SCP-7932


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暴行被害者の目に付着したSCP-7932の遺伝子保有物。

アイテム番号: SCP-7932

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: 医療業界で活動する工作員、とりわけ眼窩開業医協会に潜入中の人員は、未確認のSCP-7932事例を監視し、適宜記録するものとします。不定形Amorphous実体Entity回収Requisition工作員Operatives (AERO) がSCP-7932の追跡・捕獲のために配備されます。当該実体に関する交戦規定はAEROの活動方針に準じて改訂されます。

SCP-7932の遺伝子保有物のキャリアが示す症状は、医療関係者の間では、過度のテレビ視聴や一般的な眼精疲労が原因だと解釈されています。同様に、SCP-7932の幼体がもたらす身体的感覚も、それらが視界に存在することによる心因性の反応に過ぎないと見做されています。この説を更なる偽情報で否定・複雑化する予定はありません。

説明: SCP-7932は未知の生態を有する半寄生性の実体であり、検眼医のみを標的として体内に棲みつくことによって、その診療所を自らの活動の隠れ蓑として利用します。機会選択的捕食者であるSCP-7932は、眼球を病的に偏愛しており、栄養補給よりも性的満足感を得る目的で攻撃を行います。

被害者と二人きりになると、SCP-7932は宿主の口中へと移動し、把握力のある尖った付属肢を射出して被害者に噛みつきます。この付属肢には記憶喪失を引き起こす化合物が充填されており、被害者を無気力かつ暗示に対して脆弱な状態に陥れ、SCP-7932が無抵抗で活動できる状況を作り出します。SCP-7932は被害者の眼窩から注意深く両方の眼球を引き抜き、自らの宿主の口に入れます。決して傷を付けないように注意しつつ、SCP-7932は付属肢で眼球を愛撫し、繊細な動きで宿主の口中や舌の上を転がします。SCP-7932が絶頂を迎え、半透明の液体を分泌して眼球を被覆するまでこれが続きます。その後、SCP-7932は自らの遺伝子保有物で覆われた眼球を、宿主の口中から被害者の眼窩に戻します。

これ以降、被害者は重度の“飛蚊症”を経験します — この視界の濁りは、実際にはSCP-7932の遺伝物質を含有する繊維です。ごく稀に、これらは被害者の眼球に定着する場合があり、鋭敏な観察者であれば平凡な視界の乱れとは異なる微妙な動きを見分けることが可能です。被害者のうち5人に1人は、硝子体内に定着したSCP-7932幼体の動きによる身体的感覚を報告します。

過去の宿主 (9名生存、2名失踪、1名死亡) の友人や家族にインタビューしたところ、いずれも宿主の言動や日課の変化を認識せず、不適切・不道徳な行動にも気づいていなかったことが判明しました。存命の宿主は全員、インタビュー後に財団が提供したセラピーの受診を希望しています。

発見: アルフォンソ・カウフマンを装っていたSCP-7932は、ある被害者の親から暴行を受け、次いで逮捕された後、まずは法執行機関の捜査対象となりました。被害者の父親は、表向きは定期検診とされていた診察中に、SCP-7932と成人した息子のやり取りを偶然聞きつけ、診察室に押し入って対峙しました。被害者の父親とSCP-7932はどちらも拘留され、フルトン郡拘置所に収監されましたが、SCP-7932は夜間に逃走しました。SCP-7932はカウフマン氏の自宅に逃げ込み、キッチンと寝室に放火してから失踪しました。

火災は消し止められました。警察の捜査で、ベッドの下から、人間の眼球を漬けた保存液の瓶が4本、眼球解剖学の教科書が数冊 (イラストや略図を含むページの一部は張り付いていた) 、被害者たちの診察中に撮影したものと推定される人間の眼球の写真が2000枚以上回収されました。

数日後、現地の若者がイースト・イーリー鉄道の高架下で発見した人間の死体が、カウフマン氏であると特定されました。この死体は空洞化した表皮層と、神経系・心臓血管系の断片で構成されていました。眼球を除いて、全ての感覚器官が残されていました。このような状況のため、一般社会に向けた公式声明では、カウフマン氏の死因は割腹による外傷であると発表されました。報道機関はこの発表を、カウフマン氏の暴行の被害者、もしくはその親族による殺人の証拠として取り上げました。

死体は研究目的で直近のサイトに移送されました。模造物が製作され、現地の遺体安置所に送られました。

補遺: 既知のSCP-7932被害者全員の5年間に及ぶ観察期間中、感染の更なる進行や、正常性を脅かし得る外見上顕著ないし異常な発達は確認されていません。

行動面において、被害者たちはSCP-7932から受けた暴行を思い出せない一方で、それぞれ独立して配偶者や性的パートナーにオキュロリンクタス (眼球舐め; 口語的には“ワーミング”とも呼ばれる) を行う性倒錯傾向を発達させ、複数の眼球感染症や角膜擦過傷を引き起こしています。このような性倒錯行為は著しく不自然であり、定期的に不本意な参加者を危険に晒していますが、SCP-7932感染を伝播する媒介にはならないので、財団の介入は不要です。


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