SCP-831
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アイテム番号: SCP-831

オブジェクトクラス: Euclid

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SCP-831

特別収容プロトコル: SCP-831のコロニーはビッカース硬度が最低1000kg/mm2の天井、壁、床を備えた監視チャンバーに収容されます。この収容室は定期的に検査され、あらゆる損傷は床のひっかき傷一つであっても手順831-Cに従って報告されます。栄養物はどのような種類の容器にも入れられず、床に注ぐことでチャンバー内に導入されます。理由に関わらずチャンバーに入る職員はTクラス防護服を着用し、またチャンバーに異物が持ち込まれたりSCP-831標本が不注意でチャンバーから出されることを確実に防ぐため、入室の前後に検査を受けなければなりません。

収容下にあるSCP-831のコロニーの個体数は文書831-2155AEで指定される上限を越えてはいけません。コロニーの個体数をこの上限に収めるため、必要に応じて栄養物を控えたり標本の処分が行われます。

財団の外で見つかったSCP-831のコロニーは即座に根絶されます。SCP-831の個々の生命体は火、圧砕、窒息、その他の方法で容易に駆除できます。しかしSCP-831の十分に発達したコロニーは防御機構を構築していると考えられます。根絶した後、コロニーのあった場所で発見された物品は分析のためサイト-36またはサイト-181に持ち込まれます。

説明: SCP-831は外見上はReticulitermes flavipesの羽を欠いたワーカーカーストに似た、道具を使用する昆虫様の生命体の一種です。SCP-831のコロニーはこれまでに東部、北アメリカ中央のテキサスからオンタリオに至る11ヶ所で収集あるいは駆除されています。この生命体は大部分の有機体を摂食することが可能で、セルロースや砂糖を好みます。成体の体長は7mmから1.2cmです。個々の標本の寿命は25日から40日のようです。本物のシロアリとは異なり、SCP-831には形態の違いがなくカーストに分かれていません。全ての標本は基本的に「ワーカー」であり、全ての雌は極めて短い妊娠期間での繁殖が可能です。

SCP-831は高度な社会性を持つ生物で、コロニーの形態で見つかります。コロニーの大きさの上限は未だ分かっていません。これまでに財団が調査した最も大きいコロニーは少なくとも800万の個体から構成されていました。SCP-831の個体は単純な生存本能以上の知性を示しません。

現在までに同定されたSCP-831のコロニーは、住処になる場所があり、栄養分や水、SCP-831の道具を造り上げるのに使える物質が入手できる、都会の暗く閉ざされた場所に居所を定めて(あるいはそこから発生して)いました。多くのケースではコロニーは家屋やその他の建造物の地下室、屋根裏部屋、壁で見つかりました。コロニーが建造物の中にある場合、コロニーは建造物の外観や構造の統合性を損なうほどの木材セルロースを消費することはありません。この生物は光を避けており、また彼らの行動は人間や捕食者から発見されたり観察されることを避ける本能を示唆しています。

SCP-831のコロニーは利用可能な物質から道具を構築し使用します。単純な道具からより複雑な道具へと、急速に自力で作り上げます。下記のサイト-36での観察記録を参照して下さい:

サイト-36 観察記録 2009年██月██日 - 2009年██月██日
Day@Time 観察
01@00:00 観察開始時、チャンバー内には約1,000体のSCP-831標本がいます。チャンバーは密閉され、厚さ15cmの塗装されたスチール製の壁、床、天井、そしてC8-レートの観察窓を備えています。チャンバーにはそれぞれ木材パルプ、スクロース溶液、水を入れたスチール製バケツが3つと、移動式洗面台を除いて家具はありません。
01@13:08 D-334がスチール製バケツの内容物を満たすためにチャンバーに入ります。最初のうち、標本は木材パルプとスクロース溶液の摂食と繁殖以上の活動は行っていませんでした。D-334はバケツを満たしている最中にシャツのポケットから落としたスチール製のペーパークリップを不注意で回収し損ないます。
01@13:09 いくらかのSCP-831標本がペーパークリップに向かって前進し、部屋の角へ運びます。その場所でSCP-831はそれを改造し始めます。
01@13:43 ペーパークリップは削る道具として利用されます。標本はチャンバーの床や壁を削り始め、金属と塗料のくずを回収しています。
01@23:26 削った結果、金属くずの小さな山(10g以下)ができます。
02@00:00 繁殖によって、チャンバー内には約2,500体の生きたSCP-831標本が見られます。
02@16:04 削り取られた金属くずの山の大きさは約400gと推定されます。塗料の削りくずと欠片は別の山に分けて積み上げられます。いくらかのSCP-831標本が金属くずと塗料くずの咀嚼に従事しているのが観察されます。
03@00:00 チャンバー内には約5,000体の生きたSCP-831標本が見られます。
03@01:23 削りくずの山は約11cmの高さになっています。金属くずは塗料くずの山の内側に移動させられています。
03@21:24 標本が金属と塗料の破片を運び続けるにしたがって、削りくずの山は大きくなり続けます。塗料くずの山の内部での活動は直接観察することができませんが、熱画像はその中に熱源(おそらくSCP-831の摩擦か新陳代謝)が存在することを示しています。
04@00:00 繁殖によって、チャンバー内には約12,000体の生きたSCP-831標本(山の内部にいて見えないものを除く)が見られます。
04@08:10 D-334が██████博士の指示で監視チャンバーに入り、塗料と金属の削りくずの山を故意にまき散らします。山の中には少なくとも1,000体のSCP-831標本と11個の金属製の物品があることが観察されます。それらのうちいくつかはオリジナルの削る道具と似ており、いくつかはピックやのみに似ています。それらのうち1つの道具が回収されます。それは長さ約1cm、最大半径1mmの鋭利な円錐体です。分析によって、この道具は金属の床の削りくずと同一の金属で構成されていることが分かります。
04@13:44 標本は前述した道具を用いて、監視チャンバー内の移動式洗面台からセラミックを欠き始めます。
05@00:00 チャンバー内には少なくとも約22,000体の生きたSCP-831標本が見られます。塗料くずの山は再び積み上げられています。
06@00:00 チャンバー内には約40,000体の生きたSCP-831標本が見られます。
06@13:23 サイト-36において[削除済]の収容違反が発生し、約122分間にわたって観察を阻みます。観察が再開すると、チャンバー内のスチール製バケツと移動式洗面台は失われています。██████博士はこれ以降、木材パルプ、水、砂糖水は容器に入れるのではなく床に注ぐことで収容室に導入するよう指示します。
07@00:00 チャンバー内には約100,000体の生きたSCP-831標本が見られます。
07@11:15 D-334が██████博士の指示でチャンバー内に入り、山を故意にまき散らします。山の内部には原始的なるつぼ、旋盤に似た小さな仕掛け、その他不確定な機能の物品が観察されます。チャンバーの床には深い穴がいくつかあいています。██████博士はスチールとコンクリートの層を追加することによる天井、壁、床の補強を要請します。
08@00:00 チャンバー内の生きた標本の数は約240,000体と推測されます。収容室内には削りくずや標本の生体および死体から成る様々な大きさの塚があります。
09@00:00 標本は不均等に分布しているにも関わらず、その数はチャンバーの深さ約2cmを満たすのに十分なほどです。その数のためにコロニーの道具ははっきりとは見えませんが、異なる温度が測定されたいくつかの炉の形跡、様々な大きさの旋盤、蛇口、鋳型があります。またチャンバー内には約40メートルの細いスチールの針金が一巻きあります。
09@15:30 標本はふいご、吹きガラスの道具、その他未知の機能を持つ物品を構築しています。
10@00:00 チャンバー内の標本数は少なくとも400,000体と推測されます。
10@03:20 D-334が██████博士の指示でチャンバーに入り、木の棒を使って大きな塚を故意にかき乱そうと試みます。09日目15:30に言及された装置はフレシェット形の弾薬を備えたエアガンであることが示されます。D-334は何度か頭や首を打たれて倒れ、標本がD-334に群がります。██████博士は体をそのままチャンバー内に置いておき、木材パルプ、スクロース溶液、水の供給を中止するよう指示します。
10@23:25 監視チャンバーでの停電のため照明が停止し、約35分間観察を妨げます。
11@00:00 チャンバー内の標本数は少なくとも600,000体と推測されます。照明が復旧するとD-334の体は失われています。おそらくは人間の毛とD-334の制服の繊維で構成された織物の毛布が、監視チャンバー内のいくつかの塚を覆って見えなくしています。
11@15:54 D-118とD-536が██████博士の指示で毛布を取り除くためチャンバーに入ります。D-118とD-536は防護服を着用しています。D-118は毛布に触れると、痛みを伴う電気ショックに襲われて後退しました。D-536は首尾よく毛布を取り除き、両職員はチャンバーから出ます。コロニーはこの時、多数のガラス製品、様々な液体や固体で満たされたいくつかの鉢、未知の気体で膨らんだ空気袋、工作機械に似た物品、その他不確定の機能の物品を持っているのが観察されます。標本はレンズの研削や化学的精製のための装置の構築に従事しているようです。分析によると毛布には隠された配線と小さなバッテリーが組み込まれています。財団職員は、この大きさのバッテリーがどのようにして観察された電圧を生み出せるのか調査しています。
11@21:23 監視チャンバー内の照明が停止しました。後の分析によって、これはチャンバー内で発生した電気ショートが原因だと分かります。約18分間にわたって観察が妨げられます。
12@00:00 チャンバー内の標本数は約800,000体で安定しているようです。照明が復旧すると、コロニーのほとんどがイグルーのような形のセラミック製のシェルで隠されています。温度分析は、コロニーは未知の燃料で稼働するいくつかの内燃機関を構築していることを示されます。チャンバー内にあった不確定の機能を持ついくつかの物品は、銅、スズ、亜鉛、鉛を含む合金で構成されていることが分析によって示されています。これらはチャンバーの壁には存在しませんが、おそらく電気配線や配管、あるいはD-334の体に含まれていたのではないかと思われます。██████博士はチャンバーの保全性の更なる補強、およびチャンバー外で発見された全てのSCP-831標本の駆除を指示します。
12@15:53 防護服を着用し適切な装備をしたD-054が██████博士の指示で、セラミック製のシェルを破壊し中身が見えるようにするため、大槌を持ってチャンバーに入ります。D-054は「素早く飛ぶものたち」に攻撃され、シェルに損傷を与えることなく後退します。D-054はまた矢弾にも打たれますが防護服を突き通すことはありません。分析によって、この矢弾には未知の酵素を含む腐食性の物質が塗られていることが分かっています。
12@23:25 チャンバー内の照明が22分間にわたって再び停止します。これはおそらくチャンバー内から放射された電磁パルスによるものです。照明が復旧すると、観察窓の内側が不透明のラッカーのようなもので塗装されて観察が遮られています。
13@04:05 防護服を着用し適切な装備をしたD-033が、██████博士の指示で窓から塗装を削り落とすためにチャンバーに入ります。D-033はセラミック製のシェルをかき乱さないよう忠告を受けています。チャンバーに入って約3分後、D-033はハエ取り紙のような物質で固定され、おそらくは静脈注射による麻酔にかけられます。再度の塗装(おそらく観察窓の上部に位置するスプレーによる)によって遮られる前の観察で、標本はウェハーグレードシリコンの精製や複雑な電子工学の構築に従事していることが示されます。チャンバー内から発せられた無線信号が検出、記録されます。
13@11:10 [削除済]
13@22:06 チャンバー内の照明が再び停止します。SCP-831が収容を逃れる懸念のために██████博士が観察の終了を要求したとき、標本は不透明で遮音性のゲルを観察窓に塗り付けようとしていました。チャンバー内の標本は窒息させられ、残りは焼却されます。サイト-36の残りは検査され、近接した部屋で見つかったSCP-831標本は隔離されます。収容室で見つかった物品は分析にかけられます。これらの物品は多くの不確定な機能の物品の中に、セラミック製のシェル、カーバイド製のドリルビットのある掘削機、いくつかの真空管、約55,000ワットと評価されるモーター、アルゴン利得媒体・正確なレンズ・その他のレーザーの構成要素、化学的にエッチングされた回路を持つ六角形のプリント基板、ニトログリセリン・アセトン・FMOC-D-アラニン・5-アミノ-1H-テトラゾール(5-AT)を含む様々な物質のガラス容器、結晶の合成に使われていたらしき装置、サイクロトロン、遠距離通信用のアンテナが上に向かって付いているマイクロ波による遠距離通信用の放送塔に類似した装置を含みます。チャンバーは仮定の放送塔に信号を合わされたマイクロ波受信装置を除いて空にされます。D-334とD-033の遺体は取り戻せませんでしたが、DNA分析によって室内にある多数の物品が部分的に彼らの遺体で構成されていることが確認されています。
128@14:03 チャンバー内のマイクロ波受信機が、未知の発信源からの信号を受信します。信号は記録され分析にかけられます。
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