SCP-835
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記録 81-██からの静止画像

アイテム番号: SCP-835

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-835は監視され、新たな成長をチェックされることになっています。SCP-835が敵対的な行動に出た際には、敵対的行動が停止するまで鎮圧戦術A-A6を執行して下さい。いかなる形式の監禁であっても、SCP-835は極めて敵対的な反応を示すため、収容エリアは常に外海との接触を維持しなくてはなりません。

SCP-835から排出される廃棄物は即座に収集され、収容されなくてはなりません。SCP-835に対しては[データ削除済]からなるエサを一日に二回給餌することになっています。提供された現在の地点ではこれ以上SCP-835を維持できなくなった場合、年に二度、新たな地点にSCP-835を移動させることがあります。移動にはサイト司令の許可が必要です。

職員はSCP-835に対して、最低5mの距離を維持しなくてはなりません。SCP-835付近で任務を行ういかなる職員も、巻き上げウインチに繋がった安全帯の着用が義務付けられています。SCP-835のコンタクトがあった場合、即座にすべての職員は撤退し、鎮圧戦術A-A6を執行して下さい。コンタクトが職員の完全な捕獲という結果に終わった場合、対象者が解放されるまでSCP-835は監視され続けます。

説明: SCP-835は8トンの重量を持つサンゴ様ポリプが集積した物体です。個々のポリプは既知のいかなる種のサンゴよりも大きく、幾つかのケースでは直径1m以上にまで成長することがあります。中央の集積体は卵型に近い形で、極めて大きな(直径3m以上)のポリプとそれぞれ"末端"で繋がっています。SCP-835には移動能力がなく、SCP-835のポリプから大きな触手を伸ばし、それ自身を固着させます。これらの触手は粘着性の物質によって覆われ、食餌にも利用されます。この触手は極めて大きな力を持っており、鉄板に損傷を与えた例も観測されています。

SCP-835の"サンゴ"は極めて固く、小さなサンプルを集めることにさえダイアモンドピットを備えた強力なドリルが必要です。SCP-835は極めて速い割合で成長します。増加した質量は一日あたり22.68kg(50lbs)に及びます。SCP-835は様々な化学物質の影響を受けます。これは、SCP-835を"封印"し全ての成長を24時間の間止める事が可能であり、研究が進められると同時に、鎮圧戦術A-A6にも用いられています。テストの結果[データ削除済]。

SCP-835は一日に数回、大量の半流動体の物質を大型のポリプの"末端"から排出します。この物質は、半消化状態の物体、糞便、精液から成っているものと思われます。この集積には幾つもの形態のウイルス、バクテリア、寄生虫が含まれており、これらの多くはSCP-835でのみ見られる種です。835-I5バクテリア(bacterium 835-I5)は封じ込めにおける大きな懸念を生み出す存在の一つです。その原因が[データ削除済]。この、SCP-835の持つ一組の極めて堅固な"殻"は無力化に対する主要な障害です。SCP-835を"こじ開ける"いかなる試みも、内部の"泥漿"をばら撒き、835-I5を感染させる事態を招きます。


補遺 835-01:機動部隊ゼータ-ナイナーの作戦後レポート第1稿:

████/██/██、██:██:██、機動部隊ゼータ-9 ("メクラネズミ")はSCP-835の調査を行いました。この当時、SCP-835の質量はたった4tで、大きなポリプもあの構造物の北端に1つ(ポリプアルファと指定)あるだけでした。ポリプブラボーはまだ存在すらしていませんでした。

標準手順に従い、四人のチームメンバーが初期調査に選抜されました。四人全員が標準防護服(水中仕様)を着せられていました。C█████████ がチームのリーダー、L██████軍曹とM█████ 軍曹が支援に回り、H███伍長は新米だったのでチームには観測手として加わっていました。一台の標準的な水中遠隔操作無人機(Underwater Remote Vehicle)、略してURVが初期調査に使われていました。

SCP-835は、少なくとも最初はチームに対して敵対的な行動を取らずに、チームのメンバーが近づき、危険なしに接触を許しました。C、L、Mはそのサイトの入り口だと彼らが考えた場所へ進んでいる間、URV-01が調査対象の外観を調査するために送り出され。H伍長は外で待機し、URV-1のテザーがその外部突起に絡まないよう監視するよう命令しました。

トラブルの最初のサインはH軍曹がURV-1のサンプル採取腕のちょっとした故障を修理しようとしている時に起こりました。記録されてるのはこんな言葉です。"神様、助けて! 助けて!" あの子は"何本もの触手みたいなもの"が腕に絡みつき"  ったれな口(ing mouth)"に引きずり込まれていると報告していました。それから何度も救助を求めて……神よ(Jusus Christ)。 かんべんして…神よ。あの子はまだほんの子供だった! これがあの子の  ッタレな最初の任務だった。私はあいつをちゃんと見てやらなきゃいけなかったんだ!

神よ…… 大丈夫、続けられる。その、軍曹にここは編集させとこうか。

馬鹿にされてるような話だけど、入口だと思っていたのは入口ではありませんでした。それはただの…ほら穴でした。本当の入り口は北端にあるそのデカいポリプだったというわけです。そこはあの子が口の中に掴まれて引きずり込まれはじめた場所でした。海の上の連中はあの子を引き上げようとしました。だが連中が釣り上げたのはちぎれたケーブルだけでした。あの子がどうなったかって? 中に引きずり込まれて食べられているところでした。

ああ、神よ。私はまだあいつが叫んでいたのを覚えてる。あの子は私達に向かって叫んでた。泣いてた。"神様! 少尉! 喰われてる! 神様! 死にたくない!"って。私はあの子を落ち着かせるために、私達はお前をすぐにここから連れ出すと叫びました。それから上の連中に作戦中止を伝えると、連中はウインチを巻き上げはじめました。私は奴らにやめるよう怒鳴りつけました。そして私はあの子の手を掴みました 私は捕まえたんです! 私はカラビナを付けて一緒に戻れるようにしました。上の連中がウインチを巻き上げはじめましたが……私達はどこへもいけませんでした。私はあの子を掴むと、君を連れ出せないと言いました。その時、ウインチがまた巻き上げられはじめました。命綱が震えたかと思うと、たるんでしまうのを感じました。その途端、私達はアレの中へと引っ張りこまれていきました。

あれはまるで……神よ。その、もう一杯飲み物をもらえるかな。あれは……私にはこういうふうに例えることしかできないけど、医者が誰かの尻に内視鏡を突っ込んでその腸内を見たりしますよね。それがどこぞの哀れな野郎のケツじゃなくて、水中に巣食う地獄の化物の喉の奥だってことを除けば、テレビで見たことのあるアレみたいな感じでした。アレは多分……筋肉の収縮だったんだと思います。それで奴らは私達を、長い管の中にゆっくりと引きずっていきました。もし私達が硬構造の潜水服を着てなかったらぐちゃぐちゃになってたでしょう。それでも私達はパワーアシストを使ってすら、ほとんど動けないほど強く抑えつけられていました。私はなんとかあの子の顔が見られるよう顔を起こすと、あの子のフェースプレートには反吐がぶちまけられていました。哀れなあの野郎はスーツの中で吐いちゃってたんです。私は励まして、何か言わせようとしました。なんとかあの子は私に自分が無事だと伝えられることができました。あの子は赤ん坊みたいにすすり泣いてたんです。

私は幾つかの計算を始めていました。私の推測航法トラッカーと初期音響探査によれば、私達は一分間にだいたい1m程度進んでいた計算になります。この速度なら72時間で反対側に出られる。私達はそう推測しました。空気は問題ありませんでした。私達の呼吸装置には何日分もの空気が詰まっていました。問題はスーツを温める電力がそれだけの時間持つかどうかです。もし暖房が死ねば私達は低体温症で死ぬ……そうでもないか。どんなケースでも私達は死ぬ。私達は電力を節約しなきゃなりませんでした。

私は、ヘルメットライトを切り、スーツの関節をロックして暖房も最弱にするようあの子に言いました。あの子は泣き始め、そんなことはしたくないと言います。私はあの子を非難したりはしませんでした。ただ、私達に選択肢なんて存在しないと言いました。最終的に私達は全ての電源は落とすが、ヘルメット内のライトだけはつけることで同意しました。明かりがあの子を落ち着かせたんだと思います。それに、正直、余分な0.1%の電力があったからってどんな違いがあると思います?

ここが最悪の部分だったと思います。私達は少なくとも一日関節のロックされたスーツの中にいました。手足も動かせず、聞こえるのはゴボゴボ言う自分の息とリブリーザーの音だけ。あの子のフェースプレートの反吐が一、二時間で乾いて剥がれ落ちたお陰で彼の顔を見ることができました。あの子は疲れて、ビビってるように見えました。

私は……ログをチェックしてもらえるかな軍曹。あの子がまた話し始めたのは13時間後だったと思う。あの子は、ぺちゃくちゃと話し始めた。あの事について謝っていたんだ。[データ削除済]。 何にしても、その後は随分あの子は落ち着いたようでした。なんとか二、三の冗談も飛ばせるようになったんで、私は少し眠るよう言いました。あの子は少しだけ眠りました。神に感謝したかったですね。

だいたい24時間ほどで私達はそこにつきました。連中は今じゃそれを胃と呼んでるんじゃなかったかな? 最初の危険信号はなにかがゴボゴボ言う音でした。それを覆い隠すように何かを噛み砕くような雑音が聞こえました。私はあの子にスーツを起動し最大出力を出せるよう準備しろと言いました。すぐに、私達はあの大きな部屋へと落下しました。どれくらい広さだったかというと、私達がぴったりと締め付けられていた管と比べると大きく、私達二人が十分に動けるだけの広さがありました。あの子のスーツが悲鳴を上げ始めると、外殻がボロクズみたいに穴だらけになっていました。自分のグローブも分解し始めていることに気づき、あの子にすぐに動くよう怒鳴りました。私達は……括約筋? あれに向かって移動を始めました。思い出した……。神よ、なんであんなことを思い出させる、あの中、あの胃の中には一列に並んだ[データ削除済]。

私はほとんど我を失いかけていました。私は銃を撃ち始めて、奴らの頭をぶちぬきました。もしあのままあそこに居たら、私のスーツは溶けていて、死んでいたでしょう。でも、あの子が私を掴み、頭からあの括約筋へと押し込みました。私達はそして……別の場所へと落下しました。

アレは胃袋なんかよりもっとたちの悪いものでした。[データ削除済]、あの場所は……アレでいっぱいの場所というのはもうわかってるよね。私は自分が神経質なたちだとは思ってないけどね、ビル。君がもしメクラネズミの一員であったとしても、あんなことは出来なかったに違いないと思う。私は吐き気のあまりその場所を通り抜けることができなくなりそうだった。あの子が私の足を動かすのを手助けしてくれた。私に、もうほとんど外だと言ってくれた。"来てください少尉、もうここは外みたいなものです、行きましょう"って。私達はもうひとつの括約筋をくぐり抜けようとしました。でもアレは…その、基礎訓練の時の教練軍曹の***くらいきつく閉まってました。でも他に出られる場所は存在しません。

私達はアレがその積み荷を撃ちだすまで待つ事を決断しました。例えるなら、もしアレが糞をしたり射精したりするのであれば、それを同時に吐き出さなきゃならないわけでしょう? 何にしても、あの時から物事が下り坂に入り始めていたわけです。あの子がひどい臭いに文句を言い始めました。私は落ち着かせようとしました。彼は、スーツの排泄物再生装置が原因かもしれないと言ったので、私は彼に見せてみろと言いました。ええ。彼の足の裏側に穴がありました。酸によるものだと思います。私は穴にパッチを当て、彼に心配することはないと言いました。赤い何かが彼の顔全面を覆ったのに気づいたのはその時です。赤い何かが爆発すると、血が彼のフェースプレートを覆い尽くし、彼は悲鳴を上げ始めました。彼は私に殺してくれと頼んでいました。私は銃を持ち上げ、彼のフェースプレートへ向けると、引き金を引きました。かちりと。

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私はあの子であったものとつかみあい、なんとか括約筋の向こう側、胃袋の方へ押しやることに成功しました。私の上を這いまわっていた触手は、本体が溶け始めたせいでのたうっていました。[データ削除済]。

すると835は積み荷を吐き出し、私はアレの肛門から海へと飛び出しました。

……ビル、これで君はこの話を全部知ったことになるね。たった一つの事を除いて。[データ削除済]。

その他については、レポートやら私のログで埋めてほしい。ああ、口うるさい連中に作戦後レポートにプロフェッショナルらしくない事をこれ以上書かないようになんて命令されないよう編集してもらえるかな。私はこれを飲んだらバリウムを二杯飲んでベッドへ行くから。[データ削除済]。ありがとう。


O5-11の特別命令により、このレポートに関連する全ての削除されたデータファイルが一般閲覧に解放されました。改訂されたファイルはこちらです

O5-11の特別命令により、このレポートに関連する全ての削除されたデータファイルが一般閲覧に解放されました。改訂された作戦後レポートはこちらです

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