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タイトル: SCP-8986 - 自動人形恐怖症: 偽陽性反応
翻訳責任者: C-Dives
翻訳年: 2024
著作権者: PeppersGhost
原題: SCP-8986 - Automatonophobia: False Positive
作成年: 2024
初訳時参照リビジョン: 26
元記事リンク: ソース
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特別収容プロトコル: SCP-8986現象の研究は、ハンネケ・ミンスト博士の主導の下、超常意識分野のスペシャリストで編成された専任チーム、研究班シータ225 (RG-Θ225) によって実施されます。
SCP-8986を収容するための更なる措置が必要と判断された場合は、RG-Θ225が推奨する新たな収容プロトコルが導入されます。

実験8986-0052。左から右に: DFPO-B011、DFPO-B012。
説明: SCP-8986は現存する全てのメンセム1 測定装置が共通して示す異常な動作であり、人間に類似する無生物に意識があるという誤った結果を示す偽陽性判定で特徴づけられます。
SCP-8986の影響を受けた“個別偽陽性オブジェクト” (Discrete false-positive object; 以下DFPOとする2) と見做されるには、あるメンセム測定の対象が以下の基準を全て満たす必要があります。
- オブジェクトは自律活動性を有していない。3
- オブジェクトは生物学的に生きていたことがない。4
- オブジェクトは有意識存在による霊気転送の対象ではない。
- オブジェクトは0以上のメンセム値を有すると記録されている。
実験で示されたところによると、ある物体がSCP-8986の影響を受ける可能性は、その物体と生きた人間の類似性の強さと正の相関があります。しかしながら、SCP-8986は必ずしも写実的な類似性を発生条件としません。検証済みのDFPOは連続した複数回の試験でも一貫したメンセム値を示しますが5、DFPO対象オブジェクト間では、外見が似通っているか否かによらず、一般的に測定値が異なります。
実験ログ
以下はRG-Θ225が実施した実験の一部概略であり、SCP-8986現象とその研究をRG-Θ225以外の職員に伝達することを目的として、平易な言葉で要約されています。交差汚染を防ぐための実験間での器具の滅菌/再調整など、実験の具体的な目的と関係のない標準的な慣行は、簡潔にまとめるため、記載されたプロセスから省略されています。

現場でのDFPO-A201、左端。
実験8986-0018 |
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目的 |
近隣地域の物体間におけるSCP-8986の大まかな発生頻度を検証する。 |
対象 |
マネキン100体が、半径6km圏内で営業している10店舗から、1店舗につき10体ずつ集められた。選択された全てのマネキンは、大量生産に伴う若干の偏差はあるものの、各々の10体セットに含まれる他のマネキンと視覚的に同一であった。 |
過程 |
マネキンはサイト外部の収集地点で、ターナー計数機6によって個別にスキャンされた。 |
結果 |
全100体中、偽陽性反応があったマネキンは1体のみだった。このマネキンはDFPO-A201に指定され、更なる試験のためにサイト-Θ225へ移送された。 |
実験8986-0019 |
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目的 |
SCP-8986と既知の異常現象の比較。 |
対象 |
DFPO-A201 - プラスチック、ファイバーグラス、鋼鉄で構成された、物理的に特筆すべき点の無い展示用マネキン。先行する実験で偽陽性反応を示した。 SCP-1486 - 知性7と自律活動能力を有する人形。 SCP-1176 - 臨床学的に死亡している成人。死体であるにも拘らず低レベルの神経活動を示し、化学的にハチミツと同一の物質を生成する。 |
過程 |
各対象はサイト-Θ225で、個別に認知共鳴画像診断8 (Cognitive Resonance Imaging) を介したデカルテオグラフィー (descarteography) 検査を受けた。 |
結果 |
DFPO-A201は一貫して正確にメンセム値 18 だった。 SCP-1486は平均メンセム値 30 で、軽微な偏差を伴なった。 SCP-1176は一貫して正確にメンセム値 8 だった。 ライン=フォート精神共鳴スケールにおいて、メンセム値 30 は規範的な思考・感情能力を備えた成人の平均値と見做される。メンセム値 20 以下は通常、意識が未発達であるか、阻害されていることを示す。メンセム値 10 以下は、意識が深刻に衰弱している、発達の初期段階である、もしくは単に残留しているだけであることを示す。 ほぼ全ての非異常な人間は、複数回の測定を通して一貫したメンセム値を示す。対照的に、SCP-1486のような有知性異常オブジェクトは通常、メンセム値に大幅な偏差が生じるため、より多くの測定を必要とする。この偏差の正確な理由は不明だが、誤差というよりもむしろ、メンセム活動の物質的な変動を示すものだと考えられている。 DFPO-A201の一貫した測定結果は、SCP-1486の測定結果よりも、規範的な人間の知性との類似性が高いように見受けられる。しかしながら、現時点では、このような人間の基準値との類似が、単に表面的なもの以上であることを示唆する証拠は得られていない。 その物理的外形や特異な性格にも拘らず、SCP-1486は非存命活動者と見做されるために必要な特徴を全て備えており、2015年の有知性オブジェクト布告に従って、同等の危険性レベルに指定された存命人間のSCPオブジェクトに認められるものと同じ権利を多数付与されている。 対照的に、DFPO-A201には全く活動性がなく、SCP-8986を誘発することを除いて異常現象との関連性を示さない。以前の実験で述べた通り、DFPO-A201は一般に営業しているデパートから、メンセム活動を示さない他9体のマネキンと共に無作為に選ばれたものである。この実験の後、DFPO-A201は保管目的でサイトの収容ロッカーに収容された。 |

DFPO-A874。
実験8986-0031 |
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目的 |
メンセム活動に敏感な人物がDFPOを特定できるかを検証する。 |
対象 |
DFPO-A874 - プラスチックとアルミニウムで構成された、中程度の損傷を有する衝突試験用ダミー人形。記録上のメンセム値は33。9 アイリーン・スキャーマー - 作戦活動中に非存命活動オブジェクトを正確に発見した経歴から、意識エネルギー研究の支援者として財団に雇用されている高メンセム人物。 ライン=フォート精神共鳴スケールは、35以上50未満を“高メンセム”の測定値として定義している。この範囲に該当する対象は通常、他の存在からのメンセム放射に対して高い感受性を有しており、それは一般的に低レベルのテレパシーや、精神測定系の超知覚力 (psychometric paraperception) という形を取って表出する。 ライン=フォート・スケールでの測定値が50から75の範囲にある対象は、他の存在の意識に働きかける能力を帯びている可能性がある。ライン布告に則り、この範囲に該当する対象は発見され次第、SCP分類のための強制評価を行わなければならない。これまでにライン=フォート・スケールで80以上の測定値を記録したのは、明白な存在力学的能力を有するアノマリーのみである。 |
過程 |
DFPO-A874は、メンセム特性を持たないことが事前に確認された、作りと状態が類似する他9体の衝突試験用ダミーと同じ部屋に配置された。スキャーマーは3回に分けて入室させられ、ダミーの異常性の有無と、仮に異常ならばどのダミーがそうであるかを判定するように指示された。うち1回において、DFPO-A874は対照試験のために用意された10体目のダミーと入れ替えられた。 |
結果 |
スキャーマーは3回の試験全てで極度の不安感を覚えたと報告したが、正確か否かによらず、特定のダミーを異常であると指摘することはなかった。彼女の反応は対照試験中も変化しなかったため、スキャーマーはSCP-8986から影響を受けておらず、彼女の感情的反応は事前説明を受けなかった異例な実験によるものと結論付けられた。 |
実験8986-0052 |
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目的 |
DFPOの物理的な変更がメンセム値の出力結果に影響を及ぼすかを検証する。 |
対象 |
DFPO-B011及びDFPO-B012 - 同じ作りのプラスチック製展示用マネキン2体。記録上のメンセム値はそれぞれ25と19。 |
過程 |
DFPO-B012には一連の段階的な変更が施された。DFPO-B011には変更が施されず、対照被検体として扱われた。DFPO-B012への変更が施されるたびに、両対象のメンセム値が記録された。 |
結果 |
行動: DFPO-B011とDFPO-B012に同一のフォーマルな衣服を着せた。 成果: どちらのメンセム活動にも変化無し。 行動: DFPO-B012から帽子を除去した。 成果: どちらのメンセム活動にも変化無し。 行動: DFPO-B012からネクタイを除去した。 成果: どちらのメンセム活動にも変化無し。 行動: DFPO-B012からスーツジャケットを除去した。 成果: どちらのメンセム活動にも変化無し。 行動: DFPO-B012の頭部に、写実的な人間の顔を模したラテックスマスクを被せた。 成果: DFPO-B012の測定値は22メンセムで、ベースラインよりも3メンセム高くなった。DFPO-B011のメンセム活動に変化なし。 行動: DFPO-B012からラテックスマスクを除去した。 成果: DFPO-B012の測定値はベースラインの19メンセムに低下した。DFPO-B011のメンセム活動に変化なし。 行動: DFPO-B012から衣服を完全に除去した。 成果: DFPO-B011の測定値は26メンセムで、ベースラインよりも1メンセム高かった。DFPO-B012のメンセム活動に変化なし。 行動: DFPO-B012の腹部を、視認可能な跡が残るのに十分な威力で殴打した。 成果: DFPO-B012の測定値は18メンセムで、ベースラインよりも1メンセム低かった。DFPO-B011の測定値は26メンセムで、ベースラインよりも2メンセム高かった。 注記: この時点で、ミンスト博士は実験の残りの時間、DFPO-B011を別室に置くように指示した。 行動: DFPO-B012の顔面を、顔の一部が剥離するのに十分な威力で殴打した。 成果: DFPO-B012の測定値は14メンセムで、ベースラインよりも5メンセム低かった。DFPO-B011の測定値は29メンセムで、ベースラインよりも4メンセム高かった。 行動: DFPO-B012の顔面を接着剤で修復した。 成果: DFPO-B012の測定値は15メンセムで、直前の状態よりも1メンセム高かったが、依然としてベースラインを下回った。DFPO-B011の測定値は29メンセムを維持した。 行動: DFPO-B012の頭部を除去した。 成果: DFPO-B012の測定値は1メンセムで、ベースラインよりも18メンセム低かった。DFPO-B011の測定値は35メンセムで、ベースラインよりも10メンセム高かった。 次の試験に移る前に、両対象のメンセム活動は再び測定され、これらの測定値が正確であることが確認された。 行動: DFPO-B012に頭部を戻した。 成果: DFPO-B012の測定値は15メンセムに戻った。DFPO-B011の測定値は35メンセムを維持した。 |
実験8986-0085 |
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目的 |
同一対象の大集団に対する大規模試験。 |
対象 |
単一の多国籍企業による大量生産アクションフィギュア4種類、合計73,000体。内訳は以下の通り。 アルティメット・バクスター 独立記念日エディション 20,000体。当該フィギュアは高さ5インチの硬質プラスチック製で、基本的な関節を備えており、かなり様式化された解剖学的構造と、事前録音された3種類の台詞を再生するボイスボックスを特徴とする。 アストロノ・ミミ 24,000体。当該フィギュアは高さ4インチで、硬質プラスチック製の頭部と、ワイヤー骨組みに固定されたゴム製の可動式胴体から成る。 三好ふき 5,000体。当該フィギュアは高さ8インチで、手作業の塗装が施されており、精巧な可動部を備えている。 フリンカー・フィズル 24,000体。当該フィギュアは高さ3インチで、可動部を備えておらず、表情豊かな二足歩行のイヌ様10キャラクターを象っている。 |
過程 |
製造業者に潜入している財団工作員は、各商品の製造工程で組み立てられた全てのフィギュアが、梱包前にターナー計数機の下を通過するように手配した。偽陽性反応を示したフィギュアは製造ラインから除去され、更なる試験とアーカイブのためにサイト-Θ225へ移送された。 |
結果 |
アルティメット・バクスター 独立記念日エディション: 全20,000体中、161体が偽陽性反応を示し、SCP-8986の発生頻度は検査品124体あたり約1体となった。製造工程で発見されたDFPOのうち、104体が10メンセム以下、48体が11~20メンセム、9体が21メンセム以上と測定された。 アストロノ・ミミ: 全24,000体中、96体が偽陽性反応を示し、SCP-8986の発生頻度は検査品250体あたり約1体となった。製造工程で発見されたDFPOのうち、87体が10メンセム以下、2体が11~20メンセム、7体が21メンセム以上と測定された。 三好ふき: 全5,000体中、83体が偽陽性反応を示し、SCP-8986の発生頻度は検査品60体あたり約1体となった。製造工程で発見されたDFPOのうち、20体が10メンセム以下、44体が11~20メンセム、19体が21メンセム以上と測定された。 フリンカー・フィズル: 全24,000体中、13体が偽陽性反応を示し、SCP-8986の発生頻度は検査品1,846体あたり約1体となった。製造工程で発見されたDFPOのうち、8体が10メンセム以下、5体が11~20メンセム、0体が21メンセム以上と測定された。 |
実験8986-0133 |
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目的 |
アーカイブされたDFPOを、前回の実験から正確に1年後に再試験し、メンセム値の増加を確認する。 |
対象 |
DFPO-A201 - プラスチック、ファイバーグラス、鋼鉄で構成された、物理的に特筆すべき点の無い展示用マネキン。 前回の実験: 8986-0018。 記録されたメンセム値: 19 |
過程 |
対象のデカルテオグラフィー検査を再度実施した。 |
結果 |
測定値は20メンセムで、前年に確立されたベースラインよりも1メンセム高かった。 |
実験8986-0138 |
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目的 |
実験8986-0018を、サンプルサイズを増やし、マネキンの設計の詳細度に重点を置いて繰り返す。 |
対象 |
マネキン10,000体が、世界各地で営業している1,000店舗から、1店舗につき10体ずつ集められた。選択された全てのマネキンは、大量生産に伴う若干の偏差はあるものの、各々の10体セットに含まれる他のマネキンと視覚的に同一であった。 |
過程 |
マネキンの各10体セットは、大きさ、色、細部の造形など、複数のカテゴリにおける詳細度に基づいて1から10までのスケールで評点された。その後、各マネキンはターナー計数機によって個別にメンセム活動を測定され、初期検査で偽陽性反応を示したマネキンはCRIスキャンの対象となった。 |
結果 |
SCP-8986の発生頻度の総合的な平均値は、試験対象90体あたり約1体の偽陽性反応となった。SCP-8986の発生を詳細度の評点と比較したところ、強い正の相関が認められた。更に、収集されたデータからは、全てのカテゴリで詳細度評点の最大値を示した対象のサンプルは、理論上、10体あたり1体という高い偽陽性頻度を呈する可能性があることが示された。 評価された詳細度カテゴリのうち、SCP-8986の発生と最も強く相関したのは顔面の細部の写実性であり、それに次いで身体部の完全性、身体的均整の正確性だった。マネキンの色や塗装は、SCP-8986の発生頻度との関係性が最も弱かった。 最近の実験に必要とされた時間、労力、電力に鑑みて、サンプルサイズを更に拡充して実験を繰り返すためのRG-Θ225の助成金申請は、O2総会によって却下された。 |
実験8986-0151 |
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目的 |
写実性の高い人間的特徴を有する物体におけるSCP-8986の大まかな発生頻度を検証する。 |
対象 |
知名度の高いロンドンの蝋人形館に展示された写実的な蝋人形、268体。 |
過程 |
蝋人形館の一般営業時間の終了後、蝋人形はターナー計数機を用いて現地で慎重にスキャンされた。 ターナー計数機の性能はデカルテオグラフィー検査と比較してごく限られているため、記録されるメンセム値が実際よりもかなり低くなるであろうと想定していた研究者たちは、それを考慮に入れたうえでデータを調整し、その調整を完全に透明化して発表することを計画した。この調整は、測定装置間で既に確認されていた人間のメンセム値の不一致をベースラインとして行われた。 |
結果 |
155体はターナー計数機でBLACKと判定され、メンセム活動が検出されなかったことを示した。 43体はターナー計数機でGREENと判定され、メンセム値が1~10の間であることを示した。 39体はターナー計数機でYELLOWと判定され、メンセム値が11~20の間であることを示した。 23体はターナー計数機でORANGEと判定され、メンセム値が21~30の間であることを示した。 8体はターナー計数機でREDと判定され、メンセム値が31以上であることを示した。 実験終了時の確認時点で、データを調整する必要は無いと判断されたため、結果はそのままの状態で提示されている。 |

現場でのDFPO-D0230。
実験8986-0152 |
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目的 |
DFPOが示す高いメンセム値が、既知の著名人との類似性に依存しているか否か、またベースラインのメンセム値が高いDFPOが、外見の変化から通常よりも大幅な影響を受けるか否かを検証する。 |
対象 |
DFPO-D0230 - 先行する実験で発見された、アメリカ人俳優/コメディアンの 故 ロビン・ウィリアムズを模した蝋人形。サイト-Θ225でのデカルテオグラフィー検査の結果、DFPO-D0230のメンセム値は一貫して 78 であることが判明した。11 これは記録上最高の偽陽性メンセム値である。12 本実験は必然的に蝋人形と著名人の類似性を損なうため、DFPO-D0230は財団フロント企業によって合法的に購入された。 |
過程 |
DFPO-D023には、まず実在人物との類似性を削減し、次いで生きた人間との類似性を削減することを意図した一連の段階的な変更が施された。 |
結果 |
行動: 頭髪を脱色し、次いで鮮やかなライムグリーンに染色した。13 成果: メンセム活動に変化無し。 行動: 熱と圧力を加えて、頬骨、額、顎の輪郭を微妙に再形成し、写実的な人間の容姿を維持しながら著名人との類似性を削減した。 成果: メンセム活動に変化無し。 行動: 顔の特徴を更に再形成し、写実的な人間の容姿を維持しながら著名人との類似性をより劇的に削減した。 成果: メンセム活動に変化無し。 行動: 母斑を顔全体に描写した。 成果: メンセム活動に変化無し。 行動: 左肩甲骨の表面の蝋2×4cmを除去した。14 成果: メンセム活動に変化無し。 行動: 腰の表面の蝋4×6cmを除去した。 成果: メンセム活動に変化無し。 行動: 左腕を剃毛した。15 成果: メンセム活動に変化無し。 行動: 頭髪を剃毛した。 成果: メンセム活動に変化無し。 行動: 左前腕の表面の蝋2×4cmを除去した。 成果: メンセム活動に変化無し。 行動: 背中の表面の蝋を、下頸部から骨盤の終端まで完全に除去した。 成果: メンセム値が77に低下し、ベースラインよりも1メンセム低くなった。 行動: 左手の小指を末節骨の部分で切断した。 成果: メンセム活動に変化無し。 行動: 左手の小指を完全に切断した。 成果: メンセム活動に変化無し。 行動: 左手を完全に切断した。 成果: メンセム値が76に低下。 行動: 左腕の肘から先を切断した。 成果: メンセム活動に変化無し。 行動: 右腕の表面の蝋を、肩から手首まで完全に除去した。 成果: メンセム値が75に低下。 行動: 顔面を極度に再形成し、深刻に奇形化させた。 成果: メンセム値が72に低下。 行動: 右眼窩からガラス細工の眼球を除去した。 成果: メンセム値が71に低下。 行動: 左眼窩から眼球を除去し、口に入れた。 成果: メンセム値が70に低下。 行動: 右頬の表面の蝋2×4cmを除去した。 成果: メンセム値が68に低下。 行動: ブロートーチで顔面を炙り、著しく変形させると共に、質量を大幅に減少させた。 成果: メンセム値が59に低下。 行動: ブロートーチで骨組みが露出するまで右腕を融解させた。 成果: メンセム値が57に低下。 行動: 左前頭葉に相当する部位の蝋を除去した。 成果: メンセム値が46に低下。 行動: 頭部の鼻梁から上を完全に除去した。 成果: メンセム値が40に低下。 行動: 腰部を横方向に切断した。 成果: メンセム活動に変化無し。 行動: 右腕の残存部位を極度に捻じ曲げた。 成果: メンセム活動に変化無し。 行動: 右腕を切断した。 成果: メンセム活動に変化無し。 行動: 上半身を縦方向に切断した。 成果: メンセム活動に変化無し。 行動: 上半身の残存部位を横方向に3分割した。 成果: メンセム活動に変化無し。 行動: 上半身及び下半身の残存部位の蝋を、金属製の骨組みから完全に剥離させた。 成果: 除去された蝋のメンセム活動に変化無し。金属の骨組みは個別にスキャンされ、偽陽性反応が検出されなかったため、試験室から撤去の後、保管された。 行動: 残存する蝋を切断し、約2cm3のキューブを複数作った。 成果: メンセム活動に変化無し。 行動: 蝋のキューブ群を融解させ、不定形の小山にまとめた。 成果: メンセム活動に変化無し。最終的に記録されたメンセム値は40を維持し、ベースラインよりも38メンセム低かった。残存する蝋は保管された。 |
実験8986-0153 |
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目的 |
実験8986-0151を1年間にわたって3回繰り返し、詳細度の高い対象におけるメンセム値の増加を測定する。 |
対象 |
実験8986-0151と同じ蝋人形館に展示された写実的な蝋人形、267体。16 |
過程 |
蝋人形は1年間にわたって3回、6ヶ月の間隔を空けて、ターナー計数機を用いて現地で慎重にスキャンされた。 |
結果 |
第1回測定では、37体が17ターナー計数機でREDと判定され、メンセム値が31以上であることを示した。 第2回測定では、60体がターナー計数機でREDと判定された。 第3回測定では、267体全てがターナー計数機でREDと判定された。 |
実験8986-0154 |
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目的 |
保管されたDFPO実例群のメンセム値の増加を再試験する。 |
対象 |
DFPO-A201 - プラスチック、ファイバーグラス、鋼鉄で構成された、物理的に特筆すべき点の無い展示用マネキン。 前回の実験: 8986-0018。 記録されたメンセム値: 20 DFPO-A874 - プラスチックとアルミニウムで構成された、中程度の損傷を有する衝突試験用ダミー人形。 前回の実験: 8986-0031。 記録されたメンセム値: 33 DFPO-B011 - プラスチック製の展示用マネキン。 前回の実験: 8986-0052。 記録されたメンセム値: 35 DFPO-B012 - 破損したプラスチック製の展示用マネキン。 前回の実験: 8986-0052。 記録されたメンセム値: 15 DFPO-B500 から DFPO-B5160 - アクションフィギュア “アルティメット・バクスター 独立記念日エディション” 合計161体。 前回の実験: 8986-0135。 記録されたメンセム値: 1 から 31 の間 DFPO-D0230 - 不定形の蝋の塊。 前回の実験: 8986-0152。 記録されたメンセム値: 40 以前に偽陽性反応を示した記録が無い対照試験用マネキン、合計100体。 注記: 本文書のための抜粋に含まれていない実験の対象は、この概要からは省略されている。 |
過程 |
全ての対象は個別に再度デカルテオグラフィー検査を受けた。 |
結果 |
DFPO-A201のメンセム値は40に更新された。 DFPO-A874のメンセム値は40に更新された。 DFPO-B011のメンセム値は40に更新された。 DFPO-B012のメンセム値は40に更新された。 DFPO-B500 から DFPO-B5160のメンセム値は、どの実例でも一貫して40に更新された。 対照試験用マネキン100体は全て偽陽性反応を示し、測定値は40メンセムだった。 DFPO-D0230は保管プロセスで紛失されており、再試験が不可能だった。 |
後記
SCP-8986の実験に伴う費用、特に実験8986-0154の実施に必要な労力と電力に鑑みて、O2総会はRG-Θ225への実験目的の助成金の追加交付を差し止める保留処分を下しました。
更に、全てのメンセム測定装置における偽陽性反応の増加は、運用上の重大な欠陥であると見做され、SCP-8986の影響を受ける全ての装置に対して新しい感度校正基準を考案し、発行する取り組みが開始されました。
これらの変更の施行に続いて、SCP-8986の発生は報告されなくなりました。SCP-8986をNeutralizedに再分類する動議は可決されましたが、この措置はRG-Θ225が連名で提出したRAISA差止命令に関するO3法廷の判決が出るまで保留されています。
元RG-Θ225研究主任のハンネケ・ミンスト博士が提出した訴状の論拠は、“SCP-8986”の指定名称は、メンセム測定装置に新しく発見された、RG-Θ225の職員全員を含む生きた人間をスキャンする際に偽陰性反応が頻繁に発生する異常なエラーを指すように変更すべきである、というものです。