SCP-7321
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アイテム番号: 7321
レベル1
収容クラス:
euclid
副次クラス:
none
撹乱クラス:
dark
リスククラス:
notice

特別収容プロトコル:

SCP-7321は現在、サイト400の霊安室である標準的異常死体用ロッカーに保管されていますが、この位置から移動しないでください。移動する場合には、財団の歴史部門の明確な許可が必要です。西暦2000年からは、生命活動の兆候が現れる可能性に備え、SCP-7321は常にセキュリティオフィスのサイレントアラームに有線接続された心電図センサーを用いながら低レベル監視下に置いてください。

説明:

SCP-7321は、身長およそ2メートルの男性の死体です。腐敗の程度は通常の死体に見られるものと相違ありませんが、その腐敗は通常とは逆に進行しているように見受けられます。つまり、SCP-7321の腐敗の状態は、時間経過に連れて軽度になっていき、死体としてより死後間もない状態になります。

本プロセスの進行程度を鑑みて、現在、SCP-7321は西暦2000年までに完全に再生すると仮説が立てられています。SCP-7321が生命機能まで回復できるかについては、現時点では未知数です。

補遺 7321.1: 発見記録

財団の歴史部門の情報収集の限りでは、SCP-7321は、1922年にサイト400の霊安室が建設されてからずっと、標準的異常死体ロッカー400-M-0040852に保管されていたと考えられます。同霊安室の建設作業員らは、当初SCP-7321が地表に現れた際にこれを発見していましたが、その際にはSCP-7321は無視されました1。地下の土台となるコンクリートが硬化した後、作業員らはまた同じ死体が床の上に出現していることを確認しており、床に木材で下張りを行った後には、その上に同じ死体が出現していることを確認していました。この死体の移動について、誰も移動などしていないと証言しています。最終的に死体は400-M-004852の中に収められ、その後何も知らない霊安室担当助手がこれを発見するに至りました。

補遺 7321.2: 検死報告

補遺7321.3: インシデント記録

<記録開始。2003年7月10日 16:00>

サイト400の霊安室は静まりかえっている。カメラがSCP-7321の顔に近づく。顔はほぼ腐敗から回復している。血液は徐々に皮膚を這い上がるようにして出血元の傷口へと入っていく。

心電図の表示に変化はない。

SCP-7321の両目は閉じられている。

<16:05>

心電図からビープ音。微かな心拍が確認される。

<16:23>

セキュリティ担当のスタニスワフ・ウォンとオルジェド・オルテガが死体安置所に到着。警備を開始する。

ウォン: [震えながら] なるほど、空調管理予算はここに使われていたと。ちょっと弱めたら駄目なのか?

オルテガ: 駄目なんだろう。ここにある異常死体が、充分な保存状態でなかったために起き上がったりしたら大変だ。

ウォン: そんなことがあるか?

オルテガ: わからんだろ。[溜息]

ウォン: どうしたんだよ。

オルテガ: いや、別に。

ウォン: 何だよ。

オルテガ: いや、ちょっと歴史というものについて考えていたのさ。これまでとこれからというすべての時間の中で、俺たちがいかに矮小な存在であるかとか、狩猟民族だった頃から遙々こうして進化してきたこととか。でも、それも長くは続かないだろうと。

ウォン: なぜ?

オルテガ: 俺たちが何をしようと、気候変動で地球上のあらゆるものが焼き尽くされて、それで俺たちは皆死んじまうからさ。

ウォン: 悲観主義なこって。

オルテガ: これは避けられようがない未来なのさ。熱力学の法則によれば、エントロピーは時間経過に連れて常に増大する。ここで空調を効かせても、どこかでは熱が発生しているんだ。

ウォン: でもこうして空調が効いたところに留まれば良いだろ。

オルテガ: それだっていつまでもってわけにはいかない。空調を使い続けている間、爆発的に熱は溜まっていって、壊れた瞬間にそれが襲いかかってくる。

ウォン: 壊れると決まったわけじゃないだろ。もしかしたら俺たちの世代で、気候変動の問題を解決できるかもしれない。

オルテガ: どうかな。俺たちがやっていることは先人と同じさ。昔に戻って先人が世界を滅茶苦茶にするのを止めることもできやしない。

<16:40>
SCP-7321の主任研究員であるペルティウィ博士が、セキュリティ担当のミネルバ・モヘデとターミナス・ティワと共に現着。

ペルティウィ: 皆さんお疲れさまです。まずウォンとオルテガは部屋を出てください。こちらの廊下で報告を。患者に報告以外の生体信号は?

オルテガ: 非常に弱い心拍です。意識回復のサインはありません。

ペルティウィ: そうでしょうね。意識を取り戻すのに充分な血の量と組織機能を回復するにはそれなりに時間がかかるはずですから。外から扉をロックしてください。目を覚ましたときに何をするか分かりませんから。収用違反のアラートの準備も。

ウォン: 了解です。

SCP-7321の両目は閉じられている。

<17:53>

ゆっくりと、SCP-7321が目を開く。

その表情はまず穏やかなものに変わり、それから悲喜交々ながら達成感を覚えているようなものに変化。SCP-7321は、居心地を調整するように、ゆっくりと位置を変える。後、嚥下の様子。その後、口からクレヨンを取り出し、これをポケットに入れた。

ペルティウィ(スピーカー越し): こんにちは。SCP-7321。聞こえていますか?

死体用ロッカーの開閉部が解錠されるが、人的操作はされていないように見受けられる。SCP-7321は起き上がり、脚の傷が開いているため脚を引き摺りながら、開閉部を押し開ける。

ペルティウィ: SCP-7321、落ち着いてください。あなたは大怪我を負っています。協力して頂けるなら、医師を送り、手当をさせます。どうか、その場から動かないでください。

SCP-7321は死体用ロッカーをよじ登るようにして脱出、逆再生のような動きで這うように、霊安室の扉に向かう。この扉も自動で施錠が解除されて開く。

モヘデ: 一体どうやって? 意味が分からない。

ティワ: 嗚呼、神よ、ついになのですか。今日が私の初めての収容違反の日なのですか。

オルテガ: 俺たちが失敗すればな。

ペルティウィ: SCP-7321、それ以上先に進まないでください。さもなくば発砲します。これが最終警告です。

SCP-7321は逆再生のように一歩を引き踏み、部屋の出口を跨ぐ。収容違反のアラームが鳴る。

オルテガがSCP-7321に発砲、SCP-7321はよろめくもすぐに立ち上がる。表情は痛みを予期してか顰めているが、身体に傷はない。ボロ2がひとつずつ、ウォンの脚に巻き付くように突如出現。この出現は大量の熱放射を伴っており、ウォンは痛みに絶叫した後に意識を失い倒れる。それと同時に、出現したボロと同じものが、出現位置から投擲されたように飛び、これをSCP-7321がつかみ取り、それを納めるべきポケットへと収納する。オルテガは処理の後に再度銃器を構えるが、SCP-7321は跳躍してオルテガの頭部にサイドキックをする。通常頭部に一撃を受けた程度で意識を失うことはないが、これによりオルテガは意識を失う。この部分の映像記録の詳細分析によれば、実際の蹴りの僅かに前後、頭部は複数回のインパクトを受けていることが示された。SCP-7321は着地して後ろ向きに数メートル走る。そのまま、廊下を駆け抜ける。

SCP-7321: 。うよきではいらくとこるせか抱をれ恐に敵に後、もとずれなに在存るあ誉名てっとに胞同に今のへ去未3

SCP-7321は施設内を駆け抜ける。収容違反の後、すべての扉は封鎖されていたが、SCP-7321が近づくと扉はすべて開いた。施設は構造的に非常に複雑であったが、SCP-7321は施設の特定の出口まで効率的なルートを辿って移動。後の調査で、施設全体の廊下全域に暗闇で発光するクレヨンの印が付けられていたことが判明。こうした印はSCP-7321が移動した経路以外の道にも確認されたが、ほとんどはSCP-7321の経路から分岐したところで消されていた。印の中には近くの警備の存在を警告するものや、警備が廊下を通って移動するする非常に具体的な時間を知らせているものもあった。こうしたものの多くは不完全で、急いで書かれたものであるように見受けられる。

ペルティウィ: 止まりなさい、SCP-7321。

ペルティウィ博士とセキュリティ担当のモヘデおよびティワがSCP-7321と外部に続く扉の間に立ち塞がる。セキュリティ担当のふたりは銃器を構えている。

SCP-7321は停止する。その表情は突如、怒り、哀しみ、深い恥辱の色を見せる。

メルティウィ: モヘデ、ティワ、扉の解錠機構を破壊してください。

モヘデとティワが、外部への扉の解錠機構に送電しているワイヤーに発砲。

SCP-7321: 貴様と同じだ。カードを通して入った。ふたつめの質問については、少し後だ。

SCP-7321がレベル3認証カードを持って示す。

ペルティウィ: 互いに少し落ち着こう。聞かせてくれ、どうやって扉を通った? 待て、それは私のカードじゃないか! いつそれを取った?

ペルティウィがSCP-7321からカードを奪い取る。

SCP-7321: (破壊された扉の機構を指しながら)それは良くなかった。

SCP-7321は抵抗せず、ティワとモヘデと共に、外へ続く扉から離れた廊下の奥まで移動。

SCP-7321が床に伏せた。その後、爆発が発生して外の扉が蝶番から外れ、これに合わせてSCP-7321は飛び起きた4。この爆発により、ティワとモヘデがその場で倒れ、扉の近くにいたペルティウィは衝撃で昏倒した。SCP-7321は外に走り去った。

SCP-7321: (驚いて状況を見ている様子で)。かとこういと運命るき生に恥に久永は私もに来過、やはやい5

以前には未発見であった内部次元の道が短時間開き、SCP-7321はこれに逆再生のように飛んで入り込んだ。財団の奇跡学担当者がこの次元の道を再度開くことはできていない。この道が発生した周囲のエリアは、以来警備されている。

この入口の跡の外側に、クレヨンで書かれたマークが1,500億個発見され、それぞれが000 000 000 000から始まる数字順に12桁のパスコードの組み合わせになっていた。

<記録終了。18:10>

補遺7321.4

前述のインシデントの発生後、SCP-7321の死体用ロッカーから赤く光る金属製のプレートが発見されました。その内容は以下の通りです。

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