アイテム番号: SCP-714
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: 数件の濫用があったため、SCP-714はLevel4以上の職員のみがアクセスできる高セキリュティのロッカーに保管します。
説明: SCP-714は普通の緑の翡翠の指輪のように見えますが、それに触れたどんな人間の指にも合うように適切に伸縮する能力があります。ただしこれはSCP-714の最も重要性が低い特徴です。SCP-714のサイズは「新しい」装着者が触れた時にのみ変わります。
SCP-714はいくつかの主要な効果があります、詳細は以下の通りです:
1)疲労、休憩/睡眠に対する欲求
SCP-714を装着して数分以内に、装着者はひどい疲労感(身体的、精神的)を報告します。そのため、装着者は「ちょっと座って休みたい」衝動に駆られ近くの家具に横たわり、多くの場合に数時間の眠りに落ちます。SCP-714をつけて寝ている人物を起こすことは、装着しているSCP-714を取り外すことによってのみ可能になります。SCP-714を外した後は通常の手段によって起こすことが出来ます。目覚めている装着者からSCP-714を外すと疲労感は数時間以内に消えます。一方で装着したまま眠っている人物から取り外した場合は、たとえ数分しか寝ていない場合であっても、よく休めた気分であるとの報告がされます。
強制的に眠らされた装着者の呼吸等の身体機能は続くものの、SCP-714が装着者の必要を'考慮'しているわけではありません。SCP-714を取り外さず装着者が目を覚ますと、殆どの場合で数日の内に脱水や餓死で死に至ります。SCP-714の老化への影響(あるとしても)はまだ研究されていません。
すでに疲れきっている人間にSCP-714を装着した場合は、その場に眠りに落ちるか、あるいは倒れ込む恐れがあります。SCP-714の装着者の近くに家具やそれに近いものがない場合、装着者はその場で立ち続けるか、適当な材料(クッション、毛布など)を使用して休む場所を作ろうとします。
睡眠への衝動は抑えることはできますが、それには装着者の強い意志と自制心が必要になります。そのような場合であっても、以下に示す効果のために現場での使用は現実的でありません。
2)反射力、運動力の低下
装着者の反射速度は著しく低下します。通常時には迅速で、機敏で、身体的に健康な人物も、たとえ予告され準備に十分な時間が与えられとしても、ゆっくりと投げられた物体を掴むことに苦労します。SCP-714を装着した状態での重機やその他車両の操作はいかなる状況でも固く禁じられています。
SCP-714の装着者は通常時より非常にゆっくりした動きになり、全力を出しても平均的な歩行速度程度でしか動けません。決して身体的に遅くなっているわけではありませんが、全力を出すことができなくなってしまいます。
3)精神力の低下
恐らく精神的な疲労の一部として、SCP-714の装着者は'思考速度が低下'したり、コミュニケーションに適切な言葉を探すことに苦労したり、通常時のように明瞭に思考することができなくなります。
装着者は決して漠然的だったり複雑な答えを必要としない簡単な質問(例:この赤いボールは何色ですか?)でも、答えるのに長い時間を必要とします。
SCP-714を取り外すと数分で通常の精神状態に戻ります。
4)精神的'盾'
低下した精神力は思わぬ"効果"をもたらします、SCP-714の装着者はミームや精神への障害(とりわけ命令や即効的な精神障害)に対し驚くべき耐性を発揮します。弱いミーム程度なら全く影響を受けない場合があります。ミーム、精神障害のどちらの場合でも装着者はその力の源に強い本能的な強い恐怖を抱きます。この恐怖感はあらゆる手段を用いてでも即座に'シェルター'を探そうとし、場合によっては力の源を破壊しようと試みます。この'保護'はSCP-714を装着している間はずっと続きます。
即効性でないミーム障害にさらされた場合は、依然として装着者は深刻なリスクにさらされています。それらの障害に対するSCP-714の'保護'の程度がまだ完全には不明であるため、そのような影響は通常時と同じように扱うべきです。
加えて、単に衝撃的、または不穏であるために嫌悪感や吐き気などをもたらす'通常の'画像や音は、SCP-714の装着者には全く効果を発揮しません。一度SCP-714を外すと装着者はそれを見たことすら覚えていません。平凡な説得行動(例えばやる気を起こさせる話)は、話者の技術やカリスマ性に関係なく、効果を発揮しません。
5)化学耐性
ミーム影響を防ぐだけでなく、SCP-714の装着者はその体に対する化学物質の効果を遅らせる、または無効化させます。有毒物質全般を防ぐことはできませんが、特に神経または/および神経系統に何らかの方法で影響を与えるもの(例えば覚醒剤や鎮静剤)には非常に効果があります。SCP-714を取り外すと、この無効化効果はすぐになくなります。SCP-714を装着中でも通常の過剰摂取による効果には耐えられない場合があります。
詳細な観察を行っても、SCP-714の様々な効能を引き起こす方法はまだ発見されておらず、何かしらの異常な放出も検出されていません。どのようなものであれSCP-714に甚大な損傷が加わると(例えば真っ二つに砕くなど)、その効果は即座に消え去ります。砕けたSCP-714の欠片を集めて近くにまとめると、まるで液体のように元の形に戻ります。SCP-714が再び形成されると、まるで破損したことがなかったように効能は再び現れます。修復に非常に時間はかかりましたが、粉状になるまでSCP-714をすりつぶしても"自己修復"しました。現時点では自己修復機能の正確な性質は判明していませんが、理論的には完全に気化した場合でも自己修復できると推測されています。しかしながらSCP-714は危険度が低いため、そのような実験を行なうことはリソースの無駄であると見なされています。█████博士またはその他の適当な職員に許可を得れば、様々な方法で破壊したSCP-714が自己修復している映像を見ることができます。
SCP-714の起源を探る試みは自己修復能力のために無駄であると判明しています。また、エージェント████████が濃いコーヒーを数杯飲んだのにもかかわらず異常に強い眠気に襲われ、起きた時にはSCP-714をいつの間にか手にしていたことが報告されました。エージェント████████には適切に懲戒処分が下され、SCP-714が持ち出されないよう常に厳重にロッカーに保管するよう規定されました。
SCP-714の脱水症状、および強い休息への衝動の効果は、特定のSCPに対する保護手段としてSCP-714を使用することを非常に非現実的にしています。現時点においてSCP-714の危険は、装着者が眠りに落ち、結果として脱水や飢餓により生命活動を維持できなくなること以上にはないと考えられています。
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実験メモ: █████博士により編纂された、音声記録の書き起こし
記録01-05-20██
「これまで、すべての実験でSCP-714の効果の原因の調査に失敗している。もし我々がこれを副作用なしに使えたらどれほど有用であるのかを強調する必要があるとは思わないが、現在までのところ我々が試したことは全て意味がなく、よってSCP-714は現在 Safe/Euclid に分類されている。我々はそれが何であるかは知っているが、どのようにしてそうであるのか分かっていない。私がそれは100%Safeだと言いたいのと同じだけ、現在はっきりと分かっていないことがある。」
記録12-05-20██
「依然として厳しい道程だ。SCP-714の作成日に関して情報を得ようとする中で、少々発見があった。それの一部は遠く昔に遡って西暦およそ100~200年の中国が起源と推測される。しかし他のサンプルは、比較的に、より最近のものだ…まるで様々な欠片で出来上がっているのに、傷ひとつない翡翠の指輪のようだ。一方で幸運にも我々はそれを以前誰か所持していたのかについて知ることが出来た、SCP-714に一致する特徴の指輪が近くにあった時に、翡翠の像が紛失したとの報告がいくつかあった。なんて偶然だろうか、うーん?」
「おそらくSCP-714の再生や大きさの変化といった能力は、より良い用語が無いが、他の翡翠と'同化'することから生まれたのかもしれない。分析の結果、SCP-714は一般的な翡翠に比べ密度が高いのにもかかわらず、まったく重くなっていないことが判明した。何かしらの異次元につながっている、そんなことはありうるのだろうか?世界の重さを誰かの両肩に託す手段の1つかもな、へっ。」
記録27-05-20██
「OK、追跡は少しは進展したさ。これは1800年代、だいたい1870年~1880年ごろ、世界中を周っていたある考古学者が、お墓や見放された寺院で見つかるかもしれないような像や人形といった翡翠の人工物を探していた時に見つかったものだ。彼は豪華であると言われているお墓を探し…もちろん最終的には見つけてその中に入り、翡翠のアイテムとしてSCP-714だけを手に入れたらしい。わかりづらいな。SCP-714に一致する歴史資料があまりにも少なく、実際にいつ頃造られたものと断定するのは難しい。いらいらする。」
「残念ながら、例の考古学者の日記は風化してしまっており、そして彼の記述は不十分で、彼がSCP-714を装着したのか、手に入れた結果がどうなったのか、それとも身に付けることすら考えなかったのか判断できない。私が分かったのは、彼がその指輪の近くで一晩過ごした後、窃盗や侵入の形跡が無いのに近くのコレクションが'紛失'したため、すぐに彼が指輪を捨てたということだけだ…」