SCP-7340
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医療サイト-96、SCP-7340麻酔手術台。

特別収容プロトコル: SCP-7340の使用は研究責任者によって厳重に制限されており、以下の状況でのみ用いられます。

  1. 患者の生命が医療措置を必要とする緊急事態で脅かされている。
  2. 手術が唯一の治療手段である。
  3. 問題の手術の成功率が25%未満である。
  4. 患者が高い苦痛耐性を実証している、及び/または強化尋問に耐えた経験がある。 (注記: この条件は研究責任者の裁量で除外される場合があります。)

重要な職員、要注意人物、囚人の治療におけるSCP-7340の使用は、患者自身の同意が無い場合でも、予め承認されています。

説明: SCP-7340は外科手術に広く使用される全身麻酔薬、米国薬局方規格のイソフルラン (C3H2CIF5O) が入っているドラム缶の一群です。ドラム缶自体に異常性はなく、封入されたイソフルランも手術の現場以外では異常な挙動を示しません。

SCP-7340の異常な効果は、外科手術の麻酔薬として使用される時に発現します。この状況下では、SCP-7340は平凡なC3H2CIF5Oから次のような逸脱を示します。

  • SCP-7340は期待通りの全身麻痺を引き起こしますが、意識喪失や鎮痛作用を伴いません。患者は手術中も意識と思考力を保ちますが、身動きや意思疎通は不可能です。
  • SCP-7340を使用すると、実験的な、及び/または不安定な外科手術の成功率は推定85%上昇します。

この作用によって、外科医がSCP-7340を用いた高リスクの手術は、異常に高い確率で成功します。財団は2022年10月時点で、1,416名の患者の治療にSCP-7340を使用し、うち1,308名が手術を生き延びています。

財団は2022/03/14、テキサス州ヒューストンにあるファースト・フェイス医療センターの一般外科病棟から、同病棟に勤務する麻酔科医の医療過誤の度重なる訴えに続いて、現在のSCP-7340の備蓄を押収しました。更なるSCP-7340実例が一般社会に流通している可能性が高く、調査が進められています。

ケーススタディ: 事案7340-16

2022/06/30、サイト-19の職員4名が収容違反で致命傷を負った。全員が経験豊富な収容スペシャリストであったため、損失は容認できないと判断された。このため、SCP-7340を用いた治療が承認された。退職防止部門によるSCP-7340の標準的な展開例として、各患者の手術結果を以下に示す。

ケース: アリソン・ハート次席研究員

ハート次席研究員は、上半身をアノマリーに噛まれて穿刺傷を負い、胃と肺に貫通孔が生じた。急速に進行する未知の細菌感染が咬傷を通じて伝染し、早急な処置が求められた。通常の外科手術の成功率は推定22%。

治療法: 体腔のドレナージと洗浄、穿孔の処置。

総手術時間: 7時間。

経過報告: 手術は成功。ハート研究員は心的外傷に起因する不安と不信を示し続けている。要カウンセリング。

注記: 手術前にSCP-7340の異常性を患者に通達することを推奨する。 -ピッツ博士

ケース: ドルーヴ・レディ次席研究員

脱走したアノマリーは、レディ次席研究員の左脇腹の皮膚の大部分を剥ぎ取った。彼はその後、部分的に収容違反で崩れた壁の下敷きになり、間もなく意識を失った。初期対応班は1時間近く経過するまでレディの存在に気付かず、その間に彼はクラスIV出血を起こし、体内の血液の半分以上を失った。通常の外科手術の成功率は推定11%。

治療法: 緊急輸血、広範な皮膚移植。

総手術時間: 6時間。

経過報告: 手術は成功。レディ研究員は、手術前に負傷と出血で既に意識を失っていたにも拘らず、SCP-7340の投与から間もなくして完全に意識を取り戻していたと報告した。

ケース: ウィルソン・ライト上席研究員

ライト上席研究員は逃走中のアノマリーの尾部に殴打された際、頭部、首、背中に鈍的外傷を負い、完全な四肢麻痺の危険に晒された。通常の外科手術の成功率は推定3%。ライトは自らに対するSCP-7340の使用に異議を唱えたが、特別収容プロトコルに則って手術は許可された。

治療法: 脊髄の減圧、脊髄の再構築。

総手術時間: 11時間。

経過報告: 手術は部分的に成功 — ライト研究員の麻痺は右腕・右足に限局された。ライトは手術以来、言葉を発していない。退職防止部門は彼を復職させる手段を模索している (下記参照) 。

ケース: ナディア・メルニコフ警備員

メルニコフ警備員は初期収容違反時にアノマリーと対峙した。彼女は両足の粉砕骨折、左腕肘部の外傷性分離、肺穿孔を被り、搬送前に大量の血液を失った。更に、酸の流出によって、胴体の大部分と左脚の皮膚が腐食し、臓器損傷を負った。通常の外科手術の成功率は推定0%。異常な手段で介入しない限り、確実に末期的な傷害であった。

治療法: 輸血、左腕肘上切断、両脚の内固定、肺ドレナージ、傷口・体腔洗浄、体腔再構築、広範な皮膚移植。

総手術時間: N/A (下記参照) 。

経過報告: 手術は予定通り始まったが、進行中の収容違反によって中断された。収容が再確立される前に、メルニコフ警備員 (依然としてSCP-7340で鎮静されていた) の一部はアノマリーに捕食された。数時間後、復旧中に手術室に帰還した職員は、身体構造が僅か13%しか残っていないにも拘らず、メルニコフが未だに脳活動を示していることを発見した。生命反応は、職員がメルニコフのSCP-7340静脈内注入を停止した時点で初めて消失した。

注記: SCP-7340の機能、特にその制限下で“外科手術”と見做される行為の境界について、更なる調査を推奨する。現場で運用できる可能性は? -ピッツ博士

更新: ウィルソン・ライト研究員

前述した部分麻痺に続いて、ウィルソン・ライト上席研究員は、手術の心的外傷が残っていることを理由に復職を拒否した。2022/10/31、セオドア・ピッツ博士はライトの宿舎を訪問した。退職防止部門によるSCP-7340の新規な展開例として、両者の対話を以下に示す。

[記録開始]

ピッツ博士: 今日の調子はどうだ、ウィルソン?

[ピッツ博士は言葉を切る。ライトは沈黙している。]

ピッツ博士: まだ回復途上なのは分かっている。厳しい時期だろう。何か持ってこようか? 紅茶は? 君はヨークシャー・ゴールドが好みだと聞いているよ。

ライト: 何をしに来た?

[ピッツ博士は笑顔になる。]

ピッツ博士: すぐに本題に入る、か。 君はいつもそうだったな。

[ピッツ博士は脚を組み、ライトに微笑みかける。]

ピッツ博士: ウィルソン、いつ頃サイト-19の職務に復帰できそうかと思ってね。

[合間。]

ライト: あそこには戻らない。

ピッツ博士: あー、いや、ウィルソン、例の事故で消耗しているのは分かるとも。しかし、それでもそう言われるのは残念だ。チームは君の助けを何としても必要としている。君の知識に代わりはいない。

ライト: ふん、探すしかないだろうな。あの手術の後じゃ、俺はもう働けない。司令部にもそう伝えた。

ピッツ博士: そう、そうだな、当時の会話のログが手元にある。なんでも君は — 夜驚症に苛まれていると? 心的外傷後ストレス?

ライト: 精神科医どもがあれをそう呼ぶのなら、そうだ。

ピッツ博士: そうか。実はな、ウィルソン、良いニュースがある。何が君の助けになるかを突き止められたかもしれない。

ライト: ほう? 教えてくれよ。

[ピッツ博士は綴じられた書類を出して捲る。]

ピッツ博士: 医療処置だ — 外科手術だな、正確には。君がこれまで受けてきた治療法よりも先進的かつ実験的なものだよ。回復を妨げていると思われる前頭皮質の一部を除去する。

[ライトが身を強張らせる。]

ピッツ博士: 危険な手術だし、成功率はかなり低い。しかし、それで君が復職できるのなら、必要な処置だろう。

ピッツ博士: そこで、SCP-7340を使用し、君の治療を継続することを許可した。

[ライトは沈黙している。]

ピッツ博士: ウィルソン?

ライト: それを、何だ。俺に伝えに来たのか?

ピッツ博士: その通り。この手術について説明しに来た。来週施術予定だ。

[ライトは沈黙している。]

ピッツ博士: その処置が不要だと君が考えない限りはね、ウィルソン?

[合間。]

ライト: どういう意味だ?

ピッツ博士: つまりだな、ウィルソン、もしかしたら君はそのまま復職できるかもしれない。そうであれば、これ以上の外科手術を施す必要はない。

[ライトは沈黙している。]

ピッツ博士: どう思う、ウィルソン? 仕事に戻る準備はできたか?

[合間。]

ライト: あ — ああ。

[ピッツ博士は手を叩いて微笑む。]

ピッツ博士: 素晴らしい! 実に喜ばしい話だ、ウィルソン。手術は中止だと医療部門に伝えよう。君がオフィスに戻る手助けをする人員を今日中に手配する。

[ピッツ博士は立ち上がる。]

ピッツ博士: 会えて嬉しかったよ。お大事に、ウィルソン。それと、覚えておいてくれ。また話がしたくなったら、私はいつでもここにいるんだからな。

[ピッツ博士は退室する。彼の退室後も、ライトは数分間ドアの外を見つめ続けている。]

[記録終了]

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