アイテム番号: SCP-841-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-841-JPはサイト-8141の標準人型収容室に収容されています。
現在、SCP-841-JPは収容されていません。警察無線の監視を行い、SCP-841-JPが出現した際は、エージェントを現地へ送り確保及び、警察関係者や目撃者へ記憶処理を行ってください。また、SCP-841-JPの存在を保つためプロトコル”検察”を行い収容してください。
説明: SCP-841-JPは30代ほどのモンゴロイドの男性に見える実体です。外見上では特に異常は見られませんが、体内は空洞状になっており臓器などは存在しません。収容当初、スーツ、革靴、中折れ帽、革製の黒手袋を身に着けていました。
SCP-841-JPは事件、及び事故現場に出現します。出現した時、その場でもっとも発言力のある人物はSCP-841-JPに対し非常に協力的に接し、周囲の人物に「凄腕の探偵である」といった内容の紹介をします。その後、SCP-841-JPは事件現場を取り仕切り、調査を行います。
SCP-841-JPは事件の調査が終了すると関係者を集め、例え事件の犯人が居合わせなかったとしてもその中から犯人を指名します。この時、指名された人物が犯行を行ったという証拠が生成され、それを元に推理を行います。この推理に対し、指名された人物以外のその場にいる人物はSCP-841-JPの意見に同調する傾向にあると思われます。
場所: 東京都██区
容疑者: 被害者の父
事件内容: 東京都██区の██氏宅の浴槽にて██家の長男の遺体が発見された。死因は失血死、凶器は遺体の手元にあった剃刀であると思われる。現場は内側からガムテープで密閉されており、密室空間となっていた。警察が到着するまでの間にSCP-841-JPと思われる人物が出現し、被害者の父が犯人であると主張。被害者の父は容疑を否認している。
事件関係者にSCP-841-JPの推理内容について聞き込みを行ったところ、非常に曖昧で理の通っていない内容であったことが発覚した。しかし、事件関係者は、その内容に非常に納得していた様子であった。
付記: 詳細に関しては、インタビューログ841-JP-17を参照。
場所: 北海道███市
容疑者: 宝石店勤務の26歳女性
事件内容: 北海道███市の宝石店、████████にて1700万円相当の貴金属類が消失しているのを同店勤務の男性が発見した。警察が到着するまでの間にSCP-841-JPと思われる人物が出現、現場検証を行い、当時宝石店に勤務していた26歳女性が犯人であると主張した。店内監視カメラを確認したところ貴金属を持ち出す容疑者の姿が確認された。また容疑者のロッカーから盗難された貴金属類の一部が発見されたため、その他の盗難品の所在についての取り調べを行っている。
しかし、店内監視カメラに写っていた時刻と同時刻に近くのカフェにてその姿が目撃されており、また容疑者の証言とも一致することからさらなる捜査が必要であるものと思われる。
場所: 長野県██市
容疑者: 37歳男性
事件内容: 長野県██市█山にて東京都から登山に来ていた██氏の遺体が発見された。約100m上の崖から転落したものと思われる。遺体を発見したのは、遺体発見地点から下方へ200mほど離れた地点にある山小屋に泊まっていた登山客だった。遺体が発見されたのと同時刻に山小屋にSCP-841-JPが出現、山小屋にいた下山してきた客を集め、その中にいた登山客の37歳男性が犯人であると主張した。容疑者は被害者とは一切の面識がないと主張しているが、被害者の所持品の中から容疑者のものであると思われるものが発見されたこと、登山客の中から「容疑者と被害者が口論をしているのを見た」などの目撃証言が出たことなどから容疑が固まった。容疑者は容疑を否認している。
場所: 秋田県██市
容疑者: 被害者の娘46歳無職の男性
事件内容: 秋田県██市の被害者の所有していた洋館にて、その所有者である██氏の刺殺遺体が██氏の自室にて発見された。██氏宅では前日にパーティーを行っており、多くの人物が宿泊していた。遺体発見後、前日からの宿泊客としてSCP-841-JPが出現。現場検証を行い、娘の所持品から██氏の自室の鍵が出たことなどから██氏の娘が犯人であると主張した。
しかし、SCP-841-JPが到着した財団エージェントにより確保され、再調査が行われたところ、██氏を刺殺した凶器の柄に不明な人物の指紋が付着していた。指紋の人物を捜索した結果、付近の公園を住居としていた46歳無職の男性が金品目的で██氏宅に侵入、██氏を殺害したことが判明した。
インタビューログ841-JP-17
対象 :佐川██ 氏
インタビュアー :田嶋研究員
付記 :佐川██ 氏は事件現場である██氏宅の隣人です。SCP-841-JPが出現し、推理を行っていた際その場に集められていました。佐川██ 氏にはインタビュー後、記憶処理を施し解放しました。
<記録開始>
田嶋研究員 :では、インタビューを開始します。事件についてお聞かせ願えますか?
佐川██ 氏 :ああ、最初はえらく驚いたよ。██君が自殺したって聞いてなぁ…。で、実際に現場見たらぴっちりガムテープで閉じられてて自殺だとしか思えなかったさ。それがまさかあの親父が殺したとは…。
田嶋研究員 :それは探偵が行った推理から判明したのですね?
佐川██ 氏 :あぁ、そうだ。██君は昔から気は弱かったがな、最近は堅物親父とよく家業を継ぐ継がないで揉めていた。でもあの親父がまさかガムテープで密室に見せかけるなんて小せぇ事して、しかも一人息子を殺すとは、とても信じられなかったよ。だが、まぁ、探偵さんの推理は否定できなかった。
田嶋研究員 :それはどういったものでしょうか?
佐川██ 氏 :風呂場の格子のついた窓あったろう?実はな、あそこに3cmぐらいの隙間があったんだ。あの堅物親父はな、その隙間から剃刀を投げ入れて██君の手首を切りやがったんだ。あの風呂場は密室に見せかけて実は密室じゃなかったんだよ。この推理を探偵さんから聞いたときはぐぅの音も出らんかった。
田嶋研究員 :えーっと…それは不可能ではないでしょうか?それにどうやって██さんを剃刀を投げて当たる位置に誘導したというのですか?
佐川██ 氏 :あー…それはな、そう、うまいことやったんだよあの親父が。探偵さんもそう言ってた。まぁどうであれ、これ以外の方法は考えられなかった。親父にも最近よく息子と喧嘩してたって動機もある。あの親父が殺したんだよ。親父は否定してたがな。せいぜい刑務所で頭冷やしてくるといい。自分の一人息子を殺すなんて[俯き泣き始める]
田嶋研究員 :インタビューを終わりましょうか。捜査のご協力ありがとうございました。
<記録終了>
SCP-841-JPは、「指名された人物は犯人である」という結論が確定し事件が解決となると、事件現場から離れ、不明な方法により消失します。しかし、結論が確定しなかった場合、消失現象は発生しないと推測されています。
SCP-841-JPは、警察内部に潜入していた財団エージェントによる「不可解な事件記録」の調査によりその存在が明らかになりました。確保のため警察無線の監視を開始したところ、2008/██/██長野県██市の事件現場にてSCP-841-JPと思われる存在の出現が確認され、財団エージェントが派遣されました。しかし、到着した時点ですでに推理は終了しており、容疑者の警察への引き渡しを行っていました。直ちに確保を試みたものの逃走、付近の雑木林に逃げ込んだ後、消失しました。
その後も警察無線の監視を続けたところ、2009/██/██秋田県██市の事件現場に出現、即座に財団エージェントが派遣されました。財団エージェントが到着した時、SCP-841-JPは関係者を集め推理を行っていました。SCP-841-JPは逃走を図ったものの財団エージェントにより拘束され、事件の関係者も確保されました。拘束された後もSCP-841-JPは激しく抵抗しましたが、消失現象は発生しませんでした。
収容後、数度のインタビューを試みましたがいずれもSCP-841-JPが錯乱し、詳細な情報を得ることができませんでした。しかし、断片的な発言から「事件の解決に固執している」こと、及び回収以降消失現象が発生していないことから、消失現象の発現のためにはSCP-841-JPによる「事件の解決」というプロセスが必要なのではないかという仮説が立てられました。現在、この仮説に対する実験は消失後の補足を行うことが可能か不明なため許可されていません。
2009/██/██、サイト-8141にて送り主不明の封筒が発見されました。内部には1枚のカードが同封され、外装には、封筒の端に一輪の夾竹桃の花が留められており、山高帽を被り片眼鏡を付けた犬の紋章の封蝋がされています。カードの内容は以下の通りです。
予告状
拝啓、サイト-8141の皆々様。
今宵、我らが劇団キャストを回収しに参上致します。
『にじいろのおもちゃばこ』所属 Actor 配役:怪盗
これを受け、サイト-8141全体に厳戒態勢が敷かれましたが、同日21時頃、SCP-841-JPが収容室内から消失しているのが確認されました。収容室内から、封蝋と同様の刻印のされた「探偵は頂いた」と書かれたカードと一冊の本が回収されました。
本は、表紙に「配役:探偵」と印刷されており、総ページ数は279ページです。最初の7ページは項目のページとなっており、項目名欄の中にはSCP-841-JPの関与した事件状況に類似したものも確認されています。以降の全てのページには、それぞれ各項目名と以下の文書が印刷されていました。
補遺: 収容違反記録841-JPを受け、仮説に基づいた特別収容プロトコルの改定、及び出現の際のプロトコル"検察"の制定を行いました。また、SCP-841-JPの消失に大きく関わっている可能性が高いとして、サイト-8141へ封筒を送った人物の特定を行っています。サイト-8141からの消失以降、SCP-841-JPの出現は確認されていません。
ページリビジョン: 3, 最終更新: 10 Jan 2021 16:30