アイテム番号: SCP-765-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-765-JP-1は現在サイト-8181の標準収容ロッカーにて、布をかけられた状態で収容されています。実験を行う場合、映像記録メディアなどの使用は絶対にしないようにしてください。また、SCP-765-JP-1の複製は現在禁止されています。どうしても実験に必要な場合、クラス4以上の職員2名の許可を取る必要があります。必要でなくなった場合、複製はすみやかに破棄してください。
SCP-765-JP-2群の収容は不要です。発見され次第速やかに破壊、焼却等の処理を行ってください。SCP-765-JP-2群の収容は事実上ほぼ不可能です。そのため、異常性を軽減する為に、SCP-765-JP-2を定期的にメディアを介して一般に露出させる様にしてください。
説明: SCP-765-JP-1は、水彩アクリル絵の具で描かれた絵画です。大きさは80cm×50cmほどで、赤黒い背景と苦悶する女性が描かれています。
SCP-765-JP-1の第一の異常性は、ミーム的性質を持った認識災害です。SCP-765-JP-1の複製は、写真・デジタルデータ・手書きによる模写など、手段を問わず、ある程度原型を留めている場合、SCP-765-JP-1と同一の性質を持ちます(以降、SCP-765-JP-2と記載)。
SCP-765-JP-1あるいは2を視認した人物は、(個人差はありますが)おおよそ1日以内に以下の症状を発露します。
- 視界の中に暗闇がある場合、その部分に、SCP-765-JP-1に描かれているのと同じ女性(以下、SCP-765-JP-3と記載)の幻覚が見える。
- 鏡面、ガラス表面、水面、磨かれた金属表面などの鏡面反射を行うものの表面にSCP-765-JP-3の幻覚が見える。
- ラジオ等の通信装置の雑音を聞いた時、その中に、『遠くから響き渡るような』女性のうめき声が聞こえる。
これらの症状は時期を追うごとに悪化し、幻覚の発生頻度が上昇します。最終的に、全ての五感がSCP-765-JP-3に関する情報で埋め尽くされます。この状態に陥った被験者は、自身の感覚器官の破壊を試みます。しかし、感覚器官を失った状態でも、SCP-765-JPの異常性は持続します。
SCP-765-JPの第二の異常性は、前記の異常性に関係するものです。SCP-765-JP-1あるいは2に描かれている女性の顔を記憶している人物が多ければ多いほど、SCP-765-JPの異常性は軽減されます。具体的に定義することは困難ですが、10人のDクラス職員に同時に暴露させた場合、幻覚症状の発生頻度・進行速度が初期の20分の1以下に低下したことが確認されています。
注意するべき点として、第一の異常性は対象が死ぬまで永続するのに対し、第二の異常性は対象がSCP-765-JP-1あるいは2の情報を忘却した時点でその効果を失うということです。複数人に暴露させた場合の中でも、定期的に暴露させた場合は、幻覚症状の発生頻度・進行速度は低いままでしたが、そうでない場合、おおよそ4ヶ月後に、全員の幻覚症状の発生頻度・進行速度が急激に上昇したことが確認されています。
事件記録087-JP-04
200█/██/██、SCP-765-JP-2に該当する画像がインターネット上で急速に普及しました。当該画像はインターネットミームとして世界的に広まりました。この事件によるSCP-765-JPの暴露者数は3█████人程度と推測されています。これにより、SCP-765-JPの第一の異常性は現在ほぼ完全に無効化されています。発生源を調査した結果、"ゼファー"を名乗る人物がインターネット掲示板に投稿したものが起源であることに明らかになりました。投稿者がいかにしてSCP-765-JP-2を入手したかは不明です。投稿者のハンドルネームやその手口から、"霧の探求者"が関与していると考えられています。
補遺: 201█/██/██現在、SCP-765-JP-2画像のインターネットミームとしての認知度が低下していることが確認されています。SCP-765-JPの第二の異常性を失わせない為に、財団フロント企業"ザ・シリーキャット・ピクチャーズ"にて、SCP-765-JPの映画を201█/██/██に公開する予定で製作中です。