Info
タイトル: SCP-7187 - そして森は静寂に包まれる
翻訳責任者: Tutu-sh
翻訳年: 2022
原題: SCP-7187 - And The Forest Fell Silent
著作権者: OzzyLizard
作成年: 2022
初訳時参照リビジョン: 12
元記事リンク: https://scp-wiki.wikidot.com/scp-7187
カリフォルニア州セコイア国有林
アイテム番号: SCP-7187
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 市民がアクセス可能な森林内にSCP-7187が発生した場合、機動部隊ガンマ-4("緑の牡鹿")が対処し、さらなる目撃者は全員記憶処理を受けます。あるエリアで現象の発生自体が繰り返される場合、異常生態学部門は当該領域での観察可能な異常存在の調査を要請されます。
SCP-7187に類似する状況を経験した場合、あるいは同定不能の存在を森林内で目撃した場合、財団職員はエリアからの即時撤退を勧告されます。
説明: SCP-7187は、北アメリカの森林あるいはそれに類似する樹木の生育するエリア内において、全ての聴覚刺激のほぼ完全な停止として発生する現象です。イベントの記録は膨大であるにも拘わらず、SCP-7187の発生理由・初期発生・発生状況は不明です。
最初に当該現象は異様に静かな環境を生み出すことで顕在化しますが、その70%以上の事例において当該エリアの近傍における異常実体の目撃に帰結することが指摘されています。そのような生物は往々にして財団の既知のものですが、通常は同定不能であり、森林の奥深くに生息する未収容の異常存在と推測されます。現在、残る30%の事例では、関係者が単に実体の出現を認知していないものと考えられています。
現在の仮説からは、SCP-7187自体は非異常であり、むしろ異常生物あるいはその群集の存在によって生み出された状態であることが示唆されます。
補遺7187.1: 報告された事例
1902年以降、SCP-7187の約700実例が地元警察あるいは合衆国魚類野生生物局により公式に集計されており、これらの集計はその体験の同定を目的としています。これらの集計の数多くは不完全あるいは証拠を欠くものですが、以下は、財団が2022/10/10現在把握している直近の顕著な発生です。
7187実例 No.004:1 2009/07/11、マウント・フッド国立公園
詳細: ハイカー1名(ジェームズ・ソン、26歳)は正午にマウント・フッド国立公園を散歩しており、その後観察下に置かれたような感覚を覚えたという。遠方の岩石が投擲される音が聞こえ、地面が厚みを増すにつれて、ソンの懸念は増大した。最終的に、彼自身で発生させた音を除いて全ての音が喪失したことに対象が気付いた14:38頃、SCP-7187の影響が発生した。彼は硬直した後、森林の空き地の小さな尾根を見つめる。その頂上では、成功に至っていないものの、樹木への擬態を試みているように見える二足歩行性の実体が立っていた。両者が互いに見つめ合った後、実体はぎこちない動作で前へ踏み出し、対象はその場から逃走した。
7187実例 No.011: 2011/10/14、セコイア国有林
詳細: 対象(ミリー・ハリス、38歳)はセコイア・フォレストでのグループハイクに参加していたが、気付かないうちに経路を外れ、孤立した状況に置かれていた。パニックに陥った彼女はパーティへの連絡を取って再合流を試み始めたが、8分の呼び出しの後、彼女は森の中で自身の声しか聞こえないことに気が付いた。その直後、一貫した形状を示す茂みが約1時間に亘って彼女を追跡して前進していることを察知し始めたという。このことに気付いて逃走を開始した対象は、物体が「ギリースーツ」2を纏ったヒューマノイドであることを認識した。この遭遇の後、対象はパーティに再合流した。
7187実例 No.038: 2013/04/27、ノース・カスケード国立公園
詳細: 明るい森の中、市民1名(ニール・フィッシャー、24歳)は飼い犬の散歩に際してノース・カスケードの最西端の境界を巡回していた。散歩を開始して1時間後、対象の犬が不合理な行動を示し始め、突如として立ち止まり、吠えることなく藪の中に駆け込んだ。これはイヌ科の行動としては典型的なものではない。フィッシャーは約10分に亘って犬を追って森の奥に入った後、SCP-7187の特徴が顕在化し、前方を走る犬の音のみが優勢になったことに気が付いた。最終的に対象は林間の空き地に辿り着くが、そこには彼の犬が立ち、いまだに藪の方を指している。犬が吠え始めると同時に、両腕に一束の真菌類を抱えた大型のSCP-6644実例が立ち上がる。それは犬を見つめた後、ゆっくりと歩いて立ち去る。対象は犬を掴んで反対側に逃走し、遭遇の後に当局へ通報する。現地の視察の結果発見されたものは、ハウリング・ウッズ国立公園へ引き返すように続くキノコの散乱した跡だけであった。
7187実例 No.052: 2015/09/06、トンガス国有林
アラスカ州、トンガス国有林
詳細: 対象(ルパート・モリス、56歳)は国有林と接するアラスカ州の田舎に位置する自宅でテレビを視聴していた。彼が台所から食事を用意するため視聴を一旦中断する間、異常な活動は報告されていないが、監視カメラからは木の群葉の動きが突如失われたことが映し出される。このことから、風の状態が即座に落ち込んだことが示唆される。これはSCP-7187が天候を介して音の欠如を促した依然として唯一の例である。リビングルームに戻ったモリスは屋外の物体に興味をそそられた。1羽の白色のウサギが樹木に届く範囲に移動している様が見られる。対象は勝手口を開けて自宅から出た後、動物に手から餌を与えようとするが、動物は提供されたものを一旦口にすると即座に嫌がる仕草を見せる。当該の動物は後方に引き摺られ、アンコウの性質と同様の機序で洞に収納する、細い木の枝にそれが附随していることが明らかになる。木は即座に自身の根を抜き、その大きな根系を用いて歩み去る。
7187実例 No.075: 2019/10/21、アパラチアン・トレイル
詳細: 1名のハイカー(メル・コッティス、41歳)はアパラチア地域の田舎で3日間の旅行の道中にあった。正午頃、彼女は一時的なシェルターから出発し、彼女のキットから銀食器のいくつかを紛失していることに気付いたが、それに構わず旅を続けた。対象は普段トレイルに用いられる経路を歩いていたとはいえ、晩も含めて午後の大半を単独で過ごしていた。19:50頃、彼女は空を見上げ、夜空に見える早い「星」を撮影する。実際には、件の物体は暗褐色に輝いており、星とは考えられない。30分が経過した後、コッティスは火の音を除いて彼女の周囲の音が一切聞こえなくなったことを思い出す。対象のキャンプから20m離れた尾根の頂上には、奇形のシカが立っている。対象がSCP-6448実例と思われる実体を見つめた後、実体は後肢で立ち上がり、コッティスに向かって歩を進め始めた。この時点で彼女はテントに引き返した。夜が明けて鳥の声が聞こえるまで、実体は夜間にシェルターの外に留まり続けたという。トレイルカメラの映像からは、キャンプファイアの前に実例が座り込み、焼きマシュマロを摂食していたことが明らかになった。
7187実例 No.082: 2021/05/18、█████ [作戦地域編集済]
詳細: 無関係のアノマリーの収容の間、ワシントン州の田舎で機動部隊ガンマ-4のマイヤーズ工作員は█████・ウッズを巡回した後、より広範囲をカバーすべくチームから離脱した。直後マイヤーズは小型の洞窟を発見したが、そこには動物の生息した痕跡がほぼ無く、進行中の調査作戦との関連が示唆された。直後、工作員は部隊のメンバーに対して通告し、当該エリアの航空測量を要求した。岩石や群葉の集積物の中には、「引き返すな」と記された1枚のA4用紙が埋没していた。メッセージを無視して工作員が洞窟の入り口に向きを変えると、突如として静寂が訪れた。洞窟から数m離れた木々の小さな開口部には、マイヤー工作員に類似する人型実体が立っていた。この数秒後、ヘリコプターの光がエリアを照射し、実体は消失した。当該エリアの後の調査を経ても、そのような個体が存在した証拠は明らかにされなかった。
当該ログは確認された詳細な現象の報告のみが纏められているため、上記は発生した全てのSCP-7187のごく一部でしかありません。その全容は不明です。多くはカバーストーリー190Ω「UFOフィーバー」や898Γ「ミッシング411」の下で公的に説明されます。
補遺7187.2: 収容更新
2022/10/15、サイト-198のウッズ管理官はSCP-7187研究主任であるT・デイヴィス研究員と協議を行いました。主題はアノマリーの収容に対するより直接的アプローチ、特に異常存在の捕獲・研究を目的とする敵対的力の使用に関する提案です。会話の要約は以下の通りです。
SCP-7187様現象が北アメリカ以外で発生したとの直近の報告を受け、関連実体の積極的狩猟が許可されました。さらなる調査は進行中です。