SCP-8397
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アイテム番号: 8397

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-8397は標準人型実体収容房に収容されます。金属製バスケットゴールが壁にボルト留めされ、実験時以外は壁と平行にして収納されます。

サイト-97のバスケットコートは運営時間以外は無人にされ、封鎖されます。

バスケットボールを持っている男性と人骨が重ねられている。ただし左腕は追加の脊椎に置換されている。
バスケットボールを持っている男性
SCP-8397と大まかな骨格(異常な構造を強調)

説明: SCP-8397はエリム・ダーマズとして知られていた人型実体で、財団研究員であると同時にサイト-97バスケットボールチームのポイントガードでした。身長2 mで、強健な体格であり、色あせたスポーツジャージを着用しています。

SCP-8397はほぼ通常の人間の解剖学的構造を有していますが、左腕の骨は追加の椎骨に完全に置換されています。これらの椎骨は胸椎の第一椎骨から分岐して密集していますが、SCP-8397は身体活動中それを1.5 mまで伸ばす能力を示しています。終端の椎骨は、手のひらに恒久的に接合された標準的なゴム製バスケットボールのバルブに達しています。

SCP-8397は普段は不活性ですが、バスケットゴールが接近すると激しい身体活動状態に入り、表面上は1バスケットボールのプレーを模倣します。この状態の間、追加の椎骨及びバスケットボール内部で電気的活動の亢進が検出されます。頭蓋からはそのような信号は検出されていません。

SCP-8397は2006/12/25午前6時に現在の状態で発見されました。監視映像は、SCP-8397がサイト-97のバスケットコートでほぼ暗闇の中一晩中一人でプレーしていた様子を映していました。目撃証言は、前日は通常の外見をしていたことを裏付けており、したがって夜間のある時点で解剖学的変容を被ったものと考えられえいます。

SCP-8397は知性を有していないと考えられています。異常性の範囲を判断する低優先度の試験が進行中です。

収容更新: 2007/02/12、プロジェクト主任エルシー・ウッズが、事前に試験が予定されていなかったにも拘らずSCP-8397の収容房にアクセスしました。アノマリーの低リスク分類のため、この違反はイベントが終了するまで発見されませんでした。

<記録開始>

SCP-8397は壁にもたれかかって座っており、膝を約90度に曲げている。目は虚ろで充血しており、バスケットボールを膝に置いている。頭部の隣には、現在収納されている金属バスケットゴールの位置を操作するキーカードスキャナーがある。

ウッズは収容房に入る。髪はお団子になっている。彼女はSCP-8397の方を向いて微笑む。

ウッズ: よっ、エリム。なんかあった?

SCP-8397は返答しない。

ウッズ: まーた座りぼうけかぁ。ホント固定されちゃってるんだね。もっと話して。

SCP-8397の前の床に座り、腕をSCP-8397の片膝にもたれさせる。

ウッズ: えっ、あたし? 別にそんな、普通。外で起きてることくらいなら言えるけど。管理陣がまーた投げやりな健康増進策を今週始めたわけ。で、カフェテリアのメニューにまた適当な残飯みたいなのが増えた。

ウッズ: 今日は「プロテインパフェ」だって。スモアみたいな味してプロテイン40グラム入ってるってことにはなってる。多分施設のジム通い—フィールドエージェント用で、まああたしみたいな研究者用じゃないわな。

鼻にしわを寄せる。

ウッズ: ちょうどあんたが好きそうだって思ったから、一応それ思って試してみたんよ。あたしがスモア好きってことも知ってると思うけど、結果は。全ッ然違った。泡立ってて、モロモロで、あとすっぱかった。期限切れのヨーグルトをまた食べさせられてたとしても驚かない。プロテインがどんだけ入ってようが、あんたでもまあ吐いてただろうねえ。

頭を掻く。

ウッズ: ま、もうあたしもプロテイン要るわけでもないんだけど。えっと、ジム会員解約したの。一緒に行く人もいないし。確かにまた太り始めてるけど、あんたにケツ上げろって今言われるでもないし、別にいいかな。実はさ、トレッドミルに乗らないって新年の誓い立てたの。あんたが戻ってきてやれって言わない限り。少しくらいモチベになるかな?

一瞬返答を待つ。

ウッズ: なんも言わないか。正直言うと、あんたが戻ってくるの待つのもすごい疲れた。みんなはあんたが昏睡してるみたいだって言うけど、あんたのことはあたしが知ってる。あんた動くの止めたことなんてないじゃん。本当に昏睡だったとすれば、退屈してまず地面蹴っ飛ばして出てくでしょ。でももう2ヶ月以上も経って、相変わらず間抜けな顔してここに座ってる。

立ち上がり、歩き回り始める。

ウッズ: ねえ、いつまでもこうしてられはしないでしょ。あんたのお父さんは"トルコ旅行"なんてカバーストーリー流石にもう信じないし、そのうちあんたがバスに轢かれたとかなんとか言わなきゃならなくなる。独房に閉じ込めてるって言うよかマシでしょ。

沈黙。

ウッズ: ホントにそれがいいの? ほら、こっち見て。

SCP-8397の顔の前で指を鳴らす。

ウッズ: あんたの妹にも同じこと言う。もうすぐ大学卒業するみたいだけど、そしたらその子見つけて、兄貴は死んだ上に遺体も埋葬させてやれないって言わなきゃならなくなる。本当にそれが望みなの? ちゃんとあたしの目ぇ見ろよ!

SCP-8397の肩を押し、顔をしかめる。

ウッズ: 前、あんたバスケやり過ぎって言ったことあったでしょ。一緒にいるといっつも、口からは次の試合の話ばっかり出てきた。NBAの解説をホワイトノイズみたいに聞いて、誰にも見えないボール持ってるみたいに腕曲げて。

ウッズ: あたしの言うことまともに聞いたことなかったじゃん。コーチがあんたはサイト-97の無名バスケチームのスターだって言って、それを鵜呑みにした。サイト-53の汗だくジャージのバカたち相手にスリーポイント決めればヒーローにでもなれるなんて。

ウッズ: 今の自分見てみろよ! そのゴムボールを一番の親友みたいに抱きしめてる。

鼻であしらう。

ウッズ: もういいよ。わかった。

スキャナーにキーカードを当てる。ビープ音、続いて大きな駆動音。

ウッズ: これを待ってるんでしょ。

壁に取り付けられた金属のゴールが回転して展開する。それに応じ、SCP-8397は頭を突き上げてうなり声を上げ、壁から自身を押しのける。スニーカーは床に軋み、ゴールに向かって疾走しながら、椎骨腕を収縮・伸長させて波のような"ドリブル"の動きを模倣する。

ウッズ: おっ、喜んでるみたいじゃん。

SCP-8397は見えない障害物を避けるかのように、突然片足で回転する。ジャンプして、シュートを模倣し、ゴールをじっと見つめる。全身が目に見えて強張っている。

ウッズ: ボール手に付きっぱなしだよバーカ。

SCP-8397は更に少し待ってから左右にすり足をし、膝を曲げ頭を低くしたまま腕を波打たせ続ける。

ウッズはそれを見つめ、激しく震える。

ウッズ: ホントにどうでもいいの? じゃあ……

彼女は顔を紅潮させ、ゆっくりと深呼吸する。

ウッズ: あんたの….. 妹、死んだよ。

震えた息を吐く。

ウッズ: そうだよ。死んだ。そして…… お父さんは入院してる。あんたのこと見たいって、自分の息子をもう一度視界に収めたいって、誇りに思ってるって言いたいって言ってたけど、もうあと一日 — いや、数時間しか生きられない。もう時間がない、だから…… さよならって言いに行かなきゃダメでしょ?

SCP-8397はボールをパスする真似をし、突然ゴールと平行に走りだす。

ウッズ: 行くわけないよね。大切な人がみんな地獄に落ちてもあんたはずっとここにいて、ボール遊びしてるんだ。

彼女は硬直して、黙ったまましばらく立ち尽くす。

ウッズ: ねぇ、あたし……

ウッズ: あんたがいなくて寂しい。休憩室をぶらぶらしたり、仕事終わって車ぶん回したり、それに…… バカなバスケの試合応援するのだって。

SCP-8397はピボットしようとして滑り、地面にドスンと倒れる。首を振り、方向を掴めなくなっている。

ウッズは顔に手のひらを滑らせる。

ウッズ: ……そんなジャージ買ってやるんじゃなかった。

SCP-8397が立ち上がると、ウッズは走りだす。彼女は素早く距離を詰めてボールに飛びかかるが、SCP-8397は手を背後に引いて腕を波打たせ続ける。ウッズは姿勢を立て直し、両足を踏みしめて前に手を伸ばす。

ウッズ: それを渡せよ、エリム、この自己中野郎。

SCP-8397は彼女の右側に傾いてたじろがせ、同じ方向に一歩踏み出す。直後、SCP-8397は急に逆方向に傾き、ボールを前に掲げる。

ウッズはうなり声を上げ、両手を前に突き出す。指がボールに触れる。

ウッズ: フェイントなんか効か—

SCP-8397は彼女を脇に押しのける。彼女は躓き、後ろに転倒して息を呑む。お団子ヘアがほどけ、ヘアスティックが床に落ちて音を立てる。SCP-8397はその横を走り抜け、ジャンプしてバスケットボールをゴールに叩きつける。そこで実体は引っかかり、宙吊りになる。

ウッズは見上げる。目元は濡れており、髪が顔を一部隠している。彼女は微笑む。

ウッズ: そりゃファールだよ、クソボケ。

彼女は立ち上がり、ズボンの埃を払うと、ドアへと足を引きずって戻り、キーカードをスワイプする。

SCP-8397は地面に倒れて首を傾け、ゴールが格納されるのを見つめる。ゴールが完全に収納されると、SCP-8397は後退して壁にもたれかかり、そこで速やかに全ての動きを停止する。

ウッズはため息をつき、先ほど転倒した場所に移動する。床には、金属の長く鋭いヘアスティックが落ちている。それを拾い上げる。

ウッズ: あんたがどうなっちゃったにしろ、楽しんでくれたことを祈る。ホントに夢中だったね。

SCP-8397の前に膝をつく。

ウッズ: エリムはあの夜死んだんでしょ? あんたは…… 今やただのアノマリー。

彼女は、実体の手の代わりに固定されているバスケットボールを掴む。一瞬のためらいの後、ヘアスティックを縫い目に突き刺すが、硬いゴムを貫通できない。

ウッズ: あたしにこんなことさせるなんて、信じらんない。

ウッズは優しく実体の左手を掴む。ヘアスティックを手のひらに包みながら、その尖った部分を、バスケットボールの隠しバルブの真上にあるSCP-8397の手の中心に当てる。

ウッズは一瞬動きを止め、目に見えて震える。彼女は眉にしわを寄せ、目を閉じ、手の震えが止まった時点で再び目を開く。

ウッズ: どうかこれで死んでくれますように、8397。

彼女はヘアスティックをSCP-8397の手に押し付ける。皮膚は簡単に裂け、ヘアスティックは肉の中に沈み、バルブを通ってボールの中に達する。

ウッズ: (ささやき) クソが……

歯を食いしばり、ヘアスティックを引っ張り出す。ヘアスティックは血液と、透明な粘性のある物質に覆われている2

ヘアスティックが抜けるとすぐに、甲高いシューッという音が部屋に響き渡る。ウッズはその手でSCP-8397の手首を強く握りしめ、視線を下に向ける。唇を動かすが、何の音も出ない。

バスケットボールが収縮すると、シューッという音は、大きなささやき声に似た、識別可能な音と発言に変調する。

8397: 痛い……

ウッズは手を振り払い。目を見開いて瞳孔を大きくする。SCP-8397はゆっくりと瞬きする。

8397: エルシー……?

SCP-8397は地面に倒れ、椎骨腕は不規則に収縮したり伸長したりするが、それ以降の発声はウッズの叫び声にかき消される。

<記録終了>

約20分後、無許可の試験が確認されました。進入時、警備員はウッズが跪いてSCP-8397の手の傷口に息を吹き込んでいるのを発見しました。しかしバスケットボールは平らなままで、実体はこれ以降一切活動の兆候を示しませんでした。

SCP-8397はNeutralizedに再分類されました。

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