SCP-884-JP
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通達: 財団倫理委員会からの許可が出たため、収容プロトコルの修正が予定されています。提案収容プロトコルの実効性が検証された後、修正を実施して下さい。

アイテム番号: SCP-884-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 全国の産婦人科医と警察との通信を傍受し、SCP-884-JPだと考えられる事象を探知して下さい。SCP-884-JP罹災者を発見した場合、罹災者を含む関係人物に記憶処理を実施し、通常の流産と同様であると認識させて下さい。SCP-884-JP罹災者が再度妊娠した際、SCP-884-JPに罹災する確率が有意に高いことから、監視を継続し、適宜記憶処理を施して下さい。

説明: SCP-884-JPは年間60件程度生じる胎児の消失及びその他の物品の出現イベントです。対象となる胎児は出産直前まで問題なく成長し、出産直前まで超音波エコー検査等の検査では異常は確認できません。SCP-884-JPは出産直前に生じます。妊婦が破水した直後、妊婦の子宮内部から胎児が消失し、代わりに一万円紙幣の束と封書が子宮内部に出現します。出現した物品は胎児のように自発的運動がなされないにも関わらず問題なく出産されます。出現した紙幣および封書に異常性はありませんが、紙幣の通し番号による所持者の追跡は成功していません。

SCP-884-JPイベントに罹災する妊婦についてはこれまでの調査により一定の共通点が存在していることが判明しています。

  • 夫婦仲が良好であるなど、妊婦のストレス因子が少なく、妊娠中は常時リラックスした状態にある。
  • 所謂“望まれた妊娠”であり、出産、育児に対するモチベーションが高い。
  • 食生活がヴィーガン(菜食主義者)的であり、煙草や過度な飲酒などの生活習慣を持たない。

これらの条件は習慣的な側面が強く、変化することも稀であるため、結果として特定の人間が複数回妊娠し、SCP-884-JPに罹災した事例が存在しました。また、SCP-884-JP時に出現する封書においても特定の人物が重複して標的とされていることを示唆する記載が存在しています。

SCP-884-JPイベント時に出現する紙幣については、個体差はあるもののおおよそ50万円〜500万円の範囲内でした。同じく出現する封書内の記述において「高評価」であれば金額が高くなる傾向が見られます。

以下、同封された封書の内容と金額(抜粋)です。

インシデントレポート884-JP-01 - 日付 1985/██/██
罹災者の状況: 28歳女性、第一子の性別が意に添わず僅かに精神状態が不安定だった。
封書の記述: 少々癖がありましたが野趣溢れる味わいでした。内臓は生だと少し臭いがきつかったので煮込みとしました。星3.0
金額: 55万円

インシデントレポート884-JP-02 - 日付 1995/██/██
罹災者の状況: 25歳女性、妊娠後に体重が増大していたことを若干問題視していたが、精神状態は良好。
封書の記述: 肉質は柔らかで舌で嚙み切れるほどでした。少し脂が多かったですが、それが寧ろ私好みの味でした。マルチョウ1が特に美味でした、ホルモンはちゃんと焼いて食べる方がいいですね。星3.5
金額: 65万円

インシデントレポート884-JP-03 - 日付 2010/██/██
罹災者の状況:26歳女性、完全なヴィーガンであり、妊娠中の精神状態も非常に良好であった。
封書の記述: 赤身全体にサシが入っていて炙るとジューシーな風味が口一杯に広がりました。ホルモンについてはやはり安心して生レバーを食べられるのはいいですね。臭みがない中で新鮮な血の風味がきちんとするのがレバー!という感じがして満足できました。星4.0
金額: 200万円

インシデントレポート884-JP-04 - 日付 2017/██/██
罹災者の状況:29歳女性、詳細は後述。SCP-884-JPへの罹災は3度目。
封書の記述: いつも素晴らしいものを供給して頂きありがとうございます。全身にサシの入った赤身と生で食べられるくらいに臭みのないホルモン、素晴らしい逸品でした。またリピします! 文句なしの星5.0!
金額: 500万円

インシデントレポート884-JP-04における罹災者については特殊な状況下で発見されました。罹災者は2017年に集団自殺により壊滅したカルト宗教団体███に所属していた信者であり、 教祖による洗脳が施されていたと考えられます。教団本部跡地の調査から、罹災者らはいずれも教祖によりSCP-884-JPの特性を利用した資金調達に利用されていたことが判明しています。具体的には微量のオキシトシン2及びその他の薬物投与による精神統制と強制的な食事の菜食主義化を施されており、SCP-884-JPの発現条件に非常に適した状況下で生活するように処置されていました。同様の処置を受けていた信者は40人以上に達しており、教団の資金源として利用されていたと考えられます。教祖及び罹災者を含む関係者は既に死亡しており、どのようにしてSCP-884-JPの存在とその発生規則を知り得たかについては不明のままです。

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SCP-884-JPの捕捉件数

教団の捜索後にSCP-884-JP発生に関する詳細な事実が判明しました。教団の活動時期(2008年~2017年)においてはSCP-884-JPの捕捉件数が有意に減少しており、判明した教団におけるSCP-884-JP発生件数と合算するとほぼ一定数となることが分かりました(添付グラフ参照)。












これらの調査結果に基づき、より効果的な収容プロトコルの策定が現在進行中です。具体的な提案収容プロトコルは以下の通りになります。

提案収容プロトコル: 健康かつ出産に適した女性Dクラス職員を複数人選抜し、同じく健康体の男性Dクラス職員から採取した精子を用いて妊娠させて下さい。クラスΓ記憶処理3とオキシトシンをはじめとする養育補助薬物、適切な食事を与えてSCP-884-JPを誘発させて下さい。旧収容プロトコルにおけるSCP-884-JP罹災者の探索と情報封じ込めは継続して実施して下さい。

提案収容プロトコルの実施により一般社会におけるSCP-884-JPの発生は以前の2割程度まで低減できると試算されています。提案収容プロトコルの採用及び実証試験は財団倫理委員会による審議中です。倫理委員会からの承認が得られたため、提案プロトコルの効果検証が開始される予定です。

補遺: 倫理委員会からの通達により、提案収容プロトコルにおいてSCP-884-JPの影響を受けずに正常に出産された乳児については終了処分を行わず冷凍睡眠保存される予定です。但し将来的には、被害に遭った一般市民の反復的妊娠に伴うSCP-884-JPイベントの再発を防止する為、適切な処理4の上で保存された乳児が提供される予定です。

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