アイテム番号: SCP-818
オブジェクトクラス: Neutralized (元Keter)
特別収容プロトコル: SCP-818は直径4mの円形の領域に閉じ込めて外に出られないようにしていました。この領域を囲う隔壁を直接覆う物体はありませんでした。SCP-818の収容領域には睡眠用敷布団1枚、テーブル1脚、直付け照明具1機が存在しました。この照明具は高ワットの電球形蛍光灯に適合するものでした。SCP-818の収容室はいかなることがあっても設備の再整理をせず、また、そこにある照明具を消さないようにすることになっていました。SCP-818の活動期 (午前8:43から午後9:21まで) の最中は、職員はSCP-818の収容室への入室と、収容室の周囲10m以内の領域への立ち入りが許可されていませんでした。SCP-818の活動期の間にSCP-818の影響範囲に曝露した職員はDクラスに再登録され、SCP-818の実験グループに編入されることになっていました。
次の文書は、元来の研究プロジェクトの主任であった█████博士 (19██-199█) が作成したもので、この8年間に及んだ研究プロジェクトの主要指令書と見なされており、このプロジェクトに研究スタッフとして新しく配属された人員にそれぞれ配布されていました。その文書は記録目的でここに保存されています。
SCP-818は厳密な習慣を有する生物であることに留意すべきです。SCP-818は、文字通り、毎日欠かすことなくある特定の規則に従って行動します (付属ファイルSCP-818行動予定規則を参照) 。SCP-818がこの規則に逸脱した行動をとる時刻がこの規則に組み入れています。その時刻はSCP-818を慎重に監視する必要があります。言うまでもないことでしょうが、SCP-818の新たに増えたいかなるすべての逸脱した行動について注意することを怠れば、破滅的な結果につながる可能性があります。
説明: SCP-818は若年の男性であり、年齢はおよそ7歳から12歳であるように見えます。また、SCP-818は深刻な自閉症のあらゆる症候を示しています。現地の行動主義心理学者の調査や、回収された医療記録によれば、SCP-818のこの症状はSCP-818の生涯に渡って現れているようです。SCP-818の身体的特徴は活動状態のときに変化する傾向にあります。しかし、休止状態の間は、SCP-818は黒色の髪と黒褐色の皮膚をしていると言及されています。SCP-818は話すことができず、直接SCP-818と意思疎通するための方法は知られていません。SCP-818は栄養分や排泄物の除去を必要としません。しかし、SCP-818は呼吸をし、睡眠と思われる行動をとっていることは記録されています。SCP-818は年をとっているように見えません。また、身長と体重を変化させることが知られています。身長は1.17mから1.84mの範囲、体重は65kgから80kgの範囲で変化します。このため、身長と体重を確定することができません。このことと、回収された医療記録が不完全であることから、SCP-818の経歴の多くが空白になっています。
SCP-818は潜在的に根本的な段階で世界を改変する能力があります。その能力は自身の身体障害により重度に制限されています。SCP-818が引き起こす世界改変はおそらく、SCP-818自身が事物を知覚している通りの状態に世界を改変するとするというものであると思われます。SCP-818の行う世界改変とは、あらゆる物体の色素を流動的に変化しやすくする、家庭用品や工具を異常な形状に変化させる、識別できる音源がないところから音を発させるというものです。これらの影響は約10mの範囲で発現しています。
SCP-818は自発的に物質を生成する能力も示しています。不明瞭な物体が出現すると言及されており、特に、SCP-818が塗り絵やフィンガーペイントのような創造活動を行う会合の後に、この能力は見られます (実験記録818-1を参照) 。これらの物体のほとんどは再度消滅するまで数分間存在し続けます。しかし、いくつかの例では数時間残存し続けたと記録されています。このため、創造活動に使わうる器具はすべてSCP-818の収容室から段階的に取り外されています。このような生成された物体はいずれもSCP-818の見通せる範囲から動かすことはできません。このことから、████████博士は、SCP-818は文字通りに眼閃1を作り出しているという仮説を立てています。この仮説では、SCP-818のこの行動は、美術品や工芸品の色と収容室の白い壁の色のコントラストによって、SCP-818が眼閃を見ることで引き起こされている可能性があるとされています。████████博士の仮説の真偽を確かめるためには更なる実験が必要です。
SCP-818は地方の███████████にあるその祖父母の家と思われる場所から回収されました。その場所は、SCP-818の祖父母が無関係と思しき事故が原因で19██年に死亡してから放置されていたようです。1名の地元の銀行家と2名の不動産管理人がその土地の監査を行っているときにSCP-818に遭遇しました。彼らはその場所から戻ってくることがなく、そのため地元の警察がその場所の調査に向かいました。こうして、その場所で連続的に█件の失踪事件が発生しました。財団はこの失踪事件を警戒し、これにより特別機動部隊██████は調査をするように指示を受けました。部隊が現地に到着するとすぐに、[削除済み]。その後、████博士は[削除済み]を提案し、これによりSCP-818の捕獲に至りました。
補遺SCP-818-T
ここ██年の間、同様の効力を有するSCPに対する収容手段は根本的に改善されています。この一因はSCP-818の収容スタッフの努力によるものです。しかし、SCP-818が確立された規則の通りの行動を絶対に行うということをせずに不規則な危険行動をとることが増えたこと、また、より危険で致死的な影響が増加したことにより、我々はSCP-818の終了を認可せざるを得ませんでした。(補遺SCP-818-00T:無効化を参照)
実験記録818-1:
SCP-818が活動状態のときにその影響範囲に立ち入った実験被験者は、視覚が非常に歪んで感じられたこと、聴覚や感覚に影響を及ぼす幻覚を覚えたこと、自由に動けなくなったこと、同じ行動を繰り返してしまいがちになることを報告しています。被験者を退去させると、これらの影響は弱まったようでした。しかし、繰り返しその影響に曝露し続けると、影響の続く時間が延びるようです。おそらく、絶え間なく影響を受け続けるとこれらの症状が永続することになるでしょう。症状の特質と深刻さの度合いは、SCP-818の空想の中でどの要素を演じることになったかということに直接関係するようです。
この実験のため、19██年にSCP-818の家から回収された写真に写っていた人間に似た人物を被験者に選び出しました。SCP-818の不活動状態時での外見との家族的類似性がその写真から推定され、3名のDクラス職員 (D-1922、D-921、D-837) が選出されました。
19██年██月17日、SCP-818がコントロールされている特定の事象、特に、過去に柔軟性が示された事象に対してどのように反応するか確かめるための実験が計画されました。D-1922とD-921が有意義な反応を引き出すことに失敗した後、D-837がSCP-818の収容室に入りました。この実験で特筆すべきことを下記に列挙します。
日付: 19██年██月18日
対象: 塗り絵
経過: 午後██時██分、D-837がSCP-818の収容室に入った。回収時に発見された事前情報によると、これは特別な時刻で、SCP-818は拒絶的な行動を起こしにくかったという。D-837は収容室に入り、3本のクレヨンをテーブルに置いた。クレヨンは赤色のもの、青色のもの、そして黄色のものを1本ずつ持ち込んだ。さらに無地の白紙を1枚置いた。SCP-818はクレヨンを1本1本吟味していき、黄色のクレヨンを緑色に変え、塗り絵を始めた。ちょうど██分後、SCPー818は塗り絵をやめ、収容室の壁に向かうと、壁に沿って移動を始めた。D-837は症状が悪化する前に収容室を退出した。
詳細: D-837は数日間、視覚に影響を及ぼす幻覚を訴えた。幻覚はどれも緑色をしていたという。他の症状は言及されなかった。SCP-818は彼女の存在を承諾したようであり、このためにD-837の終了処理は一時的に先延ばしとなった。D-837を利用した実験は続くことになる。
日付: 19██年██月2日
対象: フィンガーペイント
経過: D-837は今までの実験と同時刻にSCP-818の収容室に入った。前のクレヨンと同じ色のフィンガーペイントを代わりに持ち込んだ。SCP-818は最初は躊躇したが、結局、今までの実験のように黄色の絵の具を緑色に変えた。SCP-818は数分間フィンガーペイントを行い、午後██時██分にそれをやめ、収容室の壁の方に向かい、いつも通り壁に沿って移動を始めた。D-837は収容室を退出した。
詳細: D-837はSCP-818への曝露による症状が悪化している。本日の予定を多少変更することとなった。D-837の視界は完全に緑色に染まった。
20██年9月17日、D-837はSCP-███の収容違反の最中に死亡した。翌日、D-837が収容室に現れなかったとき、SCP-818は極度に動揺し、それにより[削除済み]。これにより2名の研究被験者が死亡し、現在、その2名の死体はSCP-818の影響範囲に封じ込めがなされている。D-837の後任が必要であろう。
日付: 20██年9月20日
対象: フィンガーペイント
経過: D-18274は今までの実験と同時刻に、クレヨンとフィンガーペイントの両方を持ってSCP-818の収容室に入った。D-18274はD-837に似ているという理由で選出された。SCP-818は初めて複数の色を選び、紙の上で一緒くたにこれらの色を混ぜた。そのうえ、SCP-818は今までよりも重度に自身の行動の規則を破り、さらに██分間色塗りを行った。
詳細: D-18274がSCP-818の収容室から退出するとすぐ、D-18274は、D-837が以前に行っていたことが見られた癖と同じものを多数見せ始めた。その癖の中には、[削除済み]や、ミュージカル中の歌の口笛をつい吹いてしまうというものも含まれる。さらに2度、SCP-818に曝露させたところ、どちらも最初の実験と同じようなことが起き、現在、D-18274は本質的にD-837と同一人物となっている。血液検査により、この2名は明らかに遺伝子が合致していることが確認されている。D-18274はD-837に再登録された。D-837の終了処理の延期が再び提起された。
補遺SCP-818-00T:無効化
20██年1月17日、████博士がSCP-818が不活動状態のときにその収容室に入り、██████および██████の注射を執行しました。これにより、最初、SCP-818は完全に呼吸を停止し、そして記録された他の身体機能もすべて停止しました。検死の際、アナフィラキシーショックによって死亡したと報告されています。死体はサイト-██に送還されました。この死体は研究に利用可能です。