SCP-7954
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SCP-7954のおおまかな発生場所。

アイテム番号: SCP-7954

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: TSCP-7954の発生場所には2名の財団エージェントが駐在しており、周辺にはフェンスが立てられています。毎晩午前12時から午前1時まで、エージェントはエリア外周を巡回します。侵入者は拘束され、必要であれば記憶処理が施されます。

説明: SCP-7954はペンシルベニア州ミフリンタウン付近の未開発区域で定期的に発生する異常現象です。毎晩、午前12時4分、この区域に2体の霊的実体(以降SCP-7954-A及び-B)が自発的に出現します。実体らはこのエリアを歩き回り、1隣り合って横たわり、会話し、午前12時58分に自発的に消滅します。実体らは常に同じ場所に横たわり、会話は常に同一です。実体らが財団職員やフェンスの存在を認識したことはありません。

SCP-7954-Aと-Bは共に十代後半の白人男性に見えます。ペンシルベニア州の公的記録を調査した結果、SCP-7954-Aはサム・ボウマンという名の男性に、SCP-7954-Bはロバート・バックと言う名の男性に大きく類似していることが判明しました。両名ともかつてペンシルベニア州に居住しており、1995年に同じ高校を卒業しました。

補遺: 映像転写

以下はSCP-7954-Aと-Bの会話記録の転写です。

[記録開始]

(SCP-7954-AとSCP-7954-Bは隣り合って草の上に横になっている。両者は空を見ている。)

SCP-7954-A: んで。

(SCP-7954-Aは-Bに顔を向ける)

SCP-7954-B: うん?

SCP-7954-A: 前に言ったアルバムはチェックした?

SCP-7954-B: ウィーザー2

(SCP-7954-Aは頷く。)

SCP-7954-B: まだ。安いのが見つからんかった。

SCP-7954-A: あら。そりゃ駄目だ。

SCP-7954-B: うん。

(SCP-7954-Aは空を向き直す。両者は1分間沈黙している。)

(SCP-7954-Aは-Bの方を向く。)

SCP-7954-A: あぁ、ライアンのことは信じられる?3

SCP-7954-B: あいつは糞野郎だよ。

SCP-7954-A: マジでそうだよな! つまり、本気で、誰があんなこと他の誰かに言うんだ? 信じられん。

SCP-7954-B: むーん。

(SCP-7954-Aは-Bを5秒間見つめ続けてから、別の方向を向く。)

(両者は30秒間沈黙している。)

(SCP-7954-Aは-Bの方に横に転がるが、-Bは反応しない。)

SCP-7954-A: エミリーはどう?4

(SCP-7954-Bは-Aの方に僅かに首を傾ける。)

SCP-7954-B: 何のこと?

SCP-7954-A: 彼女の様子はどう、って感じのこと。そっちは2人とも上手くやってる?

(SCP-7954-Bは首を元の位置に傾け直す。)

SCP-7954-B: あいつなら良くやってるよ。どっちも元気だ。

SCP-7954-A: なら良かった。

SCP-7954-B: うん。

(SCP-7954-Aは転がって仰向けに直る。)

(両者は1分間沈黙している。SCP-7954-Aは時折-Bをちらりと見るが、-Bは気付いていないようである。)

(SCP-7954-Aは唐突に立ち上がって-Bを見つめ、-Bは-Aを見返す。)

SCP-7954-A: お前がいなくなったら寂しくなるよ。

(SCP-7954-Bは目を閉じてため息をつく。)

SCP-7954-B: うん。

(SCP-7954-Aは目を閉じたままの-Bに身体を傾ける。)

SCP-7954-A: 電話してくれるよな?

(SCP-7954-Bは目を開いて-Aを見る。)

SCP-7954-B: 当然よ。しない理由なんてある?

(SCP-7954-Aは肩をすくめる。)

SCP-7954-A: さあ。ちょっと嫌な予感がしたってだけ。

(SCP-7954-Bは伸ばした手を-Aの方向に持ち上げる。)

SCP-7954-B: きっと電話する。約束。

(SCP-7954-Aはため息をつく。)

SCP-7954-A: オーケー。

(SCP-7954-Aはまた横になる。)

SCP-7954-B: ねぇ。

(SCP-7954-Aは-Bに顔を向ける。)

SCP-7954-A: ん?

(SCP-7954-Bはズボンのポケットに手を入れてトッツィロール5を1つ取り出す。)

(SCP-7954-Aは鼻を鳴らす。)

SCP-7954-A: マジ?

SCP-7954-B: どうせほしいでしょ。

(SCP-7954-Aは一瞬沈黙する。)

SCP-7954-A: ……あぁ。

(SCP-7954-Bは-Aにトッツィロールを手渡し、-Aはそれを食べる。)

SCP-7954-A: あんがと。

SCP-7954-B: もちろん。

(両者は1分間沈黙している。)

SCP-7954-A: この先どうするつもり? 大学出たら、ってこと。

(SCP-7954-Bは肩をすくめる。)

SCP-7954-B: あんま考えたことないな。大学院にはいけそうかな。

SCP-7954-A: 行き着く先はどこになると思う?

SCP-7954-B: よくわからん。この辺に腰を据えることを考えてるけど。

SCP-7954-A: そりゃ良さそうだな。俺もそのこと考えてる。

SCP-7954-B: この辺に腰を据えること?

SCP-7954-A: あぁ。この辺が好きだ。うるさすぎないし、ここみたいないい感じのスポットがいっぱいある。

SCP-7954-B: むん。

(SCP-7954-Aは立ち上がる。)

SCP-7954-A: この道の先の小さな家のどれかに自分が住んでるのが見えるんだ。植物を世話したり、ベランダでくつろいだり。

SCP-7954-B: そりゃいいや。

SCP-7954-A: 俺たちがこの辺で隣同士で住んでて、どっちかがもう一方の芝生に落ち葉を飛ばしたからなんて理由でけんかしてるジジイだったら、なんて想像してみ。

(SCP-7954-Bは鼻を鳴らす。)

SCP-7954-B: すごいいいな。

SCP-7954-A: だろ? あぁ、俺たちはろくでもない隣人だ。そりゃあいいだろう。

SCP-7954-B: ヘッ。うん。

(両者は2分間沈黙している。)

(SCP-7954-Aは-Bの方を向く。)

SCP-7954-A: 考えがある。

(SCP-7954-Bは-Aを見る。)

SCP-7954-B: 何よ?

SCP-7954-A: 10年くらい経ってもまだ友達だったら、またここに戻ってくるってどう? そん時にゃ、昔のことになってるだろ。

SCP-7954-B: そりゃいいね。

(両者は10分秒間沈黙している。)

SCP-7954-A: そんで、どう?

SCP-7954-B: もちろん、うん。やろう。

SCP-7954-A: よし。同意の握手だ。

(SCP-7954-Bはニヤニヤと笑う。)

SCP-7954-B: マジ?

SCP-7954-A: あぁ。こうやんのが正式だな。

SCP-7954-B: わかった、そっちが求めんなら。

(SCP-7954-Bは立ち上がる。2体は握手をしている間に自発的に消失する。)

[記録終了]

これがボウマン氏とバック氏との間で実際に起こった出来事を反映しているかは不明です。

補遺: インシデントレポート

2023/5/31、午前12時2分ごろ、男性がSCP-7954の発生区域を囲むフェンスを登ろうとしているのが発見され、財団エージェントにより拘束されました。財団の管理下に入った後、この男性はサム・ボウマンと特定されました。エージェントはボウマン氏とインタビューを行う権限を与えられ、いかに転写されています。

インタビュアー: エージェント・キャラハン

インタビュー対象: サム・ボウマン

[記録開始]

ボウマン氏: 今回の件は申し訳ありませんでした。迷惑をかけるつもりは本当になかったんです。

エージェント・キャラハン: 迷惑などはありませんよ。ただいくつか質問がしたいだけで、それが終われば自由に行って構いません。いいですか?

ボウマン氏: わかりました。

エージェント・キャラハン: 記録のためにお名前をお願いします。

ボウマン氏: サム・ボウマンです。ところで、あなたたちは何者なんですか? 警察?

エージェント・キャラハン: すみませんが、それにはお答えできません。何故あなたはあのフェンスを登ろうとしていたのですか?

ボウマン氏: 昔の隠れ家を探してたんです。フェンスはただどこかの会社のものだと思ってました。

エージェント・キャラハン: 「会社のもの」?

ボウマン氏: はい。その、会社が土地を買い取って、子供が入り込まないようにフェンスを立てたと。こんな大ごとだとは思いませんでした。

エージェント・キャラハン: しかし不法侵入だとは知っていたでしょう。

ボウマン氏: えっと、はい。改めて、こんな大ごとになるとは思っていませんでした。すみません。

エージェント・キャラハン: あなたは「昔の隠れ家」を探していたと言いました。どういう意味でしょうか?

ボウマン氏: 自分はこの辺で育って、他の人の近くにいたくないときは湖のほとりに隠れてました。当時はフェンスはありませんでした。もう一度見つけられるか確かめたかっただけです。

エージェント・キャラハン: なるほど。このエリアで何か異常なことはご存じないですか?

ボウマン氏: いえ? 何の話かよくわからないんですが。

エージェント・キャラハン: 何故あそこにフェンスがあるか知らないのですか?

ボウマン氏: はい。もう言いましたが、会社のものだと思ってました。

エージェント・キャラハン: なるほど。最後にもう一つ、それが終われば行って構いません。ロバート・バックという名前の男性について何かご存じですか?

(ボウマン氏は30秒間沈黙している。)

エージェント・キャラハン: ボウマンさん?

ボウマン氏: あいつは高校での相棒でした。あいつとは何年も話してません。最近何をしてるのかはわかりません。

エージェント・キャラハン: なるほど。

ボウマン氏: 他に何か?

エージェント・キャラハン: これで十分でしょう。ご協力ありがとうございました。

ボウマン氏: いえいえ。

[記録終了]

インタビューの終了後、ボウマン氏は記憶処理を施され解放されました。本稿執筆時点で、財団がSCP-7954の収容を確立して以来、バック氏は地元地域で目撃されていません。記録によれば、両名とも1996年以降ペンシルベニア州に居住していません。

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