SCP-8356

評価: +28+x

tunnel.jpg

SCP-8356

アイテム番号: SCP-8356

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: I-77および接続する道路群には、イースト・リバー・マウンテン・トンネルの両側数マイルにわたって表示可変型の電光掲示式速度制限標識が設置されています。毎晩日付が変わる5分前に標識は起動し、トンネルに近づくにつれ制限速度が漸減するように速度を表示します。正確な制限速度の減少幅は、標識に搭載されたレーダーセンサーが検知した接近車両の初速および位置を元に、専用のプログラムによって管理されます。この措置により、理論上は午後11:59から午前12:00の間に何らかの車両がトンネル内に存在している状態を防げるとされています。

トンネルに最も近いインターチェンジ(バージニア州側第66インターおよびウェストバージニア州側第1インター)には、州警察の警察官を装った収容スペシャリストが駐留しています。これらのエージェントは電光掲示標識を無視してスピード違反を起こした車両を停車させ、日付が変わるまで運転者を拘留することとなっています。

これらの措置によっても11:55から12:00の間にトンネルに進入しようとする車両を停止できなかった場合、トンネル事務所内の収容スペシャリスト(バージニア州政府運輸課・ウェストバージニア州政府運輸課の職員に偽装)がトンネル入口に隠匿された撒菱を起動し、違反車のタイヤをパンクさせて強制的に停車させます。

以上の対策を実施したうえでなお該当の時間帯に民間人の車両がトンネルに進入してしまった場合、収容スペシャリストは問題の車両の追跡を行いません。車両が1時間以内に再出現した場合、停車させて乗員に記憶処理を施します。車両が1時間以内に再出現しなかった場合、翌日の夜間にスペシャリストが提供された救助用車両でSCP-8356に進入することが許可されます。この際、担当職員は可能であれば進入した民間人を回収するよう指示されます。

内部に閉じ込められた人物が出口のある方へ進むよう仕向けるため、SCP-8356内部には標識類や障害物が設置されています。予期せずSCP-8356に入り込んでしまった職員は、脱出できるまで同じ方向へ進み続けてください。

説明: SCP-8356はアメリカ合衆国州間高速道路77号線(I-77)のイースト・リバー・マウンテン・トンネルに接続している、半直線型(一方向のみ無限)の反復性境界空間リミナル・スペースです。同トンネルはI-77の第1インター・第66インター間、バージニア・ウェストバージニア州境にまたがって存在しています。SCP-8356には午後11:59から午前12:00の間に州境を自動車で越えることで進入することが可能です。

SCP-8356の内部はトンネルと視覚的にほぼ同一であり、相違点は一切の非常口が存在しないことのみです。このため、SCP-8356に進入した対象者は通常、周囲の車両の消失やバックミラーの風景を確認しない限り自身が転移したことに気付けません。対象者はSCP-8356の唯一の端点から約107.8 km(正確に67マイル)離れた地点に出現します。この端点に向かって移動することで、対象者は空間を脱出することが可能です。端点はトンネルの非異常の出口と外見上ほぼ同一ですが、出口の先には厚い霧が見えるのみです。霧を抜けると、対象者は入った側と反対のトンネルの出口に再出現します。

出口と逆の方向には、トンネルが無限に続いています。

wrongway_horizontal.png

SCP-8356の構造の図解

発見: 行方不明事件

SCP-8356に関する最初の報告は、ウェストバージニア州警察に潜入していた職員が、シングルファーザーのロナルド・"RC"・ジャスタス(24)と息子のアンドリュー(生後8ヶ月)の捜索中に行ったものです。2025年4月6日(日)の午後、RCの母親であるロージー・ジャスタスが、RC親子が行方不明となっている旨の通報を行いました。彼女が親子を最後に目撃したのは4月4日(金)の夜11:45頃、ウェストバージニア州ブルーフィールドの彼女の家を出てバージニア州ロッキーギャップにある自宅に帰宅しようとしているところでした。翌日の土曜日を通してRCは電話やテキストメッセージに応答しませんでしたが、母親のジャスタス夫人はこれを疲労あるいは乳児の世話で手が離せないことによるものと考え、(そうでない可能性を懸念しつつも)深刻なものと捉えませんでした。日曜朝の教会での礼拝にRC親子が出席しなかったことを知ったジャスタス夫人が友人や親類に相談したところ、金曜日以降誰も親子との連絡が取れていないことが判明しました。親子が自宅にいないことを確認したジャスタス夫人は、2人の行方不明を警察に通報しました。

ジャスタスの携帯電話の追跡や電話への架電が失敗したことを受け、当局はブルーフィールド・ロッキーギャップ間のジャスタスが通った可能性が最も高い経路に沿った捜索、および周辺の交通カメラ映像の調査を行いました。イースト・リバー・マウンテン・トンネル外のカメラは4日の午後11:58にジャスタスの自動車が北側からトンネルに入るのを捉えていた一方で、自動車がトンネルを出る様子は映っていませんでした。これを異常事象と見た潜入職員は行動を開始し、財団の正式な介入を要請しました。

4月7日の午前6:00までに、フィールド収容チームが建設工事に偽装してイースト・リバー・マウンテン・トンネルを封鎖し、MTF ゼータ-9(“メクラネズミ”)の部隊を送り込みました。当時は活性化の条件が未解明だったものの、境界空間が存在する可能性が速やかに仮説として挙げられました。内部の民間人の救出を急ぐため、ゼータ-9は平時のDクラス試験プロトコル実行を却下し、部隊員自らによる初期探査を試みました。ジャスタスが進入した際の状況を可能な限り精密に再現するため、3名のゼータ-9隊員が標準式の全地形対応探査車両に乗り込み、ジャスタスと同じ時刻に、同じ入口からトンネルに進入しました。予想されていた通り、車両は異空間に到達しました。

SCP-8356内部に到着したゼータ-9は、車両に搭載された大型レーザー測距器を用いて境界空間の端点の位置を特定しました。部隊は発見された端点に向かって時速約60マイルで移動を開始しました。行方不明の民間人の痕跡が見つからないまま1時間ほどで端点に到着したのち、隊員の1人が端点を通過する役に名乗り出ました。彼は速やかに外部の収容チームによって回収されたものの、これをまだ内部にいる隊員2名に伝達することは不可能でした。彼らは1回目の移動で見落とした可能性のある親子の痕跡を捜索しつつ、より低速で逆方向へ進み始めました。

端点の約32マイル1北(出現地点の35マイル南)の地点において、トンネル両側の壁に行方不明の車両と同じ色の塗料が付着しているのが発見されました。このことからゼータ-9は、ジャスタスは30分ほど南に運転を続けてトンネルから出られなかったため、車をUターンさせて逆方向へ向かったと結論付けました。彼がこのような行動を取った理由として、未知の空間へ向かって車を走らせ続けるよりも先ほど自分が入ってきた方向に引き返す方が安全か、あるいはよりトンネルから出られる可能性が高いと考えた可能性が挙げられます。

この結論を受け、ゼータ-9は親子がこれ以上誤った方向に進む前に親子に追い付くため、迅速に端点と逆方向へ進み始めました。出現地点の約300マイル北において、ガス欠で放棄されたジャスタスの自動車が発見されました。ジャスタスが息子を連れて徒歩で移動を続けたと推測したゼータ-9は、自動車を道路上から速やかに移動し、トンネルを進み続けました。

自動車から15マイル北の地点において、ゼータ-9は親子の移動のさらなる痕跡を発見しました。発見された遺留品には、汚れたおむつ、成人の糞便、開封されたチョコレートバーの包装、空のソーダのボトルが含まれます。このことから、ジャスタスは8時間ほど歩いたのちに一旦この地点で休憩を取ったものと考えられました。

さらに13マイル北の地点において、RCの二度目のキャンプ地と思われる痕跡が発見されました。この地点では、バッテリー切れを起こしたRCの携帯電話の隣に2枚目の汚れたおむつが捨てられていました。

その10マイル先で、空の哺乳瓶が発見されました。

最終的に、出現地点から約350マイル先の地点で、ゼータ-9は行方不明の親子を発見しました。RC・ジャスタスは意識不明の状態でうつぶせで路上に倒れており、重度の疲労および脱水症状が認められました。また、脚部には酷使による重篤な褥瘡や擦過傷が確認されました。アンドリューは父親の背中に装着されたおんぶ紐で背負われたままの状態でしたが、発見の数時間前にすでに脱水により死亡していました。ゼータ-9は速やかにRCに応急処置を施しました。RCには静脈注射により輸液が投与され、靴と靴下を切って取り除いたうえで足の傷には洗浄が施され、包帯が巻かれました。アンドリューの遺体は大型のサンプル回収容器に入れられました。行方不明の2人が回収されたことを受け、ゼータ-9はUターンして端点へ向かって進み始めました。

静脈注射による水分投与が始まってから間もなくして、RCは意識を回復しました。しかしながら、彼は食べ物と水を要求するのみであり、それ以上の会話には応じられませんでした — なお留意点として、低栄養状態に陥っていた彼の消化器系に対する急激な栄養の投与が悪影響を及ぼすことを避けるため、食品および水分は十分に少量しか与えられていませんでした。しばらくの間、彼はこのように意識を途切れ途切れに取り戻す状態が続いていました。

1時間ほどして、RCの意識がある程度清明となり、周囲のエージェントに息子の現状を尋ねるようになりました。アンドリューが死亡したことを知らされた彼は取り乱し、遺体に触れさせるよう強く要求しました。これを断られると、彼はサンプル回収容器を奪取しようと試み始めました。RCが静注のチューブを抜く、歩こうと試みるなどしてさらに負傷することを避けるため、アンドリューの遺体はRCに返還されました。この際、遺体にはRCによる直接接触を避けるため包帯が巻かれていました。RCは遺体を固く抱きしめ、数分ほど泣き続けました。

この直後、RCは走行する全地形対応車の窓から自身が放棄した自動車を目撃しました。彼は激しく興奮し、なぜ「間違った道」へ向かっているのか教えるようエージェントらに食って掛かりました。エージェント・███████████がSCP-8356の構造をRCに説明しようと試みたところ、彼の苦痛は大幅に増したようでした。さらなる説明を迫られたエージェント・███████████は、RCの質問に対し簡潔な回答を行いました — すなわち、もしも彼が進入後にUターンすることなく直進し続けていれば、2時間以内にトンネルから脱出できていたという事実を説明しました。

これ以降、ジャスタスは職員の呼びかけに応答しませんでした。以降の脱出は問題なく完了しました。




特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。