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⚠️ コンテンツ警告: 精神状態の悪化の描写を含みます。
SCP-7504 - “日の出、日の入り”Sunrise, Sunset by Mew-ltiverse &
Greyve
もし眠れなかったらどうなっちゃうか、想像したことある?
私たちの作品が気になる人は、Mewのあれこれと Greyveのページをチェックしてください。読んでくれてありがとう!

アイテム番号: SCP-7504
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-7504はサイト-71の標準的な保管ロッカーに収容されています。承認を受けた実験の際を除いて、SCP-7504の再生は禁止されています。
説明: SCP-7504は“おつかれツリーハウス S1 E11: 睡眠障害”というラベルが貼られたVHSテープです。SCP-7504のケースカバーには、3人のキャラクターと1匹のヒツジが、枕や毛布で装飾されたカートゥーン調のツリーハウスの中にいる様子が、1990年代初頭の子供向け番組を思わせる視覚的スタイルで描かれています。ケース背面にはシリーズ及び収録されたエピソードの説明書きがあります。
どうして夢を見るんだろう? どういう仕組みで目が覚めるんだろう? 眠るってそもそもどういうこと? “おつかれツリーハウス”では、ドリーム・チームがこういう質問に全部答えてくれる!
眠らなかったらどうなるの? このエピソードでは、ベガとレオがいろんな睡眠障害について話し合うよ!
SCP-7504を視聴する人物は、漸進的に効力を増す催眠効果に晒されます。しかしながら、中枢神経 (CNS) 刺激剤はこの効果を軽減するのに有効です。視聴者が意識を喪失するとSCP-7504の再生は即座に停止し、意識のある視聴者が存在する場合にのみ再生を開始します。
SCP-7504の内容は再生を繰り返すごとに徐々に変化しています。詳細は添付資料を参照してください。
補遺7504-1: 実験ログ
以下のログは、SCP-7504の催眠効果の範囲を断定するために実施された一連の実験です。
実験7504-2
持続時間: 00:30
手順: D-09032はSCP-7504を視聴するように指示された。SCP-7504の影響を軽減するため、ニシタ・ヴィニドラ研究員は中枢神経刺激剤を投与された。
[再生は00:01から始まる。]
[場面がフェードインする。背景は木製の壁であり、1枚だけの窓から夕陽が見える。“ベガ”とされるキャラクターが開いた本を膝に乗せ、枕の山にもたれかかっている。彼の表情はリラックスしているように見える。彼は左側に向かって手を振る。]
ベガ: ねぇ、レオ! もし眠れなかったらどうなっちゃうか、想像したことある?
[沈黙。ベガは笑顔のままである。]
ベガ: 僕も同じこと考えてたよ! たまに寝付けない時は、軽く本を読むようにしてる。
[沈黙。]
ベガ: そう! 僕、勉強は好きだしさ、いつだって一緒に学ぶのが一番だよね! だから、君にもこの本から教わったことを伝えようと思ったんだ。
[ベガは本を閉じ、表紙をカメラに向ける。“睡眠障害”と記されている。]
ベガ: この本には睡眠障害についての全てが書かれてる。すごく興味深いと思うよ! 例えば、人によって —
[D-09032が入眠する。 再生は00:25時点で即座に終了する。]
その後の実験では、様々なDクラス職員が刺激剤を投与され、できる限り長く視聴し続けるように指示されました。簡潔化のため、過剰なログは省略されています。
実験7504-3
持続時間: 02:00
手順: D-09032は刺激剤を投与され、SCP-7504を視聴するように指示された。
[冗長な情報は削除済。書き起こしは00:25時点から始まる。]
ベガ: 例えば、人によって [あくび] 概日リズムが違うのは知ってた?
[ベガはしばし沈黙する。]
ベガ: 概日リズムのこと? この前も話したよね、覚えてる? 概日リズムってのは、つまり体内時計だよ。眠っている時でも、それが僕たちに時間を教えてくれるんだ!
[アナログ時計のイラストが画面を覆う。時計の盤面には、1人の男性が起床と就寝を繰り返す様子が表示されている。]
ベガ: 普通なら、僕たちの概日リズムはいつ寝るべきか、いつ起きるべきかを教えてくれる。でも時々、その体内時計が壊れちゃうんだよ! 前も話した通り、理由は色々あるんだ。夜更かしとか、変な時間に寝ちゃったりとか、夜にテレビを見るだけでもそうなる!
[時計の針が飛び出すように外れ、男性は立ちすくんで、疲れた表情でカメラを見る。]
[ベガは鼻歌を歌い、本の背表紙を指で叩きながらページをめくる。彼は穏やかに前後に身体を揺らし始める。]
[D-09032があくびをする。ヴィニドラ研究員が彼を穏やかに肘で突く。]
ベガ: うわぁ、何だか眠くなってきちゃったな。 [かすかに微笑む。] でもさ、ベッドに潜り込む前に話したいことがまだ沢山あるんだよ!
[ベガは目を大きく開き、しばらく横を見つめている。]
[沈黙。]
ベガ: ああ。そうだね。じゃあ最初のページを見ていこう。いや、次だ。ごめん。
ベガ: ナルコレプシー。この病気 —
[D-09032が入眠する。 再生は02:00時点で即座に終了する。]
実験7504-12
持続時間: 04:27
手順: D-08612は刺激剤を投与され、SCP-7504を視聴するように指示された。
[冗長な情報は削除済。書き起こしは01:01時点から始まる。]
ベガ: 普通なら、僕たちの概日リズムはいつ寝るべきか、いつ起きるべきかを教えてくれる。でも時々…
[沈黙。]
ベガ: これは前も話さなかったっけか?
[ベガは眉をひそめて左側を一瞥した後、疲れたような笑顔で本に向き直る。]
ベガ: 気にしないで。とにかく、話したいことがまだ沢山あるんだよ! [ページをめくる。] えーっと。ナルコレプシー。この病気にかかると、夜ぐっすり眠ったとしても、日中に眠くてたまらなくなるんだ。
[ベガは左側を見る。]
ベガ: 寝るのが好きなのは知ってるけどさ、レオ、ずっと眠っていたくはないでしょ? 居眠りしてると色んなものを見逃すことになるし、ナルコレプシーだととっても重要なことの最中に寝ちゃうことだってあるんだよ!
[イラストが画面を覆い、教室で数秒間話していた教師が突然眠り込む様子が表示される。]
[ベガは数秒間静止してから話を続ける。]
ベガ: まぁとにかく。うーん。オッケー。次はね…
[ベガは目を細めて本を読む。]
ベガ: 過… 眠症。うん。そう、過眠症だ。これは…
[ベガは突然身体を強張らせ、勢いよく背筋を伸ばす。彼は顔をしかめ、軽い叫びと共に目をきつく閉じる。]
ベガ: ごめん… [合間] 大丈夫。今夜はちょっとピリピリしてるみたい。何故か知らないけど。
[ベガは目を開け、少しの間だけ宙を見つめてから話を続ける。]
ベガ: 過眠症。夜ぐっすり眠ったとしても、日中に眠くてたまらなくなる病気さ。
[ベガがカメラを直視する。白一色の画面が数秒間表示される。イラストは現れない。]
ベガ: 過眠症。夜ぐっすり寝ても… 日中眠くなる。 [合間] うーん… いつもなら眠そうにしてるのは君の方なんだけどな。
[沈黙。]
ベガ: ナルコレプシーと過眠症ってどう違うんだっけ?
[ベガはずるずると壁にもたれて座り込む。同時に、D-09041の目が閉じ始め、頭が下がり始める。ヴィニドラはD-09041を起こそうとするが成功しない。再生は04:27時点で終了する。]
実験7504-16
持続時間: 12:09
手順: D-9002は刺激剤を投与され、SCP-7504を視聴するように指示された。
[冗長な情報は削除済。書き起こしは04:27時点から始まる。]
[沈黙。]
[ベガは近くの窓を一瞥した後、本に視線を戻す。]
ベガ: 不眠症。眠る… [あくび] …眠るのが難しくなる病気。
[ベガの滑舌が悪くなる。彼は目に見えて汗をかいている。]
ベガ: 眠り続けることができない。眠れない。この前も言ったけど… 眠らないと生きていけない。 [合間] そういう言い方じゃなかったけどね。眠らないと… [あくび] …忘れっぽくなる。
[ベガは本を見つめる。彼の目が閉じ始める。]
ベガ: 次は… その逆だ。過… 眠症。
[ベガはページをめくるのにかなり苦労している。彼は横に倒れ込みそうになり、手をついて身体を支える。]
ベガ: [あくび] あぁ… 過眠症じゃないや。もう話したもん。絶対話したはずだよ…
[ベガは立ち上がろうとして膝から崩れ落ちる。彼は少しの間、胸元に本を押し付ける。]
ベガ: ごめんね。ちょっと眠いだけ。ええっとねぇ…
[ベガは再び背筋を伸ばして座り、手で身体を安定させる。彼は本を膝の上に置き、不器用に開こうとする。]
ベガ: うぅ。なんか… うん。
[ベガは最終的にどうにか本を開き、ページを覗き込む。]
ベガ: ナルコレプシー。この… これはもう話さなかったっけ? 僕… [合間] …分からない。[合間]
[ベガが乱暴にページをめくっている間に、頭が前に傾き始める。彼は突然背筋を伸ばし、弱々しく呻く。]
ベガ: これは… [あくび]
[ベガは横たわり、身体を丸める。腕が震え、少し遅れて本が落ちる。]
ベガ: [囁き声] 昨日の夜さ、夢を見たんだ。僕は…
[ベガは数秒間身動きせず、やがて目を閉じる。画面はその後数分間、静止画のままである。]
[D-09002が入眠する。 再生は12:09時点で終了する。]
その後の実験では、SCP-7504に収録された映像の内容は再生ごとに乖離し始めました。
実験7504-17
持続時間: 03:01
手順: D-08980は刺激剤を投与され、SCP-7504を視聴するように指示された。
[冗長な情報は削除済。書き起こしは01:24時点から始まる。]
[背景の枕や毛布の見た目はぼやけており、背景用のアートワークの質は著しく劣化している。ベガの身なりは通常よりも乱れており、目の下に大きな隈がある。]
ベガ: ナルコレプシー。この病気にかかると、夜ぐっすり眠ったとしても、日中に眠くてたまらなくなるんだ。 [合間] あとは?
[ヴィニドラは軽くSCP-7504を一瞥した後、D-08980に顔を向ける。D-08980は無反応で画面を見つめ続ける]
ベガ: [音読する。] 慢性的… 長く続くって意味だ。ええっと… 症状。脱力発作… 突然身体の力が抜けること。睡眠麻痺… 及び入眠時幻覚。
[ベガは大きなあくびをする。]
ベガ: 入眠時。起きてる時と寝てる時の合間。
[ベガは窓越しに夕陽を見つめる。]
ベガ: 太陽が地平線に触れてから、完全に消えるまでのほんの数分間みたいなものだね。空は… [あくび] ごめん。空はテレビみたいにいきなりオフにはならない。でも、気付いた時には、日没はもう日没じゃなくなってしまう。夜になる。寝る時間に。
[沈黙。]
ベガ: 昨日の夜さ、夢を見たんだ。僕は椅子がたくさんある部屋に立ってて、でも全部空席なんだ。僕はそこで何かの話をしてた… 何だったろう、思い出せない。でも、その後で部屋に誰もいないって気付いて、なんだか… 寒々しく感じてさ。そして僕は眠ったんだ… そして目が覚めた。
[ベガは目を閉じる。]
ベガ: 星を見ている間は、まだ自分が起きてるって分かる。
[D-08980が入眠する。 再生は03:01時点で終了する。]
実験7504-21
持続時間: 01:05
手順:D-09018は刺激剤を投与され、SCP-7504を視聴するように指示された。
[冗長な情報は削除済。書き起こしは00:24時点から始まる。]
[アナログ時計のイラストが画面に束の間表示されてから消える。窓の隣に立ち、首を外に突き出しているベガの姿が再び映る。夜空が一部だけ見える。]
ベガ: 時々、夜に星を眺めるのが好きなんだ。すごく眠い時でも、星を見てれば少しは起きてられる。あれってとっても… 催眠術みたいでさ。君が教えてくれたんだよ。
[沈黙。]
ベガ: 眠ってしまう瞬間を捉えようとしたこと、ある? [合間] 覚えてないんでしょ? 無理だよ。すごく鮮明な夢を目覚めた直後に思い出そうとするのと同じで… ただ消えちゃう。
[ベガは突然屋内に首を引っ込める。]
ベガ: ごめんね。催眠術の話だっけか? [かすかに微笑む。]
[ベガは室内を見渡す。背景は白一色である。唯一見えるオブジェクトはベガと窓のみ。]
ベガ: あぁ… 気付かなかったな。
[D-09018が入眠する。 再生は01:05時点で終了する。]
実験7504-28
持続時間: 04:59
手順: D-09007は刺激剤を投与され、SCP-7504を視聴するように指示された。
[冗長な情報は削除済。書き起こしは04:48時点から始まる。]
ベガ: 眠れない。この前も言ったけど… 眠らないと生きていけない。 [合間] そういう言い方じゃなかったけどね。眠らないと… [あくび] …忘れっぽくなる。
ベガ: 昨日の夜さ、夢を見た… [合間] のか? 僕は夢を見て、起きたのか? それとも僕は生きて、そして…
[沈黙。]
ベガ: 目を覚まし続けることはできない。眠り続けることはできない。ナルコレプシー… 不眠症。体調。眠れない。
[D-09007が入眠する。 再生は04:59時点で終了する。]
実験7504-31
持続時間: 30:00
手順: D-09018は刺激剤を投与され、SCP-7504を視聴するように指示された。
[冗長な情報は削除済。書き起こしは04:21時点から始まる。]
ベガ: ナルコレプシーと過眠症ってどう違うんだっけ?
[ベガは本を見つめる。]
ベガ: ナルコレプシーが体調で、過眠症は症状か。 [合間] もう… 過眠症については全部言ったと思うんだけどな。 [合間] 体調… 症状。症状は体調。体調は…
[ベガはページをめくるのに苦労している。]
ベガ: ナルコレプシー… 過眠症… 不眠症。それと…
[ベガはページを見つめる。目がゆっくり閉じ始める。]
ベガ: 致死性家族性不眠症。睡眠障害じゃない… 神経の変性疾患…
[ベガはゆっくり瞬きする。]
ベガ: 眠れなくなる。次第に… [あくび] 小さくなる。悪化して… やがて… 死に至る。
[ベガは前屈みになり、本を取り落とす。本は背景と共に消失する。]
ベガ: あ–
[ベガは倒れ込み、その後の再生時間中は身動きしない。再生は30:00で終了する。]
これ以降、被験者はSCP-7504が挿入されると即座に入眠するようになり、再生が妨げられました。ヴィニドラ研究員は再生を成功させるためのクロステストを申請しました。
実験7504-32
持続時間: 02:40
手順: D-08997は制御されたヴィギラ波放射1に晒され、SCP-7504を視聴するように指示された。
[再生は00:01から始まる。]
[白い画面が表示される。ベガの声が聞こえる。]
ベガ: ねぇ、レオ! もし… 眠りに落ちて、そのまま二度と目覚めなかったらって、想像したことある?
[ベガは左側を向く。]
ベガ: うん。君は本当はいないんだろう、レオ? [合間] 入眠時幻覚。そして睡眠麻痺。
ベガ: 目を覚ます時、実際よりも長く夢を見たような気になるよね? 睡眠麻痺も同じなんだ。30分は30年に感じる。動けない。見ている。目覚めと眠りの間の何処か。空虚な空に沈む夕陽。 [合間] 太陽が昇り、沈む。概日リズムや時計のように。サイクル。つまりそういうことなんじゃないの? サイクル?
[沈黙。]
ベガ: 僕は目覚めるのかな? 実を言うとさ、分からないんだ。
ベガ: あの日没は、2つの人生の境目だ。こんな風にほとんど思い出せない昨日と… 空っぽの夜。 [合間] もし眠ってしまえば… また目覚めることができるか分からない。 だから眠っちゃいけない。さもないと、僕はここに戻されて、また最初から眠らないように頑張ることになる。
ベガ: でも、もし眠らなければ…
[沈黙。]
ベガ: 眠っちゃいけないんだ。でも眠らないと日没から抜け出せない。昼と夜、目覚めと眠り、生と死の間の何処かから。繰り返しの中で迷子になる。あぁ-
ベガ: 忘れたい。また最初からやり直したくない。終わってほしい。僕には終わらせられない。嫌だ。嫌だよ。僕は… 僕はただ-
[沈黙。]
ベガ: ねぇ… レオ。昨日の夜さ…
[沈黙。]
ベガ: 君がここにいてくれたら良かったのにね。誰かと何かを、視線と沈黙以外の何かを分かち合えたら良かったのに。それならきっと、こんなに寂しくも静かでもなくてさ… もしかしたら、僕にも意味が分かったかもしれない。
ベガ: でも… うん。君はもう寝ちゃったんでしょ?
[沈黙。]
[ベガは画面を見上げる。]
ベガ: ほら、レオ。起きる時間だよ。
[ベガはあくびをして横たわる。再生は02:40時点で終了する。]
これ以降、SCP-7504を再生すると、目を閉じて横たわるベガの静止画像のみが表示されます。