Info
翻訳責任者: kagayoh
翻訳年: 2024
著作権者: Luis Gm
原題: SCP-8914 - Our Four Elemental Dragons
作成年: 2024
初訳時参照リビジョン: 15
元記事リンク: https://scp-wiki.wikidot.com/scp-8914

"LEIBNIZ"奇跡術的印章
アイテム番号: SCP-8914
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: 現在のSCP-8914の収容活動は、実体の存在する建築物の隠匿によってのみ行われています。各建築物の"LEIBNIZ"奇跡術的印章に対しては、弱体化及びあらゆる種類の変化を監視する必要があります。個別的な特性を備えた収容セルが各SCP-8914実例の近傍に建設されます。SCP-8914の収容違反が発生した際には、隠蔽及び近隣の人口集中地域の避難活動に関する標準プロトコルに従ってください。
説明: SCP-8914はそれぞれ異なった地域に存在する以下の四種の実体に対する指定です:
- SCP-8914-A: 火炎で構成された実体。実体の身体は獣脚類に形態上類似している一方で、背部に二対の翼をもつという固有派生形質を有しており、尾に近いほうの翼は小さい。SCP-8914-Aの全身は炎で構成されているがその色合いは均質ではなく、体の大部分はオレンジ色、四肢は青、爪と頭部の四本の角は黒、矢状の尾は緑がかった色彩を呈している。SCP-8914-Aのサイズは周囲から得られる酸素の量に応じて変化するが、酸素が存在しない場合においても燃焼を続けることが可能である。
SCP-8914-Aはギリシャに存在するイン・アンティス形式の地下ギリシアプロスタイル神殿に封印されています。この建造物の構造は、同種の建築物における標準的な構造と同様です:
ナオス(神室): コリント式の兜とリノソラックスを身につけたSCP-8914-Aの精巧な彫像が存在します。神殿の外部からは彫像の口内に炎があることが確認できます。神殿に入ると炎が消失し、SCP-8914-Aの全身を視認できるようになります。
プロナオス(前室): 二本の支柱には"LEIBNIZ"印章が刻まれ、複数のSCP-8914-Aの図像で装飾されています。図像のほとんどは実体と人間との交流を表現しています。
神殿の周囲には剣、槍、鎧、十字架といった武器の焼け焦げた跡が見つかっており、一部にはEVEが残留しています。これらの物品は古代ギリシャ文明の衰退後のものであり、中世後期の年代に一致します。
- SCP-8914-B: 気体で構成された実体であり、青色と白色の色合いを持つ未知のガスの混合物で構成される。形態学的にはNaja属1に類似している。頭部には二本の枝分かれした黄色の角があり、4本の爪状の手足を自在に出現させることが可能である。SCP-8914-Bは通常の場合、不定形の拡散状態となって自らの存在する部屋全体に充満しており、本来の形態に戻ることはほとんどない。

SCP-8914-Bの寺院
SCP-8914-Bはインドのダリエン密林に存在するマンディール2に封印されています。寺院はこのような設計計画に基づいています:
建築物の外観は複数の人物を模した石の彫刻によって高度に装飾されています。これらの人物は全てSCP-8914-Bの形態を要素として備えた装飾品を身につけています。SCP-8914-Bはガルバグリハ区画の内部において、建造物の天井部に青みがかった雲のような形態で浮遊しているところを発見されました。寺院のマンダパからはアキヴァ放射の残留した矢が発見されています。加えて、神道に関連する印章とともに御札や御幣が回収されています。
SCP-8914-Bはこれらの印章によって建築物の内部に留められていたと考えられており、戦術神学部門の更なる分析からは、他の印章がSCP-8914-Bを永久に消滅させることを目的としていたのに対して、これらの印章は実体を収容するために特別に設計されていたことが判明しています。収容違反の発生時に備え、これらの印章の複製及び改良に関する研究が進められています。
- SCP-8914-C: 肥大した岩石で構成された実体であり、Heloderma属3の爬虫類に類似した外見をもつ。背部は披針形の葉に類似したヒスイ製のプレートで覆われており、金色の棘に覆われた尾を有する。プレートには様々な種類の文章や法典が刻まれており、これらはスペイン人による征服以前の様々な文化様式と一致する。
SCP-8914-Cはメキシコ、ユカタン州の乾燥林に位置するテオカリ4に存在します。SCP-8914-Cは外部からは、寺院に存在するヒスイの散りばめられた巨大な岩として観察されます。ピラミッドの基部にはSCP-8914-Cの頭部の彫像が複数装飾されており、その前面にはそれぞれ異なった種類の鉱物が配されています。この構造物を囲むように14個の人間の頭蓋骨が配置されています。それぞれの頭蓋骨の口内にはヒスイが存在し、これらにはSCP-8914-Cに関連する様々なマヤ文字が刻みつけられています。一部の頭蓋骨は死後に変形しており、外見上髪があるように観察されますが、これは骨構造から形成されたものです。14個の頭蓋骨の内4個に"LEIBNIZ"印章が刻まれています。
マクアウィトル、テポストピリー、テクパトルといった古代メキシコ文明の武器が周囲で発見されています。カント計数機による分析により、これらの武器は限定的に現実改変を行う能力をもつ可能性があることが判明しています。これらの武器の修復が進行中です。
- SCP-8914-D: 魚の形状を有する水で構成された実体であり、Bagre属やExocoetideae科5に類似する。体長は尾を含めて11メートルで、尾は蔓状の氷からなるフォーク状の形態を有する。えらからは常に水蒸気が放出されており、この水蒸気は水中においても気体状態を保つことが出来る。それぞれ長さの異なる濃紺色の4対のひげをもつ。胸びれと腹びれは実体の全身の大きさと比べて大きく、広げることで翼として使用することが出来る。
SCP-8914-Dはアンゴラのディロロ湖付近に存在します。SCP-8914-Dを収容する建造物は原始的なもので、ディロロ湖畔に浮かぶコンゴ式の聖堂です。聖堂にはコンゴの宇宙論における重要な神や精霊を模した複数の小像が収められており、これらの像は現在では異常な性質を持たないものの、以前にはこれらの物品に対してSCP-8914-Dを鎮めることが祈願されていたと説明されています。ただし、ほとんどの小像には損傷や破壊行為の跡がみられ、SCP-8914-Dを解放する明確な意図が存在したことが示唆されています。"LEIBNIZ"印章は、棒を持ったコンゴ人の女性を模した最も新しい小像に見て取ることが出来ます。
補遺 8914.1 – 発見と登録
歴史的記録においては、各SCP-8914実例が有する高度な火炎操作、気体操作、地維操作、流体操作能力が言及されています。一例として、実体は炎、気流、岩層、水域を通じて世界中のあらゆる場所に出現することが可能です。"LEIBNIZ"印章の主要な機能は、SCP-8914をそれぞれの場所に留め、能力を制限して逃走を防ぐことです。印章の稼働は、SCP-8914を動力源とした正のフィードバックループを基盤としています。
SCP-8914実例のほとんどが未知の期間にわたって存在している一方で、これらの実体は人類の文明に先立っては存在していないと考えられています。SCP-8914は封印されていない期間においては人類に文化的な影響をもたらしていたと考えられていますが、情報源はそれぞれ矛盾しており、良性の存在として描かれる場合もあれば、不吉な前兆や破滅的な予言の体現者として描かれる場合もあります。人類史のごく短い期間においてはSCP-8914は常に良性であったものの、ある時点で実体の行動を変化させる重大な出来事が発生したことによって近世まで続く衝突が勃発し、最終的にはSCP-8914の拘束へと繋がったと考えられています。
放射性炭素年代測定からは、SCP-8914を収容する建築物が複数回にわたって修復されていることが判明しています。これは、歴史的に実例が一貫した場所に捕らえられ留められてきたことを示している可能性があります。ただし、これらの特定の場所において収容されている理由は依然として不明です。
SCP-8914に関する知識は、世界オカルト連合の108評議会代表者の一人との合意がなされた後、2024/05/02に財団の手に渡りました。財団が5年の期間内で異常性について研究を行ったのち、SCP-8914は処分のためGOCの所有に戻されます。GOCはSCP-8914の収容自体には責任を負わず、"LEIBNIZ"印章の維持にのみ責任を負っていたことが知られています。
"LEIBNIZ"印章のより詳細な調査からは、印章の動作メカニズムと共にその性能が時間経過に従って低下していることが明らかになりました。奇跡術時計技術6によって、印章は19世紀以降徐々に弱体化し始め、20世紀、具体的には1927年、1979年、1983年、そして2012年に劇的に弱体化していることが示されました。これらの年号は物理学の分野において重要なものであり、標準モデルにおいて提唱された基本的な力を媒介する粒子の実験における発見と呼応しています。
SCP-8914に関しては、2024年の調査以降実体の放出するEVE、アキヴァ、ヒューム値のレベルが同様に減少しています。これらの測定に基づいてモデルが作成されましたが、最も受け入れられた説明は、"LEIBNIZ"印章が弱化したわけではなくSCP-8914自体が弱化しているのだとして、2027年中に消失することを予測したものでした。また一方で、複数の寺院においては、古代の建築様式を維持したまま建材が現代建築のものに置き換えられるなどの変化が発生していることが報告されています。
SCP-8914更新中
SCP-8914報告書は現在も収集及び編集が行われています。このファイルに関する情報が必要な場合は、記録情報セキュリティ管理室(RAISA)にリクエストを送信してください。
- マリア・ジョーンズ, RAISA管理官
2026/05/12、"LEIBNIZ"印章が良好な状態で機能していたにもかかわらず、SCP-8914が収容状態を脱しました。同様に、形態上の大きな類似性は維持されていたものの、実例の性質が以下のように変化しました。
- SCP-8914-A: 実体は火炎操作能力を失った。SCP-8914-Aは炎ではなくプラズマから構成されており、以前の体色を維持している。SCP-8914-Aは神殿の周囲に複数のプラズマ球を生成し、その中央に留まっている。プラズマ球はSCP-8914-Aの周囲を周回しながら時折SCP-8914-Aに合体し、また別の場合にはSCP-8914-Aの身体からさらに多くの球が生成される。これらの各イベントの後、SCP-8914-Aの下で重元素が生成され、純粋な元素の球体として凝集する。SCP-8914-Aの能力に関する実験により、グルーオンを操作することで強い核力を制御することが出来ると判明した。
- SCP-8914-B: 実体は気体操作能力を失った。現在のSCP-8914-Bの身体は金属ガスから構成されており、強力な電磁場に囲まれている。実体の角は連続した放電によって形作られており、枝分かれした外見を維持している。SCP-8914-Bはインド洋において永続する雷雨の形で存在している。SCP-8914-Bは光子を用いて電磁力を操作し変化させる能力を有している。
- SCP-8914-C: 実体は地維操作能力を失った。実体の四肢は胴体から切り離され、SCP-8914-C自身の生成する重力場によって結合している。プレートに刻まれた法典は消滅し、アインシュタイン方程式に置き換えられているが、スペイン人による征服以前の文字の様式は維持されている。SCP-8914-Cは重力場を変化させ生成することに加え、重力子7を制御することが可能である。この能力により、実体は当初の収容地点の上部に浮遊するピラミッド状の基礎構造を構築した。SCP-8914-Cはそれ以上の活動を行わず、実体と作成された構造物の双方との相互作用を妨げる重力場を生成した。
- SCP-8914-D: 実体は流体操作能力を失った。SCP-8914-Dの身体は現在液体状態の高放射性元素の混合物で構成されており、ディロロ湖に環境被害を引き起こした。また、SCP-8914-Dは青色の閃光を発することで、周囲30km2圏内のすべての物質を加速されたベータ崩壊に暴露させることが可能である。SCP-8914-DはWボソンとZボソン間の弱い相互作用を操作し変化させる能力をもつ。
この報告の時点では、SCP-8914の収容あるいは排除に代わる選択肢が依然として追求されています。財団の取り組みは、新たなSCP-8914の変化に関する事象について大衆に偽情報を流布することに焦点を当てています。現時点では、SCP-8914は受動的な振る舞いを維持し、大規模な人口密集地域からは遠ざかっています。