SCP-8091
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調査中に回収された画像。

アイテム番号: SCP-8091

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-8091の収容は現状実現不可能です。SCP-8091イベントの発生が検知された場合、カバーストーリー-3049-SDLO("ありきたりな森林火災")によってその信用性を失わせます。必要に応じて、財団エージェントが消火活動を支援するために派遣されます。財団webクローラのAgnes.aicはSCP-8091に関する言及がないかインターネット上を監視します。そのような言及は削除され、現在サイト-270に位置するSCP-8091研究チームに転送されます。

現状の研究は二つの目的に分かれています。熱力学部門はSCP-8091によって生み出される炎の正確な機序の分析を担当し、解析部門はSCP-8091イベントが発生する動因及び条件の完全なリストの作成を試みています。当プロジェクトには優先レベルEKHIが割り当てられています。

説明: SCP-8091は、熱力学の基準が示すよりも高温かつ長時間、火が燃え盛る異常現象です。SCP-8091は以下の条件とシナリオの特定の組み合わせが満たされた際に発生します。必要条件の完全な組み合わせは保留中ですが、以下のものが含まれると考えられます。

  • 火は最低でも一名の人間の対象により引き起こされねばならない。
  • イベントでは対象にとって個人的価値のある物品を複数消費せねばならない。
  • 火は何らかの反応促進剤、標準的には灯油を使用して生じねばならない。
  • 大量の薪やその他の燃料を加えねばならない。1
  • 対象は大火により完全に焼き尽くされねばならない。

一度炎が点けば、イベントは進行します。全てのSCP-8091イベントでは結果的に開始者が死亡し周辺環境に甚大な被害を与えるため、発火後何が起こるかは不明です。

補遺 — 文書-2009/07/02-SCP-8091

以下はオーストラリアのビクトリア州で2009/07/02に発生したSCP-8091イベントを引き起こした対象の心臓に焼き付いていた聖句の影写です。その含意は不明です。


車を出てください。道路を出てください。背後のあらゆる文明の痕跡を出て、森へと歩いてください。あなたは孤独で、ただ一人です。巡礼者なのです。紅葉が足の下でザクザクと音を立てます。鳥の歌声が聞こえます。

あなたは暗闇にいるでしょうが、熱と光があなたを導きます。あなたはどこへ行くべきか知っているでしょう。空き地に出たら歩みを止めてください。もう長くはかかりません。

日の出になり、空が赤らんだら、始まりです。私たちを見守る偉大な眼がもう一度この星を温めてくれるのを、感じて、それから目にすることでしょう。熱があなたを目的で満たします。始める時間です。

円を描くよう供物をあなたの周りに並べてください。地面を塗料と炭で塗ってください。穴を掘っても構いません。マッチと油はたくさん持ってきてください。準備ができたと感じられるくらいに。本当にこれをしっかりと為したいのであれば、あなたは自分にとって価値あるものを全て持ってきていることでしょう。骨董品や本。あなたの家族の写真。配偶者や子どもがいるならそれも。あなたがこれまでの人生で手に入れた意味あるものは全て、炎に与えねばなりません。それが唯一の方法なのです。

しかし、価値のないゴミも与えてください。壊れた人形、もう誰も読むことのない新聞。かつてはあった見せかけの機能をすべて取り除いた製品。そうすることで、すべては火を焚きつけるものであり、猛火の前には何も価値はないことを思い出すのです。

それこそが、あなたがこうしている理由なのです。

あなたは失うものがほとんど残っていないからここにいるのです。あなたはいつも、祭壇にいろいろなものをなげうつような人でした。お金、人、希望、夢。すべて同じ事です。火は、いつだってあなたを呼んでいました。もっと近くに、もっと近くにと呼んでいました。最後に与えるものはたった一つだけです。

恐ろしいですか? そのはずです。大火は畏敬だけでなく恐怖も呼び起こします。忘れないでください。到来に備えてください。

まずはタバコに火を点けて、それを身体へと押し付けます。腕、胴体、頭、首。どこでも構いません。ヒリヒリとして、すぐに赤いミミズ腫れができます。痛みは必要なものです。火をあなたに近付けてください。それをあなたの芯へと深く押し付けるのです。火が消えるたびに点け直してください。それからより深く押し込むのです。

それが心地よく感じ始めるまで、何度でもそうしてください。

この供物は幾千年にわたり生き続けてきました。あなたは巨人の肩の上に立っています。カラノス。サモソジガテリを耐えた古儀式派。ファユ族。チャラン。ラージプート族。ザルマノチェガス。救世主でさえ。イエスは十字架の上で死んではいません。ただ火のみが真に神性を発揮できるからです。燃える苦痛だけが世界の罪を除くことができます。イクシオンが燃えるために、私たちが生きられるのです。忘れないでください。彼らは皆、あなたが今しなければならないことをしたのです。感謝をささげ、彼らの栄光に加わる用意をするのです。

生きたまま自分を焼くことで、あなたの身体は、あなたの命は、灰の山へと変わります。自身を神性たらしめます。希望と夢のかがり火です。より大いなる目的のために自ら炎に身を捧げ、あなたを作る原子の一つ一つが燃え上がります。あなたはその身を神に捧げているのです。しかしまた、あなたが自らを燃やす中で、焼き殺す中で、あなたはそのようなことは何も考えません。あなたは癒しも享楽もなく、熱さだけを考え、それに殺されていくのです。煙が肺を満たし、呼吸さえもできません。逃げ出す場所はありません。火はあなたに点いているのです。どこへ行こうとも。

美しいだろうと思いませんか?

深呼吸してください。これが煙が肺を満たす秘跡の前にそうできる最後の時間です。あなたは準備ができています。

灯油を撒いてください。マッチを点けてください。

あなたの肌はミミズ腫れの痛みと黒ずみの中ですぐに燃え上がります。油が発火します。熱に覆われた下半身が先に動きます。脚はよろめき、倒れます。

あなたはそれが上下するのを感じ、ただその考えだけがあなたの心を通り抜けます。ただ一つの現実。あなたは燃えている、燃えている、燃えている、燃えている、そしてあまりにも痛い。あなたが今経験している以上の苦痛はありません。

あなたは崩れ落ち、火に饗宴を許します。あなたの供物は良い火種となります。あなたとお母さんが最後に撮った写真が最初に去ります。その貴重な瞬間は、鼓動の中で貪られます。本当はどれくらいの価値があったのでしょうか?

次に森が続きます。木々は黒ずみ、一本ずつ倒れていきます。燃料は滝のように追加されていき、延びていきます。このようなものはこれまでに見たことがありません。これはあなたが夢見ていたようなものすべてです。

野生動物もまた、猛火の手に触れられます。彼らの叫びがあなたを合唱へと加えます。彼らはあなたと交わり、濃く黒い煙で息を詰まらせます。彼らもあなたのように迷える者たちなのです。

ある温度に達すると、あなたの神経自体が溶け、苦痛は止まります。理解できない熱を前にすると、感覚は失われます。身体が経験できる苦痛には上限があります。しかしここではそのようなことは起こりません。世界が溶けだす中、あなたは苦悶の至福に常時目覚め続けるのです。木がパチパチと鳴る音が聞こえます。あなたはそれを理解できます

あなたはとても温かくなっています。自分がかつてどれほど冷たかったか、わかりはしません。どれだけ極寒だったことか。猛火はその温かさであなたを抱きしめます。決して理解できないと思っていた真実を教えてくれます。ユダヤ教も仏教も社会主義も無神論も資本主義もシク教も、この熱には敵いません。偽りの偶像では決して敵うことはありません。

これがただ一つ、真の崇拝なのです。最古の崇拝。大火の炎によってのみ照らされる、最も深い洞窟、最も暗い穴の中で生じた崇拝。モロクの祭壇。自分のすべてを神に捧げることが、信仰を示すただ一つの方法なのです。あなたは泣いています。熱は涙そのものを喰らい、その慰めすらも与えることはありません。あまりにも痛い。第三度熱傷、ケルビン、1から10のスケール、何一つあなたの受ける感覚を理解できるものはありません。

しかし本当は、あなたはこれに値すると知っているのです。あなたが自分でこうしたのでしょう?

ここには愛などないことに気付いたはずです。これは愛に満ちた親切な神などではありません。これは慈悲深い憎しみであり、必要な苦しみなのです。これは荒廃と言う名の無関心なサディズムなのです。決してこれを忘れるべきではなかったのです。

身代わりによる贖罪について学んだことはありますか? それは虚偽です。神を買収することなどできません。その欲求は単なるつまらないもので満たされることはありません。神はかつては雄牛で良しとしていましたが、今やイサクを欲しています。神は常にイサクを欲しており、すべてを貪るほどに飢えているのです。

そして今は、あなたを欲しています。両手を広げて歓迎しましょう。そのような威厳を前にし、自分が何であるかに気付くのです。

あなたは穢れた汚物なのです。あなたは些細な罪と無意味な希望と惨めな願望の化膿した膿疱であり、それを浄化できるのはただ猛火のみです。焼灼が唯一の方法なのです。病を断ち切り、感染を焼き尽くすのです。

あなたは自分にできるすべてのことをしました。あなたは煙と芳香を送り出しました。その輝きを嗅いでみてください。油とガソリンの壮麗なシンフォニー。もうすぐ終わりです。

荒廃はすべてを喰らいました。もう木はありません。もう鳥の歌声はありません。太陽だけがあり、とうとうあなたに近付いていました。ようやく理解できます。最後にもう一度叫ぼうとするかもしれませんが、煙とパチパチという音が、声を出す前に音を奪い去ってしまいます。

赤とオレンジの舌で大火はあなたに接吻します。色彩は美しく鮮やかで、あなたはそれを完全に目に焼き付けたいと望みます。あなたの目は既に溶けて、うれし涙のようにあなたの顔を伝い落ちています。焼け焦げた骨から皮膚は剥がれ落ち、炭化した骸骨だけが残りますが、それでいいのです。あなたは今、微笑むことができます。あなたは手に入れたのです。とても長い時を経て、ついにその日が来たのです。あなたは本当に、罪から救われたのです。

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