SCP-783


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SCP-783被害者の右腕

アイテム番号: SCP-783 レベル3/783
オブジェクトクラス: Keter 機密

特別収容プロトコル: 担当職員はテンビー市を必ずモニターし、SCP-783実体の情報を更新し続けてください。その被害者は回収、焼却され、このファイルに記録されます。

追加: 直近の事案により、より強い財団の立ち合いがSCP-783及びその関連事象の収容に必要であると決定づけられました。地元病院付近の補助的な建造物及び二つの住居が財団の使用のために、現地より接収されました。

この土地はすべてが一時的なサイト-5として再指定されました。

説明: SCP-783は英国、オックスフォードシャーに位置するテンビー市の住人を捕食する敵性実体です。その活動は、秋から冬にかけて約70日、12年周期で発生します。実体は日没後に単独で室内にいる者を執拗に攻撃します。

SCP-783の標的の住居はその構造において着実な劣化が進みます。表面的には、これは建造物の曲がった外観を引き起こす、外面の崩壊として見ることが可能です。この異常性は影響を受けた建造物の外装を突破しようとするすべての物品に影響を与え、即座に、重大かつ生物に対しては致死性である変形をひき起こします。

現在まで担当職員は、実体による攻撃を阻止する、またはSCP-783の標的を援助するためのあらゆる試みはいずれも失敗しています。上記の点に加え、SCP-783の記録機器に対する影響により、SCP-783の正確な姿やその異常性の本質についてはほぼわかっていません。

SCP-783の攻撃の被害者は数十か所にも及ぶ長骨における複雑骨折、及び脊椎が大きく脱離した結果として、その肉体に全体的な崩壊が見られます。これらは過度の軟骨及び骨組織の再生によって治癒されます。 被害者はその筋系及び表皮において追加の組織に適応するために超弾性を示し、ある例においては対象の上腕部が2.4mにも及び伸長し、もう一つの実例ではその身長は12.5mにも及びました。

この奇形及び伸長は、対象の外見が完全に鋸歯状または節状となることで終わりを迎えます。

これらの外傷を受けているにもかかわらず、ほとんどの被害者は全身の麻痺または永久的な植物状態になりますが、SCP-783の攻撃終了後、なお生存しています。27の生態標本が取得され、財団の使用のために現地より接収された病院の一画において生命維持の環境下に置かれています。

テンビー市の住民はSCP-783の存在を認識していますが、公の場でそれについて語ることは禁忌とされています。 研究者たちは地元の子どもたちの間で共有されている、SCP-783に関する童謡を記録しました:

あるところに曲った取引をする曲った奴が住んでいた

曲った杖を持って、獲物を曲った篭に入れていた

奴は曲った悲鳴を上げた曲った子供を盗んだ

その曲った小さい奴は車輪の上で砕かれた

経過観察:

(事案ログ添付)

SCP-783の今季の活動に1か月先んじて、D-209はテンビー市に位置する財団所有の住宅に住まわせるための志願者の中からから選ばれました。経過観察のため、家屋の随所に録音/録画機器を設置しました。

以下はD-209の滞在開始から43日目に録画されました。

映像ログ


22:34

2階 寝室: [ D-209はベッドにまっすぐ横たわり、小説を読んでいる。 ]

1階 居間: [ ライブ映像に、垂直なギザギザの歪みが見られた。これは正面玄関付近の画面左側から始まり、廊下に続く画面右側に向かい移動する。およそ23秒の間、これは継続した。 ]

22:35

1階 廊下: [ カメラを照らしている照明機器からの光が何かに覆われた。同様の歪みが画面中央部にも現れ、対象を覆う。画質がさらに低下し、映像送信が停止する。
]

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1階 廊下 - SCP-783が部屋に進入するにつれ、歪みが画面左部に見られる。

2階 寝室: [ D-209は直立し、まっすぐ起き上がり、警戒する。長くゆっくりとした、ひっかくような音が1階から聞こえると主張する。D-209はベッドから出始める。 ]


メモ: [ SCP-783の出現が確認されました。視覚映像の乱れは、SCP-783が家屋内に物理的に出現したことを示していると考えられます。 ]

22:36

2階 階段: [ 映像は波打ち、歪む。何らかの動きはみられるが、機器に対する干渉のため詳細は不明。 ]

2階 寝室: [ 遅く、ゆったりとした、階段を上る足音が聞こえる。D-209は窓を開け、逃げ出そうと試みるが、失敗する。 ]

22:37

2階 寝室: [ D-209はナイトテーブルから小さい電灯を手に入れ、数回にわたって窓を破ろうと試みる。 ]

2階 廊下: [ SCP-783がまっすぐカメラの正面に移動した途端、映像が突如乱れるものの、実体が廊下の奥に移動するにつれ、映像は33秒かけて復帰する。この時点で、映像の中の影響を受けている地点は寝室の外のみとなる。 ]

2階 寝室: [ D-209の動きが止まる。扉がノックされる。 ]

22:38

2階 寝室: [ ランプを鈍器として持っているD-209がドアに接近する。ドアの向こうにいる実体に身元を述べるよう要求したが、返答はない。そして彼は司令部に職員が進入することがあるのか尋ねた。観察中の職員は沈黙を保っている。D-209は祈り、ドアノブを彼の空いているほうの手で掴んだ。D-209はドアを打ち開いた。 ]

メモ: [ 大きな、何かをパチンと鳴らすような音が家中に響き渡る。建物の中のすべての電球及び、建物を照らしていた照明が同時に破裂した。 ]

22:40

2階 浴室: [ カメラが暗い環境に適応するよう調整されると、SCP-783が映し出される。それは廊下への空いている扉のそばで、静止している。 ]

2階 寝室: [ D-209は叫び、彼自身の右腕を掴む。ひじから上が湾曲し、ぶらぶらと揺れている。おそらく急速な骨の成長により、素早い硬直が観察された。 D-209は生き延びる意思を大声で表明し、部屋から飛び出す。 ]

22:41

2階 廊下: [ D-209が浴室の扉の前を走り抜けるにつれ、大きなラップ音が聞こえ出す。D-209は転倒し、助けを呼ぶ声を上げた。彼は彼の足が折れたと報告した。 ]

メモ: [ 厨房において音が立つにつれ、映像の乱れが厨房に影響を与える。浴室においての映像の乱れはすでに止んでいる。 ]

22:45

2階 廊下: [ D-209はどうにか立ち上がる。彼は肘から下が折れ曲がっている右腕をカメラに映した。前の骨折とは反対方向に曲がっている。D-209は観察者を呪ったが、同時にもう痛みはほぼ静まったと報告した。D-209は片足を引きずりながら階段に向かう。 ]

2階 階段: [ 階段を通り抜けようとする試みの中で、D-209は躓き、落ちる。12の大きなラップ音が極めて短い間隔で聞こえる。D-209が止まると、四肢に散らばる更なる骨折を見せる。彼は傷が治癒すると同時に、叫び、踊り場で痙攣する。 ]

23:14

2階 階段: [ D-209は進み始めた。彼は這いずることにさえ苦労したものの、最後には画面の外に出た。 ]

23:26

1階 居間: [ D-209が見られる。彼自身の身を引きずるようにして部屋に入っていく。 彼は緊張し、その厄介な四肢のために非常に動きづらいようである。それぞれの手の長さは2m以上にも及ぶとみられ、障害物を回避するための曲げる動きを妨げる脱臼もみられる。 ]

1階 厨房: [ SCP-783が消失する。映像が明瞭になる。 ]

23:31

1階 居間: [ D-209が居間の大部分を占めている。彼の下肢は画面を超えて廊下まで伸長している。彼の手は玄関のノブをつかんでいるが、その指はノブを操作するための器用さすら損なうほど長くなっている。ひっかくような音が廊下に響く。 D-209が苦痛を示した直後、D-209は強引に後方に引っ張られ、カメラ外に消えた。彼は叫び始めた。 ]


メモ: [ SCP-783とD-209は廊下に一晩中いました。ラップ音はとぎれとぎれでありながら聞こえ、D-209は4時27分に叫ぶのをやめました。

5時1分の時点で、湿った、何かを吸うような音に次いで、素早い動悸音が確認されました。 ]

事案783.1

D-209の試験において、5時1分に観測された音と同時に財団の生命維持管理下に置かれている27名の被害者全員が発作を引き起こしました。

大部分が脳死状態または全身麻痺の状態であるにもかかわらず、数分の間にわたって激しく痙攣しました。2名の研究者が事案発生中に負傷しました。いくつかの患者の生命維持装置が破損し、5人が死亡しました。

この間、町の郊外において広い範囲にわたって地面がかき乱されました。

追記:

直近の地震活動について調査を行っていた職員が市の南に集まった現地住民からの抵抗に遭いました。短いやり取りののち、エージェント・Collinsは銃を抜き、空中に向けて発砲しました。群衆は散りました。

いくつかの細長いつま先が新たに露出した地面から突き出して見えました。

発掘チームが招集され、その午後までには幅5メートル、数十人のSCP-783被害者の裸の死体を納めている大規模な墓所を発見しました。死体の保存状態は良かったものの、干からびていました。その数は、それぞれが重なり合っているために、すぐに特定することは不可能でした。死体は頭を下に向け、手を墓穴の奥深くまで伸ばしていました。さらに、ほとんどの被害者の四肢は互いに複雑に絡み合い、もつれ合っていたので、切断器具を使わずとする発掘を妨げていました。

Singer研究員は、体組織の試料を回収する人員として選ばれました。この過程にて、足場の土が陥没し、墓穴に落下していきました。死体は彼の体重のために移動しました。また、彼が足場を確保しようともがいていると、四肢のもつれがほどけ、彼は視界から消えました。

エージェント・Collinsはすぐさまある程度の長さの紐を用い、自身の腰に巻きました。彼女は何人かの人員を、合図とともに彼女を引き上げるために割り当て、墓穴に進入しました。死体の下にエージェント・Collinsが下るにつれ、おおよそ20メートルの紐が使用されました。

数分後、紐はぴんと張られました。彼女は回収の合図をし、無事に取り戻されました。報告において、エージェントは被害者の死体の下に入り口が存在する異常な空間の存在を立証しました。

エージェント・Collinsには一時的な休暇が与えられました。

探査ログ:

SCP-783-L1 -観察目的の初期のD-クラスを用いた探査。第二目標として作戦行動中行方不明となった人員の回収。

SCP-783-L2 - SCP-783の本質を探るため、特別工員が派遣された。

SCP-783-L3 - SCP-783収容のため、機動部隊が派遣された。 [データ削除]

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