ることは叶わなかったが、その声は音楽の調べのように心地よく、頭の天辺から足の爪先まで温かな気持ちに包まれる。支払いをすべく彼女がカードを取り出す、まさしくその時に惨事が起きた! 「あー、えっと、申し訳ないんですが…」バリスタの声が聞こえる。「本日は現金オンリーなんです。カードリーダーが故障してまして。」 女神のような容貌の彼女だが、そんな彼女が船乗りのように口汚く罵りだす。これほどまでに圧倒するような荒々しい言葉が天使の口から出てくるだなんて、その光景に気を失いかける。だがこれはチャンスだ。 あなたは勢いよく立ち上がる。そしてカウンターに駆け寄った、現金を握り締めながら。 「私が払いますから!」あなたが声を大にする、この地上に舞い降りた女神のために自らの命を差し出す覚悟ができたことを示すように。あなたはカウンターに向かってお金を投げ打った。 彼女は軽蔑の眼差しをあなたへ向ける、サファイア色の双眸がキラキラと輝いている。「自分で払えたんだけど。」彼女が言う。 女神からの徹底的な軽蔑の眼差しを向けられたまま、あなたは髪を指でくるくると巻きながら言葉を探す。酷い緊張で声は喉を通らない。一緒にコーヒーを飲むようお誘いするのがやっとだ。 断られるのも当然の様子だった。だが、何か目に留まるものがあったのか、あなたの顔まで伸ばされた彼女の手がかかった前髪を軽く払う。あなたの頬に彼女の手が添えられる、そしてそのままにあなたの顔の隅々までサファイアの視線が向けられる。その冷たい視線があなたの中で何か別のものに変わってゆく、それが何なのかあなたには分かりえぬものではあるのだけれど、それに胸を高鳴らせた。 鼓動は早鐘を打ち、息もほとんどできないほどだ。バリスタが彼女にコーヒーを手渡す。すると、彼女の腕があなたの肩に回され、そのまま元居たテーブルまであなたは連れ戻される。 彼女が何を考えているのか分からない。ただ、その眼差しは1匹のネズミを睨みつけるトラのようだった。「それで… 他にあるんじゃないの?」 「自分は y/n7 です。」あなたが続ける。「それで、ただ… あなたとお話がしたかったんです。」 力の入っていた彼女の肩が僅かに解れる。でも、まだ神経を尖らせた様子だ。「私はリリアン。」彼女が続ける。「どうして私なの?」 ミステリアスなリリアン・リリハンメル博士、ミステリアスなSCP財団でも輪をかけてのミームの叡智者。どうしたらこの想いを伝えることができるのか? 一目で惚れた。いや、刹那で心奪われた。けれど伝えたところで理解されるものだろうか、それとも奇異に思われて終わるのか? 彼女は完璧な女性で、テーブル越しにあなたと向かい合っていて、何の奇跡かこちらへ話し掛けてきて、未だ気を緩めることない様子ながらも好奇の目で見つめていて、あなたが唱えられる言葉は— 「あなたは美しいから。」これが精一杯だった。「それと猛烈で本当に独創的な罵倒をしますよね。」 ほんの少しだけ彼女が口角を上げる。そして、テーブルへ両手を置く。「y/n、最後のそれって、褒めてるつもり?」 どれだけ自信に溢れていたかとか、どれだけ聡明であったかとか、本当にどれだけユーモアに満ち充ちていたかとか、彼女について話したいことがたくさんあったのに何一つとして声にならなくて— あなたは手を伸ばす。彼女の右手にあなたの左手を、あなたの右手を彼女の左手に重ねる。 |
| 生成ファイルの終点 |
職員付記:
| リリアン・リリハンメル博士 |
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実際の私の発言はそう生ぬるいものではなかったと正式に申し上げたい。それ以外の点については、書かれていたとおりにイベントが発生した。SCP-7069で出力されるものは心理描写や風景描写も含まれ、字面通りの事実の書き起こしというわけではない。 私はコーヒー代を支払うのに十分なだけの現金を持って出かけていた、だがサイト-43に財布を忘れてきてしまい、それでいて店に入るに至るまでそのことに気づかなかった。癇癪を抑えようと努めたが、天気が最低最悪だったこともあり、コントロールが効かなくなってしまった。気を緩めることなく、不快な接触は最小限に抑えながらも最大限の情報を収集する機会を伺うようにした。ことあるごとにSCP-7069のストーリーラインへと追従することが最善の方法だった。 異常実体のプロファイル:
さも悲しげな子犬と向かい合って座っているかのようだった、その子犬はこちらが居心地の悪さを抱く程に媚びた視線で見遣ってくるということ私は予め知っていたわけで。彼女を睨みつけてはいたけど、ほとんど好奇心からのものだった。彼女には興味をそそられた。 アノマリーに記述されたイベントが終わるや否や私は両手を引っ込めた。猛烈甚だしい私の精神的傾向を認容してくれたことを大層に嬉しく思う一方で彼女のことはほとんど知らないと言い伝えた。コーヒー代を払ってくれたことに感謝を述べた。そう、私は礼儀正しかったのだ。わけもなく藪をつつくことはしなかった。 彼女は件のスクリプトに囚われない行動をとることができた。つまり、以前に私と会ったことがあるかをこちらに質してきた。また、出過ぎたマネをしたことを彼女は謝ってきた — こちらの感情が露呈していたとは思わない、だから、実体も7069-EPUBの中身を読んだか、彼女の見せた主体性は高次元からの何者かによる想像の産物だったのではと訝しんでいる。これは、単にアノマリーから生成されたものというだけではなく、より大きな一編の物語から摘まれた章の一端であるという可能性が存在し、これは調査に値するかもしれない。 自分の意思に反して行動しているように感じられたことは一度もなかった。私に相応しくないあの場の全てに憤慨してはいたが、立ち去ることはいつでも自由にできた。 私からの見解を述べさせてもらえば、追加の研究は至極当然だ。 |
書き起こし: ワーキングミーティング
SCP-7069のメタ的物語性を理由として、主体性事物の専門家であり空想科学者/形而超学者であるプレースホルダー・マクドクトラート博士がリリハンメル博士により招喚されました。
| ワーキングミーティング 2024/7/3 |
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マクドクトラート: 気に食わない。 リリハンメル: 言ってみなさいよ。 マクドクトラート: 私はスワン・エンティティSwann Entitiesをずっと研究してきた — そして、なぜVKTMがNの字を1つだけ使用している8のかは分からないし — 生涯をかけて研究してきたわけだが、エンティティたちが何を考えているのか分からない。彼らの脳が私たちと同じく機能しているのか、それすら解明できていないんだ。 リリハンメルが不快げな声を漏らす。 リリハンメル: またその戯言ってわけ? 私は実存してるわよ、プレース。空想の産物なんかじゃない。それに、彼女 — アイツ — はそこにいた。私のすぐ目の前にね。 マクドクトラート: 君が存在しないだとか、私が実在しないだとかを言ってるんじゃあない。私たちの世界はエンティティたちにとっての現実ではない、ということを言ってるんだ。彼らは現実歪曲者であり、それも他の歪曲者とは比べ物にならないほどに強力だ。スワン・エンティティが実際に実体化した場合に私たちの現実へどう作用するかなんて、前例がない。正直なところ、彼らの力に限度は存在しないし、それに… 限度がないというのは邪悪さにも適用される。エンティティが君に何をしでかすかなんて誰にも分かりはないんだよ、リリー。 リリハンメル: …嫉妬してるんだ。 マクドクトラート: そう思いたければ思えばいい。だがね、この事実は私の生涯をかけて研究してきたことだよ。 リリハンメル: やっぱり、嫉妬してる。 マクドクトラート: 君のことを心配してるんだ。スワン・エンティティというやつらは、本当に何を考えているのか分からない、君にも絶対に無理だ。私たちの人生に何をしてくるかとか、どんな仕組みで作用しているかとか… 君がこういう話を聞きたくないというのは分かってるけどね。 リリハンメル: ええ、聞きたくない。私たちの関係はもう終わったんだから。 マクドクトラートが押し黙る。 リリハンメル: これは私の人生よ。私が主導権を握ってる。出来損ないのファンフィクションの概要だって、書いてるのは私ただ一人。私の目を見なさい、プレース、そして言ってみなさいよ。リリアン・リリハンメルは綺麗なツラにマヌケに釣られるバカ女だって。自分で対処できないと、この期に及んでもそう思ってるってわけ? マクドクトラート: 君のことは理解してる。だが、このタグの選び方はなんなんだ? 一時の熱い関係を求めているように君は思える。この森羅万象においてミステリアスの最たる存在を研究する機会を、君は失恋の反動に利用してるんじゃないか? 私のせいで君は普通の人間じゃ満たされなくなってしまったのか? リリハンメル: 自惚れないで。私自身が望みもしないことを、私は誰にも強いられはしない。自分のことは自分で対処できるわ。 マクドクトラート: 私もそれは分かってるさ。だが、私ではなく彼らはどうだ? |
実験2:
VKTMにより生成されたスワン・エンティティのベースライン現実における忠実性を調査することを目的とし、リリハンメル博士はSCP-7069に対してより詳細な実験を執り行う意思を明言しました。また、彼女により選択されたパラメータ群で彼女自身へのリスクが十分に軽減されていることの裏付けが取られました。
SCP-7069の使用により精神的な有害作用が発生しないことをリリアン・リリハンメル博士は断言しました。SCP-7069読者投影実体reader insert entities間の連続性を維持すべくパラメータ群が選択されました。
| SCP-7069 実験2 パラメータ |
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Rating(レーティング): Teen and Up Audiences(ティーン(13歳)以上向け)
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| 生成ファイルの始点 |
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ある公園のベンチにあなたは腰かけている、春らしい景色に、声色に、芳香に包まれながら。 何かが変わり移ろう気配を感じる。鳥たちの声は愛の歌をさえずり、風は春草に開く花の香りを運んでくる。全てが魔法にかけられたように美しい、そんな中で頭上に影が差す。 「また会ったわね。」リリアン・リリハンメル博士の声がする。「あなたのこと、ずっと考えてたの。」 そわそわと心臓が跳ねだして、血液が頬に奔るのが感じられる。美しく、素敵な、あのリリアンがわたしのことを想っていただって? 「あなたのことを調べたわ。」彼女が続ける。「生年月日なし、経歴なし、何もなし。あなたの顔でデータベースにかけた。それでも結果なし。」 頭の中を駆け巡っていた血の流れはひとたびに静まり返る。あなたに好奇心がそそられたのは当然だ。当然、彼女は照合にかけていた。彼女は科学者なのだから、彼女の好奇心も結局は科学者としてのそれだ。あなたが彼女に抱いている気持ち、それと同じものを彼女も抱いている可能性は限りなく低い。あなたは (おそらく) 博士号の1つも (まだ) 持っていない。 「それで興味が湧いた。」隣に腰を下ろしながら彼女が言う。彼女の手で背中を摩られて思わず息を呑む。そこから肩を抱かれて胸の高鳴りが止まらない。「どうして私なの?」 あまりにも単刀直入で、あまりにも彼女らしい。核心に切り込むまっすぐな言葉。 「どうして他の人になると?」あなたの問いかけは緊張で震えている。「いや、つまり、あなたはご自身のことを見てきたのでは?」 「見てきたわよ。」彼女が答える。「何十年も自分自身と付き合って生きてきたんだもの。失敗だって全部覚えてる、それに私の憶測が正しければ、私のやらかした面白いことの全部だってあなたは読んでるんでしょ?」 「ご自身の失敗の話、するのは嫌いなのでは?」あなたが言う。生還者の埋葬Bury The Survivorsハブの8章『肉体を凌駕するは精神』で読んだことを思い出しながら言葉を選ぶ。 「好きじゃない。」目を細めながら彼女は言い放つ。「同じ失敗をもう一度味合わなければならない時は特に。でもあなたはもう全部知ってるわけで。それでもまだ私に惚れてるんだ。」 「私は… あなたのこと、本当に愛してるんです。」あなたが言う。以前にも口にした台詞だが、それは頭の中の彼女へと、夢想の中の彼女へ向けてのものだった — 本物に向かって言葉にしたことなんてなかった。「あなたは強くて賢くて美しくて。いろんなものを乗り越えてきたし、いつだってやり遂げてきた。本当に有能な人で — どんな事態でも自分で考えて切り抜けることができる。私にとっては、あなたしかいないんです。」 じっと、ネコのような彼女の瞳にあなたは見つめられる。「あなた、ホントに全部知ってるわけね。」 あなたは彼女の人生の隅々にまで夢中になっていた。どんな失敗も、より魅力的に、そして人間味あるものとして彼女を飾るばかりだ。またそれが成功であれば、一層に彼女を輝かせるのだ。 「変な気分よ。」彼女が言う。目を細め、瞬きもせず、まじまじと見つめられて、あなたの心臓が飛び出す。「誰かの妄想の中でのマニック・ピクシー・ドリーム・ガール9になってるだなんて。私にとっては本物に感じられるけど。」 「もちろん、あなたは本物です。」あなたが言う。どうすればこの苦境から脱して、自分の愛が上っ面なんかのものじゃないと伝えられるのだろう?「私にとって本物なんです。あらゆる意味で大切で、あなたは本物なんです。」 「あらゆる意味で?」そう唱える彼女の視線は一瞬とて逸れはしない。彼女が何を考えているのか、あなたには読めはしない。 何も言い返せないまま、身を寄せる彼女の唇があなたのそれに重なった。 「それじゃ、あなたのこと聞かせて、y/n 。」 |
| 生成ファイルの終点 |
職員付記:
| リリアン・リリハンメル博士 |
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身元を特定できる経歴的な情報が皆無であったにもかかわらず、幾つか体感できた知覚から判断する限りではスワン・エンティティは非異常の人間との区別がつかなかった。 一緒にいた時、彼女の… 形容しがたさ、的なものには意識が向かなかった。恋人について言葉にするのに使える形容詞はたくさんある。例えば、酔い痴れるIntoxicatingとか。キラキラしてるRadiantとか。美しいBeautifulとか。 理想的Ideal。 私の専門はミーム学、だからミーム的影響があればそれに気づく。そのうえで、先ほど述べた評価に関しては、一切の人為的な介在がなかった。心の底から、彼女をとても魅力的に思えてしまっている、たとえ彼女が実存する記録が全くないとしても。私が思っていたよりも、私というのは随分と美辞麗句に弱いらしい。 彼女との会話内容はきちんと覚えてる。[あなたの興味分野から1つ] について語り合った。彼女は記憶を引き出す速度も速かったし、その分野に対する造詣も深かった。感心したわ。この文章を書いた今この瞬間、確かにミーム的影響に侵されてることは自覚してる。でも、それがどんな仕組みで作用してるのか、理解するにはもっと時間が必要だ。認めざるを得ないのは、かなり巧妙な方法であるということ — また次も会いたくなる程度には心惹かれてしまっている。 もちろん、全部が全部、VKTMの謀略って可能性もある。"神様たちに逢える" チャンスだなんて言いながら、こっちの要望を全て満たす完ペキな存在を送り込んでるのかも。でも約束していい、彼女に身に纏っていた魔法の全てがVKTMお得意のやり口とはまるで違ってた。アイツらの成すことって見掛け倒しの派手なだけで中身は空っぽ。でも、彼女は… 意味ある言葉だった。随分と控えめな言葉でもあるけど。それに、疑念を振り払わずにはいられない。これは、まさしく私が必要としていたもので、求めていたもので、今すぐにでも欲しいものだって。 ハロルド・ブランク博士の協力のもと、いくつか同類のファンフィクションを読んでみた。大抵は — 大抵の場合はね — すぐ読み終わる物よ。キャラクター同士で目合わせるための言い訳だわ。私のことを知る連中からしたら私が軽はずみで妥協したように思えるしれない、十中八九、私みたいな超高度で多彩な専門スキルを持ちはしない誰かさんを指差してね。 でも正直に言うわ。私たち、繋がったの。 私は合理的に確信してる。プロジェクトの目標達成を妨げられるリスクはない。身体的なり精神的なり、霊魂的なりの危害を受けるリスクもない。それに、私よりも彼女の方がずっと緊張してるのは確からしい。マクドクトラート博士の言ってたことについて考えてる。彼の言い分は正しい。スワン・エンティティは予測不能で、それでいて私たちは可能な限りの対抗策を取らなくてはならない。 |
外部コミュニケーション: ヴィキャンデル=ニード・テクニカル・メディア
| RAISAデータ保全措置の対象: 敵対的GoIとの外部コミュニケーション |
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To : マリアン・マクファーソン, ヴィキャンデル=ニード パブリックアウトリーチ担当 件名: 技術的サポートの要求: VKプレゼンツ:Reader x You ~ あなたが主人公の選択型アドベンチャー について |
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マリアン。 手短に済ませるわ。あなたからまともな答えが返ってくるなんて期待してないから。 "Reader x You" の全出力データをこっちのミーム災害検知システム全部使ってスキャンしたわ。当然ながら、何も検出されなかった。まあ、あなたたちなら検知されないように作るくらいワケないわよね? それと、こっちのフィルター越しにそちらへ心理的な呪いマインド・ワーミーを忍ばせるふりをするつもりもないから。 幾つか説明して。一体なんのつもりでこれを作ったの? なぜ私たちに送りつけたの? そして、これが機能している理由と原理を教えて。 彼女は本物なの? 軽愚Insincerely |
| RAISAデータ保全措置の対象: 敵対的GoIとの外部コミュニケーション |
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To: リリアン・リリハンメル PhD, サイト-43 件名: Re: 技術的サポートの要求: VKプレゼンツ:Reader x You ~ あなたが主人公の選択型アドベンチャー について |
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リリハンメル博士 — リリーってお呼びしても? はじめまして、リリー。 残念ながら、現在のマリはカモノハシインフルエンザによりお休み中です。代わりの者が応対します。私は、彼女のインターンであるメイシー・メイ・シェパードです。 弊社ヴィキャンデル=ニードでは、ストーリーの持つ、私たちの人生を豊かで充実したものへと変えてくれる力を尊重し礼賛しております。自分自身について語る私たちのストーリー、人から語られる私たちのストーリー、私たちの行動を正当化するためのストーリーを。VKTMのインターンの一員として、これまでの作品を深化させることと代替の物語を拡張することとの境界上に存在する相乗効果を探求するこの機会を味わい楽しんでおります。この目的の達成のため、[認識災害削除済み] 🦢🦢🦢 私がマリのインターンなのか、それともマリが私のインターンなのか? 糸を引いているのは、どちらなのでしょう? お問い合わせの答えになっていれば幸いです! たっぷりの愛を込めて、 |
職員付記:
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リリアン・リリハンメル博士 |
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| VKTMの役立たずっぷりはいつも通り健在ね。今回の件は私の裁量でさっさと処理することにした。彼女の連絡先は手に入れたし。殴り書きもいいところだけど、それでも連絡は可能。もう一度、あのコーヒーショップで会うつもり。 |
実験3:
| SCP-7069 実験3 パラメータ |
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Rating(レーティング): Explicit(成人向け)10 |
| 生成ファイルの始点 |
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リリーは滅多打ちの果てにリリー・ハンマリング あなたたち2人が初めて出逢ったカフェにて、あなたは両手にコーヒーカップを携えている。店のドアを押し開けて入ってくるリリアンは煌めいていて、美しい彼女はあなたに微笑みかける。 顔が火照る。 「どうも。」あなたはなんとか息を吐く。 彼女は真向いに座り、間も置かずに身を乗り出してキスをした。長い長い、官能的な、それでいて計算ずくのようなキス。また火照ってくる。 「今のは、どういう?」 「どうなるか興味あっただけだけど。」イタズラっぽく彼女はそう言う。すぐにその眼差しが鋭くなる。「y/n、聞かなきゃいけないことがあるの。」 唾を飲み込む。なんとなく、楽しい質問だとはとても思えない。 「あなた、本当に構わないの?」彼女が言う。 「私が? 構わないかって? もちろん大丈夫!」あなたは言う。あなたは知っている。リリアン・リリハンメル博士が燃え盛りやすく、奔放で、自分にとって価値がないと思った相手を切り捨てるのに容赦ないことを。だからこそ、あなたが彼女を魅力的に思うのと同じくらいに彼女が思ってくれている様子に狂喜した。 「あなたは私のことを何でも知ってる。」リリアンが続ける。「不思議ね。目の前にあなたがいて、見えているのにその細部は — 私の頭からするりと抜け落ちてく。そんな経験、最近はなかったわ。」 「映像記憶だったね。」あなたは声を漏らす。 「それについても、一度も話してないのに。」リリアンが言う。「なのに、あなたのことを申し訳程度も知らない。」 あなたは指先で自分の髪をくるくると巻く。「もっと私のことを知ってくれるのなら、それは嬉しいな。」あなたは言う。それから彼女はいくつか基本的ことを問い質し、彼女についてあなたがどれだけ知っているかに感心した様子だった。だが、あなたたちが分かち合えることはもっとたくさんある。 「それでね。」彼女が続ける。「私、あなたのことを大事に想ってるの、y/n。自分でもおかしいと思ってるんだけど。だから、きちんと許可を取りたくて、基本的な実験にちょっと加わってほしくて。」 「それって、マクドクトラートが設計したやつ? 彼って空想科学部門だよね?」 「ストーカーっぽくないフリすらしようとしないのね。」 「あなたにはバレバレだろうし。」あなたは言う。もしかしたら彼女を過大評価してるかもしれない、けれどそうは思えなかった。「私の知る誰よりもずっとあなたって頭が良いから。」 「かもね。そして、実際そうよ。」そう言う彼女はニヤリと笑う。「それで— 」 「もちろん協力する。」あなたは続ける。「あなたを信じてるわ、リリー。私があなたをわかってるということも、あなたは分かってる。あなたがしたいことならしてあげる、なんでも。」 「なんでも?」彼女があなたを見つめる。「私、今、気になってることがあるの。」 胸がいっぱいになる感覚。頭から胸に、お腹の中に、爪先に至るまで、温かな感覚が全身に広がっていく。彼女はネコのような眼光を飛ばしてあなたを見つめている。あなたが口を少し開く、彼女は艶めかしく自身の唇を舐める。 「うちに来たい?」あなたは息を弾ませて訊く。 「行きましょ。」彼女は言う。「あなたのうちのほうが都合いいわ。理由は聞いちゃダメ。」 「とってもミステリアスだね。」あなたは続けてクスクス笑う。「セキュリティクリアランス絡みかな?」 「聞くなって言ったでしょ、悪い子ね。」 玄関のドアは開け広げたままに、互いが互いを求める2人の手は絡み合っていた。 |
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「待って。」キスから身を引き剥がしながら彼女が声を漏らす。乱れた銀色の髪があなたの顔に落ちてくる。「避妊具って必要かしら?」 「もちろん、いらないわ。」あなたは言う。「これは レズ妊娠ものfem!preg のストーリーじゃないから。」 「フェム… 何?」ピリっとした鋭い声色の返答。だけど、すぐさまにその刺々しさはニヤリとした笑みに和らげられる。「まぁ— だいたい分かった。じゃ、感染症とかは…」 「たぶん大丈夫、リル」私は続ける。「あなたはこっちにいて、でも私は、こっちにいるけど、同時にあっちにもいて、って… それって今本当に気にしたいことなの— 」 投げかけた言葉を言い終える代わりに、あなたは彼女をそっと引き寄せる。 |
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「そうじゃない。」あなたの手を掴みながら彼女がピシャリと言い放つ。彼女を見つめる。彼女はあなたを見つめ返す。彼女はほんの少し僅かにあなたの手の位置を調整する。「そう、そこ。」 |
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あなたの顎にかけられる彼女の重み。汗とムスクとに似た匂いが混じり漂っている。ただ、その匂いがあなたの欲していたそのもののように思えた。彼女が体を前に傾けてくる。重みは増し、心地よさが押し広げられる。やりすぎるその一歩手前で止まる。 一瞬、あなたは降参してしまおうかと思う — 彼女にやめさせるべく — 彼女の猛烈をいなそうと。彼女はあなたにジャブを撃つ、殴る、叩く。試されている、あなたがどこまで彼女を受け入れるのかを。でも、あなたは止めはしない。あなたは彼女に挟まって死んでしまいたいと、そういつだって夢想していたから、彼女の[個人情報保護の観点から削除済み] |
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彼女は天井を見上げながら息を吐いた。「こいつは… すごかったわね。」 「私、アイリーンより良かった?」 彼女が鼻で笑う。「それがあなたのピロートーク? (あなたの興味あるもの) の話とかじゃなくて?」 そう言ってニヤリと笑う彼女は、余韻の中で煌々と輝いている。彼女は完璧だった。 これからもずっとそうなんだと思う。 「何か気になってるの?」彼女が言う。 「あなたは私にとって本当に大切なの。」あなたは続ける。「本当に、本当にそうなの。あなただって分かってるでしょ?」 彼女の青い瞳が酷く穏やかにこちらを覗き込む。「y/n。」その声は柔らかい。「y/n。」 「ただ… 私は…」あなたは彼女に寄り添いながら呟く。彼女の首筋に顔をうずめる。「ただ、また逢うことができるのか、私にはわからなくて。いまとは違う関係でも、違う方法でも。」 彼女はあなたの頬を撫でる。「それって、あなたが上位世界からの人だから?」彼女は続ける。「その世界でスワン・エンティティの皆が生きて、息をして、退屈な普通の日々を過ごすほかないんでしょ、こちらに降りてきて取るに足らない人たちと共にする代わりに。」 「あなたは取るに足らない人なんかじゃない!」あなたは言う。「信じてくれないとは思う。どうしたら信じてもらえる? あなたは私の全てなの。」 「私たちは一緒にいられる、このちっぽけな私たちの世界で。」彼女は両腕を着いて体を起こし、あなたを見下ろしながら言う。「でも、それは永遠じゃない。」 「えぇ。」あなたは言う。「永遠じゃない。だって、私たちは別々の世界の人だから。」 あなたたちは互いに互いを強く抱きしめた。言葉に言い表せない温もりが2人の間にあって、次はないかのように体を重ね合わせた。 「ただ、あなたみたいになりたいって、そう夢見てたんだ。」暫くの沈黙を破り、あなたがそっと囁く。「あなたのこと読んでると、なんだか… 完璧な人を見てるようで。何でもできて、何にも負けない、そんな完璧な人。」 「確かに、あなたに勝ったものね。」彼女がポツリと呟く。彼女の息があなたの頭の天辺を撫でる。 「いろんな意味でね。」彼女の鎖骨にキスをしながらあなたは言う。「あなたって、人生を意味あるものに変える人に思えた。こっちで逢えて、触れられて… 私が求めていたよりもずっと理想的な人って思えた。」 「あなたを知れて本当によかったわ。」彼女は言う。「それに、私のことをそれほどまでに想ってくれるだなんて光栄に思うわ。私、自分のことを完璧だって思ってるけど、同じように思ってくれる人に出逢えるのはやっぱり嬉しいもの。」 あなたは涙を流す。「リル、私たち、こんなことをずっとは続けられない。もしかしたら — もしかしたら、もう二度と逢えないのかもしれない。あなたは私のことを調べ尽くしたし、それに… これがこのシリーズの最後のエントリーになるから。」 彼女が再び体を起こす、自身の遁走フーガから目覚めたように。「シリーズか。」彼女は言う。「あなたにとって、私はページに綴られた物語に過ぎないのね。」 「私は、私たちのことを読んでる最中なの。」あなたは言う。「そしてこれはその最終章。あなたのことは絶対に忘れない。たとえ何度も何度も、このストーリーを読み返すことになっても。」 彼女はあなたの肩を掴み、まっすぐに目を見て言う。「私は本物よ。そして、私たちが交わしたすべても本物。」彼女は言う。 「分かってる!」あなたは続ける。「私にとってどんな存在よりもあなたは大切なの。絶対に! でも… それが全て。ページ上の言葉でしかない。私はあなたと離れたくない、でもここが、2人のラブストーリーの終焉なのよ…」 「でもね。」彼女が言う。「あなたが望めばいつでもこのストーリーに戻ってこられる。最初に読んだのと同じように、いつだってもう一度体験できる。それに、いつでも私はここにいる。いつまでも、本当の自分が何者なのかにも気づけなかった魅力的な困り者としてあり続ける。これから先でどんな風にだってなりうる何者かとしてあり続ける。私は歳を取ることもない。死ぬこともない。あなたが望んだときにはいつだって私がここにいる — 言葉にしなくたって、私があなたを想っているって、いつまでも心に描くことができるでしょう?」 あなたは涙を拭い、彼女に弱々しい泣き笑いを向ける。「私なんかより、あなたのほうがずっと本物みたいだね。」 その言葉に彼女はくすりと笑みを溢す。しかし、その笑みには陰りがあった。彼女の腕があなたを包む。強く抱き寄せられる。 彼女の手があなたの頬をなぞる。「私も、あなたのことを決して忘れない、y/n。」彼女は続ける。「あなたのファンフィクションが終わっても、私たちのストーリーが終わるわけじゃない。私はいつまでもあなたと一緒にいるわ。」 引き寄せられたあなたに彼女はキスをした。 そして夜が更けていく。 |
| 生成ファイルの終点 |
| リリアン・リリハンメル博士 |
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前回のログで記録された出来事について、これ以上に付け加えることはない。 私とSCP-7069との関係性はこれで自然なものへ帰結したと思う。私なりに学べることは学んだし、この仕事では滅多にないものを私たちの両方に与えることができた — ハッピーエンドってやつ。 私からの公的な見解としては、追加の実験を推奨しておく。今にして思えば、信じ難いシチュエーションを生成するという当該アノマリーの異常性を実験するにしては私自身は適当な対象ではなかった。私は魅力的がすぎるし、スワン・エンティティたちが私たちの人生を逐一観察しているのだとしたら、そのうちの1体が私に恋しかねないというのも十分納得できるもの。 実験は誰からも共感されえないような人間で行うべきね、自身の人生を良くしようとヤケクソになってて、逃げ道に縋る機会があれば絶対に飛び付くような人間で。バカみたいに不満に塗れてるのに、よっぽどのイカれ野郎にしか愛されれないような尊大なタイプ。 ウサギの巣穴がどこまで続く深みなのか、確かめてみましょうか。 |
| 実験4 詳述 |
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| ウィリアム・ウェトル博士はSCP-7079へのアクセスが許可されており、これは無許可のアクセスであると信じ込ませることが容認された。ウェトル博士は "Gen(恋愛要素ナシ)" を選択し、それ以外のキャラクターやタグは入力しなかった。彼は次に示す要約を入力した。"クソッタレの作者どもは俺のメタクソな人生をメチャクチャにするのをやめろ。" |
以降、ユーザーからの追加入力に応答しない状態がSCP-7069に続いています。








