SCP-9106

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よし、いける。大丈夫、再開しようぜ。バッテリー表示は…… えー、残り17時間だってよ。

了解した。では、残り15時間になったら引き返させよう。今は下に降り続けてくれ。

分かったよ、畜生。怖すぎるぜここは。

その場所に君を傷つけるものは存在しない。実際、君を階下へ送り込んでいる理由というのは、SCP-087にわずかに残っていた異常活動が止まったからなんだ。何とか冷静さを保ってほしい。

……

あのなあ、そんな話聞いて俺の気分が良くなるとでも思ったかよ? 俺の見立てじゃあ、何かがこの下にいて、そいつは何かしらのヤバい方法でその活動ってのを止めさせてるってところだろうな。

落ち着いてくれ。

……

……

—— 待て、D-50543。待て! 左だ!

おいこら! 心臓が止まるかと思ったじゃねえか! で、どうすりゃいい?

よし、接近するんだ。カメラの画角をうまく合わせてくれ。

分かった、今やってる。ああ—— こりゃあ何つうか、バカバカしい広告ポスターだな。何がそんなに大したことだってんだ?

087flyer.jpg

SCP-087の探索中に撮影された画像。

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アイテム番号: 9106
レベル3
収容クラス:
euclid
副次クラス:
none
撹乱クラス:
keneq
リスククラス:
notice

特別収容プロトコル:

現在のところ、財団の活動に対するSCP-9106の脅威度は最低レベルのものであると評価されています。SCP-9106/GoI-404は、その活動の継続と財団へのサービス提供を許可することと引き換えに、ヴェール維持のために財団が義務付けた以下の予防措置を講じることに同意しました。

  • SCP-9106-Aおよび-B実例またはそれらに関する情報を民間地域に配置しないこと。
  • 異常存在の実在を民間の顧客に明かさないこと。
  • 過去6ヶ月間に異常活動が見られた物件を民間の顧客に対して販売しないこと。

SCP-9106は財団が所有する施設やその他の不動産への侵入を行わないことに同意しています。この協定が破られ、SCP-9106-A実例が財団施設内に出現した場合、侵入口を封鎖するとともに、SCP-9106-B実例群の速やかな捜索が行われます。SCP-9106の財団への服従を維持するために影響力の強化が必要な場合には、既知のSCP-9106従業員の拘束が許可されます。

SCP-9106はまた、人間の生理機能を必要としない用途に限り、SCP-9106-B1実例をDクラス職員として提供することに同意しました。経理部門は現在、月ごとに20個体の購入に必要な予算を割り当てています。それ以外のSCP-9106およびその下位分類アノマリーとの接触や使用には、レベル4の承認が必要です。

説明:

SCP-9106は「アイゼンフレムダー不動産 (Eisenfremder Real Estate)」という企業と、同社が雇用または利用しているアノマリーの総称です。SCP-9106は非異常な不動産会社と同様に運営されていますが、特に異常な物件、建築物、領域を対象としており、それらを取得して改修し、販売することを主目的としています。特筆すべき点として、SCP-9106が対象とする領域は、人為的に形成されたか製造された構造物を特徴とするものに限られます。

bewareoftod.jpg

SCP-9106から回収されたチラシ。背景情報は不明。和訳した画像はこちら

SCP-9106は度々、非異常の人間を同社の職員、主に不動産売買の仲介人、法律家、技術員、会計士として雇用します。この雇用上の慣習を除けば、SCP-9106は可能な限りヴェールへの損害を避けており、主要な取引相手はヴェール下のクライアント (財団を含む) です。SCP-9106と他のGoIとの既知の相互関係に関する包括的な分析については、別紙 GoI-404 ("アイゼンフレムダー不動産") のファイルを参照してください。

SCP-9106は現在のところ財団に好意的であり、組織間の安全な通信チャンネルが確立されています。PoI-9106-11との直接交流の試みは、現在も進行中です。

SCP-9106はその目的のため、商業活動を通じて取得した様々な超常技術に加えて、以下に挙げる2種の主要な副次的アノマリーを利用しています。

  • SCP-9106-A: アイゼンフレムダー本社との往来のための空間ポータルとして用いられる、既存の構造物に自発的に発生する扉。
  • SCP-9106-B: SCP-9106が領域の探索や占有、改装などに従事させるために生産する、人工的な実体群。

SCP-9106-A実例は、アイゼンフレムダー不動産本部との双方向移動に利用可能な空間ポータルとして機能します。インタビュー調査で得られた証言によると、本部は温帯に位置する小さな土地であり、以下の3つの主要な建物を含みます。

  • 中規模の事務所。SCP-9106の業務の大部分が行われている。
  • 大規模かつ工業的な納屋。SCP-9106-B実例の生産工場、武器類の保管庫および異常領域への遠征のための前哨基地に転用されている。
  • 2階建ての家屋。SCP-9106-Aの接続先であり、PoI-9106-1の住居でもある。

SCP-9106-A実例は、既存の建造物の壁面の上、あるいは既存の扉のドア枠の内側に出現します。消失はどのタイミングでも可能ですが、出現は人間の視認範囲外にあるときにのみ可能です。

SCP-9106はSCP-9106-Aを従業員の移送と異常領域への侵入のために用いており、その接続先は通常アクセスできない建造物や、一般的な空間の外部に存在する世界にまで及びます。SCP-9106-Aが有する侵入能力の正確な上限については不明です。

経緯:

SCP-9106との最初の直接遭遇は、2023/03/03、機動部隊ゼータ-9 ("メクラネズミ")2 によるSCP-████3異空間地下室の初期探索中に発生しました。


MTF ゼータ-9の帰還後、回収された携帯電話を使用してSCP-9106との最初の接触が行われました。担当者との交渉の後、特別収容プロトコルに組み込まれている組織間協定の最初のバージョンが提案され、受諾されました。加えて、アイゼンフレムダー不動産はGoI-404に指定されました。4

SCP-9106-B1実例をDクラス職員の代替として用いる案が提出され、その承認の前に倫理委員会による遠隔でのインタビューがなされました。

補遺1:

2023/04/27、SCP-9106は財団エージェントを異常物件の改修作業に同伴させることを許可しました。その目的は、SCP-9106が売却したか賃貸物件として保有している、過去に異常性を有していた建造物について、その収容が必要かどうかを判断するためです。問題の物件は、英国リッチフィールド市の郊外に位置する最近取得されてマッピングされた邸宅であり、以下の記録に詳述されている複数の異常性を示していました。

その後6ヶ月間の追跡調査と、残存する異常活動についての月ごとの追加チェックの後、SCP-9106が過去に所有および改装した資産について、その収容に向けた措置は不要であると判断されました。

補遺2:

2024/10/14、SCP-9106の代表者が財団の連絡員であるルシア・サンダーソンにコンタクトを取り、支援を要請しました。SCP-9106から財団に対して行われた連絡は、これが初のケースでした5

この通話の後、財団による支援の詳細が確定し、提供されたSCP-9106-Aポータルを通じて、MTF ゼータ-9が問題の地点へと派遣されました。

解決後、当該物件は完全に修復され、契約条件に従って大幅な割引価格で財団に売却されました。その後、当該物件は補助サイト-119-Cに指定され、現在は近隣のサイト-119および米国中西部における財団のあらゆる活動のための主要な食料配給センターとして機能しています6

補遺3:

2025/01/31、SCP-106の収容違反で38名の死者が出た事件を受け、当該アノマリーの収容室の改修が承認されました。しかし、改修が承認された時点でSCP-106は既にその収容室に再収容されていたことから、改修工事中にSCP-106がその状況を悪用して収容違反を起こすのを防ぐための提案フォーラムが設置されました。それ以外の代替案がなかったことで、D・ハーディングス次席研究員の「プロジェクト期間中にSCP-9106を用いてSCP-106の注意を逸らす」という提案が承認されました。

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あるSCP-9106-B1実例の視覚インプラントから回収された画像。

2025/02/13、約9日間の建設工事を経て収容室の改修が完了し、共同作戦は終了しました。サイト-19のカフェテリアにて、死亡した23179体のSCP-9106-B1ユニットのために15分間の追悼式が執り行われました。

補遺4:

2025/06/22、チェコ共和国の聖ヤン・ネポムツキー教会の内部に存在することが疑われた空間異常に対し、最初の探索が開始されました。この遠征は、機動部隊ゼータ-9の新人隊員の実地訓練も兼ねていました。当時、同部隊の上級隊員の大半は別のアノマリーの回収に従事していたため、残った少数の隊員が新人の監督に集中できるよう、SCP-9106からの追加支援が利用されました。

探索の途中、部隊は建物内で敵対的な実体と遭遇し、SCP-9106はこれまで抑制されていた破壊能力を発揮しました。


このインシデントの直後、SCP-9106は全ての通信を停止しました。この行動と、SCP-9106-Aの侵入能力およびSCP-9106-B4の破壊能力がもたらす高い潜在的脅威のため、SCP-9106に対する緊急の再評価が実施されました。このアノマリーのリスククラスは、レベル4 "Danger"へと引き上げられ、新たな収容プロトコルの制定に向けた研究が開始されました。

財団とSCP-9106/GoI-404との以前の協力関係が回復可能であるか、あるいは回復されるべきであるかは不明です。

補遺5:

2025/06/26、SCP-9106は財団との通信を再開し、信頼関係の再構築を目的としたPoI-9106-1との対談を要請しました。審議の結果、この要請は承認され、ルシア・サンダーソン連絡員が事前に合意された地点へと派遣され、SCP-9106-A実例へと入りました。サンダーソンは事前ブリーフィングにおいて、SCP-9106の本部とPoI-9106-1の正体に関して可能な限り多くの情報を入手するよう指示を受けていました。

2025年6月29日、インタビューが実施されました。サンダーソンは問題なくSCP-9106の本部へ移送されました。


インタビューが終了し、SCP-9106との通信が再確立されたことで、収容プロトコルの更なる変更は不要と判断されました。SCP-9106-B4実例とPoI-9106-1を対象とした実験は、問題なく開始されました。

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