SCP-8816


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アイテム番号: SCP-8816

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 現在SCP-8816は収容が不可能だと考えられています。SCP-8816の発生頻度は低いため、不明瞭化プロトコルが主要な収容プロトコルとして採用されています。
SCP-8816の発生と実体に関する民間の報告は全て文書化され、財団のwebクローラーによって削除されます。
SCP-8816の発生は架空の都市伝説であるとする誤情報を拡散中です。

説明: SCP-8816はカーテンに影響を及ぼす現象と、それの発生に伴い出現する実体の総称です。実体はカーテンの下から両足が突き出ているように見え、履物や肌の色は時により異なることが特徴です。カーテンの背後に人体があることを示す折り目や襞がないため、足は実在しないことが示唆されていますが、確認はされていません。
SCP-8816はシアーカーテン1、シャワーカーテン、劇場の緞帳などでも観測されています。カーテンの裾が床面から離れている場合、足はだらりと垂れ下がっているように見えます。SCP-8816の発生を防ぐ方法は、カーテンを全て取り外すこと以外知られていません。

インシデント記録8816/972RH/01


«ログ開始»

[カメラは花柄のカーテンの下に出現した、黒いブーツを履いているSCP-8816を写している。機動部隊の隊員1人がベッドに座り、その様子を見ている。ガイスト博士とサマーズ博士が部屋に入ってくる音がする。]

ガイスト博士: 家の住人は、寝室のカーテンの後ろに変質者が隠れているのだと思ったようです。今、彼らを処理しています。

[ガイスト博士が機動部隊の隊員らに頷く。彼らは即座に立ち去り、ドアが閉まる。]

ガイスト博士: これがSCP-8816です。何も診断できませんでしたし、手がかりもありません。

サマーズ博士: それは不思議ですね。だったら、この見張りは何ですか?

ガイスト博士: すべての捜査手段を使い果たすまで、ノンストップで監視し続けようと思ったんです。さもないと、これまでの十数件のように消失してしまうかもしれませんから。

サマーズ博士: なるほど。動いたんですか?

ガイスト博士: いいえ、全く。今朝からずっとこのままです。

サマーズ博士: 足をつついてみることは考えましたか?

ガイスト博士: それは軽率過ぎるでしょう。だれもあれには近づきたくないですし。

サマーズ博士: それは・・・変だと思います。強迫観念でしょうか?

ガイスト博士: もし後ろに普通の人がいると分かっていても、私だったらつつきませんよ。下にいる機動部隊も棒でつつくのを拒否しました。何か嫌な予感がするんです。

サマーズ博士: 私も耳にしました。彼らはカーテンには悪霊がいると言っているとか。何故なのか分かる気がします。

[サマーズ博士はSCP-8816を凝視する。SCP-8816は反応しない。]

サマーズ博士: 普通の人にするのと同じように、これに話しかけようとはしましたか?

ガイスト博士: いいえ。しかし、ぜひとも試してみたいです。

サマーズ博士: こんにちは。私はクェンティン・サマーズ博士です。こちらはパーカー・ガイスト博士。あなたとお話ししてみたかったのです。お互いのことを少しずつ知っていきましょう。

[SCP-8816は反応しない。]

ガイスト博士: 今日の観客は厳しいな。2

サマーズ博士: もし話すことが出来ないなら、ジェスチャーでの意思疎通を試します。「はい」の時は左足、「いいえ」の時は右足で床をたたいてください。

ガイスト博士: まさか本当に—

[SCP-8816が左足で床を1回たたく。]

サマーズ博士: えーと…あなたは人間ですか?

[SCP-8816が両足で同時に床をたたく。]

サマーズ博士: あなたは最初の質問に対する答えを分かっていますか?

[SCP-8816が右足で床をたたく。]

サマーズ博士: あなたは生きているのですか?

[SCP-8816が両足で同時に床をたたく。]

サマーズ博士: あなたはカーテンの後ろにいるのですか?

[SCP-8816が左足で床をたたく。]

サマーズ博士: 今、あなたがカーテンの後ろにいるのには何か理由があるのですか?

[SCP-8816が左足で床をたたく。]

サマーズ博士: その理由は本質的に善良なものですか?つまり、あなたは善意でここにいるのですか?

[SCP-8816は反応しない。]

ガイスト博士: あなたは邪悪なものなのですか?

[SCP-8816は反応しない。]

サマーズ博士: まだ私たちと共にいるのですか?

[SCP-8816が左足で床をたたく。]

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[以降数分間、重要度の低い映像が続くため省略]

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サマーズ博士: もう大丈夫ですよね?

ガイスト博士: もし他にあのアノマリーに聞きたいことがないのなら、そうです。あなたは予定にある最後の人ですから。ちょうど荷造りをして、出発する準備ができましたよ。

[サマーズ博士がSCP-8816に歩み寄りカーテンをめくると、真っ白な壁が表れる。SCP-8816はもはや存在しない。]

ガイスト博士: なぜそんなことをしたのですか?

サマーズ博士: インタビューは終了しました。私たちが部屋から出たかどうかにかかわらず、アノマリーは消失していたでしょう。

ガイスト博士: しかしあなたは—

[サマーズ博士はカーテンをよく調べた後、カーテンの後ろに立ち、自らの体をカーテンで覆う。]

ガイスト博士: プロらしくないですよ。出てきてください。

[サマーズ博士の動きが止まる。彼の茶色のローファーだけがカーテンの下から覗いている。彼の激しい呼吸に合わせてカーテンが上下する。彼はガイスト博士に反応しない。]

ガイスト博士: もしあなたをそこから引きずり出さなければならないのなら、私は—

サマーズ博士: いや—だめだ。動くな。ここに留まれ。戻るな。

ガイスト博士: 今は遊ぶ時間ではないんですよ、サマーズ博士。

[サマーズ博士は突然右足を踏み鳴らし始め、ガイスト博士を驚かせる。]

ガイスト博士: 信じられない。駄々をこねたら何かが変わるとでも思っているのですか?

サマーズ博士: 頼む。この部屋から立ち去ってくれ。

ガイスト博士: 私を試すな。今すぐカーテンから出てこい。

[ガイスト博士がカーテンに向かって数歩進む。サマーズ博士が右足を踏み鳴らす音が急激に速度と勢いを増す。柔らかく湿ったカサカサという音が聞こえる。サマーズ博士の息が荒くなる。]

サマーズ博士: 立ち去れ。

[ガイスト博士は観念して両手を挙げ、部屋を出ていく。]

[足を踏み鳴らす音はガイスト博士が立ち去った直後に止む。サマーズ博士の荒い呼吸は録音に残っているが、徐々に収まっていく。]

[カーテンの動きが止まる。サマーズ博士の呼吸はもはや聞き取れない。]

[サマーズ博士は自らカーテンを投げ捨て、呆然としながら部屋の中央に戻る。]

サマーズ博士: あれ?ああ、サンプルを採取しなければ。

[サマーズ博士はカメラの正面を横切り、工具箱の方に向かう。彼の後ろでは、茶色のローファーを履いた足がまだカーテンの下から見えている。サマーズ博士はそれに気づいていない。]

[SCP-8816が左足で軽く床をたたく。サマーズ博士は音のした方を振り向くが、カーテンの方を見る前にカメラに気づく。彼はカメラに歩み寄ってレンズを見つめ、SCP-8816を遮る。]

サマーズ博士: いつからついていたんでしょう?バッテリーの無駄遣いですね。

[サマーズ博士がカメラの後方に回って電源を切り、カーテンを遮る。SCP-8816はもうカーテンの背後には存在しない。]

«ログ終了»


後記: 数分後、ガイスト博士が機動部隊と共に部屋に戻ると、サマーズ博士はカーテンから繊維のサンプルを採取していました。彼が自らの態度について質問されると困惑した表情を浮かべ、記録にあるようにカーテンの背後に立ったことを否定しました。

特筆すべき点として、サマーズ博士の右足にはいかなる打撲及び骨折の痕跡が見られなかったことが挙げられます。

当インシデント後、サマーズ博士が赴任したサイト-58においてSCP-8816が複数回発生したことが記録されています。これらのSCP-8816は茶色のローファーを履いた姿で目撃されました。サマーズ博士は引き続き厳重な監視と調査を受けています。

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