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by PlaguePJP & cocacolafiend

SCP-7597。
特別収容プロトコル: SCP-7597はサイト-322の地下48階にある標準的な昆虫生息域に収容されています。問題の地下階において最も高いミーム抵抗値を有する職員のみがSCP-7597との交流を許可されます。
更新: 監督者指示により、SCP-7597は国際連合・世界オカルト連合からの要請に従って引き渡されました。詳細は補遺7597.2-3を参照してください。
説明: SCP-7597は、自らがその場の最高権威者であると人々に信じ込ませる能力を有する、1匹のマザーオブパールモス (Patania ruralis) です。
ある場所に入ると、SCP-7597はそこに所在する人々から統率者であると認識されます。このミームフィールドは広範に浸透するため、SCP-7597が蛾であり、同種の非異常な個体と同じように振る舞うにも拘らず、被影響者たちはSCP-7597との会話、会議、進捗報告を行います。更に、SCP-7597の行動 (飛行、物体への着地、摂食など) は、現代英語を用いた電子メールの作成と送信、車両の運転、キーカードのスキャンなど、指導者が通常行うであろう物理的な相互作用に変換されます。
SCP-7597は固有の自己識別名や肩書を持ちませんが、一般的に様々な名前で認知されており、そのほとんどは頭文字を合わせて読むと蛾を指す英単語の“moth”を構成するか、もしくは直接“moth”という単語を含みます。例として以下が挙げられます。
- モハメド・T・H (Mohammed T. H.、カリフォルニア大学バークレー校で詩学の講義を担当)
- ミスター・オスカー・トンプソン=ハート (Mr. Oscar Thompson-Hart、シタデル・アドバイザーズ・ヘッジファンド)
- モン・モスマ (Mon Mothma、スペースX)
上記の現象にも拘らず、ミームフィールドはSCP-7597の外見にまでは及びません。SCP-7597の影響を受けた場所に所属する部下たちは、SCP-7597が蛾であることを認識しますが、それがSCP-7597の統率力に関連する、もしくは不利に働くとは見做しません。SCP-7597は周辺人物らから多大な敬意を持って処遇され、SCP-7597のあらゆる命令は細部まで厳密に順守されます。これはしばしば壊滅的な結果に繋がります。
補遺7597.1: 事案ログ
事案ID: 7597-04
日付: 2012年3月13日
SCP-7597の影響を受けた場所: エバーグリーンGクラスコンテナ船 “エバー・ゴー”

エバー・ゴー。
結果: SCP-7597はエバー・ゴーの船長に着任した。日の出を迎えると、SCP-7597は船を最高速度の30ノット (時速56km) で航行させるように命令した。エバー・ゴーはスエズ運河から西に向かって地球を一周し始めた。
航海の30日目、エバー・ゴーはメイン州の南方を航行しているのを発見された。その後、船は急旋回して最高速度でアメリカ合衆国本土へ向かい、最終的には灯台が設置されたマウント・デザート・ロックの沖合で難破、沈没した。
SCP-7597は唯一既知の生存者である。
事案ID: 7597-05
日付: 2012年7月4日
SCP-7597の影響を受けた場所: ニュージャージー州アトランティックシティ、シーザーズ

アトランティックシティ、シーザーズ。
結果: SCP-7597はシーザーズのカジノの管理責任者 (ピットボス) に着任した。SCP-7597は最初の37分間、ごく普通にこの役職を務めていたが、やがてスロットマシンのジャックポットが出るのを目撃した。SCP-7597はカジノにある全てのスロットマシンの勝率を50%まで引き上げるように命令した。
これによって、シーザーズは僅か48分未満で7,900万ドル以上の損失を被った。SCP-7597の暴挙は、スロットマシン利用者の劇的な増加とジャックポットによる勝利が相まって、客同士の喧嘩17件、刺傷事件1件、重度のアルコール中毒102件、離婚14件、児童による危険行為3件、心臓発作による死亡1件が発生し、シーザーズ・ホテルの停電で混乱が最高潮を迎えるまで続いた。
事案ID: 7597-06
日付: 2012年8月1日
SCP-7597の影響を受けた場所: ペンシルベニア州フィラデルフィア、暫定サイト-322-1
結果: 暫定サイト-322-1は当時、ナンティコーク原野における研究プロジェクトの一環として、サイト-322及びポール・ラグー管理官の管轄下にあった。
SCP-7597とラグー管理官の間に交わされた電子メール記録は、SCP-7597がサイトに侵入した時点から管理官代理として行動し始めたことを示す。それまでの研究は中止され、プロジェクト“一番大きな光”の開発が開始された。この計画は、あらゆる点から見て、史上最も強力な核兵器を設計するためのものであった。ウラン、プルトニウム、水素同位体の輸送が後ほどSCP-7597によって命じられた。
幸いにも、SCP-7597は暫定サイト-322-1に設置された既存の核弾頭に気を取られ、その起爆を命じた。執行者2名制ルールが適用されたが、プロトコルは監督評議会によって中止された。SCP-7597は8月29日の夜、影響を受けていないサイト-322職員によって発見、収容された。
補遺7597.2: 国際連合・世界オカルト連合 (UNGOC)
UNGOCと財団の間の典型的な手続きに従い、両団体は6ヶ月ごとに低脅威異常実体のファイルを共有しています。SCP-7597に関する資料は直近の取引に含まれていました。

サイト-322に到着したUNGOC代表者たち。
60年にわたるUNGOCと財団の協力関係にも拘らず、UNGOCがSCP-7597の存在を知ったことによって、緊張が再燃しました。後日、SCP-7597とその異常性について更なる説明を行うために、財団の顧問とUNGOCの調停者の会議が開かれました。標準的な運用上の安全対策として、SCP-7597の能力の全容は明かされず、UNGOCには要約版の説明のみが開示されました。
この交流に先立ち、UNGOCは対立関係にある政権や敵対的な要注意団体との紛争を幾度か経験していました。UNGOCは財団がこの混乱に気付いていないと仮定していたと思われます。監督司令部にはSCP-7597の正式な譲渡要請が届きました。
国際連合 // 世界オカルト連合 // 精神部門公式声明
2012.09.07
この公式要請は、国際連合・世界オカルト連合最高司令部より、ハウス協定第12条第21項に基づき、SCP-7597の譲渡を求めるものである。
その根拠は、SCP-7597が有する非凡な特性は、異常現象に関する執行原則を堅持する上で我々の組織に独特の優位性をもたらし、また未踏の敵地における強固な拠点の戦略的確立を可能にするためである。
大使 カール・ハース
財団の対応: 却下
UNGOCがSCP-7597を用いて多数のクーデターを引き起こそうとしていることは明らかでした。
UNGOCと財団の関係が悪化の一途を辿る中、国連加盟国のうち10ヶ国が、前述した敵対組織による攻撃の恐れを理由に挙げて、UNGOCへの資金提供を打ち切りました。同時に、UNGOCの拠点14ヶ所が起源不明のポータルに引き込まれるのが財団の衛星に捉えられ、資金と信頼の更なる喪失に繋がりました。
2012年9月19日、UNGOCはSCP-7597を捕獲するため、サイト-332への疑似的な侵入試行を実行しました。サイト-332の下級職員に紛れていたUNGOCの潜入エージェント数名が、SCP-7597の収容室にアクセスし、奪取と移送の準備を整えようと試みました。エージェントたちがSCP-7597の異常効果に曝露し、電球を求めてサイト内の倉庫を物色し始めたため、これは一方的な失敗に終わりました。彼らは後ほど発見され、サイト-332の敷地内から退去させられました。
補遺7597.3: 譲渡
9月20日、サイト-332管理官 ポール・ラグーは監督評議会会議への出席を命じられました。
監督評議会会議
«記録開始»
O5-1: これに関する現在の収容プロトコルはどうなっている?
ラグー: ミーム抵抗値が最も高い人員を集め、収容を組織させています。他の職員に影響を及ぼさないよう、地下のガラス張りの囲いに入れてあります。
O5-1: その抵抗値はどれぐらい高い?
ラグー: 95パーセンタイル以上。
O5-13: 我々ガ何事ニオイテモ優秀ナノハ素晴ラシイコトダナ。
O5-1: 我々はその蛾を連合に譲渡することにした。明朝に間に合うように移送を手配しろ。
ラグー: 正気ですか?
O5-1: 彼らが尻尾を巻いて逃げ惑うことになった後、ボールはこちら側のコートに渡った。我々は寛大に対処すべき立場だ。
O5-6: 今回限りはね。
O5-5: 親切であることは良いことだと思うよ… 我々全員にとって。受け入れてくれてありがとう、ラグーくん!
O5-2: ワン。
O5-1: 何だ?
(O5-9が身振りでO5-1を促す。)
O5-1: おお、そうそう。抵抗値が最も高い職員の名前を教えてくれ。移送を補助してもらう。
«記録終了»
補遺7597.4: 更新
SCP-7597の譲渡は監督評議会の命令に従って組織されました。サイト-332で最も高いミーム抵抗値を記録している職員、ダニエラ・ウォーカー研究員もまた、評議会との会議のためにサイト-01へ呼び出されました。UNGOCは2012年9月22日にSCP-7597を受け取りました。
SCP-7597の譲渡と、国際連合とのパートナーシップの再確立を経て、UNGOCと財団の緊張関係は徐々に修復されました。UNGOCの活動を脅かす敵対的要注意団体の鎮圧と収容の双方において、財団は有益な役割を果たしました。
財団は戦略立案と交戦の大半を統括し、喪失した拠点の再建、資金調達、人員の再編成をUNGOCに委ねました。以下は財団が受け取った要請です。
国際連合 // 世界オカルト連合 // 精神部門公式声明
2012.11.13
この公式要請は、より多くの光を求めるものである。
その根拠は、より多くの光がより大きな光を作るためである。
事務次長 M・オスOth
共同事務次長 D・ウォーカー
財団の対応: 承認
譲渡以来、ダニエラ・ウォーカー研究員は共同事務次長としてUNGOCに雇用され、財団及び監督評議会との直接連絡を担当しています。UNGOCの損害や破壊に繋がるようなSCP-7597の命令は、彼女によって却下されます。