クレジット
タイトル: SCP-8614 - 棺
著者: Prismal &
Ethagon
作成年: 2025
ライセンス: CC BY-SA 3.0
原題: SCP-8614 - The Coffin
翻訳者: oplax-counterpoint
翻訳年: 2025
参照版: 16 (2025/07/20)
ソース: https://scp-wiki.wikidot.com/scp-8614
アイテム番号: SCP-8614
オブジェクトクラス: Safe
SCP-8614
特別収容プロトコル: SCP-8614が開けられてはなりません。また、防音の収容チャンバー内に収められていなければなりません。
SCP-8614の警備員として、利用可能な職員の中からエージェント1名が選出されています。エージェントには特製のヘッドホンと棺の唯一の鍵が支給されます。
警備するエージェントは、SCP-8614から聞こえる全ての音を無視しなければなりません。
説明: SCP-8614はその起原および年代の不明な、木製の施錠された棺です。棺の素材は不活性であり、経年劣化の兆候を見せません。棺は内部と周囲の空気を1時間に1度入れ替えますが、それ以外においては気密になっています。
SCP-8614の側面は葬祭用の絵と、瀉血、自食、優位性に関するものと思われる、未翻訳の██████の文字列 (グリフ) で覆われています。絵は同じ姿の女性たちが戦い、勝者が敗者の血を飲み、また敗者を棺の中に納める姿が描かれています。
棺からは不規則な間隔で、30 dB ~ 120 dBの範囲の音が発生します。
補遺8614-A:
エージェント・ホーナーに支給されたヘッドホンがショートして機能しなくなる。
ホーナー: マジかよ?
棺の中から掠れた声が聞こえてくる。
████: 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ、もう煩い声は嫌だ、やめてくれ。
ホーナーは素早く棺の方を向く。
ホーナー: 誰だ⁈
████: ただの屍だよ。ひょっとしたらずっとそうだったかもしれない、これからもそうかもしれない。
ホーナー: おい⸺お前は棺の中にいるのか?
静かな溜息が聞こえる。
████: あんたの声は…他のよりずっと優しい。まるで馴染みの声だ。
ホーナー: 他の?この棺を守ってるのはずっと俺1人だけだよ。正直言ってマジで退屈な仕事だ。
████: おれ⸺あんたが棺を守ってるって?それは本当か⁈
ホーナー: そうだと思いたいね。
████: マジかよ、神よ。開けてくれ!開けてくれ開けてくれ開けてくれ開けてくれ!
ホーナー: それは、あー、開けるわけにはいかない。アノマリーを解放するなんて絶対にダメなやつだ。本当ならお前と話すのもよくないしな。誰かが棺の中にいるなんて思ってなかったんだ。正直言って何が入っているか分かってもなかった⸺お前の質問に答えるために雇われてるわけでもないしな。
████: 頼むよ。おれはアノマリーなんかじゃない。財団で働いてたんだ!この棺を守る任務に割り当てられてた。SCP-8614、合ってるよな?おれは後ろから押されてこの中に閉じ込められたんだ!あんたはおれの後に割り当てられたやつだろ?
ホーナー: 前の警備は確かに突然いなくなったが…信じられないわけではないが、証拠がいるな。██████████?1
████: ████████。2
ホーナー: マジかよ。わかった、外に出してやる。
ホーナーがSCP-8614の鍵を外して扉を開けると、████は支離滅裂な呟きを繰り返している。
████はホーナーに助けられてSCP-8614から出てくる。外見は衰弱したようで、乳白色の眼が充血しており、身長はホーナーと同程度で、ぼろぼろになった服を着ている。
ホーナーは████を席に着かせる。████は嗚咽を漏らして泣いている。
████: これは夢か?夢なんだよな。過去か未来か、ここはどこだ?血は?
ホーナーは████の肩に手を置き、なだめている。
ホーナー: 現実だ。大丈夫だ。お前は外に出れたんだ。
████は数分かけて落ち着きを取り戻す。ホーナーは少しの間████のだらしのない顔を見つめていたが、すぐに肩をすくめた。
████: すまない。だが本当に酷い話だったんだ。ずっと長い間、この棺だけが世界の全てみたいなもんだったからな。
ホーナー: そいつぁ酷えな。お前、そこに閉じ込められたって言ったか?誰にだ?
████: 棺の中にいた化物だ。考えられないくらい古い、きっと時間の支配者だったに違いないぜ。誰も、何も教えてくれなかったがな。
████はしばらく取り留めなく、滅裂な喋り方をして、それから頭を抱えた。
████: すまない。そうだ。おれは閉じ込められていた。今はそうじゃない。
ホーナー: お前が言った分には、怪物が箱の中にいたって?
████: ああ、まだ言ってなかったな。あれは狂ってる。人のふりをして、でも何かがおかしいんだ。それで俺を騙して、箱から解放させた。箱の中に閉じ込められてたんだと。おれがそいつを出してやったら、おれを中に押し込めて、おれを笑う、笑って、笑って、笑ったんだ。まだ聞こえるぜ。あいつが笑ってる、まるで永遠に⸺
ホーナー: なんてこった。中で何があったんだよ?
████: 全部が。いや、何も?両方?分からない。
████は息を吐き、少し難儀しながらも立ち上がる。
ホーナー: わあ、ちょっと!危ねえなあおい。
████: 見ておかなきゃ。外に出れたんだ。中を見ておくべきだ。
████はSCP-8614に向かって歩く。ホーナーが後に付いていく。2人は並んで立ち、その内部を覗き込む。
████: 思ってたより大きいな。
ホーナー: ずいぶん長いこと外側だけ見てたからか、こうして中を見てるのは変な気分になるな。
████: おれを外に出してくれてありがとう。感謝してもしきれない。
████は一瞬口ごもって、それから小さく呟いた。
████: どうやって俺を外に出せたんだ?あれは1個しかなくて、俺が⸺
████は疑わしそうな眼でホーナーを見ている。ホーナーは棺に寄りかかって、中をよく見ようとした。
ホーナー: うん?そりゃ、当然鍵は持ってるからな。
████: そうだろうな。これではっきりしたぞ…
████は突然、ホーナーを棺の中に無理やり押し込めた。ホーナーは驚いて、少し呆然とした様子を見せた。それから████は棺の蓋を勢いよく閉めて鍵をかけた。
ホーナー: おい、何しやがる!出せ!
棺の中から激しく叩く音が聞こえている。
████: もう1つの鍵を持ってるのはあの化物だけだ。お前はそいつとは違う奴に見えるが、だが、お前なんだろう?さあどうだ、気に入ったろう?
ホーナー: 気でも狂ったか、お前!開けろこのクソ野郎!
████はヒステリックに笑っている。
時間異常部門の指令により、前述の補遺は非開示とされます。
████はデブリーフィングの後、異動されました。新しい警備員は利用可能な職員から選出されています。



