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この記事に関する情報
⚠️ コンテンツ警告: 本記事には自傷行為、心理的虐待、心理的トラウマ、拷問に関する言及が含まれます。ご注意ください。
翻訳責任者: Rokurokubi
翻訳年: 2025
著作権者: Felixou
原題: SCP-8566
作成年: 2025
初訳時参照リビジョン: 23
元記事リンク: https://scp-wiki.wikidot.com/scp-8566
メッセージを開始します。もしあなたが目覚めたばかりなら、AICが睡眠を妨げたことをお詫びします。どうか注意してお聞きください。
アイテム番号: SCP-8566
オブジェクトクラス: K-Archon
特別収容プロトコル: 緊急事態部門のプロトコルにより、あなたは現在SCP-8566を装着しています。本オブジェクトの説明、利用目的、およびあなたへの命令は24時間ごとに自動再生されます。24時間が経過する前に再度メッセージを再生したい場合は、ヘルメット内部で「repeat full」と発声してください。本スーツ内部で新たに日誌を記録する際、本メッセージおよび緊急事態部門の存在について言及することは許可されていません。
説明: SCP-8566は、潜在的なKクラスシナリオ下での生存と、捕食性存在からの隠蔽を目的として特別に設計された「絶対的除外ハーネス」型の機械式全身スーツです。移動の最中、SCP財団のディープウェル・アーカイブへ向けた日誌の記録を推奨します。あなたは世界を救う任務を遂行する者として選ばれました。
SCP財団を知らない場合は、ヘルメット内部で「Explain 1」と発声してください。現在の世界情勢を把握していない場合は「Explain 2」と発声してください。なぜ自分がこのプロトコルに選ばれたのか理解できない場合は「Explain 3」と発声してください。もしこの先何を――
Explain 3 を再生します。
あなたが緊急事態部門の生存プロトコル対象に選ばれたのは、財団施設や財団協力機関、あるいは既存の装着者の遺体から当該アノマリーを発見したためです。意図的であろうとなかろうと、このアノマリーを装着した時点で選出されました。現在、人類は深刻な絶滅の危機に瀕しており、Kクラスシナリオを覆すための人員が著しく不足していることも理由の一つです。
あなたの現在の状態や欲求、あるいはこの状況への意見は、生存期間中はすべて顧みられません。あなたの唯一の任務は、世界を救うことです。
メインメッセージを続行します。
スーツには、現環境下での生存を支援すべく特別に設計された人工知能従属体(AIC)が搭載されています。AICはあなたと直接対話し、次に挙げる事項を補助します。
- 休息やスーツの充電が可能な近隣の避難所を探す支援
- 周辺に存在する可食物を探す支援
- 生存に寄与し得る協力者を探す支援
- あなたが重篤な状態に陥った際、装着者の代替となる健康な人間を探す支援
- 自衛手段として必要な武器を発見または作成する支援
- あなたの生命を脅かす脅威を特定および回避する支援
- スーツそのものを脅かす脅威を特定および回避する支援
- 現在のKクラスシナリオをリセットまたは停止するために必要なアノマリーを発見し、起動する支援
スーツを完全に装着した時点で、AICモジュールはあなたの前頭葉に直接統合されました。現在あなたが耳にしている音声は、あなたの精神内部で再生されています。スーツを強制的に取り外そうとする行為は、頭蓋骨や脳組織に重大な損傷を及ぼす可能性があるため、推奨されません。
AICは装着者の思考をすべて検知し、任務達成を阻害すると見なされる思考を強制的に「逸らす」機能を有しています。この「逸らし」は前頭葉内部からの微弱な電気ショックとして作用します。次に挙げる思考は阻止されます。
- 自傷行為を試みる思考
- スーツの除去を試みる思考
- スーツの改変を試みる思考
- 任務の停止または遅延を招く思考
- 協力者に危害を加えようとする思考
- 避けられない死に直面した協力者を救おうとする思考
- 生存のため道徳的に逸脱した行為を検討する思考
- 愛する者の喪失を想起する思考
- 孤独感を想起する思考
- 現在のKクラスシナリオが起きる前の世界を想起する思考
- 過去を振り返る思考
- 「逸らし」への憎悪
- AICへの憎悪
状況次第では、他の新たな否定的思考も検出され、阻止される場合があります。これらの例示によって発生した電気ショックに関しては、AICよりお詫び申し上げます。
一方でAICは、あなたの生存や任務達成に有益と見なされる決断を検知した際、それを肯定し支援します。次に挙げる思考が該当します。
- 重要事項を記録する必要性を検討する思考
- 協力者が潜在的なリスクとなり得る可能性を考慮する思考
- 倫理観に反する犯罪行為でも、生存に必要と判断する思考
- 倫理観に反する食肉行為でも、生存に必要と判断する思考
- いかなる倫理観も一時的に放棄することを検討する思考
- AICが存在する以上、自分は独りではないと認識する思考
- 現在のKクラスシナリオをリセットまたは停止するために必要なアノマリー起動に伴う犠牲を厭わない思考
- 人類を救おうとする思考
- 世界を救おうとする思考
- SCP財団を救おうとする思考
AICの無効化に関する質問がある場合は、ヘルメット内部で「Explain 1」と発声してください。もしそ――
Explain 1 を再生します。
AICは、この生存プロトコルが終了するまで無効化できません。もしあなたが生存したまま人類全体の存続が確認された場合には、AICモジュールを外科的に除去する費用をSCP財団が全額負担します。
メインメッセージを続行します。
状況や損傷の程度に応じて、AICはあなたの身体に薬剤を注入したり、重度に感染・損傷した四肢や臓器を切除する場合があります。これらの処置は主に緊急時に実施されますが、任務遂行中に発生し得る脅威を回避するため、AICは現環境に適応させる形であなたの身体を改造する場合もあります。
あなたが精神的・肉体的に活動を低下させている間に、AICは少なくとも1つ以上の臓器または四肢を改造・交換する権限を有しています。たとえば直近の3時間の睡眠中に、あなたの心臓は人工心臓ポンプへと交換済みです。これは聴覚が極めて鋭敏な敵対存在に心拍音を探知されるリスクを排除するための措置です。
改造の過程で痛みがあった場合は、ヘルメット内部で「Explain 1」と発声してください。AICが四肢や臓器を切除し、それが本当に必要だったのか疑問を感じる場合は「Explain 2」と発声してくだ――
申し訳ありません。「Exclaim 2」は登録済みコマンドではありません。
メインメッセージを続行します。
もしスーツ装着から25日以内に世界を救う任務を達成できなかった場合、AICモジュールはあなたの脳内で人為的な脳動脈瘤を引き起こします。あなたの遺体はスーツ内部にとどまり、内部発電装置のエネルギー源としてゆっくりと消費されます。やがて半径50メートル以内に新たな生存者が出現すると、スーツはあなたの遺体の残骸を排出し、自律移動してその人物に取り付きます。そして世界を救う命令は新たな装着者に引き継がれます。
任務が継続する限り、あなたの生存は義務であることをご理解ください。人類が確実に存続したと確認されるまで、自己終了は認められません。世界も、SCP財団も、あなたを必要としています。あなたが生き延びることで、彼らもまた存続し得るのです。
私たちはあなたの行いを忘れません。あなたの名前、あなたの尽力、そしてこの世界のために捧げられた犠牲は、財団のデータベースに記録されるでしょう。
緊急事態部門より、あなたのご理解に感謝します。どうか私たちを救ってください。