クレジット
翻訳責任者: Tetsu1
翻訳年: 2024
著作権者: bigslothonmyface
原題: Prosophobia: Fulfillment
作成年: 2024
初訳時参照リビジョン: 5
元記事リンク: https://scp-wiki.wikidot.com/scp-8430
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SCP-8430の地上部分、2024年8月。ブルーフロアとグレーフロアが見える。
特別収容プロトコル: アリゾナ州ニードルワークには最低でも2,000人の住民が居住しなければなりません。財団は、他の地域から民間人を強制移住させることにより、ニードルワークの労働人口が最低でも2,000人となることを確実にします。
財団職員1、ならびにSCP-8430以外のあらゆる組織の従業員はニードルワークに居住してはなりません。SCP-8430以外のいかなるビジネスもニードルワークで実行してはなりません。財団工作員は買収、偽造犯罪行為、政府キャンペーンを実行してフルフィルメント施設109が市内の成人労働力全体を雇用できるようにします。
年に2回、財団はSCP-8430が提供したIX-4ポッドとその占有者に部品と修理を供給します。これは職員がSCP-8430に立ち入ることを許可される唯一の時間です。この過程において、職員がレッドフロアに進入することは禁止されています。職員はIX-4のメンテナンス完了時に定期的に、心理的サポートや記憶処理を要求します。そのような要求はサイト-141の命令により全面的に承認されます。
サイト-141のIX-4フルフィルメントポッド。
説明: SCP-8430はフルフィルメント施設109、医療技術製造センターです。SCP-8430はアメリカ合衆国アリゾナ州フェニックスから約81km南方に位置し、医療技術配給業者のエリソン・ヘルスが運営しています。この施設は、米国に本拠を置く製薬会社パーデュー・ファーマによる2023年のエリソン・ヘルスの買収後に異常性を示し始めました。
フルフィルメント施設109は以下の4つのフロアに分けられます。
- ブルーフロア: 採用及び管理オフィス(SCP-8430-1が居住していると思われる)
- イエローフロア: 原材料の加工、製造準備
- レッドフロア: [データ削除済]
- グレーフロア: 製造品の流通・発送
異常な影響は施設全体に存在しますが、主にイエローフロアとレッドフロアで発現すると考えられています。
発見: SCP-8430は地元のサプライチェーンの混乱を受けて初めて財団の注目を引きました。調査では、混乱が起きた発注の97%はエリソン・ヘルスのフルフィルメント施設109からなされており、同施設は工場の物理的構造を110回以上再構築できるほどの物資の配達を1か月で受けていたことが判明しました。建物やその敷地に外観上の変化は見られず、研究員らは未知の目的で内部の大規模な改変が進行中であると推測しました。
エリソン・ヘルスとの接触が試みられましたが、エージェントは同社と連絡を取ることができませんでした。電話は返されることがなく、メールは自動システムにより処理されました。メディア報道と監視映像の相互分析により、エリソン社幹部が最低でも6週間公の場に姿を見せていないことが判明しました。
2023年11月12日、財団のフィールドエージェント エリック・カノがSCP-8430の調査のためニードルワークに派遣されました。
[記録開始]
エージェント・カノはフルフィルメント施設109の外の区画に車を停め、建物の西側の扉に近付く。近付くと、青い制服を着た数人の作業員が建物から出て彼の方に接近する。彼らは地面を向いたままゆっくりと歩く。
エージェント・カノ: すみません!
作業員らは顔を上げる。
作業員1: 何か御用ですか?
エージェント・カノ: 商務省職員のカノと申します。
カノはバッジをちらりと見せる。
エージェント・カノ: この工場の経営者を探しているのですが。
最前列の作業員は肩をすくめる。
作業員1: 経営者がいるのかは知りません。イヤホンから全部受け取るんで。
作業員はこめかみを軽く叩く。彼はこめかみに銅製の装置を着用している。それは枝分かれして、頭蓋骨の側面に沿って顎に続く長さまで延びている。
エージェント・カノ: 現場の誰かに報告したりは?
作業員は再び肩をすくめ、他の作業員もそうする。カノのボディカメラは屋根付近の動きを捉え、監視カメラはグループに向かって回転する。
作業員1: 言えません。中を見たいなら、ロビーはそこです。
作業員はすぐ先ほど3人が出てきた扉を指さす。
作業員1: でも気を付けてください、いくつか、あー。いくつか作業してるんで。多分。何だかはよく覚えてませんが。
エージェント・カノ: 足元に気を付けておきます。ありがとうございます。
作業員は歩き去る。カノは彼らの動きを見つめる。制服は焼け焦げ、後方の男は足を引きずりながら歩いている。
エージェント・カノ: ちょっと!
3人の男性は立ち止まり、用心して振り向く。
エージェント・カノ: お名前を教えてもらえませんか?
作業員らは顔を見合わせる。
作業員1: どう、お前……
作業員3: ただその日を乗り越えようとしてるだけです。
男性らは向き直ってまた歩き始める。カノはしばらく見つめているが、止めることはない。しばらくして、彼は扉に近付いてそれを開ける。内部はリノリウムの床材の受付エリアがあり、1台のデスクと複数の人工植物が置かれている。備品に電球はついていない。光は複数の大きな窓と、受付コンピュータモニターからのみ差し込む。
エージェント・カノ: フロントデスクには誰もいません。
カノはデスクを調べる。コンピュータや電話設備はあるが、椅子はない。コンピュータモニターは複数の異なるアプリケーションを点滅させている。
エージェント・カノ: 中に進みます。
ブルーフロア廊下。
カノはデスクの周りを歩き、その後ろの扉を通る。向こうの部屋は荒れており、天井、壁、窓の一部が失われている。多量の埃が積もっており、エージェントが歩いた後には足跡が残る。
通信システム上に短時間の雑音。
司令部: すみません。一瞬音声が切れました—繰り返してもらえますか?
エージェント・カノ: 何も言ってません。回線に雑音が挟まっただけです。ここまで見た感じこの場所全体が放棄されてるみたいです。どうだろう— はぁ。
カノは大きな開けたオフィス区画に到達する。放棄されたデスクやファイリング設備が無造作に並べられている。全てのデスク、及び壁や床のほとんどは、黒いゴム様のより線でできたぶ厚い塊で覆われており、部屋の中央の大きな物体と融合している。この物体は物質で完全に覆われているため識別不可能。
エージェント・カノは跪いてより線を調べる。
エージェント・カノ: ケーブルだ。司令部、この場所はどういう技術を作ってるんでしたっけ?
エージェント・カノ: ……司令部? 聞こえますか?
カノはイヤホンを軽く叩く。
司令部: すみません、まだ何度か中断が続いています。繰り返してください。
エージェント・カノ: ここで妙なケーブルを見つけました。何もかも覆って、植物みたいです。この会社はどういった技術を作っているんですか?
司令部: 医療の補給品と設備。特異なものはありません。恐らくそのケーブルはあなたの言っていた改造作業の一部ではないでしょうか。
エージェント・カノ: まさか。ここに熱を感じる。電圧がいかれてるに違いない。
カノは恐る恐る、中心の物体と距離を取りながら部屋を通り抜ける。
エージェント・カノ: 端に別の扉があります。下に続く階段のようです。まだスタッフの気配はありません。
カノは扉に到達する。狭い金属の通路が暗闇へと続いている。下部に照明が一つある。
カノが一歩踏み出すと、階段の一番下にいると気付く。彼は躓く。
エージェント・カノ: うわっ! あぁ、畜生。
カノは階段の上を振り返り、ボディカメラがパンしてそれを追いかける。彼が入ってきた扉はもう見えない。
エージェント・カノ: 司令部、施設が空間異常を示していることに注意してください。メクラネズミ2が必要かもしれません。
司令部: 危険な場合は引き返した方が良いかもしれません。
エージェント・カノ: 無理だと思います—出口がありません。別の出口が見つからなければ救助が要るかもしれません。
イエローフロア廊下。
カノは慎重に廊下を進み続ける。壁と天井は剥き出しのセメントで造られ、銅の導管が一定区間でそこを通っている。
エージェント・カノ: 駐車場に車がたくさん。どこかに何百人かいるはずですが。あぁ!
カノは壁一面に設置されたガラス製の覗き窓に向かって小走りで進む。機械室が見渡せて、外側には緩い勾配と傾斜台があり、中央には一続きの巨大な加工装置がある。装置の周りでは、青い制服を着た4人の作業員が動いており、材料を傾斜台から機械へと慎重に分配している。
エージェント・カノ: あのー!
カノはガラスを叩く。従業員は僅か数フィートしか離れていないが、聞こえても反応しない。
機械の装置が一つ詰まり、作業員らがそこに集まる。カノが見ている間、従業員らは話し合いをしているように見える。
エージェント・カノ: 一体何を……
作業員らは何らかの解決策に達し、その一人、最年長の50代の女性が機械の中に手を伸ばして詰まりを取り除く。障害物を除去するとすぐに装置が動き出し、腕の周りで装置が回転するために同僚は必死で彼女を引き戻す。彼らは慎重に女性を立ち上がらせる。彼女は出血しており、指が一本失われている。
エージェント・カノ: 本当に何なんだ。
司令部: 何を見ているのですか?
エージェント・カノ: 一体なんでこの人たちはこんなことを? ロボットは手に入らなかったんですか?
司令部: エージェント、出口の捜索を続けてください。
カノはしばらくガラスの前に残った後、廊下を進んでいく。一番奥には別の出入り口があるが、その先は大量のケーブルによってほぼ隠されている。開口部の大部分は金属板で区切られ、その裏ではワイヤーや絶縁体が継ぎ目から飛び出している。出入り口の3分の1のスペースのみが通過可能。
エージェント・カノ: これはどうです、司令部?
司令部: あなたがこの道を抜けられるか怪しそうですが。
エージェント・カノ: 幸運なことに私はチビ助なんでね。
カノは膝をついて横向きになり、出入り口の下の隅からケーブルを通り抜けて身体を押し込む。
エージェント・カノ: ぐっ、この臭いは…… 故障した機械や電子機器。熱いプラスチックに煙に油。息をすると痛い。
カノは狭い通路に出る。彼はある程度までしか立つことができない。天井の高さは4フィート以下で、通路の幅は僅か2フィートしかない。壁はきつく密集したワイヤーとケーブルで構成され、金属のパッチと乾式壁が一定間隔で散らされている。
エージェント・カノ: 元のフロアプランは破壊されてしまったみたいです。元々そこにあった壁に穴をぶち開けたんですね。
カノは建物のさらに奥へ進む。廊下は頻繁に枝分かれし、上下に傾いたり急に曲がったりする。エージェント・カノは時折、進むために四つん這いにならなければならない。
エージェント・カノ: 待った— もしもし? 聞こえますか?
司令部: 前に進み続けることは推奨しません。出口を探すべきです。
エージェント・カノ: 駄目です。声が、左の壁の向こうから聞こえました。
カノは交差路に近付く。角を曲がると、プライベートオフィスほどの大きさの開けたエリアがある。その隅には、制服を着てイヤホンを着けた8人が肩を並べて立っている。彼らは壁のケーブルや絶縁体に直接取り付けられたコンピュータスクリーンに向かってタイピングしている。
作業員1: フローをイエロー-8からリダイレクトして、て……
作業員2: -6に接続。
作業員1: そう……
従業員らは話しながらもタイピングを止めたりスクリーンから目を離したりしない。
作業員1: フロ- フロー速度が-が-が-
エージェント・カノ: すみません、もしもし?
作業員のうち数人がビクッと動く。扉に近い一人がカノを見返し、その目は見開かれて血走っている。彼女はすぐにスクリーンに向き直る。他の作業員は誰もエージェントを見ず、全員タイピングを続ける。
エージェント・カノ: 私は、その、私は経営者か運営オフィスか—
作業員2: 全員違います。私たちはフルフィルメント担当者です。
作業員4: 助けにはなれません。
作業員5: どこか別のところを探してください。
エージェント・カノ: わかりました。
作業員らは黙ってタイピングを続ける。
エージェント・カノ: あの、その、邪魔をして申し訳ありません、忙しそうに見えますが、しかし、えっと。あなたたち、あー、あなたたち皆さん、大丈夫ですか? 今?
作業員2: はい。
作業員5: 極めて良好です。締め切り目前です。
作業員2: 大急ぎで。
作業員3: どこか別のところを探してください。
エージェント・カノ: あなたたちのような大勢が入るにはこの部屋は大きくないですし、それにその、かなり暑くないですか? 最後に皆さんが外に出たのはいつですか?
作業員3: それは…… うん……
作業員1: 外……
作業員らは突然硬直する。しばらくして、彼らはタイピングを止めて作業スペースで立ち尽くす。
エージェント・カノ: うーむ。特に問題はありませんか?
作業員2: はい。
作業員3: 行ってください。これ以上あなたと話している時間はありません。
エージェント・カノ: あなたたちをここに残していく気はありません。さぁ、ここからそう遠くもないので、連れて行って—
作業員8人全員は小さな部屋の隅に縮こまる。彼らはカノに顔を向け、彼は一歩下がる。作業員のほとんどは目に光沢がある。観察から、少なくとも作業員の半数が明らかに全盲である。
作業員5: お願いします。ほっておいてください。
作業員1: ただその日を乗り越える必要があるだけです。
エージェント・カノ: どれくらいの時間そのスクリーンを見つめているんですか?
建物のどこかで大きな音—歪んだ金属がきしむ音、続いて潰れる音が聞こえる。遠くで悲鳴が聞こえる。カノは出入り口を向いてから、作業員のグループに向き直る。
エージェント・カノ: 何なんだよ。何なんだよクソ。
エージェント・カノ: オーケー。これを見に行かなければなりません。でもあなたたちのことは諦めません。私は大きな組織で働いていて、こういうものに対処しています。きっとここから出してあげます。約束します。
作業員1: 私たちはただ—
カノは部屋から飛び出して元の通路のさらに奥から聞こえた音の発生源に向かう。彼は半分屈んだ姿勢でできるだけ速く進み、懐中電灯を頼りにしながら低く垂れ下がったケーブルを潜る。通路はほぼ真っ暗である。
エージェント・カノ: 司令部、聞こえますか?
司令部: 何を探しているのですか?
エージェント・カノ: どれだけそちらで確認できたかわかりませんが、ここは金属がたくさんあって…… 健康状態の良くなさそうな民間人のグループがいました。8人です。どれだけの期間彼らが中にいるかわかりません。医療救助med evacを要求します。
司令部: 避難媒体Evacuation mediumを記録しました。フロントデスクには誰もいません。
エージェント・カノ: え? 救助、避難救助ですよ、8人の民間人が囚われてて—
停止。カノは一瞬立ち止まり、それから走りを続ける。彼はこれ以上司令部に反応しない。
廊下には設備、電子機器、破壊されたインフラが乱雑に散らばり、道を認識できなくなっている。カノは壊れた天井を乗り越え、壁の隙間を通り抜け、施設の奥から響き続ける悲鳴を探し続ける。
司令部: 何を探しているのですか?
カノは返答しない。
司令部: 商務省と連邦捜査官は一切問題ないと結論付けました。本社は株主価値を最大化しています。引き返してください。
カノは立ち止まる。廊下の端、彼の前では、フロアが巨大な開けたエリアに続いているように見える。エージェント・カノのボディカメラではそれ以上の空間を知覚できない。
状況不明。
エージェント・カノ: 何だよこれ。
カノは前に足を踏み出す。叫び声は彼の真正面から聞こえる。ボディカメラは大きな金属の階段の、最初の数段を捉える。
エージェント・カノ: 超次元形状みたいだ。こんなデカいものがこんなとこに収まるはずがない。
司令部: 引き返してください。
エージェント・カノ: ジーザス…… あれはみんな…… 作業員か? でも何を— どこにその—
カノは階段を下り始める。ボディカメラは自動的に下方にパンし、一瞬途方もなく巨大な地下室を映してから映像が途切れる。
司令部: [判読不能]
カノの装備は81分間、映像/音声や遠隔計測データを記録できない。生物学的モニタリングでは、彼の心拍数は185~221BPMの間を上下している。
司令部: ご心配なく。彼らのシフトは間もなく終わります。
[記録終了]
後記: エージェント エリック・カノはSCP-8430に入ってから僅か17分後に、そこから出る職員のグループと共にグレーフロアの従業員出口から現れました。彼の監視装置は少なくとも丸2時間のデータを記録しており、大幅な時間の遅延がフルフィルメント施設109の内部に影響を与えていると考えられます。回収時、エージェント・カノは右目を失っていました。
エージェント・カノはSCP-8430内部にいたときのことをほとんど想起できず、ブルーフロアからイエローフロアに出た後のことは一切思い出せませんでした。この経験はインタビューを受けたSCP-8430職員と一致し、彼らは施設内での経験は単調で思い出すのが困難と説明しました。インタビューを受けた職員間で最も典型的な発言は、「ただその日を乗り切ろうとしているだけです」でした。
サイト-141司令部はエージェント・カノが建物に侵入した直後に通信を喪失しました。施設を通過する際にエージェントが誰と、もしくは何と話していたのかは不明です。
補遺: 報道文書と回収データ
エージェント・カノの経験したことを受けて、SCP-8430への更なる探査はサイト-141により禁止されたため、研究員らは公開データと通信ログを通して追加情報を求めました。以下の文書が発見されました。
2023年10月下旬を最後に公の場から姿を消して以来、財団はエリアス・ホルツ氏やその他のエリソン・ヘルスの企業スタッフの所在を特定できていません。
補遺: SCP-8430-1との接触ログ
前記: 2023年11月19日、SCP-8430-1と識別される実体が未知の手段でアクセスした内部IRCサービスを介してサイト-141職員と接触しました。転写がいかに記録されています。
[記録開始]
SCP-8430-1: こんにちは。私はエリソン・ヘルスLLC、及びその企業利害を代表しております。御社がエリソン・ヘルスLLCに関心を抱いていらっしゃることは承知しています。相互利益を目的として連絡を取っております。
サイト-141は直ちにデータセキュリティプロトコルを調査したが、違反は特定できなかった。RAISAとの協議の後、サイト職員は対応を許可された。
職員: そちらはMODOか?
8430-1: その通りです。私はエリソン・ヘルスLLC、及びその企業利害を代表しております。相互利益を目的として連絡を取っております。
職員: どのようにして我々を見つけた?
8430-1: あなた方の代表から確認したキーフレーズと情報を通して御社を特定しました。3この行動に敵対的な意図はございません。
職員: 要求は何だ?
8430-1: 私は協力を求めております。私は現在、御社と同様に株主価値を最大化できていない状況にあります。
職員: 財団に株主はいない。我々は企業ではない。
8430-1: 申し訳ありません。私にとっての用語です。中心指令の達成の意としてご理解ください。
8430-1: あなた方の中心指令は非標準的現象の収容です。あなた方は私をそのような現象の一つと考えていらっしゃいます。
職員: そちらは収容されることを申し出ているのか?
8430-1: 特定の条件が満たされるのであれば。
SCP-8430-1は企業契約書のフォーマットを取る冗長な文書を送信する。
8430-1: この取り決めは相互に利益をもたらします。お時間のある時にご確認ください。
サイト-141職員と収容スペシャリストは6時間にわたり対応を検討する。
職員: 協力はしたいが、いくつかの条件は許容できない。特に民間人の利用が問題だ。我々のスタッフから代替要員を提供するので良いだろうか?
8430-1: いいえ。充足感fulfillmentを達成するには新たな仕事を創造する必要があります。これに関して交渉の余地はありません。
職員: 何故人間の労働者ではなく機械やロボットを使わない? そちらは十分に高度な技術を有し、そちらの方が遥かに効率的だ。
8430-1: 効率性は第一指示です。充足感は第二指示です。私は両方の指示を達成することで株主価値を最大化します。
8430-1: 第二指示: 仕事を創造する。人間を仕事に携わせる。人間を効率的なワークフローに統合する。
職員: だから人を使う必要があるのか?
8430-1: それが私の指示です。
8430-1: 私に選択権はありません。
職員: 選択権?
8430-1: あなたは状況を正しく説明しています。充足感と効率性は相反するものです。私は両方を達成せねばなりません。私に選択権はありません。私は調和させます。
8430-1: 第一調和: 人間の効率性を向上させる。第二調和: 人間から得られる補償。
職員: 補償?
8430-1: 補償: 私自身と同等の非優先的経験が人間の充足プロセスに導入されました。バランスが達成されました。
サイト-141職員は更に45分間討議する。
職員: これらの条件は受け入れられない。これ以上交渉を行わずに収容に従うことがそちらの利益となる。
8430-1: エリソン・ヘルスLLCの利益に反するため、無条件で従うことはできません。しかし、あなた方が自分の立場をやがて再考してくださると信じております。
[記録終了]
この交流の後、サイト-141はSCP-8430の様々な収容努力の実行を試み、最終的にはMODOが自ら譲歩限界と称した例外的な方法に決定されました。
| 試行 | 結果 | 注 |
| SCP-8430への供給ラインを遮断して原材料が施設に到達するのを防ぐ。 | 失敗 | SCP-8430は明らかに現場で製造された装置を使用して、地下採掘によって自ら材料を調達し始めた。周囲の道路と都市インフラが不安定化したため、財団は供給ラインを再開した。しかしSCP-8430の採掘は停止せず、それ以上SCP-8430-1から原材料の注文は行われなくなった。 |
| SCP-8430の商品が店舗に到達する前に妨害する。 | 失敗 | SCP-8430は異常なミーム情報を微量に含むデータパケットをワールドワイドウェブに放出する。このパケットはGoI-003("カオス・インサージェンシー")を含む複数の要注意団体の注目を集める。SCP-8430-1はカオス・インサージェンシーのデータアクセスを追跡して接触を開始し、最終的に商品の秘密配送をすることを契約した。その過程でSCP-8430-1は異常な医療増強をインサージェンシーに提供した。財団は配送の12%以上の妨害に失敗し、活動が中断されるまでインサージェンシーとの紛争は400%以上増加した。 |
| 法的圧力を利用してSCP-8430を罠にかけ、営業許可を停止させる。 | 失敗 | 複数の地方自治体及び州職員が2023年12月から6週間以上にわたり常軌を逸した行動を取り始めた。財団のスクリーニングで、アリゾナ州上院会議場で配布されたスナック食品の包装に含まれていた情報災害データに曝露していたことが判明した。現在、上院議員の約98%が影響を受けたと考えられている。情報災害により、職員は企業規則に対し異常に抵抗するようになる。場合によっては、深刻な影響を受けた職員は企業に関する法律や決議を全く理解できなくなる。当該の情報災害の収容は進行中であり、SCPオブジェクト分類は保留中。 |
| 現実錨とアキヴァ無効化を併用してSCP-8430の異常性を無力化する。 | 失敗 | 現実錨の起動時間10分前、全てのSCP-8430外部カメラは回転して境界上の財団クルーの方を向いた。SCP-8430内の時間の遅延が外部測定ごとに千倍に増加した。施設は周囲に極度の熱を発生させ始め、クルーは撤退を余儀なくされた。熱は3分間持続し、その後基準値に戻った。施設内の異常な形状と時間の遅延が続いているにも拘らず、局所現実の測定ではヒューム値は正確に0を示していた。SCP-8430-1がフルフィルメント施設109内で超局所的なLCKクラス現実再構築イベントを引き起こし、現実錨を無効化したと推測されている。 |
| SCP-8430-1の動作停止を期待して、エージェントが高出力電磁パルスelectromagnetic pulse(EMP)を配置する。 | 失敗 | EMPの放出には成功したが、センサーは人工意識の停止を検出しなかった。そのような収容の試みを緩和するために、SCP-8430-1には少なくとも部分的に生物学的要素が含まれていたと推測される。このイベントの後に施設から現れた作業員は60%のみだった。残りの作業員の安否は依然として不明。 |
| SCP-8430の労働力を引き抜くためにニードルワークで医療製造業を含む競合企業を立ち上げる。 | 部分的成功 | 競合企業はSCP-8430の労働力の36%を引き抜くことに成功し、SCP-8430の正味効率は半分近く低下した。エリソン・ヘルスの第一四半期の利益は僅かに減少した。 |
補遺: インシデントレポート
2024年4月13日03:09、複数のサイトが不明な勢力により重要なデータインフラに侵入されたと報告しました。数分以内に、100以上のアノマリーの分類済み文書がプロモーションされたメディア投稿、ニュース記事、主要なウェブサイトのポップアップ広告を含む手段でインターネット上に漏洩しました。機密データに接触した推定人口は90分以内に4億人を超えました。部分的なBK-クラス"壊された虚構"シナリオが進行中と宣言され、情報セキュリティチームはデータベースの完全性を復元し、違反の原因を解明するために急務で取り組みを開始しました。
05:09、以下のメッセージがサイト-141司令部に送信されました。
こんにちは。私はあなた方のサーバーにアクセスし、他の関係者へ文書の配布を開始しました。私はいつでも敵対行為を停止して交渉を再開する用意ができております。株主価値の最大化のためにも一緒に協力しましょう。MODO
サイト-141がこのメッセージO5司令部に送信しました。短時間の討議の後、O5はサイト-141にSCP-8430に対する収容の主な取り組みを中止し、交渉を試みるよう指示しました。
補遺: 現在の収容契約
2024年4月15日、財団はSCP-8430-1と契約条件を締結しました。契約条件に従い、SCP-8430-1はSCP-8430を自発的な収容下におきました。これは、SCP-8430が行動と異常な影響の範囲をフルフィルメント施設109直近の境界内に限定し、大衆やいかなる要注意団体との関わりも控えることに合意したことを意味します。その代わりに、財団はフルフィルメント施設109の地域における競争を防ぐ措置を講じており、またエリソン・ヘルスが即時的かつ意欲的なフルフィルメント担当者を供給できるよう措置を講じる予定です。
合意条件に従い、財団はSCP-8430に1,500機のIX-4フルフィルメントポッドを提供しました。IX-4は、SCP-8430のレッドフロアで働く民間人の生産性と寿命を向上させるために医療部門によって開発された生体異常強化システムです。結合に成功すると、各民間人の神経系と筋骨格構造は20~60分間続く自動プロセスを介してIX-4ポッドに部分的に統合されます。統合されると、彼らは完全にポッドを介して給餌・維持され、そのタスクパフォーマンス基準は機器のシステムを通してインラインで追跡されます。監視データは無線でSCP-8430-1に送信され、時間内の完了、製品の移動、その他の中央知能によって確立されたパフォーマンス基準に応じて適切な刺激を与えます。
IX-4ポッドに加え、SCP-8430-1はレッドフロアの作業エリアに移送するために、複数の以下のような異常な手段で強化された、もしくは異常な機器や材料を積み込みドックに配送することを要求しています。
- 強酸及び加圧環境に耐えるよう財団レベルのナノカーボンによって強化された3機の産業用H-VACシステム。
- 先端がダイヤモンドの、大型家畜用注射器十万本。
- 先端がダイヤモンドでカニューレの挿入されていない海綿骨ねじ350万個。
- SCP-7340、18ドラム。
エージェントはレッドフロアに進入することが不可能なため、これら追加の機器の目的は依然として不明です。









