クレジット
タイトル: SCP-8053 - フィッシュ・フライ
翻訳責任者: C-Dives
翻訳年: 2025
著作権者: Nickthebrick1、
Uncle Nicolini
原題: SCP-8053 - Fish Fries
作成年: 2024
初訳時参照リビジョン: 6
元記事リンク: ソース
異常性発現前のSCP-8053。
アイテム番号: SCP-8053
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-8053はサイト-17のヒト型生物収容室に収容されています。この収容室は遮音構造に改装され、アノマリーの活性化と同期したデジタル表示タイマーが設置されます。また、収容室には各種文学資料、テレビセットと事前承認を受けた映画選集、数台の自動消臭剤噴霧器を配備します。SCP-8053-Aとの物理的な接触は可能な限り回避すべきです。物理的な接触が必要であると判断された場合、職員は接触前にアークフラッシュ防護服と絶縁手袋を着用する必要があります。
SCP-8053-Aは権威者に対して根強い嫌悪感を抱いているため、サイト-17のDクラス職員1名をエンリッチメント活動目的でSCP-8053-Aに付き添わせます。選ばれたDクラス職員はSCP-8053-Aとこまめに会話し、妥当と認められる範囲でSCP-8053-Aの要請に従うことを推奨されます。SCP-8053-Aの安楽死及び/または鎮静処置は、一貫して効果が見られないため中止されます。
説明: SCP-8053は木材で構築された電気椅子です。SCP-8053は電源に接続されていない状態でも機能するのみならず、あらゆる形態の物理的損傷への耐性を示します。SCP-8053の異常性はSCP-8053-Aと相互に関連しているようです。
SCP-8053-Aは5件の殺人罪で起訴され、収監され、1985年に死刑判決を受けた男性、ホレイス・フィッシュです。
SCP-8053-Aは現在SCP-8053に拘束されています。SCP-8053は5分おきに作動し、SCP-8053-Aを感電させてから短時間の停止状態に入ります。この間、SCP-8053-Aは高電圧の電気への曝露から通常予想される通りの傷害を負います。これにも拘らず、SCP-8053-Aは死亡せず、あらゆる負傷は数分以内に再生します。SCP-8053の動作は一定かつ自律的です。SCP-8053を不活性化する、及び/またはSCP-8053-Aを除去する財団の試みは全て失敗しています。
取得: SCP-8053-Aの処刑予定日、刑務所では致死薬物注射のために必要な物資が枯渇していました。刑務所は予定通り死刑を執行すべきであると決定し、電気椅子による処刑を採用しました。しかしながら、起動した瞬間、SCP-8053は自発的に異常性を発現させ、刑務所職員と立ち会った民間人の双方がそれを目撃しました。
SCP-8053-Aが死亡せず、SCP-8053が自律して作動し続けているという連絡を受け、財団が介入しました。全ての目撃者にクラスB記憶処理が施されました。SCP-8053は同型の電気椅子と入れ替えられ、SCP-8053-Aは標準的なDクラス取得プロトコルを介して財団に回収されました。
衰退: 収容下での年月を経て、SCP-8053-Aの再生能力の衰えが指摘されています。SCP-8053-Aは依然としてSCP-8053による感電から回復できるものの、死亡状態が維持される期間は1985年当時の10秒から延長され、2015年7月26日現在は3分になっています。
SCP-8053研究チームは、この情報をSCP-8053-Aに通達しないことを決定しました。しかしながら、SCP-8053-AはDクラス職員とのエンリッチメント活動の際、自らの死亡期間が徐々に長引いているのを認識している様子を示しました。詳細は添付されたログを参照してください。
有知性アノマリー 定常エンリッチメント活動、ログ-2340APRT
関係者
- D-1221
- SCP-8053-A
- シモーネ研究員
<記録開始>
[D-1221が収容室に入室し、SCP-8053-Aに近付きながら手を振る。]
D-1221: ハロー、ホレイス。今日の調子はどうだい?
SCP-8053-A: どう思う?
D-1221: すまない。 [D-1221は壁の本棚から本を取りに行こうとする。] 前回の続きからにする?
SCP-8053-A: いや。
D-1221: そうか、えーっと。じゃあ今日はどうする? 映画でも観たいか?
SCP-8053-A: いや。今日はちょいとセンチな気分でな。身の上話をさせてくれ、ボウズ。
D-1221: ああ、いいとも。
SCP-8053-A: 俺が何をやってこの椅子に座らされたか知ってるか?
D-1221: いや、知らないな… でもろくなことじゃないだろうと想像は付くよ。
SCP-8053-A: 俺は女を5人絞め殺した。みんな金髪だった。みんな若かった。みんなとても可愛らしかった。
D-1221: こだわりがあった、ってことか?
SCP-8053-A: そういうこった。俺は自分が好きなことを理解してたし、元女房に似た若くて頭の悪い金髪女の首を死ぬまで絞めるのが好きだったのさ。おめえはどうしてこんな場所に身を置いてる?
D-1221: 飼い猫と、それからルームメイトを殺した。
SCP-8053-A: なんとまあ、エディ坊や、おめえがそこまでタフだとは思わなかったぜ。
D-1221: 自分がやったことを特に誇りには思ってない。僕は - あー、精神を病んでいた。法廷の心理学者に分析されるまで自覚していなかったけどね。僕より賢い人から聞かされると、ものすごく腑に落ちたよ。
SCP-8053-A: ああ、キチガイか。ヘッ。俺もムショで何人かキチガイに会ったよ。弁護士は俺がイカレてるって言い張ったが、裁判所は信じなかった。だがとにかく、さっき言った通り、俺は金髪のビッチどもを5人殺した。結婚仲介サービスに自己紹介ビデオを提出して電話番号をゲットするだろ、それからハイキングコースがある公園で会おうって説得して、そこで奴らにおべっかを使いながら人通りの少ない道を一緒に歩くんだ。
D-1221: そして絞め殺した?
SCP-8053-A: なかなか冴えてるな、え? そうだ。死体は渓谷に捨ててそこで腐るがままにした。ある日死体が見つかっちまうまでは順調だった。まあ、俺の手落ちさ。やり方がズボラだった。
D-1221: 自分がやったことを後悔してるか?
[SCP-8053-Aは笑う。]
SCP-8053-A: これっぽっちもしてねえよ。俺は奴らの命が風に吹かれた蝋燭みてえに消えるのを見て楽しんだ。実際、俺は -
[SCP-8053から電気的なハム音が発せられる。SCP-8053が起動し、SCP-8053-Aを感電させる。SCP-8053-Aは苦痛に叫びながら痙攣し、身をよじる。]
D-1221: うっ、いつも酷い臭いだ。君も自分で臭いを感じられるのか、それとも鼻の穴は焦げてる?
[D-1221は鼻を覆い、SCP-8053-Aから目を逸らす。SCP-8053-Aの全身に火傷跡が生じており、肉は焦げている。傷はゆっくりと元に戻り始める。SCP-8053-Aは反応しない。]
D-1221: ホレイス?
[沈黙。]
D-1221: ホレイス? おーい? [D-1221はSCP-8053-Aの顔の前で手を振る。]
[SCP-8053-Aが突然身を揺すって蘇生し、喘ぎながらD-1221を見つめる。]
SCP-8053-A: ファック!
[D-1221は数歩飛び退き、危うく倒れそうになる。]
D-1221: クソッ! びっくりするじゃないか、おい! どうして目を覚ますのにそんなに時間が掛かったんだ?
SCP-8053-A: 椅子以外に何がある? このガタガタの代物は年々調子が悪くなってやがる。電気ショック。回復。その合間。全てがだ! 白衣の連中は特に変わったこたあないと言うが、画面の向こう側からそう言うのは簡単さ! [SCP-8053-Aはミラーガラスの方向に向かって叫ぶ。唸り声を上げた後、SCP-8053-Aは見たところ落ち着きを取り戻す。] そうだろ?
D-1221: どういうことだ?
SCP-8053-A: 俺は死につつある。いずれそうなる定めだった。全てが始まったのは、いつだ、もう30年も前か? 俺がこんなに長く死なずにいられたのは奇跡だよ。だが死ぬたびに、俺は少しずつ長く死んだままになってる。
D-1221: 恐ろしい話だ。
SCP-8053-A: 本当に怖いのが何か知りたいか?
D-1221: 何だい?
SCP-8053-A: その後には何もねえんだ。
D-1221: どういう意味だ?
SCP-8053-A: 向こう側に俺を待つものは何もねえ。永遠に続く無だ。暗闇ですらねえ。ただの虚無だ。
[D-1221が身じろぎする。]
SCP-8053-A: ガキの時分、母ちゃんからは、行儀良くして神様の仰る通りに正しく生きなきゃ地獄に落ちるよって言われてた。だが母ちゃんはいつも地獄は業火と硫黄に満ちていると言った。あれはそんなもんじゃねえ。
D-1221: それは -
SCP-8053-A: すまんな。
D-1221: いや、いいんだ、僕はただ… どう言えばいいか分からない。
SCP-8053-A: ある意味じゃ、俺自身がこれを招いたのかもしれねえよ。
D-1221: どうしてそう思う?
SCP-8053-A: なあ、一つ訊かせてくれ、エディ。おめえは自分の行いに対する罰を、自分で招いたと思うか?
D-1221: まあ… 後悔しているよ。
SCP-8053-A: そういうことを訊いてるんじゃねえよ、ボウズ。
[D-1221は少しの間沈黙している。]
D-1221: 思う。
SCP-8053-A: そうだろ。俺は自分の行いを後悔してねえ。だがあれが悪いことだったのは分かってる。悪いことをしたら罰を受けるってのも分かってる。俺の自業自得だ。こうなるのが当然なんだ。
D-1221: 30年も感電死と復活を繰り返させられるのが当然な人間なんていない。
SCP-8053-A: おめえはタフな奴だと思ったがね、エディ。
D-1221: ホレイス、これは拷問だ。僕は拷問を受けるに値する人がいるとは思わない。
SCP-8053-A: きっと俺は値するんだろう。世界には俺みてえな病んだクソ野郎は必要ねえのさ。
D-1221: 君はもう償ったと思うよ。そうだろ?
SCP-8053-A: ヘッ。
[シモーネ研究員が入室する。彼女はまずD-1221を、次にSCP-8053-Aを見た後、身振りで前者に付いてくるように促す。]
シモーネ研究員: 来なさい。他所であなたが必要です。続きは後にしてください。
D-1221:でも -
SCP-8053-A: 行きな、エディ坊や。俺に白衣どものお情けは必要ねえよ。おめえに恨みがあるわけじゃねえ、ボウズ。だが、白衣どもが俺から何かを隠してるのは察しが付いてたし、それが何なのか分かった以上、おめえらが話し相手に連れてくる囚人どもとこれ以上仲良く付き合うつもりはねえ。もう送ってよこすな。
シモーネ研究員: 宜しいのですか、フィッシュさん? 精神的な刺激は、人間にとって -
SCP-8053-A: ああ、宜しいとも。とっとと失せろ、老いぼれを一人きりで死なせてくれ。
シモーネ研究員: 承知しました。D-1221、付いて来てください。
D-1221: …分かった。
[D-1221とシモーネ研究員が収容室を退室する。]
[SCP-8053-Aは収容室に一人きりになる。短い間を置いて、SCP-8053-Aは静かに過呼吸を起こし始める。SCP-8053-Aの右目から一筋の涙が流れる。電気的なハム音が聞こえる。]
SCP-8053-A: やれよ。
<記録終了>

