アイテム番号: SCP-858
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 3つの汚染された降水サンプルが研究サイト-██感染棟の保管庫内に維持されます。「虹色の雲」の報告は追跡され、降水の可能性が高い地域を特定して住民を立ち退かせます。竜巻の活動に関連したカバーストーリーを準備して流布し、影響を受けた地域には加熱ランプによって汚染された降水を蒸発させる処理を行ってください。
SCP-858の影響を受けた物体や被験者は拘束し、その場で破壊して焼却します。残骸が地球軌道を脱することは許されています。
説明: SCP-858は移動性の夜光雲で、その下に位置する巻雲層に影響を与えます。SCP-858の存在は巻雲層の虹色の屈折によって容易に判別でき、影響された巻雲層は降水が始まるまで下降を続けます。影響された雲からの降水との接触は、接触した固体物質を即時かつ永久に変質させます。気体や液体とは明らかに反応しませんが、固相にある物体や生物の場合には影響は分子結合を伝わってその全体に伝播し、物体は重力に引き寄せられるのではなく反発するようになります。多孔質材料はその内部に降水を捉え、二次的な感染源として働きます1。十分に巨大で頑丈な地中物体に固定された物体を除いて、影響された物体は地球表面から9.8m/s2の加速度で飛び去ります。SCP-858自体は海抜約80kmに位置しますが、影響を受けた物体はこれと接触すると消滅します。
遭遇記録858-A: SCP-858との最初の遭遇は、影響を受けた雲に突入した気象観測機によるものです。機体はSCP-858の影響を受け、█. フィンチ機長は機体を反転させることで数時間の飛行を維持しました。機体が着陸不能であることが分かると、フィンチ機長は乗員に脱出を指示しました。彼は燃料を使い果たすまで飛行を続けてから機体を放棄し、機体は地球表面から自由"落下"を始めました。フィンチ機長は脱出時の高高度環境による低体温症と凍傷を負いましたが、その後完全に回復しました。
機体はその速度により、SCP-858と接触することなくその境界から脱しました。後の報告で、機体の破片はロシアが運用する一部の衛星の軌道と交差し、それらに衝突回避マニューバを取らせたことが示されました。カーマン・ライン2を越えた他の物体は検出されませんでした。
フィンチによる異常な雲に関する説明とその位置により、研究者はオハイオ州ジーニアの郊外にある小さな農村に焦点を当て、調査チームが派遣されました。フィンチが財団エージェントに送った事件報告では、観測機器が機能を停止する前、機体が大気圏を離れようとしていたことが示されていました。チームの到着の際に、その6台の車両は濡れた路面との接触によって失われましたが、車両から飛び降りた緊急対応要員は、そのHAZMATスーツの重量が着用者の重量に達していなかったために喪失を免れました。
調査では、以前に存在していた全ての建築物が、堅固な基礎を持つ地下シェルターの中にいなかった全住民とともに行方不明となっていることが示されました。当初、ほとんどの生存者は地下室を離れようとせず、対応チームを迎えに出てきた3人家族は、芝生を歩く際にその履物が濡れたことで喪失しました。生存した目撃者は、地上に残っているものがなくなったことで危機は去ったと考え、雨が降り続いているにもかかわらず外に出た生存者が高速で空に吸い込まれたと報告しています。これは異常効果の源が降水であると特定することの助けとなりました。降水が止んだ後でさえ、到着した車両は影響を受け続けました。これは、タイヤ自体の重量はシャシーを持ち上げるのには不十分でしたが、遠心力によってタイヤから飛び散った水が車両の下部を汚染したことによります。この事態を生き残った乗員も、車両から脱出した時点で濡れた地面から影響を受け、HAZMATスーツを身に付けた対応要員を除いて車両と同じ運命を辿りました。残った生存者は異常降水の自然蒸発後に回収され、記憶処理を受けてから近親者に解放されました。
補遺: SCP-858自体の調査は、雲が位置する80kmもの高度のために妨げられています。しかし、静止軌道衛星をSCP-858の影響下におき、軌道を補正するためのスラスタ配置を逆転させる計画が検討されています。衛星は財団フロント企業である██████████社によって間もなく打ち上げられる予定ですが、打ち上げ日時と場所の計算は、SCP-858の出現に合わせるために保留中です。