
収容前に撮影されたSCP-848-JP
アイテム番号: SCP-848-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-848-JPはサイト-81██の標準収容コンテナに保管されています。SCP-848-JPはDクラス職員による被害者が三親等以内にいる人物に視認させる事のないようにしてください。現在SCP-848-JPを用いた実験を行うことは禁止されています。
SCP-848-JPには一週間に一度、Dクラス職員の被害者を三親等以内に持つ人物を無作為に選出し確保の後、サイト-81██に移送して死刑の同意をさせ、死刑終了後はクラスB記憶処理を施してください。その際処刑の対象となるDクラス職員は確実に終了用の部屋に収容してください。
説明: SCP-848-JPは、高さ約2mの彫刻です。一般的に、司法・裁判の公正さを表す象徴である正義の女神像として有名な、左手に剣、右手に天秤を持った女神を模した像で、ブロンズ製であることが判明しています。また、SCP-848-JPはいかなる方法においても破壊不可能であることが確かめられています。
雇用前に死刑囚であったDクラス職員が起こした、殺人事件の被害者を三親等以内の近親者や配偶者に持つ者(以下対象者とする)がSCP-848-JPを見た場合、SCP-848-JPは対象者だけに聞こえる声を発することが判明しています。具体的な内容は、対象者に対し上記のDクラス職員の死刑を行うかどうかの確認であることが確かめられています。そして対象者が死刑に同意すると、Dクラス職員はどれだけSCP-848-JPから離れた場所にいても、未知の方法により絞殺されます。このときDクラス職員は未知の力により空中に浮き上がり、見えない縄で首を吊られているかのような動きをします。
ただし、SCP-848-JPが対象者に一週間の間視認される事が無かった場合、SCP-848-JPは元死刑囚のDクラス職員の中からランダムに一人を選出し、死刑を行うことが確かめられています。この性質が判明したことにより、他のSCPの実験中にDクラス職員が死亡してしまう事態を防ぐため、財団側が遺族を用意し、死刑にするDクラス職員をこちらで指定させるという現在の収容方法が確立されました。また実験により、対象者が死刑に反対する返答をしたとしても、必ずSCP-848-JPに説得され最終的に同意の返答をしてしまう軽度の精神的影響があることが判明しています。
SCP-848-JPは、██県████大学法学部キャンパスに設置されていたもので、19██年、Dクラス職員が突如絞殺される事件が█件発生し、財団が調査を行ったところ、████大学にて、深夜言葉を話す女神像がいるという都市伝説が流布していることが判明し、調査の結果、大学に在学している複数人が、SCP-848-JPによる死刑に同意していたことが確認され、収容されました。
████大学では、19██年に彫刻家█████に製作を依頼した、との記録がありますが、SCP-848-JP自体に氏名は刻印されておらず、調査の結果彫刻家█████は実在しないことが判明しています。しかし、█████に非常に類似した█████という氏名の反財団派の活動家が19██年から19██年に渡って活動していた事が判明しています。また収容の際、SCP-848-JPの土台部分の底面に、活動家█████の氏名と、「生命は尊貴である。一人の生命は、全地球よりも重い。」という一文が刻印されているのが発見されました。
補遺1: 死刑に同意した複数人への████大学学生並びに財団が用意した対象者へのインタビューにより、SCP-848-JPの持つ論理的主張および対象者が受けたと思われる精神的影響の一部が判明しています。またインタビューの後全ての対象者にはクラスB記憶処理がなされました。
インタビューの内容要約
- 対象者に対して、「[被害者の氏名]を殺した犯人は現在、正式な法の裁きを受けることのない状態にある、あなたは私による死刑執行の代行に同意するか」と呼びかけた。
- どのような存在か、との問いかけをした対象者に対して、「司法の正義を行使する存在である」との返答をした。
- どうして死刑を代行するのか、との問いかけをした対象者に対して、「現在犯人は、刑法第11条1ならびに刑事訴訟法475条第1項2が遵守されていない状態にある」との返答をした。
- なぜ自分に同意を求めるのか、との問いかけをした対象者に対し、「死刑が存在する第一の理由は、仇討ちの代行である、そして第二の理由は、報復の連鎖を止めることである、今死刑執行命令を出せるのは君しかいないのだ」との返答をした。
- 事前に死刑を拒否せよとの命令をした場合でも、SCP-848-JPの説得により最終的に全ての対象者が死刑に同意した。
- 全ての対象者は自分が死刑に同意したことに一切の後悔を持っていない。
- 全ての対象者は死刑が間違いなく執行されたと何の疑いもなく信じ込んでいる。
補遺2: SCP-848-JPによる被害への対策として、SCP-848-JPの論理的主張と思われる刑法第11条、刑事訴訟法475条第1項を財団が犯しているとされた現在の状況に対し、現在殺人罪が司法取引制度の対象となっていない日本において、Dクラス職員の雇用は正式な法律に則ったものではないという状態を解消するため、現在法務省ならびに最高裁判所事務総局と共同でDクラス職員の雇用の特例について正式な取引文書を作成することが検討されています。
補遺3:
特殊事例848-JP-1
20██/██/██の、特別収容プロトコルにおける死刑の実行において、指定されたDクラス職員が処刑されない事態が発生しました、これに対する対象者の問いかけに、SCP-848-JPは死刑は執行出来ないとの返答を繰り返すのみでした。その後財団が調査を行った結果、Dクラス職員が起こしたとされる殺人事件において容疑者として挙げられていた他の人物が真の犯人であったことが確かめられました。その後Dクラス職員は解放されました。