SCP-8180

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アイテム番号: SCP-8180

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-8180を発症した人物の関連情報を完全に消去するのは困難であるため、被影響者は一般的に生じる共通指標を通して症状の悪化を監視する必要があります。当該アノマリーは自己修正性質を有するため、大半の症例は財団の介入を必要としませんが、SCP-8180の研究を担当する職員は常に警戒を維持すべきです。ヴェールに有害なコンテンツは検出され次第削除されます。コンテンツの完全な置換は、そのようなコンテンツの欠如がヴェールを維持するうえで有害だと判断された場合のみ、最後の手段として許可されます。

被影響メディアに出演する人物の代役を務める演者は心理評価を毎日受け、悪影響が確認された場合は直ちにSCP-8180研究主任に報告されます。

説明: SCP-8180は動画共有プラットフォーム YouTube で活動するコンテンツ制作者の約0.01%に影響する一連の行動的現象の指定名称です。1 補足文書で概説される基準を満たす全てのクリエイターがSCP-8180関連行動を発症するわけではありませんが、プラットフォーム及びその視聴者への長期的な曝露が発症率を高めることを示唆する顕著な傾向があります。多くの場合、SCP-8180被影響者の症状は行動様式の悪質化として進行し、やがてこの異常な反生産的影響によって一貫性のあるコンテンツ制作を維持できなくなるほど深刻になります。同様に、これらの反生産的影響を含まない動画を制作したいという個人的欲求は経時的に減退し、通常発生するイデオロギーの変化に対する葛藤を更に複雑なものとします。

影響されたクリエイターの約82%は、SCP-8180を発症するとオンライン上での活動を停止するか、大幅に縮小します。継続的な悪影響の進行にも拘らず、半ば安定したブランドイメージを維持できている人物の研究は、財団にとって多大な関心の対象であり、そのような人物はヴェールを脅かす影響の顕著な指標が確認されるまで永続的に観察対象となります。詳細は以下を参照してください。

序: PoI-8180はYouTubeコミュニティーの著名な一員であり、従ってSCP-8180関連現象の素因を有する。しかしながら、PoI-8180の経過のケーススタディは、一般的に観察される症例からの顕著な逸脱を明らかにした。この逸脱は主に、極端な財力によって後押しされた、実効的な自制心の完全な欠如という形を取っていた。

PoI-8180の監査とインタビューが示す限り、PoI-8180には相当な人数の中核ファン層2が存在するため、動画制作に必要な収入を失う危険を冒すことなく、悪質な言動を含むコンテンツを制作し続けることが可能である。

参考までに、影響を受けた動画の簡潔なリストと、その内容の要約を以下にまとめる。

動画# 動画タイトル
0785 (対照エントリ) ランボルギーニ VS 世界一巨大なシュレッダー
要約: PoI-8180は高級車と産業用金属シュレッダーを購入し、請負業者に費用を支払って大型ベルトコンベアを構築させ、その上に高級車を載せる。車両はシュレッダーの中へと運搬され、シュレッダーは車両を適切に裁断する。

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動画# 動画タイトル
0792 荒野で7日間生き延びた
要約: PoI-8180と少数の仲間はヘリコプター隊に料金を支払い、一行と少人数の撮影班を、数マイル離れたカリフォルニア州、セコイア国有林の荒野へと移送させる。彼らはその後7日間 (中略) 、バックパックを背負って“サバイバル”を試みる。7日目以降、PoI-8180は森を離れることに強く反対する。

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動画# 動画タイトル
0813 目隠しを24時間着けるごとに10,000ドル
要約: PoI-8180は“目隠しチャレンジ”を開催し、彼の友人5名の視界を制限する。友人たちが様々な障壁 (物理的・比喩的なものの両方) に接触した時点でチャレンジは終了と見做される。各参加者は、運転中や手の込んだ料理の調理中など、危険な状況下でも目隠しを着け続けるように、PoI-8180から金銭的なインセンティブを与えられる。参加者5名のうち2名が軽傷を負う。

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動画# 動画タイトル
0817 50,000ドルを懸けたエクストリームかくれんぼ
要約: PoI-8180が開催した別な“コンテスト”であり、“賞金稼ぎ”を称する雇われ追跡者から最後まで逃げ切った人物に50,000ドルの賞金を贈呈するというもの。PoI-8180は動画全体を通して自宅に留まり、双方向無線で追跡者と交信していた。チャレンジの終了時、PoI-8180は顕著な失望と苛立ちを露わにする。

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動画# 動画タイトル
0820 アフリカで井戸を100基掘った
要約: PoI-8180は動画のレギュラーメンバーと撮影班を、劣悪な水事情に苦慮するケニアの郊外へと移送する。一行はナイリリの周辺地域で100基の井戸の建設を監督する。建設された井戸は、通常は入手できない飲用可能な地下水を汲み上げ、民間人が利用できるようにする。PoI-8180は、地下水を保存するためのインフラストラクチャーが早急に必要となるため、穴の掘削に大型機械が使用されると知って著しく落胆する。PoI-8180はほとんどの撮影プロセスに立ち会っていない。目撃者の証言によると、PoI-8180はこの間、手工具を使って自分で井戸を掘る試みに大半の時間を費やしたが、その労働の成果は乏しかった。

動画# 動画タイトル
0821 島に7日間一人きりで取り残された
要約: 前回の動画の展開に相変わらず不満を抱いているPoI-8180は、“サバイバルチャレンジ”を自らに課すことを決定し、ポリネシアの無人島 テテパレ島に空輸で移動して、豊富な物資と好天に恵まれた比較的快適な7日間を過ごす。残念ながら、撮影班の存在はPoI-8180に若干の不快感をもたらしているようである。彼はこの不快感について、他人の存在や食品ケータリングサービスのせいで、この模擬チャレンジが十分に“リアル”ではないからだと主張する。

動画# 動画タイトル
0822 ゴミ箱を50個漁ってこんなものを見つけた
要約: 前回の動画の反動からか、PoI-8180は数週間かけてロサンゼルス近郊の大型ゴミ容器50個を漁る。撮影班はPoI-8180に同行したがらず、発見物の記録用としてPoI-8180に手持ちビデオカメラと胸部装着式ボディカメラを提供し、彼は喜んでそれを受け取る。

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動画# 動画タイトル
0825 電気を消した独房で7日間過ごした
要約: 別な自主的チャレンジとして、PoI-8180は撮影班を伴なって近隣の民営刑務所へと向かい、職員に費用を支払って独房に7日間滞在する許可を得る。この動画は主に、PoI-8180の希望に従って独房への入室を認められず、彼との意思疎通もできなかった友人たちや撮影班の経験・会話を捉えたものである。

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動画# 動画タイトル
0829 ソファに秘密の引きこもり部屋を作った
要約: この動画は事前計画や台本が無かったことが示されており、PoI-8180はソファの内部に形成した異次元空間を使って友人や撮影班から隠れるという計画を詳述する。3 映像は、PoI-8180自身の手持ちカメラ視点と、彼を発見しようとする取り乱した仲間たちのカメラ視点で交互に切り替わり、彼が45日後に発見されるまで続く。

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動画 動画タイトル
0832 知り合いみんなに10,000ドル渡して1日だけ放っておいてもらった
要約: タイトルの通り、PoI-8180は動揺している友人、家族、撮影班にそれぞれ10,000ドルを支払い、彼と接触したあらゆる人々に紙幣を手渡して、代わりにすぐ彼の前から立ち去ってもらう。これを容易にするために幾度も現金引き出しを行っているにも拘らず、後に行われたPoI-8180の財務記録の監査では、これらの取引の証拠は存在しないことが判明した。

動画# 動画タイトル
0833 生き埋めで7日間過ごした
要約: PoI-8180は自宅の裏庭で一人、棺が入るのに十分な大きさの穴を数時間かけて掘る様子を撮影している。PoI-8180は小型のレンタルクレーン車を操縦し、棺桶を穴の上に誘導して無言で降ろす。彼は動画#0785のベルトコンベアをカメラ視点内へと牽引し、先程掘り出した土をその上に積み始める。1時間後、彼は満足した様子を見せる。彼はコンベアを起動してから素早く穴へと歩み寄り、中に入って視界から消える。数秒後、彼は突然穴から顔を出し、素早く這い上がると、カメラの前で締めの挨拶をしてから穴へと駆け戻り、また姿を消す。その後間もなく、土がベルトコンベアによって穴の中に緩く積まれていく。PoI-8180は動画終了時まで姿を見せず、カメラとPoI-8180の状況を発見した仲間たちが適切な危機感を以て反応し、程なくして救急サービスに通報する翌週の様子がタイムラプス映像として流れる。PoI-8180は問題なく回復し、自身の行動は以前の動画と類似する過激なスタントかつ“サバイバルチャレンジ”だったかのようにごまかす。

動画# 動画タイトル
0834 生き埋めで1ヶ月過ごした
要約: この動画は前回と同じテーマを扱うが、撮影班や友人たちがPoI-8180の埋葬を認識し、支援していることを示唆する形で制作されている。PoI-8180はビデオカメラを持参することに同意し、胸部装着式カメラを身に着ける。動画には断片的な切り抜き映像や、友人・撮影班へのインタビューが含まれる。PoI-8180は埋葬期間の大半を無言で過ごし、時折カメラに向かって散発的に話す程度で、ほとんどの時間を睡眠に費やすか、緊張病に似た症状を示している。30日後、彼は合併症も無く再び掘り起こされる。顕著に痩せ、顔色も悪くなっているが、PoI-8180本人も仲間たちも、彼が酸素、水、食料を必要としなかったことに気付いていない。目撃者の証言は、完成した動画の投稿後数日間で、PoI-8180の顔色が改善したことを示唆する。

動画# 動画タイトル
0835 生き埋めで3ヶ月過ごした
要約: 概ね同じテーマを扱う他の動画と似た内容だが、PoI-8180は掘り起こされる際、以前の観察例よりも遥かに強い抵抗を示す。

動画 # 動画タイトル
0836 (現在進行中) 生き埋めで1日過ごすごとに慈善団体に1000ドル寄付する 24時間ライブ配信
要約: PoI-8180は、妨害無く生き埋め状態で1日過ごすごとに1000ドルを慈善団体に寄付するという、慈善目的のソロチャレンジの開催を決定する。PoI-8180の友人たちも、自分たちのチャンネルのコンテンツ用に埋葬後の葬儀の様子を撮影し、カメラの前では喪服を着続けるなどの異例の行動を示している。PoI-8180は寄付金を受け取る慈善団体の名称を明らかにしていないが、PoI-8180の法務チームとマナによる慈善財団代表者の間での通信文が回収されたことから、MCFの関与が疑われている。

放送に埋め込まれた軽度記憶処理印章によって、PoI-8180の監視と収容措置は現時点で完全に自己管理されている。ライブ配信の視聴者から得られる毎日の広告収入と“スーパーチャット”は配信の開始以来着実に増加しているため、PoI-8180はこの収入を維持できなくなるまで現状に留まることを看過されている。


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