アイテム番号: SCP-741-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-741-JPは財団が特別に設置した、指定したアカウントのみにマッチングを許可し、ゲームの時間制限を取り払った特殊サーバー-1Aに固定します。SCP-741-JP収容中の特殊サーバー-1Aは外部インターネットから切り離した状態にし、同サーバーには6~9人のDクラス職員をプレイヤーとして待機させてください。SCP-741-JPを刺激する可能性があるため、ゲーム内では通常Dクラス職員の操作するキャラクターに対しシステム的な発砲禁止措置がとられています。現在のところSCP-741-JPは収容に協力的ですが、もしSCP-741-JPが攻撃的な兆候を見せた場合はプロトコル-ジャムを適用し、システム的にSCP-741-JPの発砲を封じてください。
もしSCP-741-JPの収容違反が発生した場合、すぐさまSCP-741-JPのマッチングを一時的に外部インターネットに接続させた特殊サーバー-1Aに誘導し、SCP-741-JPのマッチングを確認したら即座に同サーバーを外部インターネットから切り離してください。
説明: SCP-741-JPは████社製の対戦型オンラインFPSゲーム、"████████"に存在する異常なアカウントです。SCP-741-JPは常に"MrFPSgeek████"というプレイヤーネームで活動しており、24時間常にゲームにアクセスし、ゲームに備え付けられたボイスチャット機能を利用しています。また、SCP-741-JPの使用するIPアドレスの特定や、アカウントの凍結処理は原因不明なエラーの発生により失敗しています。
SCP-741-JPの異常性は、同ゲーム内で他プレイヤーが操作するキャラクターをSCP-741-JPが撃破した場合に発生します。SCP-741-JPが他プレイヤーのキャラクターを撃破した時点で、直前までそのアカウントを使用してゲーム内のキャラクターを操作していた人物の心臓部に7.62×39mm弾頭が出現します。全ての例で被害者は心臓を破壊され死亡していますが、SCP-741-JPの持つ技術が未熟であったためか、これまでにこの異常性で死亡したと思われる人物は█人に留まっています。
SCP-741-JPが他プレイヤーから撃破された場合は、ボイスチャットから苦悶するような音声が流れること、また外部インターネットから切り離されている場合でもオンライン状態に戻ることを除いて、ゲーム内における通常の処理が行われます。この特性に加えて、常時ゲームにアクセスしていること、そして他プレイヤーから撃破されやすいことから、SCP-741-JPのマッチング回数は現時点で███回となっています。
またSCP-741-JPは、自分は"██ ██"であると名乗り、初期収容時点から1ヶ月ほど前からゲーム内に閉じ込められてしまったと主張しています。調査の結果、同時期に同姓同名の20歳の男性が行方不明になっていることが明らかになっていますが、SCP-741-JPと同一人物であるかどうかは不明です。
SCP-741-JPは20██/██/██、アメリカ合衆国の██████病院に、心臓部に弾頭が埋まっている患者が運び込まれたことが財団の目を惹いたことからその存在が明らかになりました。当初SCP-741-JPの正体は不明でしたが、その後に同一の現象に見舞われた被害者の共通事項を調査したところ"████████"を直前にプレイしていたことが判明し、そしてそれらのプレイログの全てでSCP-741-JPが被害者の操作キャラクターを撃破していたため、SCP-741-JPを異常存在と認定し、SCP-741-JPを特殊サーバー-1Aに誘い込むことで収容しました。なお、被害者が搬送された病院などの関係者には全員クラスA記憶処理を施し、インターネット上のSCP-741-JPに関する情報は、カバーストーリー「都市伝説」の適用により陳腐化させることに成功しています。
補遺1: 以下の記録は初期収容時におけるSCP-741-JPのインタビュー記録です。
対象: SCP-741-JP
インタビュアー: 白水博士
付記: SCP-741-JPを特殊サーバー-1Aに誘導した後に初めて行われたインタビュー。白水博士はD-741-01のアカウントからボイスチャットを使用してSCP-741-JPに対するインタビューを行った。
<記録開始>
SCP-741-JP: (D-741-01の操作するキャラクターを発見し、銃を突きつけて)待って、撃たないでくれ、撃ったら撃つ。
白水博士: 落ち着いてください。私たちはあなたに対して発砲しようとは考えていません。
SCP-741-JP: は?どういうことだよ、これってそういうゲームだろ?何で撃たないんだ。いや、撃たないでくれって言ったのは俺だけどさ。
白水博士: 私たちは単なるプレイヤーではありません。あなたに質問したいことがあるのです。ここに居るプレイヤーは皆、あなたから話を聞くためにここにいます。ですので絶対に発砲したりはしません。
SCP-741-JP: よく分からないけど、どういうこと?運営の人か何かか?
白水博士: そのような認識で問題ありません。まずはあなたの目的についてお聞かせください。
SCP-741-JP: 目的?俺の目的は1つだ。死なないこと、それだけ。
白水博士: それはゲームの達成目標としてですか?
SCP-741-JP: 違う!信じてもらえないかもしれないけど、俺がkillされる度に俺は死ぬんだ。俺は死にたくない。
白水博士: まずは信じます。しかし、あなたはゲーム内で撃破されても何度も別のマッチングに参加しているようですが。
SCP-741-JP: それは、俺にも分からない。俺だってマッチングがしたいわけじゃないんだ。気付いたらゲームが始まってて、そんで他の奴に殺されて、またゲームが始まってるんだ。嘘じゃない。ひょっとしたら死んでも生き返ってるのかもしれない。でもこれ以上は死にたくない。
白水博士: [6秒の沈黙]どうやら、あなたは気が動転している様子です。また後日質問に参りますので、その時までに心の整理をつけてください。ああ、ゲームの時間制限はこのサーバーでは取り払ってありますのでご心配なく。
SCP-741-JP: 最後までよく分からないけど、分かった。死なないならそれでいい。
<記録終了>
対象: SCP-741-JP
インタビュアー: 白水博士
付記: 白水博士はD-741-01のアカウントからボイスチャットを使用してSCP-741-JPに対するインタビューを行った。
<記録開始>
白水博士: 気分は落ち着きましたか、SCP-741-JP。
SCP-741-JP: そのSCP-741-JPっていうのは俺の名前か?
白水博士: ええ、簡単な識別番号のようなものです。便宜上こちらの番号で呼ぶことになっておりますのでご了承下さい。
SCP-741-JP: 何か納得いかないけど、まあいいや。あ、気分については大分落ち着いたと思うよ。
白水博士: そうですか、それはよかったです。では、あなたが置かれている状況について話してもらえますか?
SCP-741-JP: えっと、俺はこのゲームの中に閉じ込められてる、んだと思う。自分の感覚だけど、ざっと1ヶ月ぐらいはずっと戦ってた気がする。
白水博士: 閉じ込められたきっかけについては思い出せますか?
SCP-741-JP: ああ、はっきりと。元々は██大学に通ってて、あ、名前は██ ██って言うんだけど、何て言うかな。そこまで講義とかには熱心じゃない方で、度々サボっては日中にオンラインゲームとかやってたわけよ。
白水博士: 続けてください。
SCP-741-JP: で、その内色んなオンラインゲームに手を出すようになって、インターネット上でグループにも参加してさ。このゲームにも、ちょっとだけ手を出したんだ。まあ、俺のスキルが壊滅的だったからすぐやめたんだけど。そんなときだったね、グループの仲間から変なメールが届いたんだ。
白水博士: そのメールの内容は思い出せますか?
SCP-741-JP: 思い出せるさ。忘れようがないからな。「ゲームの世界に行ってみたくはないか?」とか、そんな感じ。最初はとんでもなく嘘臭えと思ったけどさ、でも何だか魅力的に思えてきて、最終的に行ってみたいとか、そんな風に返信しちゃったわけよ。
白水博士: それに返信したことで、ゲームの中に閉じ込められてしまったと?
SCP-741-JP: もしかしたら違うのかもしれないけど、それしか考えられない。返信した後、何だか眠くなってきて、それで気が付いたら部屋の中じゃなくてだだっ広い荒野なわけよ。そんでもって服とかもこんな感じで、すぐに████████だって気付いた。うわー本当にゲームの世界に来ちゃったよ、でもこのゲームかよーとか思いながらさ、適当にほっつき歩いてたら、他のプレイヤーに見つかってさ。[沈黙]
白水博士: どうしましたか?
SCP-741-JP: いや、考えてみたら当然なんだけど、これって対人ゲーじゃん。見つかったら撃たれる訳だ。でも最初は分かってなくてさ、無防備にも、撃たれたんだよ。[8秒の沈黙]あのさ、リアルに撃たれたことってある?信じられないくらい痛いんだよ。それを1発じゃなくて、何発も撃ち込まれて。あ、死ぬって思った。いや、思ったんじゃない、多分死んだんだ。俺は。
白水博士: そして、どうなったのですか?
SCP-741-JP: 気付いたらまた荒野に立っててさ。傷はないんだけど何か撃たれた痛みが残ってる気がして、今度は急いで物陰に隠れたんだ。そしたら今度は何か大きな音と熱さに襲われて、死んだ。爆弾か何かだったんだろうと思う。
白水博士: [沈黙]
SCP-741-JP: そこからは何回も何回もおんなじようなことの繰り返しでさ、その内助かるには俺が相手をkillするしかないって思いはじめたんだけどさ、俺、スキルないから、やられっぱなしでさ。[泣くような声]チート野郎にも襲われたこともあってさ、本当、今までと考えられないレベルで痛くて。
白水博士: 落ち着くまでインタビューは中断しましょうか?
SCP-741-JP: その内にだんだんと何か、声とかも聞こえるようになってきて、「ド下手くそ」だの、「その程度の腕でギークを名乗るな」だの、「ゲームやめてすっこんでろ」だの、「死ね」だのさ、俺だって好きでやってるわけじゃねえのにさ!マジで死んでるのにさ!もう許せねえだろ!?
白水博士: あの、落ち着いて──
SCP-741-JP: だから俺ももう本気になって!めっちゃ頑張って、最近ついに敵をkillしたわけよ!敵を倒したときの爽快感ってすげえんだぜ!まあまだまだ実際問題ド下手くそなんだけどさ──
白水博士: [大声]これ以上興奮するようでしたら、相応の処置を取らせていただきます。よろしいですか?
SCP-741-JP: [10秒の沈黙]あ、何か、すいません。喋りすぎました。
白水博士: よろしい。では、大事を取って今日のインタビューはこれで終了させていただきます。不用意に動揺させるような質問をしてしまい申し訳ありませんでしたね。
SCP-741-JP: あ、いや、俺が喋りすぎたせいなんで、大丈夫です、はい。
<記録終了>
終了報告: 調査の結果、同姓同名の██ ██という人物が行方不明になっていることが判明しました。しかし、██ ██の所属していたグループからはSCP-741-JPの証言したようなメールのやり取りは一切確認されませんでした。
補遺2: 20██/██/██、D-741-07が担当していたアカウントのキャラクターが突如システム的な発砲禁止措置を無視してSCP-741-JPを射殺し、収容違反が発生しました。担当エージェントがD-741-07の捕縛に向かったところ、D-741-07は既に死亡しており、検死の結果死後6時間が経過していました。
また、既に1回の通常マッチングを行っていたSCP-741-JPの再収容には成功しましたが、SCP-741-JPは明確に精神的に不安定な状態に陥っていました。以下はその際に行われたインタビューです。
対象: SCP-741-JP
インタビュアー: 白水博士
付記: 白水博士はD-741-01のアカウントからボイスチャットを使用してSCP-741-JPに対するインタビューを行った。
<記録開始>
白水博士: SCP-741-JP、こちらの不手際で死亡させてしまったこと、誠に申し訳ありませんでした。今後はあのようなことが発生しないよう努めます。
SCP-741-JP: [沈黙]
白水博士: SCP-741-JP?
SCP-741-JP: [12秒の沈黙]なあ、アレ、マジなのかよ。
白水博士: すいません、アレとは何のことですか?
SCP-741-JP: すっとぼけてんじゃねえよ。死人だ、死人。俺のkillしたプレイヤーが、ガチで死んでたって話。
白水博士: その話はどこから聞いたのですか?
SCP-741-JP: アイツに急に殺された後だよ!あの直後のマッチングで、変なヤツが話しかけてきて、俺のkillしたプレイヤーは皆死んでるって言ってきたんだ。
白水博士: その情報は不正確です。あなたは誰一人として殺してはいません。
SCP-741-JP: 嘘をつくな!死体の写真だって見せられたんだぞ、プレイヤーネームと一緒に。あの名前は間違いなく俺のkillした奴らの名前だ。はっきり覚えてる、ようやく、ようやくkillした相手だったから。なのに、なのに──
白水博士: すいません、ゲーム内でどのようにして写真を見せられたのですか?
SCP-741-JP: うるせえ、知らねえよ、質問すんなよ、畜生、畜生。普通ありえねえだろ、だって、俺はゲームの中に居て、死んだのはキャラクターじゃんかよ。マジで待ってくれよ、ゲームだろ、ゲームじゃねえのかよ、おい。こんなの、俺、殺人犯じゃん。俺だって、こんなことしたくなくって、こんなことになるなんて、思ってなくて、クソ。じゃあどうすりゃいいんだよ。助けてくれよ。死にたくねえよ。殺したくねえよ。思ってたのと違うだろうがよ。
[その後、SCP-741-JPはその場にうずくまり一切のインタビューを拒否したため、インタビューは終了した]
<記録終了>
終了報告: SCP-741-JPはかなり動揺しているため、心理カウンセラーによるカウンセリングが行われます。また、SCP-741-JPに上記のような情報を伝えた人物に関しては、プレイログに痕跡が残されておらず、特定に失敗しています。以後、この一連の事案は事案741-JP-1と指定されました。
補遺3: 事案741-JP-1が発生した翌日、特殊サーバー-1A内に不審なドキュメントファイルが作成されていたことが明らかになりました。以下はそのドキュメントファイルの内容の複写です。
何てこったい!ギフト・アバブ・ワンダーテインメントの"ミスター・トリップモノ"を発見したね!何回死んでも死なないなんて何そのチート?ワンダーテインメント博士とかゲーマーズ・アゲインスト・ウィードって誰そいつら?
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