クレジット
翻訳責任者: Tetsu1
翻訳年: 2024
著作権者: DrClef
原題: FRIGOPHOBIA: A dish best served cold
作成年: 2024
初訳時参照リビジョン: 11
元記事リンク: https://scp-wiki.wikidot.com/scp-8109
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特別収容プロトコル識別番号: 8109
異常兵器、反エントロピー、人間の自然凍結。
オブジェクトクラス
警告: 特殊オブジェクトクラスは他のオブジェクトクラスが適用されない場合のみに用いられます。オブジェクトに特殊クラスを割り当てる前に、RAISA特殊クラス部門 (esoclassdept@site7.scipnet) に連絡して承認を得てください。既に承認を得ている場合、以下のテキストフィールドに具体的な特殊オブジェクトクラスを入力してください。
どうか頼む、補遺3を読んでくれ
特別収容プロトコル

2022年7月22日時点で、SCP-8109の入った小瓶(それぞれ生食懸濁液内に10mlの活性薬剤が入っている)は10本存在することが知られています。このうち1本(SCP-8109-1)は実験中に破壊されたことが確認されています。別の小瓶(SCP-8109-2)は2016年8月29日に未知の敵対勢力によってサイト-76への襲撃中に使用されました。残り8本の小瓶はサイト-76«脚注1»で機密保管されています。
SCP-8109の犠牲者は反エントロピー性質を示し、周辺から急速に熱を吸収するため、死体の適切な保管は最優先事項です。このためには、サイト-76の極低温保管施設が十分に役目を果たします。SCP-8109の犠牲者と外部で遭遇した場合、機動部隊カッパ-5(ヴォネガットの悪夢)が派遣されて死体を隔離し、確保します。
これ以上の収容プロトコルは不要です。«脚注2»
脚注1:
サイト-76はアメリカ合衆国に位置する主要な収容サイトであり、人工物と推定される多数の異常オブジェクトを収容しています。このサイトは旧米国政府の建物内にあり、現在も稼働している米国の施設としては最も古いものの一つです。
脚注2:
補遺#3を見るんだ。
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オブジェクト説明

ファイル画像: SCP-8109.png
以下に代替テキスト説明を入力
SCP-8109犠牲者、9歳男性のX線画像。脳物質の結晶化、髄液の急速凍結による氷の棘、頭蓋の損傷に注目。

SCP-8109は反エントロピー的性質を示す触媒です。生理食塩水の存在下では、SCP-8109は急速な反エントロピー吸熱反応を示し、その結果絶対零度(約-270℃)付近まで急激に温度が低下します。
自立的連鎖反応(ケース・フィンブルウィンター)に関する初期の懸念は実験により反証されました。1ミリリットルのSCP-8109は活性化時に10~20リットルの海水を凍結させるのに十分ですが、同凍結プロセスによって塩水の氷内部に触媒がカプセル化され、周辺環境から隔離されて安全に輸送可能となります。
明確な危険性を有してはいますが、SCP-8109を現在の状態に封じ込めることは容易です。全ての既存のサンプルはアルテミサイト«脚注1»ナノ格子内にマイクロカプセル化されており、蒸留水内に懸濁されています。
人間を対象とした実験では、カプセル化されたSCP-8109は摂取後も体内に残り、血液脳関門を通過して脳梁で留まることが示されました。実験対象は極寒の感覚、火傷するほど高温に温められた飲料への欲求、中核温の著しい低下を報告しますが、それを除けばSCP-8109が活性化するまでは無傷です。
反エントロピー触媒の性質は不明であり、製造プロセスは失われています。現時点では、SCP-8109を更に製造する方法はありません。«脚注2»
脚注1:
タイプブルーの術師が使用する奇跡術的に活性化する合金。アルテミサイトは特定のアスペクト範囲(ルビー、ダブルフラット、タイト)内の奇跡エネルギーに曝露すると、構成金属へと急速に分解する点で特異です。この形式の奇跡エネルギーは自然界には存在せず、計画的な奇跡術作用によってのみ生成されるため、アルテミサイトは偶発的な活性化を防ぐためのトリガー機構としてよく使用されます。
脚注2:
どうか補遺#3を見てくれ。
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補遺1: 開発の歴史

SCP-8109はオリンパス計画«脚注1»の一環としてバウ委員会の命令の下、トート・インダストリーズ«脚注2»が1991年に作成した固有兵器です。当初は1989年に制定されたモントリオール議定書でのクロロフルオロカーボンの禁止に続き、軍事装備用の改良型冷却材として開発され、SCP-8109の異常な反エントロピー特性のために領域拒否兵器としての開発への研究が一層推し進められました«脚注3»。反エントロピー触媒は生理食塩水の存在下でのみ活性化し、自己密閉型の氷水の殻を形成する傾向にあるため、この使用例は最適ではありません。
その後、研究の焦点は遅効性の暗殺/人口削減兵器としての利用可能性に移行しました。反エントロピー触媒をアルテミサイトのナノ格子にカプセル化することで、触媒は敵の水・食料供給源に入り込み、敵全体に広がって対象の体内に取り入れられ、奇跡エネルギーに曝露して活性化するまでそこに留まる可能性があります。これにより兵器が敵全体に徐々に拡散して、突如活性化し複数の敵を一度に終了できます。
初期実験では、固有兵器SCP-8109(ベルフェゴール計画)は効果的な暗殺兵器となりうることが示されていましたが、その明確に異常な効果がそれを阻害し、SCP-8109の配備はヴェール・プロトコルと両立しませんでした。投与量を調整した配送機構の研究は、2022年冬における財団とバウ委員会との不和によってオリンパス計画が停止されるまで続けられました。トート・インダストリーズの資産の処分に関する意見の相違のため、財団職員はトート・インダストリーズ施設を強制的に確保し、異常資産を可能な限り移動させて収容しました。
SCP-8109に関しては、その製造プロセス記録を確保する試みは、機動部隊オメガ-7のチーム・サンティアゴ«脚注5»リーダーがトート・インダストリーズのメインデータハブの自壊手順を起動したことで妨害されました。その後、彼はベルフェゴール計画主任研究員«脚注6»を、財団工作員が移送のために確保する前に個人的に処刑しました。«脚注7»
現存する10本の小瓶はサイト-76の機密収容室に保管されました。SCP-8109に使用された反エントロピー触媒を再現する更なる試みはいずれも失敗に終わりました。
脚注1:
財団と協同で策定されたバウ委員会のパラソルジャー計画。オリンパス計画は、サイト-17での収容違反に置いて«SCIPNET:SCP-076»の手によってユリシーズ・バウ将軍が死亡したことで中止されました。
脚注2:
トート・インダストリーズは1950年に設立された異常兵器の開発・製造会社。この企業の異常資産はバウ委員会の解散後に財団によって取得、確保されました。
脚注3:
ベルフェゴール計画。
脚注4:
機動部隊オメガ-7("パンドラの箱")は米国防衛における異常兵器使用のテストを目的として、バウ委員会の後援の下結成された特別機動部隊でした。チーム・アベルは戦闘時の«SCIPNET:SCP-076»の使用をテストすることを、チーム・アイリスは潜入・スパイ活動で«SCIPNET:SCP-105»を支援することを目的としていました。チーム・サンティアゴは、現在SCP-8109に指定される反エントロピー触媒を含む非人型異常兵器の試験部隊として結成されました。
脚注5:
ヘクター・サンティアゴ司令官、アメリカ海軍退役。サンティアゴ司令官は当初財団に雇用されていなかった唯一のオメガ-7リーダーでしたが、バウ委員会の推薦により財団に出向していました。
脚注6:
ヴィンセント・チン博士、元トート・インダストリーズ社員。チン博士はSCP-8109反エントロピー触媒の開発責任者であり、ベルフェゴール計画の進展における重要人物でした。
脚注7:
サンティアゴ司令官はチン博士への暴力的攻撃により財団職員によって終了されました。サンティアゴ司令官の家族全員には、彼が海外のヘリコプター事故で亡くなったと伝えられました。
補遺2: カオス・インサージェンシー部隊による急襲:

2016年夏、財団サイト-76は未知の集団により侵害されました。4人の潜入チームがマーヘル空軍基地のサイト-76への隠し入口を突破してその下層部へと進み、その過程で複数の収容違反を引き起こしました。違反の一つはSCP-8109の保管施設であり、SCP-8109の小瓶が入った強化ポッドの一つが侵害されました。小瓶はその後攻撃者の逃走を補助するために使用され、攻撃者が排水路を通って逃走している間、サイト-76の下水システムの大部分が凍結しました。
急襲後に全資産は目録化され、SCP-8109の残りの小瓶8本は全て収容ポッド内に無事に収まっていることが確認されました。«脚注1»
脚注1:
補遺3。補遺3
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補遺の説明
財団サイトへの複数の同時攻撃
補遺の本文を入力:

こちらジュニアアーキビストのヘンリー・レナード。保護サイト-7の第7プラットフォームのSCiPNET端末からこれを書いている。この部屋への入口は現在凍って閉ざされ、7つのプラットフォームは全部SCP-8109が作り出した氷の下に埋められている。つまり私はこのサイトの他の端末にアクセスすることはできない。
敵対勢力が施設を占拠している。パノプティコン広範囲監視システム、AIADのメインクラスタ、全SCiPNET端末を含むRAISA資産は全て侵害されていると考えられる。
今朝の06時00分、サイト-35との全ての連絡が途絶えた。連絡を再確立しようと繰り返し試みて、RAISAスタッフはサイト-35カメラネットワークからの遠隔監視映像を利用することにした。ダウンロードされた映像には、皮膚や身体から氷の結晶が突き出て、急速冷凍で死亡したと思われる職員が複数映っていた。
06時15分には、サイト-39もネットワークが切断された。監視カメラから取ってきた映像では、そのサイトでも職員が同じように死んでいた。06時33分、ミシガン州ランシングの建物が凍った人の血を雪のシャワーみたいに噴出した。この攻撃の中心地はサイト-11の場所と一致した。
これらの事件の原因として、SCP-8109が一番可能性が高いと特定された。機動部隊カッパ-5がすぐに動員され、一方サイト-76の職員はSCP-8109の収容チャンバーを開いて、SCP-8109の残りの小瓶を開けてみた。小瓶の中には、水と塩化カリウムの非異常な生理食塩水が入っていた。さらに調査したら、SCP-8109の小瓶は8本ともこの方法で侵害されていた。
これまでに、機動部隊カッパ-5はサイト-35と39に到着して調査を開始している。記録によると、被害を受けたサイトは1年以内に水のろ過システムの修理を受けていた。タイムリリースバルブのついた小さなプラスチックの袋でできた装置がサイトの主要な取水口で発見された。財団全体で警報が発令され、他のいくつかのサイトでも同様の装置が見つかった。被害サイトの職員に尋ねると、その多くが数か月以内に異常な悪寒を感じたと報告し、数人は温かい飲み物の消費量が増えたと報告した。
注目すべき点として、これらの装置内の液体の総量は、財団の収容下にあると考えられていた80mlを遥かに上回っていた。ここからたどり着ける結論は一つだけだ。補遺2で書かれているサイト-76への攻撃は、SCP-8109のリバースエンジニアリングを容易にするために残っているサンプルを確保するという明確な目的の下で実行されたということだ。
時間はあまりない。数分前にサイト-7外側の防御線から、空から小型の物体が猛スピードで施設に近付いていると報告があった。目視観察でこの装置はクワッドコプター型のドローンで、下に不明な装置が固定されていたが、後になってこれは即席のエアロゾル散布システムだと判断された。サイト警備員は最善の努力をしたが、この装置は第3プラットフォームに積み荷を配置することに成功した。エアロゾル化したペイロードに曝されて、財団の警備員は自発的な反エントロピー反応を受けた。その後の同様のペイロードによるドローン攻撃で、サイト-7のRAISA職員の75%が死んだ。
これは連携攻撃だ。この元凶は何か月も、もしかしたら何年もこれを用意してきたんだろう。まず、恐怖と混乱を生み出すための形成作戦としての一連の分散攻撃。次に、通信ハブ(私たち)への直接攻撃。その次の攻撃はきっと指導そ|
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補遺の説明
断続的な復讐のために赤い右手は再び武装して我々を苦しめるのだろうか
補遺の本文を入力:

まずはくすぐったさがある。あるはずのないところに僅かに残る涼しさ。肌の下で冷たさが続く。温かな夏のそよ風が素肌を横切り、アイスピックのように肉を突き刺す。喉の奥に詰まりそうな氷水。スプーン一杯のシャーベットからこぼれた氷の破片が食道を滑り落ちて胃に入り、心臓のすぐ下、そこで恐怖感のように落ち着くようだ。
暑い夏の日だというのに、ダウンとウールを重ね着しているのがわかる。真昼の太陽は北極のそよ風のようだ。風呂の中で震える。浸かっている水に肌が火傷して、赤くなり泡立っているというのに。ドライヤーを全速力で稼働させ、肺を焦がすような空気を吸い込み、肺胞の残りを咳き込みさえしていても、ある考えが固く冷たい形を持って脳内にこびりついている。
とてもさむい。
水が凍るというのは、一気にそうなるわけではない。結晶が周りに形成されるには、種が、不完全さが必要だ。塵や鉱物の破片のごく一部が分子を整列させ、30°の角度と六角形のスパイクを形成し、その中に不完全さを閉じこめて、輝く炎のように水の表面に広がるのだ。
これがあなたを待つ運命だ。あなたの存在が瞬間凍結し、冷え切った魂がさざめき、ひび割れる。破片があなたの身体中でパリパリと音を立て、夜の寒さが静脈と毛細血管を引き裂いて、皮膚が大きく裂けるのを感じる。骨髄へのハンマーの一撃で骨がパックリと割れ、赤レンガ色の組織が凍った肉を突き破り、ナイフ形の長い破片が、繭を引き裂いて開く獣の爪のように、外へと突き出る。
そして獣のように、生まれるとそれは咆哮を上げ、捩れた骨は金切り声を上げ、凍った血液と胆汁はパリパリと喉を鳴らし、最後の一息で過冷却された空気分子が吼え、その声という声が、あなたを、あなたを中心とするヘモグロビン吹雪の中で、鉄のような赤さの雪の結晶を散らす。そしてあなたの魂は凍り付いてエントロピーの深淵へと堕ち、最後に考えることは最初と同じになり、脳内に人生で最後にちらつくものがあって、これこそがあなたにとって一番馴染み深い小さな言葉だと、永遠という時が押し付けてくる。
とてもさむい。
逃げる。避難場所を探す。火を灯してその場所の暖かさを求める。そんなことに意味はない。全ての存在は冷え切った虚空で始まり、全ての生命は冷たい墓で終わる。それは最初の光が輝く前からあり、最後のプロトンが減衰しても残る。そしてそれは、あなたのもとに来ている。
警告: 未保存の編集があります。









