クレジット
翻訳責任者: Tetsu1
翻訳年: 2024
著作権者: J Dune
原題: Anthropophobia: Killing Floor
作成年: 2024
初訳時参照リビジョン: 1
元記事リンク: https://scp-wiki.wikidot.com/scp-8876
by J Dune


シルバーストーン豚肉加工場
注記: 以下の文書では、進行中の調査について詳述しています。新たな版が審査され、公開が許可されるまで、含まれる情報は変更されるか、古いと見做される可能性があります。
特別収容プロトコル: シルバーストーン食肉処理場への入場は禁止されています。本工場と契約している企業はアメリカ合衆国環境保護庁Environmental Protection Agency (EPA)の大規模調査によって流通が中断することを知らされており、必要に応じて他の取引相手を探すことが奨励されています。
財団分解部門はシルバーストーン豚肉加工場の閉鎖を監督しており、3か月以内に解体に向けた工場の清掃が完了予定です。
米国連邦政府と協力して、ノースカロライナ州ハドレーの物理的・情報的残存物は破壊されました。SCP-8876の影響を受けた人物の家族を救済するため、記憶処理の取り組みが実施されています。
説明: SCP-8876は、2024/8/1の夜に付近のシルバーストーン豚肉加工場付近の敷地内で発生した、ノースカロライナ州ハドレーの全住民5,382人の虐殺です。
SCP-8876-1はSCP-8876の残存物、すなわち、事件後に工場内で散乱しているのが発見された人間の内臓の集合です。SCP-8876-1の大部分は敷地内で発見された非異常な多量の遺体ですが、工場の梱包・流通エリアでは、残骸の入った、工場で密閉されたパッケージが個別に積み上げられた多数の荷台も発見されました。この梱包プロセスは工場の既存の能力と互換性がなく、高度に専門化された設備なしに実行することは不可能です。
SCP-8876が発生した方法は現状不明であり、SCP財団の進行中の調査対象となっています。施設の完全な概観から、多数の事実が収集されました。
- 2024/8/1の18:00から06:00までの監視映像は失われている。
- 遺体の状態は、既存の産業機械が人体に及ぼしうる範囲を超えた、未知かつ複雑な死因を示している。
- 工場機械内で内臓が発見されたが、異常な影響がない限りは大量の犠牲者の虐殺には使用しえない。
- ノースカロライナ州ハドレーの5,382人の犠牲者の中には、シルバーストーンの所有者と従業員全員が含まれていた。
- 財団の到着時、現場の倉庫にいた家畜が檻から解き放たれ、敷地内を歩き回っていた。
SCP-8876が計画的なものである要素を含むかはまだ判明していませんが、その可能性が財団異常犯罪部門の注意を引き、共同で調査を実施しています。
シルバーストーン豚肉加工場は異常犯罪現場と宣言されています。
補遺.8876.1: 調査
異常犯罪部門の初期調査とシルバーストーン豚肉加工場の収容に続き、SCP-8876調査の取り組みが進められました。現在の活動には、証拠の収集、異常な残渣の検査、多様な死因を解明するための外傷分析が含まれます。
800以上の死体が確実に特定されました。いずれも認識不可能な程に破壊されていました。
SCP-8876の発生を誘発した可能性のある事件を明らかにする取り組みは、シルバーストーンの職場の記録や従業員の背景を含め、注目すべき情報を生み出せていません。
2024/8/6、異常犯罪部門長のジェームズ・バーンズによるサイキック能力を有する調査員の利用に関する人員要求が監督司令部により承認されました。財団諮問委員会での重要な地位と超感覚動物コミュニケーションの経験からアリソン・プレスリー探偵が選ばれ、間もなく調査に参加しました。この分野の訓練を受けた対象は、単純な生物の記憶を、接触することで遡及的に「見る」ことが可能です。
SCP-8876を目撃した可能性のある対象との観察セッションは間もなく開始される予定です。
以下は、2024/8/7に一時サイト-8876分析室で自動的に記録された監視映像の転写です。
バーンズ部門長は仮設オフィスに改装されたシルバーストーン豚肉加工場会議室の観察窓を覗く。彼はリブリーザー—SCP-8876-1による空気の質のために必要となった—を通してコーヒーをすする。
プレスリー探偵は観察チャンバー内で豚の上に手を当てている。彼女は能力の行使を止め、頭を抱えてチャンバーから出てくる。
バーンズ: 問題でも?
プレスリー: 化合物。
プレスリーは机へと倒れる。彼女はブリーフケースを探り、注射器をHA-9の入った小さな点滴機で満たす。HA-9は、大量虐殺現場を読み取ろうとすることで生じる感情的・認知的制限を抑制するために、サイキック能力を持つ人物が使用する化合物である。
プレスリーは注射器を取り、それを目の位置に当てる。彼女は針を強膜に近付ける。
ポンプを押し、プレスリーは抑制剤を右目に注入する。呼吸が加速する。左目にも同じことをする準備をする。
バーンズ: ただ意見がほしいだ—
プレスリー: 喋らないで。
プレスリーは左目に化合物を注射して、息を吐きだす。
プレスリー: 畜生。
バーンズはクリップボードに書き込みを始める。
バーンズ: まだ何か書き留めておかないと駄目そうだね。
プレスリー: 「ひどい。本っ当にひどい。」
以下は、バーンズ部門長とプレスリー探偵が構成及び解釈した、SCP-8876観察セッションからの注目すべき遡及的推論の要約説明です。
対象: PoI-8876-0573: 成体のオスの豚
説明: プレスリーは対象の頭の上に手を置く。数分間より最近の記憶を調べた後、彼女は関連する可能性のある記憶を見つけたと考えた。
プレスリーは、対象は他の豚数十頭と共に檻から出て、広大な工業地帯へと飛び出したと説明する。プレスリーの説明は動物に想起できる限界のため混乱しているが、その場所をシルバーストーン豚肉加工場と結びつけることはできなかった。彼女は、数分前の最初の観察の試みが中断されたのと類似する感覚的問題に気付く。プレスリーは記憶を取り巻く圧倒的なノイズに言及し、それを本質的に産業的かつ人間的なものと解釈する。抑制剤の使用により、観察は継続される。
数分後、プレスリーは別の関連する記憶を見つける。工場風景を横切る対象は、積み重なった巨大な囲いの列に囲まれている。未特定の人物がこれらの囲いから手を伸ばし、対象はそれを避けようとする。手が対象を固く掴んでから緩める感覚がある。ノイズが広がるが、今度はプレスリーは、パニックに陥り叫ぶ人間の声としてこれを明瞭に解釈する。
彼女は鮮烈なイメージを指摘する。それぞれの囲いには人間が限界まで詰め込まれており、スペースを最大限確保するために衣服を脱がされ、互いに積み重ねられているものと識別する。自身らの排泄物や体液にまみれている者もいれば、ケージの底で動かず横たわっている者もいる。パニックの音が記憶を取り囲み、互いに悶えながら苦痛に叫ぶ声が聞こえる。彼らの呼び声は対象の視点からは理解できないものとなる。
次にプレスリーは、対象が空からの囲いを見つめる、小さく一瞬の視覚に気付く。ケージの中は、鉄格子の間から一人ずつ現れる人型の影によって満たされ始める。
対象との更なる関連するコミュニケーションは確立できなかった。
対象: PoI-8876-1123: 成体のオスの豚
説明: プレスリーは、対象が他の豚数頭と共に巨大な機械を見つめる記憶を抽出する。彼女は、これらのセッションで見られる鮮明さは、通常の動物の想起に典型的なものでないと付け加えた。
短い視覚から、プレスリーは複数の場面の特徴を解釈できる。前のセッションで見られたケージ、恐らくは囲いは、上部に巨大な漏斗を備えた機械の上に投げ込まれる。認識不可能な数の人影が機械の中へ落ちる。これらの数十台の機械が生産ラインを形成し、漏斗は犠牲者のケージで満たされている。
犠牲者の一人は自身ともう一人を端から引っ張り出そうとして、短時間互いにしがみついた後、漏斗を埋める肉の山へと引き戻される。別の機械では、2人の人間が漏斗の端を掴もうと互いにもがき、争っている。一方がもう一方の瞼に指を掛けて引っ張り始め、皮膚が裂けるとともに争いは肉の海へと沈む。
その後の、一連の短い記憶も収集された。以下を含む。
- 対象は、下のタイルが識別できないほど雑多な内臓が並んだ床を慎重に踏んでいく。
- 人間の犠牲者がフックのラックに突然現れ、それぞれがアキレス腱で吊るされており、工場の奥深くへと移動していった。
- 急に現れた鋸が目に見えない力で持ち上げられ、人間の鼻を切断する。
プレスリーは、これらの記憶は、犠牲者に対する対象の側の、明白かつ長期的な恐怖と動揺の感情に囲まれていたと指摘した。彼女は、この感情の激しさは通常の動物の攻撃性と比較しても極めて特異なものと強調した。
対象: PoI-8876-0012: 成体のオスの豚
説明: プレスリーは対象が逃げる原因となった熱湯処理の感覚に焦点を当て、記憶を解釈する。
対象は、巨大な金属製の熱湯消毒槽らしきものの列の近くに立っている。それらは僅かに視界から外れているが、プレスリーは音を手掛かりとして、不明な物体が消毒槽へと急速に落下していると判断する。結果として沸騰した水が飛び散る感覚がある。
それから、プレスリーは滑らかで濡れた表面に突然潰されている感覚を経験する。対象が表面の下でもがく中で、彼女はこれが認識不可能な程に焼かれ、茹でられた人間の皮膚らしいことに気付く。この感覚は体毛が完全に欠如し、押さえつけが強まるにつれ肉が対象の体内へと剥がれ落ちるような、と説明される。
突如、認識不能な手段で対象から身体が持ち上げられ、熱湯消毒槽の方向へと戻される。それに対し、人間は地面に自身を固定しようとして対象を掴み続ける。この努力は最終的に無為に終わり、対象は歩き去る。
記憶をたどる中でプレスリーは、茹でられて火傷を負った大量の人間が、水の抜かれた金属槽に積み重なっているのを映した一瞬のイメージを説明する。激しく、苦痛にのたうち回っていることを挙げて、彼女はまだ彼らに意識があると考える。
数分後、空腹感をきっかけに、プレスリーは別の記憶を抽出する。対象は餌箱の前に立っており、これは突如異例な餌で満たされる。プレスリーは正確な詳細を識別できないが、質感は軟らかく、血まみれの副産物として認識できる。彼女は多様で強烈な味覚に襲われたためセッションを途中で終了し、感覚を取り除くため観察チャンバーから退室する。
プレスリーは部屋を出て、バーンズのデスク前に座る。彼女は手を頭の上に置く。現時点で、彼女は30頭近くの豚を分析している。
プレスリー: きつい。
バーンズ: わかったことはあった?
プレスリー: わからない。考えてるんだけど— 規模を見てみないといけないかも。これは町丸ごとで、記憶は置いておいても、これがノースカロライナ州ハドレー側の合意の上かどうかって疑問を排除できない。
バーンズ: どうかしちゃったかな。
プレスリー: 前にもあった。カルトの生贄とか、集団心理の影響とか。考慮に入れることが大事。
バーンズ: 犠牲者たちは明らかに意志に反して工場に移され、拷問を受けてた。進んで何かの儀式を実行してるなら、なんで抵抗する必要があるのかな?
プレスリー: 理想を本能が上回った、ってことかも。いずれにしても、たとえ町がこの件について発言権を持ってなかったとしても、何かしらが持ってた。記憶を信じるなら— 私はあれを福音として受け入れる気はないけど— 犠牲者たちが、どんなふうに機械で操作されて、あちこち移動させられてたか。この全部を通して、ここでは一貫した力が働いていた。
バーンズ: 豚、かな。豚がそのために使った。
プレスリー: ありえない。そう感じたと思う。この豚は普通の豚が持てる以上の主体性なんて持ってなかった…… ある一点を除いて。
バーンズ: 感情、だったね。
プレスリー: 周りの感情の渦は、記憶の中でも一番検証できる部分。これまでに感じた動物からの憎しみにかなり近いものだった。攻撃性は普通だけど、憎しみは人間的。そしてそれは犠牲者たちに向けられてたように思う。全部の対象で視覚的想起がここまで一貫して明瞭なことなんてない。みんな彼らに執着してた。
バーンズは観察チャンバーを見る。未試験の対象が見つめる。
バーンズ: 活動家の仕業かも、とも考えていた。動物虐待か何かについてのどこかの糞野郎の声明かと。
プレスリー: 私も考えたけど、動物の権利に関する既知の4つの要注意団体のうち、ここまでの規模の報復を見せたのはいなかった。特にこの殺人を実行するには、とてつもなく強力で異常な能力が必要。そんな力を持ってる奴なら財団がもう記録してる。もし容疑者がいたとしても、そんなのと付き合いのある人は知らない。
バーンズ: 豚がいきなり憎しみに目覚めたりはしないよ。
プレスリー: 憎しみではない、けど…… それには同意。何かが真の感情を持つ引き金を引いたに違いない。普通の状況なら、見た対象全部にそれが存在するなんてありえない。
プレスリーは座りながら黙考している。
バーンズ: これはああいうタイプかもしれない、プレス。
プレスリー: うん?
バーンズ: どれだけ探偵の仕事をしても説明がつかないタイプ。数千人死んだ、理由もなく。君は異常なものに理由をつけようとしてるんだ。
プレスリー: 私の仕事が全くの無駄じゃないって思いたいけど。
バーンズ: 論理的に見てるんだ。一応言っておいただけだよ。作業に戻る前に気分はすっきりさせておいてほしい。
プレスリー: クールダウンに数時間ほしい。
バーンズ: よし。あとたったの1,798頭だ。
対象: PoI-8876-1438: オスの乳飲み子
説明: プレスリーは栄養の感覚をその根源へと辿る。彼女は対象が、他の乳飲み豚と共に母乳を飲んでいる場面を中継して伝える。周辺の活動は、全般的なノイズ以外の描写を説明できるほどには明瞭に想起されていない。
乳飲み子の授乳は攻撃的な感情によって中断される。豚たちは一斉に素早く立ち上がり、遠くの騒ぎを観察する。
一瞬の場面が対象の心を満たす。人影が工場内を縦横無尽に駆け回っている。混乱の全体像は見えないが、プレスリーは彼らが逃げようとしており、他の犠牲者をケージから解放しようとしているのがわかる。
乳飲み子の母は生存者の集団に向かって金切り声を上げ、そこに突進する。目に見えない力によってどこかに移動させられる人間もいれば、闇の中に散り散りになる人間もいる。
興味を失った対象は、薄く丈夫な筋肉組織のように見えるエサ入れに注意を向け、食事を継続する。
対象: PoI-8876-0023: 成体のオスの豚
説明: プレスリーは、中断された快楽とそれに続く激しい攻撃性の根源を追う。関連する記憶は、対象が巨大な機械の隣でメスの豚と交尾している様子を中継する。周辺では、拘束された人間のコンベアーが着実に動き、犠牲者の四肢を限界まで引き延ばす。
動物の交尾は、圧倒的な警戒心によって中断させられる。双方の豚は活動を止め、工場中を駆け回り始める。その周りでは、数十頭の他の豚が床、機械の下、バルコニーの上を四方に走り回っている。
プレスリーはその後の記憶を突き止め、そこで対象は数十頭の他の豚と共に囲い込まれた窪みの周りのバルコニーの上に立っている。血液、内臓、副産物の一定の流れがパイプから穴に注ぎ込まれる。
プレスリーが脱走者と解釈する人間の集団が下方で、過剰な注入物の中でもがいているのが見える。対象は彼らの苦闘を一瞬凝視してから、つがいとの交配へと戻る。
対象: PoI-8876-0282: 成体のオスの豚
説明: 対象は部屋の中を歩き回り、プラスチックのパレットにぶつかる。周辺には数十の他のパレットがあるのがわかり、それぞれ標示のないアルミ缶が溜まっている。
缶が一つ対象に向かって転がる。シューッという音を立て、弾けるように開く。巨大な組織の塊が容器からにじみ出る。身体から切り離されているにも拘らず筋肉は伸び縮みする。対象は摂食を開始する。
プレスリーは机の前に座り、バーンズのレポートを調査している。
プレスリー: 最近の観察から気付いたことはある?
バーンズ: 豚を警報として使っていた。逃走を急ぐ必要があるときに警戒態勢に入らせることができた。
プレスリー: それもあるけど、他にもわかったことが。
バーンズ: ほう?
プレスリー: この記憶はシルバーストーン豚肉加工場で起こったものじゃない。
バーンズ: 何だって?
プレスリー: 周辺が違うこととか、過剰な機械とかあからさまなことは除いても、別のことに気付いた。ブリーフィングデータによれば、工場や遺体の上に残骸は残ってなかった。つまり、どこにいたにせよ、それは現実改変の結果じゃないってこと。
バーンズ: ふむ、その…… 通りだ。それは現実改変を完全に排除することになるね。
プレスリー: 全部。
沈黙。
バーンズ: 工場じゃないなら、どこなんだ?
プレスリー: 推測で語りたくはない。犠牲者は、動物たちと同じく、ハドレーから第二の場所、記憶の内容が起きた場所に移されて、それからシルバーストーン加工場に。
バーンズ: でもどうして?
プレスリー: 容疑者は、明らかに現実改変ができないから。シルバーストーン加工場じゃあ現実改変もなしにこれ程の殺戮はできない。
バーンズ: ならどんなつながりがある? なんで工場の動物を使って、なんで全部ここに戻したのか?
プレスリー: 2つの可能性。1つ目、近さ。これが更なる目として容疑者が使える一番近い動物の群れだったのかもしれない。それか2つ目、容疑者が知ってたのはシルバーストーン加工場だけだった— まずハドレーをターゲットにして、それから犠牲者をここに返したことが証拠になる。これを声明と読み取ればさらに筋が通る。報復声明。
バーンズ: 従業員が中心人物かも。毎日毎日命が失われていくのを見るのにうんざりして。こういう苦痛が異常なことのきっかけになることを知ってる。
プレスリー: かもしれない。だけどそれでも、精神状態を考慮しても、これには相当計算的かつ長期的な行動が必要。これを引き起こした原因が何であれ、まずこの工場から生まれたと考えるのは不合理じゃないと思う。類魂、思念体— 大量の感情やアイデアから生まれた実体を考えてみる。場合によっては、それが十分強ければトーテムを、それ自体の物理的表現を確立できる。
バーンズ: 工場式農場ってのはろくでもないのが出てくるのにぴったりな場所だ。絶え間ない死、絶え間ない苦しみ、明らかな力関係。立場を逆転させたんだ。
プレスリーは沈黙する。
プレスリー: 続けないと。
対象: PoI-8876-1391: 成体のオスの豚
説明: プレスリーは積極的に記憶を探索しない。彼女は無意識探査を実行し、促すことなく動物の記憶が自然と想起されるようにする。
30分の様々な感覚、感情、短い視覚的想起の後、彼女はSCP-8876事件のいくらか前に発生した記憶を発見する。
対象は混み合った囲いの中を、温かい他の動物の身体で窮屈そうに移動する。プレスリーはこの囲いをシルバーストーン加工場にあったものと特定できた。対象は小さな豚の上に乗って付近の水桶にたどり着く。下の乳飲み子が悶える感覚がなくなるまで、対象は圧力を加え続ける。
対象が水を飲むと、プレスリーは立て続けの視覚を経験する。組み立てラインで機械に切り刻まれる豚の死体、吊り下げられた死体、テーブルの前に座って仕事から持ち帰った豚肉製品を開梱する工場労働者など、激しい食肉処理の場面がある。
一連の視覚が続き、それと共に攻撃性の感情が増大する。それは現実の工場での加工から、これまでのセッションで観察された、以下のようなグロテスクな場面に移行する: 人間の腸が収集されたトレイ、首から下の内臓が完全に取り出された死体、汚物と内臓が詰まった穴の中でもがく裸の人の山。
プレスリーはコミュニケーションを停止する。彼女は前の対象にこのプロセスを繰り返し、同じ結果を得る。
対象: PoI-8876-1948: 不明
説明: プレスリーは対象に手を置き、上記のプロセスを繰り返そうとする。彼女は叫び、すぐにそれを追い出す。詳細はログを参照。
プレスリーは部屋を退出する。対象PoI-8876-1948はガラスチャンバーで何もせずに立っている。
バーンズ: 化合物切れた?
プレスリーは着席する。彼女は目に見えて震えている。
バーンズ: プレス? 待ってて、取ってくる。
バーンズはインターコムを押して、追加のHA-9抑制剤の合図を送る。
バーンズ: ねぇ、探偵さんが限界みたいだ。もうひと塊ほしい。
返答はない。
バーンズはもう一度インターコムを押し、スタンバイの合図を送る。
バーンズ: チーム、こちらバーンズ部門長。そちらスタンバイしていると報告がほしい。
返答はない。
プレスリー: ジム、化合物は…… 切れてない。ただ— ちょっと待って。
バーンズ: どうした?
プレスリー: 読み取れなかった。
バーンズ: 何が?
プレスリー: あれは豚じゃない。
プレスリーとバーンズは消失する。
上の映像は、シルバーストーン豚肉加工場内の自動録画監視カメラに撮影されていました。
その後、SCP-8876現場周辺での対応する映像の分析により、上の映像の数秒前に、研究チーム全員が囲いに入れられた豚と共に、突如失踪していることが判明しました。
彼らの位置を特定する試みはいずれも失敗しています。
財団は現在、シルバーストーン豚肉加工場を監視する代替手段について議論中です。