クレジット
翻訳責任者: Tetsu1
翻訳年: 2024
著作権者: Rounderhouse
原題: All's Ferret in Love & War
作成年: 2022
初訳時参照リビジョン: 15
元記事リンク: https://scp-wiki.wikidot.com/scp-7976
アイテム番号: SCP-7976
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-7976実体はサイト-58の小型哺乳類囲い場に収容されています。必要に応じて、給餌方法と世話の詳細をサイト-58収容部門オフィスに要求することが許可されます。
監督者布告#20485がSCP-7976に関して発効されています。いかなる状況においても、その管理を他の組織、特に国際連合・世界オカルト連合 (GoI-012) やウィルソンズ・ワイルドライフ・ソリューションズ (GoI-064) に引き渡すことはできません。

SCP-7976-1~3。(スタッフによりキッシンジャー、ラムズフェルド、シュルツというニックネームを与えられた。)
説明: SCP-7976は、灰白色をした3匹のフェレット(M. furo)の成体からなるビジネス1です。SCP-7976実体は、地政学、国際関係、外交術、戦争、外交政策に関する事項において優れた人間レベルの知性を示します。その知識や思考の広範さは、終身在職権のある教授や、経験豊富な政治家や外交官と比較しても最高峰と言えます。実験中、SCP-7976実体は地球上の様々な紛争地域の政治情勢、世界の超大国、北大西洋条約機構の状態、旧ソ連諸国軍事準備、イスラム過激思想の台頭、中東や中央ヨーロッパにおける紛争、及びその関連事項について著しく複雑な知識を示しました。
1992年における収容以来通信遮断プロトコルが実行されているにも拘らず、SCP-7976実体がどのようにそのような情報やそれを取り巻く出来事を認知しているかは不明瞭です。実体らは世界的な地政学的展開を発生から数分から数時間以内に認知しているようで、多くの場合、各国政府よりも早く外交姿勢を適正に調整します。
実体らは、紛争地域へのアメリカとNATOの軍事介入に関する提言、国際連合の欠陥、アラブ世界の地域安定性に関する解説、地政学的な石油需要が促進する気候変動の影響と関係性、ソ連崩壊の長期的影響、及び調理済み卵の美点を激賞し何故それをSCP-7976の食事療法に組み込むべきかを説明する1枚の論文を含む、それぞれ数十ページの38枚の論文を共同で執筆しています。この提言は受容可能な説得力を持つと考えられました。
SCP-7976実体はまた、顕著な長寿も示しています。1992年に最初に幼体の状態で獲得され、フェレットの平均寿命の2倍を優に超える23歳まで生存しています。これが異常性によるものか、先進的な財団の医療の結果か、単に統計上の偶然かは不明です。
SCP-7976実体は話したり、その他の方法で口頭で思考を伝えることはできません。実験中、政治的な質問や問題への回答草案作成のために、共同でタイプするキーボードが提供されます。しかし、個人的な質問に回答することには興味がないようであり、実際個人的な事項について話し合うことには一切の興味を示しません。実験中以外では、実体らは典型的なフェレットの行動(走る、遊ぶなど)を行う傾向にあります。
SCP-7976実体らは当初、ルイ・チャン次席研究員によりその異常性が発見されるまで、財団実験室の実験動物として分類されていました。チャン研究員はフェレットのグループに大学レベルの政治学の試験を課していた理由の説明を拒否しました。
補遺7976.1
作成された学術作品
収容期間中、SCP-7976実体は頻繁に研究員から時事問題の解決策や解説を促されました。結果として作成された論説、論文、論述は実験証拠の多くを構成しています。
説明: SCP-7976の最初の実験として1992年に執筆された12ページの予測エッセイ。ユーゴスラビア社会主義連邦共和国崩壊の地域的影響を分析しようとしていた。このエッセイは、セルビア-ボスニア線を越えた民族紛争や民族浄化による急激な混乱や、それに続くコソボ分離と結果的なNATOの軍事介入を、実際に発生する数年前に正確に予測していた。
説明: リビアのガッダーフィ ジャマーヒリーヤ政府が、石油利権への西洋の財政支援を提供された場合のみ存続でき、そのような国際支援が必然的な結果よりも最早利益を齎さないと見做された場合には崩壊する理由を説明した、16ページの論文。再度、SCP-7976の予測は予言的であると証明された。国際連合がリビア上空に飛行禁止空域を設定した(そしてNATOが実行した)後、ムアンマル・ガッダーフィ大佐は一時的に同盟を結んだ多数の反政府勢力により権力を追われた。
論文自体は16ページだが、完全な文書は19ページであり、無関係の3ページは、SCP-7976実体が気が散ってキーボード上で鬼ごっこを始めた際のランダムな文字で構成される。
説明: 連合軍によるイラク侵攻への分析、特にどの時点で連合軍が陥落し、どのようにすれば内戦へと崩壊するのではなく、安定した、西洋に友好的な政権によりスムーズに移行できたかに関するSCP-7976実体の提言。
SCP-7976の計画は、既に極めて攻撃的かつ広範囲であった連合軍の計画よりも、更に大幅に攻撃的かつ広範囲であった。民間目標は軍事目標と同等に正当なものと見做され、計画は絨毯爆撃戦略から戦術核弾頭のバグダッドでの爆破に至るまで多岐にわたった。外交部門の専門家は、SCP-7976の計画では25万人以上の追加の民間犠牲者が発生し(侵攻で既に10万人以上発生していた)、関係者全員に多大な生命の損失が発生するという見解で一致した。
この侵攻中にSCP-7976の戦略の多くが米国政府により用いられたが、米国がこの論文を認知していたかは依然不明である。
外交部門の専門家は定期的にSCP-7976の作成する論文を調査し、根底にある論理の正当性を発見しますが、民間人の死傷者、巻き添え被害、そして生命全般への冷淡な無視を指摘しています。彼らはまた、「不幸を喜ぶような」と説明される論調を批判しています。
補遺7976.2
付属文書
ソ連崩壊後のUNGOC-財団間関係の緩和を受け、それぞれ複数の低レベル脅威存在とSCPのファイルが交換されました。この中にSCP-7976のファイルが含まれていました。当時ユーゴスラビア連邦は崩壊し、その地域が多数の小規模な紛争に陥っていたため、UNGOCはSCP-7976の一時的な管理権を公式に要請しました。
国際連合 // 世界オカルト連合 // 精神部門公式声明
1993.06.04
この公式要請は、国際連合・世界オカルト連合最高司令部より、ハウス協定第2項5条に基づき、SCP-7976の一時的な管理権を求めるものである。
その根拠は、SCP-7976の提供する外交的及び地政学的専門知識、ならびに地域的な傾倒や偏見に縛られない公平な第三者としての彼らの(ひいては財団の)地位が、ボスニア紛争の停戦仲介に重要な支援を提供でき、数万人の軍人や民間人の死を回避する可能性があるためである。
財団の対応: 却下
国際連合 // 世界オカルト連合 // 精神部門メモ
SCP-7976管理要請記録
2012.11.23
年 | 理由 | 評決 |
---|---|---|
1992 | ソビエト社会主義共和国連邦の崩壊 | 却下 |
1993 | ボスニア紛争 | 却下 |
1997 | アフガニスタン内戦 | 却下 |
1998 | コソボ紛争 | 却下 |
2004 | アフガニスタン紛争 | 却下 |
2008 | ガザ・イスラエル紛争 | 却下 |
2011 | 第一次リビア内線 | 却下 |
このアノマリーに関して財団が協力を欠いていることに非常に失望し、苛立っていると言わざるを得ない、ストレウィンスキー連絡員。我々はファイルの文書を読ませてもらった…… 馬鹿げた話ではあるが、現実には、このフェレットたちが世界平和を解決できる可能性は十分にある。そうでなくとも、少なくともこれらの地域に足を踏み入れた際に何を経験するかのもっといいアイデアはくれるだろう。人々は何十、何百ではなく、何万単位で死ぬ。収容の一時的な共有モデルをそちらが黙従する気がないのは明らかだということで、最高司令部は安全保障理事会に要請を止めるよう求めた。だが個人的には? そのケナガイタチを袋から出さないまともな理由でもあればいいんだがな。
カール・ハース大使
対財団特別大使
1993年のUNGOCの最初の要請を受け、財団職員はこの考えへの協力度合いを判断するためにSCP-7976へのインタビューを実施しました。実体らは依然として研究員と直接話すことを拒絶していましたが、単純な「はい/いいえ」回答システムの使用によって部分的な成功が得られました。
インタビュアー: レオ・サイラス博士
対象: SCP-7976実体、単純なブザーを提供された; ブザーを1回鳴らせば「はい」、2回鳴らせば「いいえ」を示す。
サイラス: こんにちは。君たちにリーダーがいるかはわからないけど、もしいるなら上ってもらえるかな?
[最大のフェレットであるSCP-7976-1がグループの中から姿を見せ、机上のボタンに接近する。]
サイラス: やあどうも、おチビちゃん。
SCP-7976-1回答: いいえ
サイラス: あー、わかった。悪い。君が最年長かい?
SCP-7976-1回答: はい
サイラス: よし。ええと、多分知っての通り、僕たちは最近国連からコンタクトを受けたんだ。
SCP-7976-1回答: はい
サイラス: 彼らは君たちの最大1年の一時的な管理を引き受けたくて、紛争を緩和させるために君たちのアドバイ—
SCP-7976-1回答: いいえ
サイラス: まだ何の紛争かも言ってないんだけど。
SCP-7976-1回答: はい
サイラス: GOCは君たちの専門知識と公平さが停戦仲介に役立つと考えてる。もしかしたら和平協定さえも。それには同意する?
SCP-7976-1回答: はい
サイラス: でもやりたくないと。
SCP-7976-1回答: はい
サイラス: 助けたくないの?
SCP-7976-1回答: はい
サイラス: これが大きな国際危機なことは…… わかってるだろ? あっちこっちで人々が死んでる。ほとんどは罪のない民間人だ。
SCP-7976-1回答: はい
サイラス: ジェノサイドが起きてる。民族浄化が。虐殺が。
SCP-7976-1回答: はい はい はい
サイラス: それでも助けたくないのか。少なくとも理由はある?
SCP-7976-1回答: はい
サイラス: ……それは是非聞きたいけど、でも正直、何万の男性たち、女性たち、子どもたちの死を回避しない十分な口実があるようには思えないんだけど……
[SCP-7976-1は回答しない。]
サイラス: つまり、この種のことはあまり知らないけど、でもそうする道徳的義務があるんじゃないのか? 人が殺されているときに介入する義務が。僕たちは財団、文字通り地球上で一番強力な組織だ。対処する政治も、赤字もない。僕たちには助ける力がある — 君たちには助ける力がある、それでも君はノーと言う。どうして?
[この時点で、SCP-7976-1は闇雲にブザーを高速で叩き始める。当初これは攻撃的で無意味な反応と考えられていたが、サイラス研究員はビープ音が短音と長音の間にスペースを挟んで交互に鳴っていることにすぐに気づいた。再生すると、このシーケンスは単純なモールスコードであると確認された。]