SCP-8061
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財団記録・情報保安管理局より通達

重要事項: 財団外部の人物やセキュリティクリアランスが不十分な職員に対する、SCP-8061の存在の情報漏洩は固く禁じられており、即時懲戒処分の対象になると共に、必要に応じて財団職員特権の剥奪と解雇が行われます。あらゆる形態の電子通信も含め、認可されていないチャンネルでSCP-8061について議論することは許可されません。ご協力のほど宜しくお願い致します。

— RAISA管理官、マリア・ジョーンズ

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SCP-8061に類似する蹴り技を繰り出すプロのテコンドー選手。

アイテム番号: SCP-8061

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-8061は特有の非物理性ゆえに、単独で拡散することはありません。従って、SCP-8061に関する知識を適切に隠蔽することによって、安全かつ効果的な収容が可能です。

収容違反を防止するため、SCP-8061について財団職員間で議論・言及する際には、健全な判断力を行使し、地位や称号に関わらず、格闘技に過剰な熱意を示す人物への情報開示を避けることが肝要です。人間の好奇心と不注意は決して軽視すべきものではありません。

説明: SCP-8061はフランス系アメリカ人のキックボクサー、ガブリエル・ヴォーが考案者とされている格闘技の技法です。ある一連の動作が適切に実行されると、最終的なキックの威力が飛躍的に増幅されます。この現象は従来の物理学の解釈では説明できません (具体的な事例は“補遺8061: 事件ログ”を参照) 。

SCP-8061の考案者だと思われるヴォーは、熟練した格闘家でも模倣が極めて困難な積極的・躍動的な打撃スタイルを取っていました。このため、卓越した瞬発力、運動神経、バランス感覚を持たずにSCP-8061の実践を試みる人物は高確率で負傷します。

SCP-8061を (研究目的で) 実践するにあたっては、実行者が以下の基準を満たしていることが推奨されます。

  • 18~25歳で、運動能力を悪化させるような持病が無い。
  • 空手、功夫、ムエタイ、キックボクシング、サバット、テコンドー、または同様の打撃を中心とする格闘技のトレーニングを少なくとも8年間受けている。
  • バランスを崩さずに様々な蹴り技を素早く繰り出すことができる。

SCP-8061は以下の手順を立て続けに実行することで成立します (各手順の合間は0.5秒以下に留める必要があります) 。

  • 微妙に屈み込む動作。
  • 前方に跳びながら、踏み出した脚でクエスチョンマークキックを繰り出す (キックを相手に命中させる必要はなく、フェイントとしても有効) 。
  • オーソドックス・スタンス (左脚を前に出す構え) からサウスポー・スタンス (右脚を前に出す構え) にシームレスに切り替える。
  • 右フックの後、パンチの勢いが向かう方向に沿ってスピニングフックキックでフェイントをかけ、最後にトルネードキックを繰り出す。 警告: このトルネードキックの威力が増幅される。

SCP-8061の形而上学的特性は現時点で不明であり、調査中です。同様に、正確な起源も明らかになっていません。

補遺8061: 事件ログ

SCP-8061の不適切な取扱いによる事件ログ


日付: 2023年8月3日

事件: Dクラス被験者が実験中にSCP-8061の再現を試みたが、最後のキックを繰り出した際に足を滑らせた。被験者は転倒時に手首を骨折し、膝の靭帯を部分的に断裂した。

収容違反: 無し


日付: 2023年8月4日

事件: 警備員が階段でSCP-8061を練習していた際、足を踏み外して数段下に転落した。警備員は脳震盪と数ヶ所の骨折に見舞われ、即時手術が必要となった。

この事件の後、財団はSCP-8061の実践にあたって数名の要注意人物に協力を要請することを提案した。これらの格闘技スペシャリストたちは、実験の成功後に記憶処理される予定である。この取り組みには今後更なる注意が求められる。

収容違反: 無し


日付: 2023年8月9日

事件: 総合格闘技コーチのジョナサン・ピアスがSCP-8061の実践に成功した際、誤ってトレーニングパートナーを断頭した。彼はこの技法に関する知識を、ある財団研究員との雑談中の言及から得ていた (ピアスと研究員が最初に交流したのは、財団施設の外部にある地元のコーヒーショップだった) 。

事件が起きた総合格闘技ジムのインストラクターと会員全員に記憶処理が施された。

収容違反: 発生


日付: 2023年8月21日

事件: 実験に関与した要注意人物の1人が、SCP-8061の実践中に“うっかり”足を滑らせ、研究員の顎を蹴った。研究員の下顎は頭蓋骨から外れ、蹴りの衝撃で環椎後頭骨脱臼が発生した。研究員は即死した。

収容違反: 無し


日付: 2023年8月25日

事件: 訓練を受けたスペシャリストが、財団研究員のチームによる監督の下、弾道ゼラチン製のダミー人形に対してSCP-8061を実践し、効果の再現に複数回成功した。

最後の実験の1つで、スペシャリストがダミーを蹴った際、ダミーは蹴りの接触時に破裂した。この時、職員の職務怠慢の結果、ダミーの内部には以前に無関係な実験で使用されたチタン装甲の破片がめり込んだままだった。金属片は高速で射出され、1人の研究員の頸部に命中した。研究員は頸動脈を切断され、数秒以内に失血死した。金属片は更に近くの壁で跳ね返り、別な研究員の手首を貫通したが、致命傷には至らなかった。

この事件に続いて、新たな安全プロトコルが導入された。

数時間後、匿名のフィールドエージェントが携帯電話で親戚に連絡し、当該事件を吹聴するという形で収容違反が発生した。問題のエージェントは記憶処理を施され、無期限に財団を解雇された。

収容違反: 発生


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