SCP-708-KO
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アイテム番号: SCP-708-KO

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-708-KOはサイトのSafe用収容金庫に保管します。B.Eによる奪取の可能性に備え、SCP-708-KOの位置は関連職員を除いて機密でなければなりません。SCP-708-KOを用いた実験は推奨されず、セキュリティクリアランスレベル3以上の承認を必要とします。全ての実験は無人ロボットとDクラス職員のみを利用し、研究員は遠隔で実験を統制しなければなりません。SCP-708-KOの影響を受けた者がいる場合、直ちに射殺されます。

説明: SCP-708-KOは草刈り鎌、シャベル、鋤、連枷など6種類の農機具22個を総称して指す言葉です。これらはいずれも要注意団体である"エントロピーを超えて"(B.E)の分派、"社会的エントロピーコントローラー"(Social Entropy Controllers)が作ったものです。この分派は熱力学の概念であるエントロピーを社会全般に適用して社会現象を解釈する思想を持っており[1]、SCP-708-KOはその社会的エントロピーを減らそうとするプロジェクトの一環と見られます。

SCP-708-KOは広範囲な身体変形および精神操作効果を持っており、これは人間がSCP-708-KOに対して身体的接触した時に発生します。以降、接触した人間(以下SCP-708-KO-1)は約5日に渡って皮膚組織が硬く変化、異常なほど腕と指が伸長、筋肉の量が20~60%ほど増加するなどの身体的変化を見せます。これには特異な精神操作効果が伴い、SCP-708-KO-1は身近にある土壌に移動し、地面を掘って稲作を始めます。SCP-708-KO-1は口から種籾を吐き出して植え、最初はSCP-708-KOを使い、時間が経てば変形された体を農機具のように利用します。また、この過程でほとんど痛みを感じていないものと思われます(詳細な変化過程は補遺708-KO-1を参照)。この行為を中止させようとする試みは成功せず、戻す方法も明らかになりませんでした。以後、他のいかなる行動もせず、SCP-708-KO-1はこの農業を飢えて死ぬまで約20~60日間繰り返します。

SCP-708-KO-1が開始した稲作は一般的な稲作の過程とは明確に異なります。これは一般的な稲作にかかる時間や養分を完全に無視し、種籾を植えてから15時間後には芽が出て約4日後には完全に育ちます。一度の農業で収穫される米の量は約5~10kgに達しますが、収穫された米粒は一般的な米粒大の1/2に過ぎず、栄養素含量も著しく低下することが判明しました。そのため、この方法を通じて得た全ての収穫物は廃棄処分するようにしています。

SCP-708-KOは2013年、大韓民国のソウルに位置する工事現場で農業を営んでいるという報告があり、存在が感知されました。財団がこの報告を傍受して出動した時、[編集済]は自分の腕を殻竿のように使用して稲を脱穀していました。この時、[編集済]を制圧する過程で近くに落ちていたSCP-708-KOに一人の職員が接触し、異常性が知られるようになりました。情報局は持続的な追跡を通じ、現時点で22個のSCP-708-KOを確保しました。

補遺708-KO-1 : 詳細な変化過程
接触して1時間 肌の硬化が始まる。手足から次第に広がっていく。SCP-708-KOを持って土地を耕し始める。
接触して3時間 皮膚硬化が広がる。腕と指が増え始める。
接触して8時間 口から種籾が出始める。種籾を吐いて土地に植える。各指の長さが15cmを越える。
接触して15時間 腕の長さはほぼ地面に着くほどの長さになり、各指の長さは30cmを超える。皮膚硬化が頭を除いた全ての部位において完了する。SCP-708-KOを捨て、自分の体を利用して農業を継続する。
接触して24時間 稲が急速に育つ。稲と一緒に雑草も育つが、雑草を除去し始める。筋肉量が急速に増加する。
接触して2日 筋肉量の増加が完了する。稲はほとんど育っている。SCP-708-KO-1の目、鼻、耳が退化し始める。
接触して3日 上述の三機関が完全に退化し、これ以上機能しない。鼻や耳は本来の形を維持できず、完全に切り取られて目があった部分は育った硬い組織で覆われている。
接触して4日 稲が完全に育つ。非常に頑丈な爪が約70cmまで育つ。この爪を利用し、稲を切って収穫する。
接触して5日 爪が折れていく。長い腕を殻竿のように利用して脱穀の過程を進行する。その後、その他の雑多な過程を終える。収穫した米粒を一ヵ所に集める。
接触して6日 上述の農業過程を繰り返し始める。

補遺708-KO-2
2014/█/██、B.Eのメンバー10人がSCP-708-KOを収集していたサイトに侵入を試みましたが、拘留されました。これらは様々な異常物体で武装しており、いずれもB.Eの分派である"社会的エントロピーコントローラー"の一員でした。下の記録はこれらのうち1人を尋問した記録です。

エージェント・B: 尋問を開始する。すべての内容は録音し、黙秘権を行使するなら我々も自白剤を使用すると言っておこう。では最初に何の目的で侵入を試みたんだ?

F(フィッシング・モジャ): ふむ、無論韓国SECプロジェクトの成果物を取り戻すためだ。お前らが我々のプロトタイプを全部盗んで行って相当な支障が生じた。早く不具合を修正しなければならないという話だ。

エージェント・B: プロジェクトだと?何のプロジェクトだ?人間を生きている農機具に転換するあれがお前たちのプロジェクトとどのような関係にあるんだ?

F: それを言う義務でもあるのか?

エージェント・B: もう一度言う。黙秘権を行使しても良いが、自白剤を使用する。

F: 偉そうに。君に話しても理解出来るものを一つ。今、この社会は高エントロピーによって崩壊に入っている状況だ。このような状況で今のように浪費していけば人類が衰退するのは明らかだ。これを阻止するためにエントロピーの蓄積を最大限下げなければならない。その農機具が我々のプロジェクトの礎となるはずだ!

エージェント・B: 君のような主張をする奴らを知っている。失業もインフレも景気低迷も全てエントロピーと主張する奴らだろう?

F: 笑いたければ笑え。エントロピーの蓄積で韓国社会が崩壊した時、私が君を嘲笑うからな。

エージェント・B: そうかそうか、勝手にしろ。本題に戻ろう、その…SCP-708-KOでエントロピーの蓄積に対処すると主張したが、具体的にどのような方法で達成するんだ?まさかSCP-708-KOを人間に曝露させ、人間の数を減らして資源消費を減らすというのか?この醜い-

F: 我々がマルサス分派[1]だと知ってるか?我々は"社会的エントロピーコントローラー"だ。そんな野蛮的な考え方はしない。ただし、公共のラインにより少数の犠牲を要求することになるのだ。

エージェント・B: どういう意味だ?

F: 機械式農業は機械の使用によりエントロピーが積もり、悪化する。従って、未来の産業は労働集約式農業を基盤にするしかない。その農機具は生産性を極度に高めてくれる未来世代に向けた最高の道具だ!一国あたり1万人曝露すれば全ての国で食料自給率100%を達成することが出来るだろう!現代社会が崩壊した後、人類の生存のために必要なものだ!すぐに全部出せ、この無責任な泥棒!未来のことが心配じゃないのか!

エージェント・B: これで終わる。おい、そこ!こいつにAクラス記憶処理して処分するように。

(尋問終了)

Bibliography
1. “B.Eについての概略的な検討と思想の分布探索を通じた分派分類”; Kaestine Brome; 財団情報局; Vol 106.8; pp 30-44; 2012
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