アイテム番号: SCP-813-JP
オブジェクトクラス: Safe Euclid
特別収容プロトコル: SCP-813-JPはサイト-81██の10m×10m×10mの収容室に収容されています。収容室には監視カメラを設置し、男性の姿が発見された場合、担当職員に即座に報告を行なってください。収容室にはSCP-813-JP-1の出現範囲が区別できるよう、オブジェクトから4m離れた場所に目印を設置してください。SCP-813-JPの実験に参加する職員はDクラス職員に限定されます。Dクラス職員は事前に精神テスト及び幼少期から青年期の経験についてインタビューを実施、重大な危険行動に出る可能性の少ない職員を実験に参加させてください。
追記: SCP-813-JP収容室の半径30mはネットワーク環境を遮断し、隔離した状態を維持、外部との連絡が可能な機材を持ち込むことは禁止されています。SCP-813-JP収容室から30m以内に存在する職員は、決して願望を口頭化しないでください。詳細は収容違反-SCP-813-JPを参照にしてください。

20██/█/██、SCP-813-JP(画像参照)を手にし、収容室を歩き回るSCP-813-JP-1の姿が確認された。
説明: SCP-813-JPは全長160mm・底幅110mm・重量860g、ボーカル用マイクと卓上マイクスタントの2点からなるオブジェクトです。双方のボディには販売社名及び製造番号等の表記がありません。マイクとマイクスタンドは未知の力で一体化しており、いかなる手段をもっても別々に分離することはできません。マイクには電池挿入口が設けられていますが、X線等による検査の結果、内部に電池が存在していないことが判明しています。
SCP-813-JPは人間が半径3m以内(以下、範囲内)に接近すると異常性が発揮、活性化します。活性化の際、スライド式スイッチがOFFからON状態になり、SCP-813-JP-1が出現します。
この時、範囲外への移動・拒絶した態度・日本語以外の返答・質問の無視等の行動を取ると、SCP-813-JPのスイッチが自動的にOFFになり、SCP-813-JP-1が接触を中断し、不活性状態へ戻ります。なお、不活性状態の条件を満たした人間、SCP-813-JP-1のアドバイスを一度受けた人物が、再度SCP-813-JPの範囲内に接近しても活性化することなく、事実上SCP-813-JPは無害な状態になります。 SCP-813-JP-1が出現しないことが後に判明しました。
SCP-813-JP-1はSCP-813-JPが活性化時、オブジェクト付近に存在していると推測される、知性をもった男性の声です。SCP-813-JP-1の音声は、人間がマイクを使用したときに一般的に見られる音声変化を伴っており、その声量は基本約65dB程度です。
SCP-813-JP-1の音声は録音機器で問題なく録音することが可能ですが、活性・不活性時に関係なくSCP-813-JPを写真・ビデオ等の映像媒体で撮影した場合、極稀に東洋人系の外見的特徴を有したスーツ姿の成人男性が、映像に録画されているケースがあります。SCP-813-JPをサーモグラフィによる画像診断を行なったところ、生物の熱源反応が感知したことはありません。
SCP-813-JP-1は一番最初に範囲内に入った人間(以下、被験者)にのみ接触を行ない、被験者の氏名・幼少期~青年期までの体験を聞き出そうとします。特徴的なのは、人生における分岐点や未達成の出来事を詳細にする点です。SCP-813-JP-1の質問には強制力はなく、容易に質問を拒絶や無視することが可能ですが、オブジェクトと15分以上接触した被験者は急激な心理変化が発生します。
SCP-813-JP-1は被験者に対し、「やり直したかった出来事」を実行するよう、積極的でポジティブシンキングな進言を行ないます(以下、アドバイス)。
SCP-813-JP-1のアドバイスは被験者個人から詳細に聞きだした内容に依存しており、その情報を参考にしていることは明らかです。SCP-813-JP-1のアドバイス内容は、被験者が実行する理由が存在せず、未達成で“諦めがついているもの”を助言する傾向があり、これから実行・実現させたいといった未来的な願望には一切アドバイスを行ないません。
SCP-813-JP-1からアドバイスを受けた被験者は、SCP-813-JP-1を信頼のできる人物だと確信し、被験者は歪んだ認識の下、アドバイス内容が明らかに無利益・実行するに価しないものであっても、突発的に行動し実現させます。
しかしSCP-813-JP-1のアドバイスは、あくまでの助言や意見を添える程度のものでしかなく、最終的な選択は被験者個人に委ねられることになります。総的にSCP-813-JPの影響や危険性は個人によって大きな差が生じ殆ど無害の場合もありますが、留意点として、最終的な選択を決定するまで幾つものアドバイスを受けた被験者は、それら全て実行する可能性が存在します(詳細は、SCP-813-JP-1実験記録-1を参照)。なお、SCP-813-JP-1に対する被験者の認識は、映像記録による矛盾点の指摘・記憶処置による対処を行なっても変わることはありません。
SCP-813-JPは20██/█/██、██県███町██駅近辺の路地裏で発見されました。当時██駅周辺では線路内への突き落としや飛び降り、盗撮・痴漢等が多発していました。事件件数の多さに疑問を抱いたエージェント・ヨコシマが独自に調査を行なったところ、後にSCP-813-JPと指定されるマイクとマイクスタンドが発見されました。SCP-813-JPによる影響は██駅内に限らず、██県全体で窃盗・放火・猥褻物陳列・ストーカー行為・誘拐事件が発生しています。いずれも事件の加害者は██駅を使用していた人物という共通点があり、加害者側の調査を進めたところSCP-813-JPに接触していたことが明らかとなりました。収容前のSCP-813-JPは「的確なアドバイスをくれる人がいる」等の噂が流布していたことが、後の調査で判明しています。当該地区では適切なカバーストーリー及び記憶処理を、それぞれ事件関係者に適応しています。