SCP-773-JP
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アイテム番号: SCP-773-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-773-JPはサイト-8154の地下にある特設書庫に保管されます。実験を行う場合はセキュリティクリアランスレベル3以上の職員3名の許可を得た上で、Dクラス職員を用いて行ってください。SCP-773-JP-Aとなった人物は一般的な人形収容セルに収容し、通常の人間と同様に食事を与えてください。SCP-773-JP-Aは収容セル内でのみ自由な行動が許可されています。SCP-773-JP-Aに対しては主に英語圏の一般人を対象に設定された通常の日本語教育を施してください。

SCP-773-JP及びSCP-773-JP-Aは機動部隊す-2”検閲者”が対応と収容に当たります。機動部隊す-2”検閲者”は十分な英語力を持つと認められた職員で構成されます。SCP-773-JPの回収時にはカバーストーリー”落丁本の回収”を適用してください。

説明: SCP-773-JPは、赤色を基調とした表紙にゴシック体で「基礎から始める英語問題集 ~勉強が苦手でも、英語にだけは強くなれる~」と記された書籍です。高校生及び浪人生を対象とした内容であることがわかっており、SCP-773-JPとは別に解答(SCP-773-JP-1と指定)とリスニング問題用CD(SCP-773-JP-2)が付随しています。SCP-773-JP及び1、2について外見や内容の異常はなく、一般的な方法で問題なく処分することが可能です。

SCP-773-JPに掲載されている問題について明確に思考を始めると、思考している人物(SCP-773-JP-Aと指定)は、外部からの干渉に全く反応せず思考と解答を続けるようになります。この際、解答の内容や解答にかかる時間はSCP-773-JP-Aが有している知識量によって変化します。
SCP-773-JP-Aが掲載されている問題を全て解き終えると、SCP-773-JP-1を用いて採点を始めます。間違った解答があった場合はSCP-773-JP-Aは間違えた問題を全て集約しもう一度解答を始めます。この時、SCP-773-JP-AはSCP-773-JP-1を視認したにも関わらず間違えた問題の答えを記憶していません。

SCP-773-JP-Aは問題を解く上でのアドバイス等には正常な反応を見せますが、プロセスに無関係な行動を取ったり物品を提示するなどした場合SCP-773-JP-Aはそれに対して全く反応を見せず、プロセスを妨害しようとした場合は激しい抵抗を見せます。なお、アドバイス等をした人物がSCP-773-JP-Aとなることはありません。

一連のプロセスは、SCP-773-JPに掲載されている問題に全て正しい解答をすることでのみ終了します。プロセスの終了後、SCP-773-JP-Aは日本語を理解することが不可能となり、英語のみを理解するようになります。この認識改変は記憶処理を用いても消去することが出来ませんが、日本語に関する再教育を施すことによってある程度の日本語を習得し直すことが可能です。

SCP-773-JPの版元は████出版社となっています。公式サイトが存在していますが、同名の企業は存在しないことが明らかとなっています。また、SCP-773-JPは既に大量の在庫が出版されたとみられており、全個体の完全な収容には至っていません。201█年█月██日の一般市民からの通報による発見から現在に至るまで、確保されたSCP-773-JPは████冊であり、██冊がサンプルとして保管されています。

補遺1: 201█年██月██日に発生した██川の氾濫の際に、異常な行動を取り救出が不可能となった要救助者の事例が報告されていたことが明らかとなりました。これを受け、財団は救助を担当した自衛隊員にインタビューを行いました。以下はその記録です。

対象: 西村 ██氏 29歳女性

インタビュアー: ██研究員

<録音開始>

██研究員: こんにちは、西村さん。

西村氏: こんにちは。本日はどうぞ宜しくお願いします。

██研究員: では幾つか質問をさせていただきます。まず救助に失敗した要救助者についてです。

西村氏: わかりました。要救助者は高校生程度の女性で、問題集を使って勉強をしていましたね。

██研究員: 問題集の教科は覚えていますか?

西村氏: 教科ですか?えー…どうだったかな…

██研究員: 思い出せませんか?

西村氏: うーん、英語だった…ような気がするんですけど…ごめんなさい、あんまり覚えてないです。

██研究員: なるほど。では要救助者がどのような行動を取ったかについて、出来るだけ詳しくお願いします。

西村氏: わかりました。発見当時要救助者の自宅は既に1階まで浸水しており、要救助者がいる2階は辛うじて無事でしたが危険な状態にありました。家族は全員救助しましたが、彼女だけは2階の部屋で勉強を続けていました。話しかけたりしても全く反応せず、肩を揺すっても無視されるか無理矢理振り払われてしまう始末でして、どう考えてもおかしかったんです。

██研究員: 続けてください。

西村氏: 水位がどんどん上がってきていることも確認できたので、一刻も早く救助すべく要救助者を運ぼうとしたんですが、ものすごい力で抵抗してきたんです。こういう言い方をすると変なのですが、どこを触っても無理矢理振り払われる始末でして。

██研究員: なるほど。最終的にはどうなったのですか?

西村氏: 最終的にはヘリコプターから救助用のロープと器具を垂らしてもらって、それを要救助者に繋いで救助しようという話になったのですが…要救助者に取り付けようとすると[編集済]を用いて無理矢理ロープを切断し器具を破壊して、その上で再び机に向かい始めたんです。その間にも水位は上がってきて私の腹付近まで既に来ており、家がどんどん流され始めていました。それすらも、要救助者は全く気にしていないような素振りで勉強を続けていました。私はその後も救助を続けようと思ったのですが、ヘリコプターの方から退避命令が出まして…非常に残念でした。

██研究員: それはとても残念でしたね。ところで西村さん、その後似たような事案があった、もしくはそういった話を聞いたなどはありますか?

西村氏: そうですね…██川の氾濫ではそういった話は聞かなかったのですが、近くの予備校で火事が起きたときに救助に向かった友人が似たような事を言っていた覚えがあります。

██研究員: …わかりました。これでインタビューを終了します。ご協力ありがとうございました。

<録音終了>

終了報告書: その後、西村氏の証言に該当すると思われる消防隊員の横山氏に対してインタビューが行われ、西村氏が行ったものと似た内容の証言が得られました。西村氏及び横山氏には適切な記憶処理が施されています。

補遺2: 201█年2月██日から██日にかけて、SCP-773-JP-Aとして収容されていた高校3年生および浪人生と実験に使用したDクラス職員の消失、失踪が相次いで発生しました。財団は機動部隊す-2”検閲者”隊員を含めた大規模な捜索部隊を編成し捜索活動にあたっていますが、現在に至るまで失踪したSCP-773-JP-Aの発見はできていません。

追記: 同年3月██日に、失踪したSCP-773-JP-Aの家族が住む家のそれぞれに、ほぼ同じ内容の書類が届いたことが確認されました。内容は全て英語で記されていた他、記載されている██・█████という名前はSCP-773-JPの編著者として記されている名前と一致していました。

現在この書類はSCP-773-JP-3として指定され、機動部隊による捜索と回収が続けられています。以下は回収された書類の内容を和訳したものです。なお、名前以外では証書ごとの記述に違いはありません。

██ ███様

貴殿が本学に合格したことを証明します。

201█年3月██日
アメリカ合衆国ジャポネ州 █████大学学長 ██・██████

なお、█████大学と似た名前の大学は存在していましたが、█████大学そのものの実在は現在に至るまで確認されていません。

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