SCP-893-JP-EX
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倫理委員会による通達

SCP-893-JP-EXは現在倫理委員会により保護されています。SCP-893-JP-EXに対する調査及び研究、担当人員、特別収容プロトコルの改定には倫理委員会の認可が必要です。

アイテム番号: SCP-893-JP-EX

オブジェクトクラス: Safe Explained

特別収容プロトコル: SCP-893-JP-EXはサイト-8141の培養液で満たされた容器の中で収容されています。容器内の培養液は感染症を防ぐため濾過及び防腐処置を行いながら循環されています。SCP-893-JP-EXの頭部及び指はカテーテルに接続され、体液に類似した成分の栄養剤が注入されています。SCP-893-JP-EXの指は1日5回切除し装置外へと廃棄してください。

説明: SCP-893-JP-EXは現在36歳の日本人男性です。SCP-893-JP-EXの指は過形成を続けており、指及びその周辺組織に必要な栄養素が最優先で供給されています。また、SCP-893-JP-EXの指及び周辺組織は負傷に対する回復能力が高く、他部位と比較し███倍の速度で完治します。指及び周辺組織が過形成の際に消費する栄養量は他部位の基礎代謝量の40倍です。そのため、SCP-893-JP-EXは慢性的かつ重度の栄養失調が発生します。

SCP-893-JP-EXから指の一部を切除した場合、切除された組織は異常性を喪失しますが、SCP-893-JP-EXに残存する指は引き続き成長を続けます。また、指及び周辺組織を含めて切除した場合、皮膚・筋肉・臓器などの組織の一部が指に変異し転移する形で再生します。その場合、生命維持に必要な臓器に影響を与える可能性が高いため、周辺組織を含めた指の切除は禁止としています。SCP-893-JP-EXの異常性の性質はAnomalousアイテムに該当しますが、異常性をコントロール出来た場合の医学的価値1の高さからSafeクラスのオブジェクト指定が行われました。

治療記録1: 以下はSCP-893-JP-EXの治療記録です。

日付 概要
2011/02/08 経腸栄養剤の経口摂取と末梢静脈栄養法を併用しながら栄養失調の治療を開始しました。
2011/02/17 指の長さが█ mを超えてSCP-893-JP-EXの運動機能に悪影響を及ぼしていたため、異常性発現前の長さまで切除しました。SCP-893-JP-EXの精神状態が不安定となっています2
2011/02/27 SCP-893-JP-EXは財団に対して非協力的な態度を取っており、歩行リハビリ訓練を拒否しています。
2011/03/08 一過性脳虚血発作により体のしびれや言語障害が発生しました。指の長さが█ mを超えた事が原因と考えられており、今後は定期的な切除を行います。
2011/03/10 倫理委員会によりSCP-893-JP-EXの特別収容プロトコルの監査が行われ、現在の収容環境は財団の理念から反しない範囲で不要にSCP-893-JP-EXの生命を脅かしている3として倫理憲章第5条違反が報告されました。倫理委員会はSCP-893-JP-EX担当者として天理研究員を派遣し、メンタルケア用プログラムの改定を行いました。改定によりSCP-893-JP-EXの精神状態が改善し、治療及び異常性の調査に対して協力的な態度を取るようになりました。
2011/05/03 消化器系に重度の機能障害が発生したため経腸栄養剤の経口摂取を停止し、高カロリー輸液の完全静脈栄養法に切り替えました。基礎代謝量の低下のため指が必要とする栄養量は減少していますが、体力低下のためSCP-893-JP-EXの体調は悪化しています。
2011/05/12 免疫力が大幅に低下したため無菌室に移動させました。精神的に不安定な状態となったSCP-893-JP-EXの要望を受け入れ、天理研究員をSCP-893-JP-EXの専属スタッフに任命しました。
2011/06/02 指に直接高カロリー溶液を注入する実験により、指が必要とする栄養素の一部を補う事に成功しました。SCP-893-JP-EXの生命維持のため注入量を増加させる実験が行われましたが、血管外漏出による激しい炎症が発生しました。その際にSCP-893-JP-EXが強い苦痛を訴えたため、天理研究員の判断で注入量を制限しています。
2011/06/27 高カロリー輸液により血糖値が異常に上昇したため、高浸透圧高血糖症候群が発生しました。指に必要な栄養量は不安定なため、全身の栄養状態のコントロールが難しく今後も断続的に発生する可能性が高いです。
2011/07/05 閉塞性動脈硬化症により末端部分に重度の虚血症状が発生しています。カテーテルによる治療を行いました。
2011/07/09 血糖値が不安定なため肝臓及び膵臓に負荷がかかり、機能が著しく低下しています。
2011/07/14 糖尿病性網膜症によりSCP-893-JP-EXが失明しました。SCP-893-JP-EXは無菌室内でチューブを抜き暴れようとしたため4、鎮静剤が投与されました。

事案1: 2011/08/11、SCP-893-JP-EXは就寝中の脳梗塞により意識不明の状態になりました。高カロリー輸液の長期的な投与による慢性的な血管の炎症と、指に血液が集中して慢性的な一過性脳虚血発作が発生していた事が脳梗塞の原因と推定されています。fMRIの検査によりSCP-893-JP-EXの脳は健常者と異なる信号が検出され、植物状態と診断されました。

治療記録2: 以下は事案1によりSCP-893-JP-EXが植物状態となり、刺激に対して意味のある反応を示さなくなった後の治療記録です。

日付 概要
2011/08/23 指の異常な回復力により、血管外漏出による炎症は無視できる事が分かりました。注入量の制限を撤廃しましたが、供給可能な栄養量は指に必要な栄養素の総量と比べると不十分です。
2011/10/09 足の広範囲に壊死が発生したため膝下部の切除を行ったところ、指は下腹部に転移し再成長を始めました。基礎代謝の現象と共に指の過形成の速度が減少しています。
2011/11/21 機能不全に陥った臓器の摘出を行いました。指の過形成の速度が減少しています。
2011/12/03 根元から切除した指を別の個所に移植したところ、移植した箇所で再成長を始めました。
2011/12/30 指を含め壊死した右腕を切除した所、SCP-893-JP-EXの胸部および両目に転移して成長を始めました。肺及び心臓の大部分が指に浸潤されて機能が著しく低下したため人工臓器に切り替えました。
2012/01/15 SCP-893-JP-EXの臓器がほぼ機能していないため、頭部に指を移植しそれ以外の部位を切除しました。頭部が指の周辺組織となった事で栄養が供給された事に加え、基礎代謝量の減少に伴い指に必要な栄養量も抑えられた事で、慢性的な栄養失調からの回復が確認されました。これに伴い、特別収容プロトコルの改定が行われました。
2012/08/30 両目に位置する指が脳幹を含む脳の一部に浸潤していたため、脳の検査が行われましたが脳に大きな損傷は確認されませんでした。
2012/09/02 SCP-893-JP-EXは随意運動の機能不全5により意志表示方法がありませんが、脳の活動領域の検査を行ったところ、脳機能が回復し意識が明瞭な可能性が高い6と判断されました。脳機能が回復した原因は異常な回復力を持つ指が脳に浸潤し、脳に影響を与えたためと考えられます。

補遺1: 2012/09/05、SCP-893-JP-EX担当者の天理研究員からSCP-893-JP-EXに対する提案が行われました。

SCP-893-JP-EXに対する収容の継続はSCP-893-JP-EXに対し苦痛を与えるだけで、倫理的に問題があります。また、現在までSCP-893-JP-EXに関して有益な研究成果は得られていません。SCP-893-JP-EXに対して終了措置を取る事を提案します。

提案の検討結果は以下の通りです。

あなたの個人的な価値観は財団の理念に反して終了措置を取る理由にはなりません。また、安定して確保・収容・保護を実施可能な特別収容プロトコルは十分有益な研究成果と言えます。異常性の解明に向け研究を継続してください。提案を却下します。

—サイト8142管理官

補遺2: 2021/02/15、SCP-893-JP-EXの異常性は特定条件下において発生する遺伝子異常の疾患として主流科学により完全に解明7され、Explainedオブジェクトに指定されました。非異常の技術によりSCP-893-JP-EXと同様の性質を他の生物に付与する事は可能となりましたが、不可逆の現象のため医学への転用は不可能です。

SCP-893-JP-EXのオブジェクトクラスの改定に伴い、SCP-893-JP-EX担当者の天理研究員からSCP-893-JP-EXに対する提案が行われました。

SCP-893-JP-EXの異常性は完全に解明され、非異常の存在となりました。財団においてSCP-893-JP-EXの確保・収容・保護を継続する意義がありません。SCP-893-JP-EXの特別収容プロトコルに対しては高いコストを必要としており、他のアノマリーの研究費を圧迫し財団に不利益をもたらしています。終了措置の再考をお願いします。

提案の検討結果は以下の通りです。

終了措置の手続きを開始してください。提案を承認します。

—サイト8142管理官

補遺3: SCP-893-JP-EXの終了措置は倫理憲章第5条違反8により停止されました。

我々が一般社会における倫理に反する行為を許容している理由は、人類が健全で正常な世界で生きていけるように、他の人類が光の中で暮らす間、我々が暗闇の中に立ち、異常存在と戦い、封じ込め、人々の目から遠ざけるためです。倫理に反する行為の濫用により、我々が光を脅かす暗闇そのものとならないよう、財団の理念に反しない範囲で一定のルールを守らねばなりません。確かにSCP-893-JP-EXは確保・収容・保護の対象ではありませんが、光の中で暮らして行けるよう我々が支えるべき対象です。この判断を覆す事が可能な対象はSCP-893-JP-EX及び代理人としてその家族ですが、当人の意思は確認出来ず、オブジェクトとして収容する過程で家族から引き離したのは我々です。財団に不要と言うだけで終了措置を行う事は倫理的に許される行為ではありません。

終了措置を無期限に停止します。

—倫理委員会

上記通達から5日後、天理研究員がSCP-893-JP-EXの収容装置の破壊を試みました9。倫理委員会はこの倫理に反する行為を受けて、SCP-893-JP-EXを倫理委員会の管理下に置きました。現在、SCP-893-JP-EXの担当者は正常な倫理観を持つ職員に置き換えられており、倫理憲章第5条違反が起こらないよう細心の注意が払われています。

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