SCP-7940

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アイテム番号: SCP-7940
レベル1
収容クラス:
euclid
副次クラス:
{$secondary-class}
撹乱クラス:
dark
リスククラス:
notice

特別収容プロトコル: SCP-7940にはサイト-403の人型オブジェクト収容室が割り当てられています。収容違反の可能性が低く、財団への忠誠を示していることから、SCP-7940は収容室を自由に離れ、サイト-403内の共有区域及び上級研究員の職務に関する場所へのアクセスが許可されています。

説明: SCP-7940は30歳の人型男性で、上級研究員のライアン・ティゲンです。SCP-7940の異常性は頭部から45cmより上の高さまで手を挙げようとした際に発現します。この際、SCP-7940の手の上方に不可視の天井が出現します。この天井はSCP-7940やSCP-7940が手に保持している無機物の動きを阻害しますが、他の生物はこの天井に一切触れることができません。

発見: SCP-7940は2023/2/16、SCP-7940が自身の異常性を上長へ報告したことで明らかになりました。この異常性は生涯を通して断続的に発現していたものと思われますが、恒久的に発現する状態になったのは最近のことである、とSCP-7940は主張しています。SCP-7940は、自身の日記の記述を見れば異常性の発現理由が分かると考えていました。以下に関連する記述を提示します。なお、前後の関係を示すため、その周辺の記述も付記されています。

1日目: 財団での初日。大学を出てすぐに影の政府に雇われるだなんて想像もしていなかった。しかし、他のどの仕事よりも給料が良い。「アノマリー」とやらについては何にもわからないけど、僕の教育担当たちはみな、ここのサイエンスについて君はすぐに理解できるよ、と言ってくれた。ここで正式に働き始められる日が待ち遠しいね!

3日目: 「アノマリーとは何か?」の基礎トレーニングコースの受講を終え、実験の手伝いをすることになった。正直に言って、何をやってるのか全然わかんない。大学は僕に「真実」を教えてくれた。だけど、「紫」と言ったら咲く花のことは教えてくれなかった。一体どういう仕組みなんだ? まあいいんだ、「真実」はこうだったということなんだろう。それより深刻なのは、頼まれたとおりに実験を行ったけど、その実験が実際はどういったものなのか理解できなかったことだ。すぐ理解できればいいんだけど、できるかどうか不安が残る。

4日目: 最良の日、とは言い難い日だった。機材を取り違えたから1つ実験を失敗した。上級研究員の皆さんは何も言わなかったけど、満足していない様子なのは僕でも理解できる。その直後、実験器具をキャビネットの高いところにしまう最中、何かに手がぶつかった。そして、ガラスの器具をたくさん落としてしまった。仮にさっきの失敗が気にされていなかったとしても、この失敗で間違いなく失望された。

5日目: 別に怒ってなどいない、最初の週はこんなものだよ、と皆さんが言ってくれる。だけど状況はあまり変わってない。普段物事を理解する時のような早さで理解することができていない。今の自分とここで求められている力量との間にはまだ大きな壁がある。

6日目: 機材を片付けている時にまた手をぶつけた。そして、持っていた試験管を全て落としてしまった。本当にもっと気を付けないと。何に当たったのかさえ分からなかった。この仕事に向いてないと判断されたらどうしよう? そうならないようにしないと。

8日目: 良い働きぶりだよ、と先輩方から言ってもらえたけど、気を遣ってるだけだと思う。これらの実験で何を測定しているのかは理解できたけど、何故こんな設計になってるのかが全く理解できていない。

20日目: コツをつかみ始めている気がする。僕を阻んでいた何かを乗り越えられたような、そんな感覚だ。これなら担当のアノマリーの実験で苦労している新人の下級研究員の補助に回れそうだ。

180日目: 上級研究員からアノマリーの実験手順の設計を割り当てられた。一体僕に何を期待しているんだろう? 僕はまだその水準まで達していない。実験の設計方法を学ぶ前に直すべきところがまだまだある。実験手順については基礎的なところしか知らない。最善は尽くすけど、たぶんあまりうまくいかないと思う。

185日目: さっき天井に手をぶつけて打撲を負ってしまった。バカみたいに天井が低い。実験も何かが引っかかっている。このアノマリーの周囲でこんなにヒュームの測定値が大きく変動するはずがない。それにこれだけ変動してるのに何も影響が起きていない。実験方法に欠陥があるのか? 設計内容を再確認しないと。

186日目: 実験の設計内容を再確認したけど、問題は何一つ見つからなかった。ダブルチェックもちゃんとしたはず。僕がミスをしているからなのか? クソ、クビになるかもしれない。なぜ最初の実験の時からうまくいっていないんだ?

188日目: 再実験中に手が何かにぶつかった。今回は何にぶつかったかすらわからなかった。実験用のアパチャーチューブを取りに梯子を上っていたところ、何かにぶつかって打撲をしてしまった。あやうく梯子から落ちるところだった。幸運なことに実験は終えることができた。だが、状況は芳しくない。今回の実験でも大きなヒュームの変動があった。実験の完遂は無理じゃないか?

189日目: 一つ障害がなくなった。現実錨に不具合があり、こいつがヒュームの変動を引き起こしていたことが分かった。上級研究員は僕が設計した実験内容に問題はない、と言ってくれた。けど、まだ改良の余地はあると思う。いつもそうなのだから。

806日目: 上級研究員に昇進した。そして、研究対象として専属のアノマリーが割り当てられた。喜ぶべきことなのだろう。だが、今の私にはそれに見合うほどの実力はない。ここに来て2年そこそこしか経っていない。他の上級研究員に私では力不足だと進言したが、君が適任なんだと言われてしまった。ひどいへまをしないようただ祈るばかりだ。

808日目: アノマリーに関する諸々の実験を下級研究員にそれぞれ割り当てた。その中に、アノマリーが化学的に生成した物と鉄との反応を見る実験があったが、担当研究員が鉄じゃなくてアルミニウムを使ってしまった。大したミスじゃない。だが、実験のやり直しに1、2時間ほどかけてしまった。とはいえ、明日は間違えずにやってくれると思う。

813日目: 実験の進みは芳しくない。下級研究員たちのせいではない。私の設計した実験内容が非効率なだけだ。収容スペシャリストたちが適切な収容までの道筋を立てることができるようにこの研究タスクは完遂させる必要がある。

815日目: 今日電球を替えようとしたが、何かに阻まれてソケットに手が届かなかった。原因を突き止めて後で誰かに報告をする。あの忌々しいアノマリーの方を優先する。期待に応えることができていない。私のせいだ。こちらに集中しなければ。

825日目: 何故私はこのプロジェクトの上級研究員にさせられたんだ? 私はただの出来損ないだ。プロジェクトについてもっと改善する必要がある。けれど変えることができない何かが私に存在している。何らかの異常性に阻まれて電球が交換できないことに関しても手の付けようがない。懸念すべきことが多すぎる。

830日目: ブレイクスルーがあった。ついに前進した。ボブ、ジェーン、サリーのために祝勝会を開いてやろうと思う。みんな実験で素晴らしい成果を上げてくれたからね。

840日目: ついに上層部が満足できる状態まで研究を進められた。予想よりもずっと早くこなしてくれた、と言っていただけたが、社交辞令といったところだろう。もっとうまくやれたと思う。少なくともこの経験から学ぶものはあった。次はもっとうまくやってみせる。

そういや、結局電球は交換できた。何が私を阻んでいたのかはよくわからなかったが、もう解消されているみたいだ。軽微な超常現象として記録しておいた。

2054日目: ここ数年で、自分が何らかの異常性を持っていると分かった。このことを報告するが、管理官は私を今の地位から外すことになるだろう。何せ私はアノマリーなのだから。正直に言うと、それがベストではないだろうか。

この仕事で私が学んだことがあるとすれば、私は有能にはなれないということだ。少なくとも、私がなりたいレベルにはなれない。初めてここに来た時より成長したかと問われれば、当然そうだと言える。だが、それで十分ではないのだ。私はまだ未熟も未熟だ。いまだにありえないミスを犯している。このままでは私のミスで誰かが死んでしまうかもしれない。もし研究者としてとどめる判断をしていただけるのならば、改善しなくてはならない。私を阻むものは乗り越えなくてはならない。

いつかまだ見ぬ高みに手の届く日が訪れるかもしれない。

最後の記述が書かれた後、SCP-7940の異常性は恒久的なものになったと考えられています。SCP-7940は質の高い働きを見せてきた実績があるため、厳重な収容プロトコルは財団の活動に悪影響を及ぼすのみであると判断されました。

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