アイテム番号: SCP-717
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-717は、一般に██████████天文台として知られるサイト-██で覆い隠す形で収容してください。天文台のドームは、SCP-717が活性化する午後10時30分から午前3時30分までの間、閉じ続けられなければなりません。サイト-██の外部には、最少でも12人の武装した警備員を常駐させてください。緊急事態に備え、警備員詰所には火炎放射器と閃光弾を配備してください。
サイト-██内の温度は10℃を超えないようにしてください。サイト-██内の電灯がSCP-717の活性化時に一つでも点灯していた場合、減光を行ってください。サイト-██には、担当の警備員2名を含んだ、3名のグループで進入してください。サイト-██に進入するスタッフは、暗い色合いの防寒具と暗視ゴーグルを装着してください。懐中電灯および照明弾の携行は許可されますが、緊急時以外での使用は禁止されます。ラジオ端末や携帯電話は持ち込まないでください。
SCP-717が収容違反した場合は、サイト-██内の全てのフラッドライト1を作動させ、施設内のサイレンを鳴らしてください。全てのサイト関係者は指示があるまでサイトから退去し、火炎放射器を装備した状態で待機してください。
詳しくはSCP-717の個々の構成要素に関する手順の説明を参照してください。
説明: SCP-717はサイト-██で覆い隠された2階建てのビクトリア朝様式の家の廃墟の、上階に存在する来賓用のベッドルームです。SCP-717に通じている廊下の壁は焼け落ちており、SCP-717の扉は常に閉じています。職員は定期的なメンテナンスの際、SCP-717内に入る前に同道する職員1人に対し1回ずつ扉をそっとノックする必要があります。廃墟内の扉は、SCP-717に通じるものを除いて全て取り除かれています。
SCP-717-1は白い布地でできたマネキンで、可能ならばテーブルの前に座った状態でSCP-717内に常駐させることになっています。職員はSCP-717-1の位置と、1日に1回行われるマーキングに注意しなければなりません。全ての変化や移動の兆候はすぐに報告を行ってください。SCP-717-1の前のテーブルには、ランプ、筆記用具一式、大きなブロック体の文字で修正されたウィジャ盤がなければなりません。
他の物品はこのテーブルの上に配置されません。SCP-717-1が動きの兆候を示した場合は、職員が1人テーブルの前に座って待機してください。その職員はランプの電源を入れて修正されたウィジャ盤上の単語の「待て(WAIT)」を指差し、そしてすぐにランプの電源を切ってください。職員は静かにし、落ちつくまで着実に呼吸を行ってください。
SCP-717-2は、[編集済]合金のメッキで線を描かれた、チタン合金製の地下室の扉の奥に封印されています。この扉はSCP-717-1の背後の壁に取り付けられています。地下室は、双方の合意によって封印されたままにする必要があります。口笛の音が地下室より聞こえてきた場合は、収容違反を防ぐためにすぐさまメンテナンスを行わなければなりません。
SCP-717-2の地下室が向こう側から破られた場合は、敵対的な行為と見なされます。SCP-717との意思疎通は直ちに取りやめ、職員は侵略者を撃退するために武器を装備してください。
補遺: 権限のない職員が、権限を持つ職員が到着するまで辛抱強く待つことを頼む以上には、SCP-717-1と意思疎通を行うことは禁じられています。このことは出来れば多少日数を要してでも、SCP-717-1に理解される必要があります。SCP-717-1への長時間の曝露は、不安や不快などの負の感情を誘発します。この症状はSCP-717-1の痙攣のような動きや、垂れ下がった首、周囲の不自然な寒さが原因とみられています。SCP-717-1実体への曝露は[データ削除済]の原因となると示されましたが、このことからSCP-717は我々ほど熱心に意思疎通を行おうとはしていないことが予想されます。
権限を持つ職員が24時間以内に到着しない場合、現場の職員は3回続けて「待て(WAIT)」を軽く叩いた後に退室しても構いません。権限を持つ職員が到着するまで、現場の職員は24時間に1回、SCP-717-1に「待て(WAIT)」と頼むために部屋に戻る必要があります。
また、Bクラス以上の職員は、文書017-1を必ず参照してください。
インシデントログ
以下の文書は1962/01/31、生存者のM███ E████ H██████氏(当時17歳)による証言です。
H██████氏: ……[私たちが]この家にやって来たのは、ここの地下でかつて古いカルト宗教が信仰されていたという噂を耳にしたこと、そして出来る事ならばウィジャ盤を用いてここにいる魂たちと対話をするところを見てみたかったからです。私たちが最初に見つけたのは建物で、そこかしこからペンキの臭いがしていました。私たちは地下室を見渡して、たくさんの家具がそこに移されて、シートで覆われているのを見ました。今思えば、私はそこでそれを見ていたのを覚えています。
エージェント・████: 一体何を見たのですか?
H██████氏: フックにかかっていて、洋服だんすにもたれかかっていたマネキンです。みんなはそれを笑っていました、最初は幽霊だと思っていましたから。そして私たちは上階に行って、少しばかりのロウソクを灯して、ウィジャ盤を取り出しました。
エージェント・████: それから何が起こったんですか?
H██████氏: するとすぐに、とてもとても寒くなりました。私たちは質問を始めましたが、それらの答えは全て「出て行け(GET OUT)」というものでした。そして████2はさし棒を掴んで、何度も何度も「止まれ(STOP)」をつづり続けました。████は手が勝手に動いている、私は一人で彼らを動かすことは出来なかったと言いました。ロウソクはチラチラと揺らめいていましたが、ウィジャ盤の上に落ちた影は少しも動いていませんでした……そして下の階から大きな叩くような音が聞こえてきて、私は走って逃げようと思い立ち上がって、そしてつまづきました。
(H██████氏は数分間沈黙し、気を落ち着かせた後再び語りだす)
H██████氏: 私はその時にロウソクを倒してしまったんだと思います……全ての塗りたてのペンキと煙が……
エージェント・████: あの火事は仕方のない事故でした。その時起こった出来事に集中してください。
H██████氏: 暗い何かが、部屋中の壁紙に色を付け、そして剥がし始めました。壁紙の裏には何か文字が書いてあったように思います。そのうちの一部はすでに見えていました。そのとき、壁の暗い点に全てを吸い寄せるようにどこからか風が吹いてきて、炎をよりいっそう大きくしました。炎は私と他の皆を隔ててしまって、そうして……それが壁を通り抜けてきた時に████は壊れてしまいました……まるで彫像のように。彼女はまるで凍ってしまったようでした。それはまるで壁に吹き付ける黒いカーテンの波のようで、そして泣き叫んでいるようでした。そこには手や、顔や、他人を掴もうとしている何か別の物が、仲間を窒息させるように存在していました。しかし彼らは炎を通り抜けて私の方に来ることはできませんでした。私は下の階へ逃げました。下階への扉がバタバタと開閉していました。私はその扉を潜り、虫のように階段を跳ね回る、手が血に覆われた例のマネキンの前を通らなければなりませんでした。それは壁を登ってあらゆる壁紙をひきさいていて、そこに血を塗っていました。それは私に決して触れませんでしたが、私がここから立ち去るのを邪魔しているように見えました。私にそれを見せつけるために。
エージェント・████: 壁にはなんと書いてあったのですか?
H██████氏: ありとあらゆる壁や扉には「止まれ、止まれ、止まれ(STOP STOP STOP)」と書いてありました。炎は私をそれに押しつけるように近付いてきていました。それは燃え始め、炎をくぐり抜けようとする間に腹部や顔から溢れるように出血しているようでした。その血の一部は私がドアの外に向かって走っている際に付着しました。
H██████氏: 私は消防車がやってくるのを見ましたが、彼らが到着したとき、消防士は私の横を通り過ぎて行ってしまいました。私が藪に落ちたところで私の方を見ませんでしたし、彼らはその後帰ってきませんでした。その時は気付いていませんでしたが、血が私の足の感覚を奪っていました。彼らは壊れてしまった、そう思いませんか?████のように、彼らは壊れてしまったんです。教えてください、医者は私に何も見せてくれません……
H██████氏にはクラスA記憶処理が施され、脚は切断されました。組織の損傷は、灰の中から発見された凍り付いた組織と状態が一致していました。マネキンは、SCP-717を収容するサイトより移動させたところ、異常性は確認されませんでした。手に付いていた染みは地下室で見つかる黒いペンキであり、血ではありませんでした。ペンキからは異常な物質は検出されませんでした。
SCP-717実体との意思疎通は、地下室で発見された第2の活性化したマネキンを用いて行われました。収容手順は承認され、SCP-717は特定の活動の停止が協議されるまで向こう30年間休止状態にあります。例え何があろうと、誰一人としてSCP-717との交渉を行ってはいけません。