SCP-9040
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SCP-9040-1の肖像画を拡大したデジタル複製(17:1)。

アイテム番号: SCP-9040

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル:

SCP-9040は、SCP-9040-00と比例する大きさの人工地形1を備えている、面積225 m2の浸水した部屋に収容されています。収容室の壁の1つは強化ガラスで構築され、サイト-███の職員共用室に隣接しているため、活動を受動的に観察し続けることが可能です。

協力的な姿勢を維持するために、収容室に組み込まれ、プログラム9040-ウェラーマンに基づいて自動化された送風機と灌漑システムで局所的な気象条件を再現します。担当職員は隔週でSCP-9040-02と連携し、環境の適切性を確認すると共に、必要に応じて取引交渉を行うものとします。

表9040.Aから9040.Dの内容を熟知することは担当職員の必須条件です (“説明”セクションを参照)

説明:

SCP-9040は Blattella germanica2 の集団の総称であり、個体ごとにSCP-9040-01からSCP-9040-53と指定されています。各個体は知性、英語を流暢に話す能力、擬人的な行動パターン、著しく長い寿命を有します。全ての個体は18世紀後半のヨーロッパにおける船員の服飾流行と一致する衣服を着用し、通常は剣の代わりに縫い針を、拳銃の代わりに小さな爆竹を装備しています。

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SCP-9040-00の旗。

SCP-9040は HMSエンデバー号 の1:165スケール博物館品質船舶模型、以下SCP-9040-00を共同で操船することができます。SCP-9040-00に異常性はありませんが、SCP-9040によるものと推定される大幅な改造が施されています。これらの改造は主に、機能性のある索具や装備の導入と、SCP-9040に合わせたデザイン変更から成っています。


これらの個体は運用上、重要だと見做されています。熟知は必須です。
アイテム番号 SCP-9040-00上での役職 注記
SCP-9040-01 船長 華美な服装と、子ガモの羽根飾りが付いた帽子が特徴。完全な読み書きが可能。職員に対して最も協力的な個体。引き続きインタビューに応じる意思を示している。
SCP-9040-02 物資補給係 左触角の欠如が特徴。完全な読み書きが可能。交渉時の主な調整役。現在の協力体制は当該個体との交流で成り立っている。

補遺.01:

インタビュー9040.01


日付: 2025/08/29
回答者: SCP-9040
質問者: ジェシカ・マルタ・モートン博士
序: オランダのデュインゲロー近郊で孤立した生活を送る住民からの通報に続いて、潜入フィールドエージェントが派遣された。通報者は食中毒による幻覚症状のカバーストーリーの下、地元の病院に搬送された。通報者の自宅で現地インタビューが行われ、SCP-9040の低い声量を補うための音響増幅システムが使用された。インタビュー中もサイト-███運営陣との意思疎通が維持された。


[記録開始]

モートン博士: こんにちは、船長。そして… 乗組員の皆さん。対話に応じていただき感謝します。

SCP-9040-01: アイ、小娘、話し合おうじゃないか。しかし覚えておけ、これはお前の種族を好いているからじゃない。他に選択肢が無いからだ。

SCP-9040-06: 巨人と喋るだなんてとんでもねえこった! この前の野郎が何しやがったか見ただろう!

SCP-9040-04: 止せ、アンテニオ。船長に二言はねえ。俺たちの淑女レディを健康体に戻すには、巨人どもの木材が必要なんだ。

SCP-9040-09: やい小娘、てめえにはあれがどんなもんだったか、想像もつかねえだろう。俺だって生まれてこの方、あんな目に遭ったのは初めてだ。空が割れて、大海原があっという間に沸き立った。あれこそが大渦巻メエルストロムだ!

[複数の個体が次々に叫び始め、SCP-9040-01が胸部ベルトの小爆竹に点火して破裂させる。]

SCP-9040-01: うるせえ!

[騒ぎは直ちに収まる。]

SCP-9040-01: トゲウオの口に放り込まれたくなけりゃ、その大顎を大人しく閉じてやがれ、ゴキブリ野郎ども!

モートン博士: [咳払い] 船長… その“メエルストロム”についてのお話を、あなたからお聞かせ願えませんか?

[SCP-9040-01はSCP-9040-02と視線を交わす。]

SCP-9040-02: よし、ならば取引だ。船長が話を聞かせてやる代わりに、女王蟻の復讐号クイーン・アンツ・リベンジを修復できるだけの木材をこちらによこせ。

モートン博士: クイーン・アンツ・リベンジ…

[SCP-9040個体群の間で低い呟きが聞こえる。]

SCP-9040-01: アイ、クイーン・アンツ・リベンジだ。

[モートン博士がイヤホンに手を当てる。]

モートン博士: お話に対して提供できるのは紐だけです。

SCP-9040-02: 紐と木材の半分。

[モートン博士がイヤホンに手を当てる。]

モートン博士: 条件を呑みましょう。

[SCP-9040個体群の間で興奮したざわめきが聞こえる。]

SCP-9040-01: 取引は成立し、尊重される。

SCP-9040-06: [呟く] 今に後悔することになるぞ…

SCP-9040-01: [咽頭部を振るわせる] その朝、大海原はごく穏やかだった。太陽は輝き、帆は満帆で、船員たちは歌いながら務めを果たしていた。俺たちは砲列甲板に降りて、テーブルの上にカードを広げていた。実に素晴らしい日和だった。すると、カラクリスの奴が触角をびりびり震わせながら甲板からすっ飛んできた。聞けば嵐になりそうだと言う。当然俺たちは笑い飛ばしたが -

SCP-9040-33: あの恨みは忘れねえ!

[SCP-9040-21が縫い針を抜き、SCP-9040-33の頸部に近付ける。]

SCP-9040-21: 黙ってな、イカサマ野郎。

SCP-9040-01: だが、次の手札を配ろうとした時、影がカードをよぎった。格子越しに見上げりゃ、まるでインク瓶を引っ繰り返したような暗闇が空一面を覆ってやがる。風は情け容赦なく吹き荒び、地獄の犬小屋から逃げ出した猟犬のように吠えていた。そして海。おお、小娘、あの時の海ときたら。この俺も甲板下に留まってりゃ良かったと思ったよ、そうすりゃあれを目の当たりにしなくて済んだろうに。大檣よりも尚高い水の山々だ。崩れ落ちてくるその一つ一つが、俺の船員たちを奪い去ろうと脅していた!

[数匹のSCP-9040個体が頷く。]

SCP-9040-01: 俺たちはこれまでにも嵐を相手に踊ったことがあるが、あの獣が振るう猛威は格が違った。それでも俺たちは爪から爪へとバケツを受け渡し、果敢に立ち向かった。若い衆は帆を巻き上げ、掴める限りの物にしがみ付いた。手放せば一巻の終わりさ。アンテニオの黒き心臓に称えあれ、あいつは船に忠実であり続けた。

[SCP-9040-06が僅かに胸郭を膨らませる。]

SCP-9040-01: うねる波の下で船体が軋む音が聞こえた。それでも復讐号は持ち堪えた。そして死神が過ぎ去ったと思ったまさにその時… 奴が現れた…

[SCP-9040個体群は一様に動揺を示す。]

モートン博士: “奴”? 奴とは?

SCP-9040-01: 影だ、小娘。嵐そのものよりも巨大な影が、強風の中を俺たちに向かって突進してきた。

モートン博士: どんな影でしたか?

SCP-9040-01: 船を丸呑みする類の影だ。悪夢の中でしか出くわさないように祈りを捧げる類のな。船首の傍に浮上した時、奴の姿がはっきりと見えた。悪魔が直々に育てた大海獣、“赤き顎”レッドマウ

[SCP-9040個体群は共通して苦悩を示す。]

モートン博士: レッドマウ…? レッドマウとは誰… 何ですか?

[長い沈黙。]

SCP-9040-01: あんな生き物はかつて見たことがなかった。奴の身体には世界を引き裂くほどの怒りが漲っていた。俺たちはまだ豪雨で浸水していない大砲に飛び付いた。奴に向かって砲火を浴びせた。だが、レッドマウの鱗はまるで雨粒か何かのように俺たちの鉛球を跳ね返した。

奴の目は深淵のように虚ろだったが、俺たちの抵抗がただ奴を怒らせただけなのは分かった。水底に束の間消えたかと思うと、山のような巨体を水面から躍り上がらせて船腹に激突した。大檣は棒切れのように真っ二つにへし折られ、船員の半数が悲鳴を上げながら海に投げ出された。

[SCP-9040個体群は頭を下げ、帽子を脱いで胸郭に押し付ける。数匹が同時に顎をカチカチと打ち鳴らす。]

SCP-9040-01: 小娘、あいつらの叫びは今でも俺の触覚の中で響いている。その叫びも獣に食われてすぐに途絶えた。俺たちは何もできないまま、奴が貪るのを見ていた。

モートン博士: [静かに] …酷い話です。

SCP-9040-01: 希望は失われ、銃は撃ち尽くされ、甲板に死が纏わりついていた。しかしその時、ここにいる勇敢な若者ティッカーが [SCP-9040-51に爪を乗せる] 銛を掴んでデリック3に自分を縛り付け、引き上げてくれと呼びかけた。まず二匹が、次に四匹が、そして誰もがロープを手に取った。船員総出で甲皮に力を込めた。ティッカーは上へと持ち上げられ、船の側面、波の上へと弧を描いた。

SCP-9040-51: 水中に奴の姿が見えました、マム。舵輪ほどもある大きな目。空っぽの死んだ目です。慈悲の心など欠片も宿っていませんでした。もうこれでお終いだと思ったものです。

SCP-9040-01: ただ一度の機会に全てを賭けて、深みからせり上がってきたレッドマウが新たな獲物に飛び掛かった瞬間、ティッカーの腕が標的を捉えた。銛は怪物の目に深く突き刺さった!

死の顎が閉じるよりも早く、俺たちはデリックを引き戻した。獣は悲鳴を上げた。大海原が裂けるような金切り声だ。奴は身を引き、波の下でのたうち回り、やがて影は泳ぎ去っていった。間もなく、奴が嵐を操っていたかのように、空は晴れ渡った。

モートン博士: す… 凄い。

[長い沈黙。]

SCP-9040-01: 俺たちは勝った。しかし、その勝利は高くついた。復讐号は負傷に呻き、急速に浸水しつつあった。俺たちは最も近い岸辺へと向かい、彼女はそこに静かに横たわっている… 傷付き、しかし勝利の誇りと共に!

[SCP-9040が一斉に歓声を上げる。]

[記録終了]

補遺.02:

調査報告書


破損したSCP-9040-00はフィスファイヴァー・ホルティーン4の汀線から回収され、船内からは後にSCP-9040-53と指定される個体が発見された。双方ともにサイト-███へ移送され、交渉で取り決められた量の紐及び木材と共にSCP-9040に引き渡された。

回収地点と気象記録の相関関係から、“メエルストロム”は2025/08/24に観測された小規模な嵐と対応することが証明された。

調査報告書


フィスファイヴァー・ホルティーンの調査を継続したところ、赤い色素沈着と左目に刺さった縫い針で特徴付けられる、“レッドマウ”の説明と一致する生物標本が回収された。標本のスケッチを提示されたSCP-9040個体群は激しい動揺を示したものの、満場一致で同一の生物であると証言した。

当該標本は攻撃的な摂食行動を示し、糞便の分析で Blattella germanica の外骨格の断片が確認された。

“レッドマウ”は分類学上 Carassius auratus5 の若年成魚であると特定された。近所の住民によって養魚池の生態系に放流されたものと思われる。

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